井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月26日

(令和3年2月26日(金) 9:19~9:38  於:中央合同庁舎第4号館1階全省庁共用108会議室)

1.発言要旨


 国際博覧会担当の大臣として報告します。
 昨年12月の国際博覧会推進本部で、大阪・関西万博関係府省庁連絡会議を設置いたしました。その第1回会合を来週3月1日に開催します。この会議は、大阪・関西万博の開催に向けて、関係府省庁の連携体制を構築し、効率的かつ円滑に準備を進めるためのものです。
 大阪・関西万博の成功のためには、これまでの枠組みにとらわれず、あらゆる仕組みを変えていくとの発想で準備を進める必要があります。万博を活用して、是非いろいろなことにチャレンジしたいと考えており、関係府省庁から様々なアイデアや取組を提供してもらい、縦割り行政を打破しながら、政府一丸となってしっかり取り組んでまいります。
 もう1件あります。
 2月24日に、クロアチア、ブラジル、インドネシア、ルーマニアの4カ国の在京大使、また代理の方をお招きし、大阪・関西万博への参加招請を行いました。私より、大阪・関西万博の成功に向け、これらの国々の早期参加表明を強く働きかけました。各国からは、大阪・関西万博への強い期待が表明されました。いずれの国も参加を前向きに検討いただいている模様であり、大変心強く思っています。これで、私からは、45カ国1機関への招請をしたことになります。今後もしっかり進めてまいります。
 次に、消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
 10都府県において緊急事態宣言が継続していますが、現時点では生活関連物資の需給状況に大きな変化はないとの報告を受けています。 また、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談は、週当たり登録件数が979件ですね、再び1,000件に近づくなど増加をしているので、十分注意をしていただきたいと思います。
 関連して、来月3月16日に「アジア地域におけるウィズコロナ、ポストコロナでの消費生活相談と消費者教育について」をテーマとして、新未来創造戦略本部設置以来、第1回目となる国際シンポジウムを徳島県において開催します。今回は、海外からの参加者はオンラインでの参加となりますが、タイやベトナムなど東南アジア4カ国から研究者や行政官に参加いただき、コロナ禍における消費者政策の課題についてパネルディスカッションなどを行います。私も会議の冒頭でビデオメッセージを寄せる予定です。
 東南アジア諸国は、御案内のとおり、高い経済成長を背景に生活水準が大きく向上しており、各国において消費者政策の重要性が高まっています。感染症の影響は各国において状況が異なりますが、コロナ禍の消費者行政への影響や課題に関して情報交換することは、我が国にとっても大変有益であると思います。シンポジウムは同時通訳つきで、オンラインで視聴できるよう中継を行う予定ですので、是非御覧いただきたいと思います。
 戦略本部設置時に期待された機能の一つである、海外の消費者政策当局や研究者との国際交流につき、コロナ禍の中ではありますが、設置後半年で実施できたことは歓迎したいです。今回の経験も踏まえて、消費者行政の国際連携に向けた取組の加速につなげてまいります。
 もう1件あります。
 この3月で、東日本大震災から10年の節目を迎えます。これに先立ち、平成25年2月から実施している「風評被害に関する消費者意識の実態調査」を公表します。
 結果を見ると、放射性物質を理由に食品購入をためらう産地として福島県と回答された方は、平成25年の調査開始時は約2割だったものから、今年は1割を割り込むまで減少をしております。ただ、むしろ1割弱の方が、まだ10年たっても購入をためらうと回答されていることは非常に残念だと思っています。
 被災地で生産された農産物については、関係者の努力により、近年、放射性物質の検査で基準値を超えたものがないなど、流通している食品の安全性はきちんと確保されております。被災地の応援をするためにも、こうした地域の食品を選んで購入する動きが広がることを期待したいと思います。
 それから、科学技術政策担当大臣として報告します。
 昨日、「日本オープンイノベーション大賞」の表彰式に出席し、私からは内閣総理大臣賞、科学技術政策大臣賞を授与しました。
 この表彰制度は、産学官連携、大企業とベンチャー企業の連携、自治体と企業の連携などで新しい取組に挑戦するオープンイノベーションの模範的なプロジェクトをたたえることを目的としています。今回受賞した取組はもちろんのこと、その横展開や、そのチャレンジに刺激を受けた新しいプロジェクトが進むことで、我が国全体の国際競争力の強化や経済成長等に結びつくことを期待しています。
 また、本日この後、内閣府、文部科学省、理化学研究所が共同で開催する「量子技術イノベーション拠点」発足式典に出席します。
 量子技術は、量子コンピュータ、量子暗号、量子センサなど、幅広い分野への応用が期待される最先端分野です。世界各国も多額の投資を行っており、我が国も乗り遅れないよう、理化学研究所を中心に拠点横断的な取組を強化・加速してまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)万博の連絡会議なんですけれども、基本方針の具体化を行っていくということになるんだと思うんですけれども、具体的にどういったことをされるのか、何かイメージがつきそうなことがあれば教えていただきたいんですけれども。
(答)万博に関しては、日本全体の協力が必要ですけれども、当然行政の中でも各省庁の協力が必要でして、是非一丸となって取り組んでいかなければいけないということで、この連絡会議も設置をいたします。
 具体的には、様々な予算であるとか、あるいは規制改革、そして各省庁がそれぞれ所管する関係業界との協力とか、いろいろやることはたくさんあると思っています。ですから、地元からいろいろやりたいことについて話がこれからどんどん上がってきますから、そういったことに対して、規制改革や予算措置などがどこまでできるのかということ、あるいは逆に各省の側からも、万博を活用していろんなことをやりたいといったようなアイデアをどんどん出してもらえれば、我々でそれをしっかり取りまとめていきたいと考えています。
(問)ということは、各省庁でいろんなアイデアがあると思うので、そういったものを吸い上げて、それをどう実現していくかということをここで調整するということですか。
(答)そうです。それとともに、やはり地元とか、いろいろ経済界などからやりたいことが出てきていますから。空飛ぶクルマなんか典型ではないですか。それに対しては、やはり規制を改革しないとできないとか、いろいろ各省が権限を持っている課題がありますから、そういったことはきちんとそれぞれに対応してもらおうということで、いろいろそういう情報交換をしながら、一丸となって取り組むための組織をつくろうということです。
(問)基本方針の中に、カーボンニュートラルであるとか、いくつかの具体例があったと思うんですけれども、大臣の中で優先順位として早めに調整を進めていきたいなと思っているようなものは、何かありますか。
(答)そうはいっても4年しかないので、それぞれもうとにかくなるべく早くやらなければいけないなと思っています。カーボンニュートラルもそうだし、あるいはデジタルとか、やはり各省庁にまたがる課題ばかりですから、そういう意味でも、こういう会議をつくってそれぞれ協力しながらやっていくということが重要だと思っています。
(問)例えば、個別の日本館みたいなパビリオンとかは、ここではないんですか。これはもっと全体的な構想を練っていく場になるという認識でいいですか。
(答)特に何が範疇で何が除外されるとか、そういったことを別に考えてはいません。ただ、連絡会議は私が座長になって、各省の局長クラスに来ていただきますけれども、より細かい話とか専門的な話は、この下にさらに幹事会とかワーキングとかいろいろなものを設けて、それぞれのレベルで対応してもらおうということを考えています。
(問)明日、学術会議のシンポジウムに出るということで、改めてお聞きしたいんですけれども。学術会議に対して、自民党はこういう不満があるということで、政府も多様性がないということを言っているんですけれども、政府として学術会議のどこが問題だと思っているのか、改めて教えてほしいんですけれども。
(答)まず大前提として、不満があるとか問題があるとかいうところからスタートしているわけではありません。いつも申し上げるように、やはり行政とアカデミアが一致協力をして、国民の皆様から期待される役割を果たしていただくということが大事だと思っていますから、そういう意味で未来志向で一緒に協力して取り組んでいきましょうということです。
 ですから、例えば学術会議が今でもしっかりやっていることは、さらにそれを伸ばしていただこうということでもありますし、おっしゃるように、多少問題があるようなことがあれば、それはやはり払拭できるようにといったようなことを、ともに考えていこうということです。
(問)今おっしゃったように、一致協力してやっていけるようにということは、現状では行政と学術会議が一致協力していないという意味でしょうか。
(答)ですから、そういうことではありません。何か今の現状がおかしいからそれを変えるとか、そういうところからスタートした話ではありませんので。もちろん現状、それは満点というわけにはいかないではないですか。何だってそうですよ。ですから、それはよりよいものにしていきましょうということですから、ここは少し前向きに捉えていただきたいんですよ。
(問)宇宙関連で1点お聞きしたいんですが、3月上旬にも、ISSに今いる野口宇宙飛行士が船外活動をするということが決まっています。具体的にどのようなミッションを行うかということと、今回、55歳という、今までで最高齢での船外活動に挑戦されるということで、何か応援のコメントなどありましたらお願いします。
(答)野口宇宙飛行士の件につきましては、船外活動について、来月5日を予定として検討されており、本日午後、JAXAからその旨の発表があると聞いています。
 野口さんにとっては、日本人最多となる4回目の船外活動への挑戦となります。55歳の野口さんが次々と挑戦していく姿は、広く国民に夢や希望を与えているものと思います。
 そうですね。55歳ということですけれども、いろいろな今までの経験などを生かして、本当に活躍をしていただいておりますので、そういう意味で大いに期待もしたいと思います。私も50代ですからね、そういう意味では、50代の星としてしっかり頑張ってもらいたいし、私も見習うようにやっていきたいなと思います。
(問)冒頭発言があった食品の意識調査のことで伺いたいんですけれども、冒頭、大臣もおっしゃっていたように、まだ福島県産をためらう方の割合が過去最少にはなったものの、まだ1割弱いらっしゃると。一方で、検査の実施をしているということを知っていらっしゃる方が、逆に過去最高になってしまって、初めて半数を超えたという状況かと思うんですけれども。やはり周知啓発、リスクコミュニケーションの部分が重要かと思うんですが、なかなかコロナで再開し切れていない部分もあるというふうに伺っています。今後どのように、この10年、さらにその先を見越して、政府として取り組んでいきたいことがあれば教えていただけないでしょうか。
(答)もう本当に10年ですからね。やはりそういう意味では、地元の皆さんはじめ関係者の方々の努力で、今、福島産の食品もほぼ完全に安全な基準を満たしているわけです。ですから、それは国民の皆様にも正確に認識をしていただきたいと思っています。また、被災地を応援するという意味でも、むしろ積極的に、被災地の食品を購入していただければ大変ありがたいなと思っています。そのためにも、リスコミなどは非常に重要ということです。
 おっしゃるように、なかなかコロナですから、今年度はオンラインの開催とか、そういったことになってしまいましたけれども、これは今後のコロナの状況も見ながらということになるのでしょうけれども、それはそれで、いろいろなことをきちんとやっていかなければいけないということで取り組んでいきたいと思っています。
(問)もちろん消費者の意識も大事だと思うんですけれども、いわゆる流通業界とか食品を扱っている方々も、消費者が前向きに捉えていっているということを理解することで、よりよい形になっていくと思うんですけれども、消費者と併せて業界などへの働きかけなどは、いかがお考えでいらっしゃるのでしょうか。
(答)むしろ事業者は、当然のことながら、そこはしっかり、いわば専門家ですからね、理解してもらいたいと思っています。そういう意味では、私は厳しめに、まだ1割の方がこのことを気にしていると言いましたけれども、それはそれでだんだん減少傾向にもあるわけですし、9割の方はそこを問題視していないということですから、そういった現実も、当然、事業者の方はこの結果を見て認識をしてもらって、しっかりこういう取組にも協力してもらいたいと思います。
(問)官僚出身の井上大臣に伺います。昨日は、総務省に続いて農水省も鶏卵業者からの接待という不祥事で、事務次官ら幹部6人を処分しました。また、内閣広報官の山田氏についても、菅首相の長男らから接待を受けたことを受けて給与を自主返納する事態となっています。
 この処分を受けた農水省幹部は、元農水大臣から飲み会に誘われたと説明していて、山田氏についても、飲み会に誘われたら人脈づくりのために参加すると、重要性を過去に動画で主張していました。こういった飲み会への参加が公務員の業務の一環のようになっている場合に、公務員はどのように振る舞うべきというふうにお考えでしょうか。
(答)当然のことながら、公務員の倫理法とか倫理規程というものがありますから、しっかりそれを守った上で対応するということだと思っています。公務員の皆さんも、それは様々な交流とかお付き合いとか、そういったことはあるのだと思いますけれども、やはり費用をしっかり自分で負担するとか、そういったことはルールにのっとってきちんとやらなければ困ると思っています。
 大多数の公務員の方は、そういうことをしっかりやっていると思いますけれども、ここ最近、そういった問題が頻発をしておりますから、そういう意味では、なお一層襟を正して、気を引き締めて、しっかり国民に理解されるような行動をとってもらいたいと思っています。

(以上)