井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月24日

(令和3年2月24日(水) 9:12~9:33  於:中央合同庁舎第4号館1階全省庁共用108会議室)

1.発言要旨


 まず、科学技術政策担当の大臣として報告いたします。
 今週土曜日の27日に、日本学術会議が主催する「学術フォーラム」に出席し、講演を行います。このフォーラムのテーマは「危機の時代におけるアカデミーと未来」とされており、私からは「日本学術会議に対する期待」と題してお話しします。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のさなかであるため、オンライン配信での開催となりますけれども、学術会議のあり方の見直しが重要課題となっている今であるからこそ、多くの皆様に御関心を持っていただきたいと思っております。
 なお、その学術会議のあり方の見直しでありますけれども、御承知のように年末の中間報告をいただいて、今、学術会議側で4月の総会に向けてそのさらなる報告ということで、精査、検討をしていただいております。私も梶田会長とは間接的にいろいろなやりとりをしておりますけれども、せっかくの機会ですので、そのフォーラム、少し事前に早く伺いまして、梶田会長からいろいろ今の検討状況などについて御意見を伺おうと思っております。
 それから、消費者及び食品安全担当大臣として報告いたします。
 10都府県において、緊急事態宣言が継続しておりますが、現時点では、生活関連物資の需給状況に大きな変化はないとの報告を受けております。また、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談は、週当たり登録件数はおおむね横ばいの状況でありますけれども、引き続き注意していただきたいと思います。
 関連して、消費生活相談の現場において課題となっていた高圧的な相談者への対応について、この度、私が就任後に早期作成を指示した「対応困難者への相談対応標準マニュアル」が完成したので、御報告いたします。私自身、現場の最前線で消費者と行政をつなぐ大変重要な役割を担っている相談員の方々から、「コロナ禍で高圧的な相談者が増えている」などのお話を直接伺ってまいりました。相談員の精神的な疲労や他の相談者の相談機会が失われるなど、地域の相談機能の低下につながる大きな課題だと認識しております。
 マニュアルの中では、例えば説明を尽くしても同じ主張を繰り返す、罵詈雑言を浴びせるなど話が進展しない場合には、相談を終了すること、相談員から職員への引継ぎ、必要に応じて警備員や警察に連絡するなど、組織によって対応することなどの標準的な対処の流れを具体的に示しております。対応困難者の問題は、相談員が1人で抱え込むべきものではありません。今後、さらに相談員の負担軽減に資する相談業務のデジタル改革を進めていくことによっても、相談員の方々が十分に力を発揮できる環境づくりを行ってまいります。各自治体においては、是非このマニュアルを職員の方も含め、組織で共有いただきたいと思います。
 それから、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 先週2月19日にモロッコ、オマーン、デンマーク、ポーランド、ジャマイカ、5カ国の在京大使の方をお招きし、大阪・関西万博への参加招請を行いました。私より、大阪・関西万博の成功に向け、これらの国々の早期参加表明がなされるよう強く働きかけました。各国大使からは、大阪・関西万博への高い評価と期待が表明されました。いずれの国も参加を前向きに検討いただいている模様であり、大変心強く思っております。これで私からは、41カ国1機関への招請をしたことになります。今後ともしっかり進めてまいります。
 最後に、科学技術政策担当大臣としてもう一件御報告をいたします。
 AI戦略に基づき、内閣府、文部科学省、経済産業省において検討を進めてきた「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」の認定申請の公募を、本日より開始します。AI戦略で目指す、世界規模の課題の解決、産業競争力の強化等を実現するため、国民の誰もがデジタル社会の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」の素養を習得することが重要です。この制度が普及をし、認定された質の高い教育プログラムを受講した多くの学生が社会で活躍できるよう、政府として産業界にこのような人材を採用するよう働きかけるなど、大学、産業界等との連携を一層強化してまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)学術会議の学術フォーラムに出られるということで、そのときに大臣、「日本学術会議に対する期待」という講演をされると思うんですけれども、そもそもアカデミーの役割について、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)学術会議のあり方の見直しのときに、私もたびたび発言をしておりますとおり、やはりこのアカデミーの方々が科学技術あるいはイノベーションということで、しっかり取り組んでいただきたいと思っておりますし、そのことが国民にとっても非常に重要であると思っています。そういう中で、学術会議の皆さんからも、やはりナショナルアカデミーとして、しっかり自分たちの役割、機能を果たさなければいけないということをおっしゃっていただいておりますので、そこはよく協力をしながら、よりよい組織のあり方の見直しに取り組んでいきたいと思っております。
(問)講演の前に梶田会長と意見交換するということですけれども、具体的にどのようなお話をするかというのは、決まっているんでしょうか。
(答)12月、年末以来、1月4日に岐阜に行って、そのときにお会いしましたけれども、それ以来直接お会いしておりません。間接的には事務方を通じて検討状況などについて報告はいただいておりますけれども、今の段階で直接、現状についてまずは伺いたいと思います。
(問)宇宙関連で1つお聞きしたいんですけれども、今年の秋からJAXAが宇宙飛行士の新たな募集を始めます。それにおいて、今回、文系でも応募できるなど、これまでよりも条件を緩和して門を広げるということを検討しているそうですが、それに対する大臣の御所感をお聞かせ願えますでしょうか。
(答)そういう意味では賛同しております。やはり多様性というものは、今の社会において、どの領域でも非常に重要なことだと思いますから、そういったことをしっかり確保していただきたいと思いますし、御承知のように科学技術の中でも、やはり人文・社会科学、これを含めて取り組んでいくということ、政府としても今、方針を打ち出しておりますから、そういった考え方にも沿うものだと思っておりますので、是非、文系出身者の方もふるって応募をしてもらえればいいのではないかと思います。
(問)一部報道にありました特商法の改正なんですけれども、行政処分を経ずに刑事罰を科せるようにするなど、1月の会見の際にも大臣はお話しされていたと思うんですけれども、大臣の中でも大きな危機感があるのかなというふうに思うんですけれども、この点改めて教えてもらえますでしょうか。
(答)そういう意味では、非常に大きな危機感を持っておりますので、この法律をしっかり政府として成立をさせてもらえればと思っています。いろいろ特商法の世界にも様々な課題がありますし、特にこの新型コロナの中で、そういった問題も増えていると聞いておりますので、やはり政府としても、しっかりした対応をとっていかなければいけないと思っています。
(問)消費者の声というものも大臣の耳にも入って急がなければいけないといった、そういった何かモチベーションになった点とか、何かありましたら。
(答)いくつかありますけれども、例えば例の定期購入の話とか、実際に被害やあるいは相談件数も増えておりますので、これは本当に私も一消費者の立場としても、確かになかなか分かりにくいし、実際にこういうことにかかわってしまうと、本当に困るなといったような意識を持っております。ですから、例えばこういったことに対して、しっかり手を打っていきたいと思います。
(問)その定期購入の件なんですけれども、改めて消費者に対して、どういった点を気をつけてほしいとか、大臣が今思われている点がありましたら。
(答)当然、まずは事業者がしっかりやっていただくということでありますけれども、消費者の方々もどうしても誤認してしまいやすい、誤認ではないのかな、被害に陥りやすいというところがありますから、そういう意味では、十分に気をつけていただきたいと思いますし、何かそのことによってお困り、トラブルになっているということであれば、これはもう遠慮なく相談をしてもらいたいと思っています。
(問)大臣、冒頭でお話しされていた対応困難者への相談対応標準マニュアルなんですけれども、それはもうできていて、大臣も目を通されたということなんでしょうか。
(答)はい。
(問)御感想というか、お読みになって受止めを知りたいと思います。
(答)これは私が当初就任して、いろいろセンターの視察などをする中で意見交換、相談員の方々と繰り返して、やはり非常に要望が強かった課題です。ですから、私からも強く指示をして、何とか年度内には間に合わせてもらいたいということで指示したものですから、そういう意味ではよかったなと思っています。
 私も見ましたけれども、かなり詳細にいろいろなケースというものを取り上げてマニュアル化しておりますから、おそらくこれは非常に役立つと思いますので、是非自治体の方々も相談員の方々にこれをよく普及をしてもらえればと思っております。やはり、相談員の方々は、非常にこの消費者行政の中で重要だと思っておりまして、こういった相談員の方々がいないと、なかなか消費者と行政をつなぐことができない。ただ、他方でなかなかなり手不足であったり、あるいは心を病んでしまったり、やめてしまったりといったような問題が多くあります。
 他方で、消費者の方々が相談をするのは非常に重要なことですから、むしろ気軽にいろんなことを相談していただくのは歓迎をしているのです。ただやはり、そこにも一定のマナーといいますか、配慮は必要であって、そこは逆にこういったマニュアルをつくることによって、消費者の方々にもしっかりマナーを守っていただきたいと思っておりますし、そういったマナーを守ることによって、貴重な時間も、ほかの相談者にも振り分けることができるということになれば、私はウィンウィンで、いい体制がつくれるのかなと期待をしています。
(問)今のお話にもあったように、相談はもちろん気軽にどんどんしてもらいたいんだけれども、やっぱり一定のマナーや配慮が必要というのは、本当にそのとおりだと思うんです。それで、相談の受け手側へのマニュアルを整備して、相談をする側へのマナーや配慮の呼びかけや情報発信というのも同時にあると、より効果的なのかなとは思うんですが、そのあたり何かお考えはありますでしょうか。
(答)これもしっかりやはり伝えていかなければいけないと思っております。一般消費者ということですと裾野が広いものですから、なかなか具体的に伝えていくというのは難しいとは思っていますけれども、逆に先ほど申し上げたように、あまり相談するなといったようなメッセージに誤解されても困りますので、私あるいは事務方も、しっかり消費者側の普及も取り組んでいきたいと思います。
(問)大臣、冒頭で発言があった数理・データサイエンス・AI教育プログラムの認定の申請制度が始まるということですが、改めて政府としてこういう制度をつくった狙いというのをお願いしたいのと、それから、どのような教育プログラムが想定されているのかというのを教えてください。
(答)まさに今、政府も挙げてデジタル化を進めておりますし、社会がそういった方向に進んでいくわけですから、デジタル化の基本的な知識というものを、しっかり学んでいただきたいと思っています。具体的には、これは文科省で発注をして、それで我々内閣府も入って審査をしていくということでありますから、そういう意味では、まさにこれからですので、いい案が上がってくることを期待しております。
(問)関連してなんですけれども、大学側もメリットがないと、多分申込みをしないと思うんですけれども、これを広めていくという意味で、どういうメリットがあると発信していきたいとお考えでしょうか。
(答)それはやはりこれからもデジタル化に対応した知識とか技術というものが、当然不可避でありますから、こういった良質なプログラム、これを実現して、それを受けることによって、そういった能力が高まっていく人材、克服することができるといったことで、これは受入れ側である産業界などにも是非理解してもらいたいと思います。
(問)先ほどの特商法のことで、消費者・食品安全担当大臣にお聞きしたいんですが、消費者庁のほうで今、消費者問題調査会で20日に骨子案が了承されて、国会提出に向けて改正案を御準備中だと思いますけれども、先週、ちょっと一部の報道があったんですけれども、具体的にその中身について、個人に対して3年以下の懲役、300万円以下の罰金、またはその両方、あるいは申込み画面に定期購入ということを明示させるなどと報道があったんですけれども、ちょっと私ども読者の方からも、御質問とかを受けているんですが、お分かりになる範囲で、ちょっとその中身についてお示しいただけませんでしょうか。
 それともう一つは、速やかに国会提出ということで動いていらっしゃると思いますけれども、今後のスケジュール感をもしよろしければ教えていただけませんでしょうか。
(答)まず、スケジュールは、今週中にも与党に、またしっかりした条文を示して、そして了解をいただきたいと。それで了解をいただければ、早急に国会に提出をしたいと思っていますので、この通常国会の中で是非成立をさせてもらいたいと思っています。
 中身ですけれども、具体的にいろいろあるのですけれども、例えば定期購入ではないと消費者を誤認させる表示などに対する規制の強化、またその表示を見て申込みをした場合に、申込みの取消しを認める制度の創設、通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止などを盛り込もうと思っております。
 もし、現時点で詳細をお知りになりたいということであれば、事務方に確認していただきたいと思います。
(問)官僚出身の井上大臣に伺います。総務省のほうで菅首相の御長男から接待を受けたという問題で、総務省のほうでは処分が検討されているわけですけれども、公務員と利害関係者との付き合い方については、どのようなあり方が望ましいとお考えでしょうか。
(答)総務省の件については、私は所管ではないので、コメントは控えますけれども、一般的に言えば、当然、公務員の倫理法とか、あるいは倫理規程があるわけですから、それは遵守をしていかなければならないというのは当然のことだと思っています。
 その中で、少し私が思いますのは、やはり私も公務員でしたから、一人一人の公務員の立場からすると、やはりどういった事例がその法律や規程に違反するのかといったことの判断が難しい場合もあると思います。特に内閣府の場合は、いわば所管が非常に広いですから、そういう意味では、科学技術とか、例えば規制改革といえば、ある意味、全部対象ですから、そういった利害関係者というのは具体的にどういう範囲のものが当たるのかとか、そういったことを公務員の皆さんに向けてきちんと示して、そして、より分かりやすく、公務員の皆さんにその上でこういったルールを守ってやっていただくということが大切なのかなと思います。

(以上)