井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年3月12日

(令和3年3月12日(金) 9:20~9:41  於:中央合同庁舎第4号館1階全省庁共用108会議室)

1.発言要旨


 まず、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 3月9日にトルコのルフサル・ペキジャン貿易大臣との間で、2025年の大阪・関西万博について、二国間のウェブ会談を行いました。また、3月10日には、アンゴラ、クウェート、マレーシア、スロベニアの4カ国の在京大使をお招きし、大阪・関西万博への参加招請を行いました。
 私より、ルフサル・ペキジャン大臣及び各国大使に対して、大阪・関西万博の成功に向け、早期参加表明を強く働きかけました。先方からは、大阪・関西万博への強い期待が表明されました。いずれの国も参加を前向きに検討いただいている模様であり、大変心強く思っています。
 そして、これまでの参加招請活動の具体的な成果について報告します。
 今週行った招請活動で、私からは、49カ国1国際機関、すなわち50の国または国際機関に対し、直接の働きかけを行いました。その結果、先月公表した7カ国2機関に加え、新たにアフガニスタン・イスラム共和国、ウズベキスタン共和国、セネガル共和国、バーレーン王国、ブラジル連邦共和国、ブルキナファソ、レソト王国の7カ国が正式に参加を表明しました。これで14カ国と2国際機関から正式な参加表明をいただいたこととなります。特にブラジル連邦共和国については、G20で最初の正式な参加表明です。今回公表した7カ国の正式な参加表明を心から歓迎しております。
 次に、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 消費者裁判手続特例法について、その附則第5条で、法律の施行後3年を経過した場合において、同法の施行状況等を勘案し、法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講ずるものとされていることを踏まえ、消費者庁において、「消費者裁判手続特例法等に関する検討会」を立ち上げ、本年3月24日に第1回を開催することとしました。国会対応等がなければ、私自身も出席したいと考えております。
 施行から4年が経過し、手続の担い手である「特定適格消費者団体」として3団体が認定され、5事業者に対して訴えが提起されております。発足当初は被害回復のために高い期待が寄せられる一方、濫訴のおそれなど、一部経済界からの意見もありました。同法の運用状況を踏まえつつ、消費者にとっての利用のしやすさ、特定適格消費者団体の社会的意義・果たすべき役割等の多角的な観点から検討を進めたいと思います。
 本件は、論点が多岐にわたり、一度に結論が出せるとは考えておりませんが、可能であれば今夏にも一定の結論を出したいと思います。
 もう一件あります。
 毎年3月15日は、世界の消費者団体によって構成されるNGOである国際消費者機構が定めた世界消費者権利デーであります。1962年、米国のケネディ大統領が消費者の4つの権利を議会に示したことに由来するとのことです。これに先立ち、私としても、お手元に配付のとおり大臣メッセージを発出します。
 今年のテーマは「プラスチック汚染問題への取組」であります。我が国でもプラスチックごみ問題は重要な課題です。昨年7月のレジ袋の有料化など、消費者の身近なところでの取組が進められている一方、コロナ禍で利用機会が増えている不織布マスクやテイクアウト・デリバリーの容器にもプラスチックが用いられており、家庭からのプラスチックごみ排出量の増加が懸念されます。
 今こそ消費者一人一人が消費と社会のつながりを「自分ごと」として捉え、未来を変えるための行動が求められております。とりわけ消費者の声を代弁することを使命とする消費者団体には、こうした取組に欠かすことのできない存在として大いに期待をしています。
 政府は、今国会に「プラスチックに係る循環資源の促進等に関する法律案」を提出するなど、関係省庁を挙げて施策を講じています。消費者基本計画でも、海洋プラスチックごみの削減をはじめ、持続可能な社会の実現に向けた社会的課題を解決する観点から、消費者と事業者との「協働」による取組の促進について盛り込んでいます。
 世界消費者権利デーを契機に、食品ロス削減やエシカル消費も含め、消費者の皆様が、SDGsが掲げる持続可能な世界の実現に参画することの意義を認識していただけるよう、消費者担当大臣として、関係省庁や消費者団体等と連携して、しっかり取り組んでまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)万博の件でお伺いいたします。特にブラジルについて、G20で最初の正式な表明というふうにおっしゃっていましたが、ブラジルが参加することの意義でしたりとか、また今後の招請活動への意気込みみたいなものを改めて伺えますでしょうか。
(答)そうですね。そういう意味では、少しずつ着実に、参加表明をしてもらっている国が増えているということは大変ありがたいですし、これからますます取り組まなければいけないと思っております。
 G20というと、世界の大国の一つでありますから、そういう意味でも非常に意義は大きいと思いますし、G20のほかの国に対しても、引き続き積極的に参加を要請していきたいと思います。
(問)引き続き万博のことについてなんですけれども、政府としては、150カ国と25の国際機関について招請を目指されていますけれども、今、現段階で14カ国と2機関ですが、今のところの進捗状況としての受止めはいかがでしょうか。
(答)そうですね。そういう意味では、もちろんなるべく早く多くの国や機関から参加表明してもらいたいとは思っております。ただ、他方で、12月1日、2日以降始まったわけでありますし、コロナ禍の中でなかなか各国、大変な状況にあり、また、私自身も直接海外に行くことができないという状況でありますから、そういう、いわば厳しい条件の中では着実にお答えをいただいていると思っています。
 ただ、まだまだそういう意味では目標には大分ありますので、引き続きしっかりやっていきたいと思います。
(問)消費者裁判手続特例法についてお聞きします。
 この特例法の検討会の中で、これまで実際に運用されていく中で見えてきた課題もあるということがあると思います。大臣、先ほど、そういう役割、利用のしやすさとか社会的意義とか、果たす役割、多角化というふうにおっしゃっておりましたけれども、これはつまり、現状として使い勝手が悪くてあまり実績が少ないと、機動性を高めるという方向性で検討されるということなんでしょうか。課題と目指す先の方向性、これについて教えてください。
(答)そうですね。そういう意味では、こういった消費者トラブル自体が起きていることはいいこととは思いませんけれども、せっかくつくった手続でありますから、これは積極的に活用していただきたいと思っています。
 どうしても訴訟ですから、一定の時間がかかっているということで、今の訴訟が4件ということが多いか少ないかというのは、これは評価にもよると思うんですけれども、やはり使い勝手をよくして、そしてなるべく制度を活用してもらいたい。そのために一体何をしていけばいいのかといったことを検討会で御議論いただきたいと思っています。
(問)大臣、国民生活センターについては、業務のことについてよく御存知だと思うんですけれども、国民生活センターの仕事のうち、科学技術関係の仕事ってどのぐらいあるというふうに感覚的にお思いでしょうか。お伺いしたいと思います。
(答)科学技術関係?
(問)科学技術関係の仕事を国民生活センターはどのぐらいしているかという実感というか、感覚的な話です。
(答)消費者相談の話ですか。商品テストのことですか。
(問)いや、何でもいいんですけれども、業務全般の中で何割ぐらいの業務が科学技術に関係していると思われますか。感覚的でよろしいですよ。
(答)これは、何をもって科学技術に関係しているかという判断はあると思いますけれども、ただ、テストのことでありますとか、あるいは相談の内容として科学技術にかかわるものもあるのだとは思いますけれども、ただ、これは消費者相談などは別に科学技術に限らず重要なことですからね。また別の観点でやっているという理解ですけれども。
(問)つまり、科学技術と直接そんなに関係あると思えない、少ないだろうなという感覚ですよね。
 もう一つお聞きしたいのは、国民生活センターの運営費交付金の100%が科学技術関係予算に計上されているんですよ。これは大臣の実感というか、普通の国民の実感として正しいというか、納得できるというか、しっくりくるような数字だと思われますか。
(答)あれですかね。この間発表した科学技術関係の予算の話ですかね。
(問)ええ。予算の話なんですけれども、その予算の結果と実際の感覚について、大臣、国民生活センターの運営費交付金の100%が科学技術関係予算と言われて、「ああ、なるほど、科学技術予算だな」と思われますか。
(答)これは、科学技術関係予算、どこまでが範囲なのかというのは、なかなか線引きが難しいし、いろいろな考え方があると思っているんですね。今の第5期基本計画の26兆にせよ、次の30兆にせよ、いわば数字を埋めるためになるべくたくさんカウントするというのは、これは本末転倒の話になってしまいますので、だから、やはりここで来年度から第6期になるわけですから、何をもってこの中に入れて科学技術予算ということで把握していくのかというのは、これはよく精査したほうがいいと私は思っています。
 国民生活センターが科学技術予算だというのは、私も今初めて聞きましたけれども、例えば、事務方の説明を聞いたら、国勢調査、これが科学技術予算だと聞きましてね。確かに統計をとって分析することによって科学技術に生かしていくという観点もあるかもしれませんが、調査そのものをもって科学技術だというのは、なかなか国民の理解を得られないのではないかなとか、いろいろ問題点というか、着眼点はあると思いますので、これはやはり今後しっかり精査をしていくべきだと思っています。
(問)その観点から言うと、例えば科学技術関係予算というのは一定のルールで何かしらやっているんでしょうけれども、例えば政府研究開発投資という、今、政府研究開発投資と科学技術関係予算が一緒くたになっているんですけれども、政府研究開発投資というのと科学技術予算を分けるような、そういう別の考え方をとるような、そういうお考えはあるでしょうか。
(答)政府投資ですか。
(問)政府研究開発投資です。
(答)そこは私もあまり正確なことは分からないので、調べてみます。
(問)あと、もう一つ、第6期基本計画を一言でというのは。
(答)これは、考えたんだけれども、まだ発表してはいけないので、もう少し待ってください。今、私の頭の中にはあるんです。期待してください。
(問)消費者担当大臣としての御意見をお聞きします。3.15の世界消費者権利デーのメッセージを先ほど、とても意義深いメッセージだと思います。それで、来年、再来年、ケネディの権利から60周年だったりとか、あと、消費者権利デーを提唱されてから40周年だったりとか、節目の年になるんですけれども、このメッセージについては、過去、政府が毎年公表されているんですけれども、日本の大臣として、このメッセージで海外への発信ということをお考えでしょうか。そういう体制としてあるのかどうかということを、まず1点ですね。
 それから、今年のテーマがプラスチックということで、この中にも書いてありますが、改めてエシカル消費の推進であるとか、ずっとされてきましたので、環境政策と消費者政策というものの連携というのが改めて課題になるんじゃないかと思いますけれども、その点についての取組というのを、ちょっとお聞きしたいと思います。
(答)そうですね。世界消費者権利デーということで、国際的に世界各国、そして消費者団体が協力して、こういった活動をしていくというのは非常に意義深いものだと思っています。やはり国内的な個別個別の様々な消費者の課題もあれば、今年のテーマであるプラスチックごみのように世界的に共通の課題、あるいは関連する課題というものもありますから、そういう意味では大変意義深いと思っておりまして、私も、このメッセージを出すことによって、日本国政府を代表して、世界に向けても我々の考え方というものを伝えていくと、そういった趣旨でメッセージも発出をさせてもらいました。
 そういう意味では、特に今年のテーマであるプラスチック汚染への取組ということですけれども、これ、我々としては、様々な消費者に対する普及啓発、こういったことをやっていかなければいけないと思っていますが、具体的な取組としては、おっしゃるように、環境政策と非常に親和性が高いものですから、環境省などで法律をつくって、いろいろな取組などもやっておりますので、ここは環境省などとも関係省庁と協力をしながら、引き続き進めていきたいと思っています。
(問)先ほど大臣がおっしゃった、科技関係予算の線引きが難しいという話ですけれども、よく精査したほうがいいと、数字を埋めるためのカウントだったら本末転倒であるという御発言でしたけれども、これ、もう既に第5期基本計画の目標については、もう投資目標を達成したと発表されていますけれども、そのカウントを改めて見直して、第5期の目標について、もう一度精査するという意味なのか、それとも新年度から始まる6期の投資目標、積算の方法を改めるという意味なのか、その辺の趣旨をもう一度確認させてください。
(答)私が先ほど申し上げたのは、第5期基本計画については、当然その基準があって、それに基づいてカウントをしておりますから、そういう意味では、第5期基本計画については、この間発表したとおり、基準を達成することができたというところは変わりません。ただ、第6期についてはまさにこれからですから、そういう意味では、これを機会に、そういった内容についても見直す必要があるのではないかと思っています。
(問)もし仮に見直しがあった場合、過去、さかのぼってカウント、記録を見直すとかということも考えられるんでしょうか。
(答)しかし、その基本計画自体は、もう二十数年の歴史がありますし、おそらく同じような課題であっても、そのときそのときによって違うと思うんですね。どこまで、いわば科学技術の観点を盛り込んだ予算だったのかということ。ですから、そういう意味で、何も過去にまでさかのぼることはないと思いますけれども、むしろ将来に向けての課題の一つだと思います。
(問)冒頭の裁判手続特例法の件なんですけれども、大臣、4件を多いか少ないか評価するのはなかなか判断が難しいということだと思うんですけれども、4件になってしまっている背景として、やはり団体の数が少ないというところもあるのではないかというふうに感じておりまして、今後議論はされていくと思うんですけれども、この団体の支援制度ですとか、改めて消費者への啓発など、どういったところに力を重視したいなというふうに感じていらっしゃいますでしょうか。
(答)そうですね。これは、これから検討会でまさに検討していただくということで、そもそも法律の附則で指摘されていることとして、特定適格消費者団体による被害回復関係業務の適正な遂行を確保するための方策、また、制度の対象となる請求及び損害の範囲について、こういったことを検討していくということでありますので、こういった観点で是非検討していただいて、そして、我々としても、その結果をしっかり受け止めて、法律の話ですからね、必要があれば法律改正にも臨んでいきたいと思っています。

(以上)