井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月12日

(令和3年2月12日(金) 9:27~9:46  於:中央合同庁舎第4号館1階全省庁共用108会議室)

1.発言要旨


 消費者及び食品安全担当大臣として報告いたします。
 10都府県において緊急事態宣言が延長されておりますが、現時点では生活関連物資の需給状況に大きな変化はないとの報告を受けております。他方で、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談は、先週も995件と、週当たり登録件数が1,000件前後の状況が続いており、引き続き注意が必要と考えています。
 先日の会見でも申し上げたとおり、今後、ワクチン接種をかたる詐欺への警戒が必要なことを踏まえ、来週15日より国民生活センターに「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設いたします。土日・祝日を含めて無料で電話相談を受け付けます。電話番号は、0120―797―188、「フリーダイヤル 泣くな、いやや」と覚えていただければということです。
 市町村等がワクチン接種のために金銭や個人情報を電話やメールで求めることはありません。消費者におかれては、不審な電話などを受けた場合には、一人で悩まず消費生活センターなどに御相談をしてください。
 もう1件あります。
 アレルギー症状を有する方にとって、食品表示制度における食物アレルギー表示は非常に重要です。近年では、くるみによるアレルギー症例数がここ3年間で3倍以上の増加傾向を示しており、くるみの義務表示化に向けた取組が喫緊の課題となっています。
 くるみを含め、食物アレルギー表示制度の適切な運用を図るため、医学、分子生物学等の専門家の知見が不可欠であることから、今般、消費者庁に、専門家からなる食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議を設置し、週明け15日に第1回会合を開催します。
 食物アレルギー症状を有する方が安心して食品を摂取できるよう、専門家の皆様の御意見を踏まえ、まずはくるみのアレルギー表示の義務化に向けて取り組んでまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)CSTIの新しい議員に、みずほの佐藤会長と東大の藤井教授が国会同意を得られましたけれども、大臣としては、2人にどのような役割を期待されているんでしょうか。
(答)そうですね。まず、佐藤康博さんですけれども、経済界から、小林議員の後任ということで、新たに任命すると同意を得たところです。みずほフィナンシャルグループ取締役会長及び経団連副会長を務めており、経済界のリーダーとして活躍をされております。さらに、量子技術イノベーション会議の構成員も務めるなど、金融分野への量子技術の導入にも積極的であると。佐藤氏には、量子技術の活用に係る議論はもちろん、人文社会科学を含めた総合知の活用による社会課題の解決に貢献いただきたいと考えております。
 次に、藤井輝夫さんですけれども、これはアカデミアからということで、海中ロボット及びマイクロ流体デバイスの研究で実績を上げるとともに、東大の理事、副学長、また総長に就任予定ということで、大学の経営陣として改革を先導していただいております。藤井氏には、産学連携の推進や、大学の経営陣としての知見を活用し、貢献いただきたいと考えております。
(問)科学技術関連で1つお伺いしたいんですけれども、国内の研究者や企業人などで構成するコミュニティが、科学技術の普及を目的とした日本版の米科学振興協会、AAASというものですが、この設立を目指しています。大臣としまして、この設立に向けた御所感と、今後、支援されたりとか協力されたりという意向はあるかどうかというのをお聞きできればと思います。
(答)米国のAAAS(トリプルエーエス)に倣って、分野や組織を超えて研究者が対話を通じた科学技術の振興を図るための組織を立ち上げる動きについては認識をしております。
 社会が複雑化し、課題解決の際に科学に加えて社会的な知見等を要するトランス・サイエンスが重視される時代において、科学コミュニティが自ら市民や政策担当者と対話を深めようとしていることは大変重要であります。第6期基本計画答申素案にも、その重要性、これを明記しております。
 このような取組が科学コミュニティの中でもっと進むように、政府としても、しっかりその取組を応援していきたいと思います。
(問)御発言の中にあったアレルギー表示のことなのですけれども、食物アレルギーの表示についての適切な対応ということで、まずはくるみということでした。日本の場合は表示義務化は国際的にも少ないと言われておりまして、推奨表示は多いんですけれども、表示の義務化へ向けた検討というふうに、まずはくるみということでしたので、ほかにも何か予定があるのかということも含めてお願いできればと思います。
(答)そうですね。まずは調査をしっかりして、その調査結果に基づいて、必要があれば対策をとっていくということだと思っています。先ほど申し上げたように、くるみについては3年間で3倍以上ということで、そういう状況にあるものですから、ここでアドバイザー会議を立ち上げようということであります。
 ただ、なかなか専門的な知見が非常に重要でありまして、このアドバイザー会議でいろんな検証をしっかりやっていただくということで、どうしても一定の時間はかかると思っていますけれども、その上で、しっかりこのくるみの表示の義務化、これを目指して取り組んでいきたいと思っています。
 おっしゃるように、その他のものについても、しっかり調査をした上で、必要があれば今後対策を検討していくということになると思っています。アレルギーも本当に近年増えておりまして、大変深刻な被害というものもありますから、そういう意味で、やはり消費者をしっかり守っていくという観点から、この施策も進めていきたいと思っています。
(問)東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長が辞任の意向を固められました。まず、そのことについての受止めを伺えますでしょうか。
(答)そうですね。これは、辞任の意向を固めたというのも、あくまで報道によるものでありますし、実際にまだ何も正式に決まっていないという状況でありますから、ましてや所管外でありますから、私からコメントすることは差し控えたいと思っております。
 いずれにせよ、御本人、それから組織委員会でしっかり決めていただくということだと思います。
(問)それに関してですけれども、森会長が引責辞任という形になっているということですけれども、後任として川淵三郎氏を指名すると、後任として依頼をするということでありまして、なかなか御自身で後任を指名されるというのは異例のことかというふうに思うんですけれども、そのあたりについては、どのようにお考えになりますでしょうか。
(答)ですから、私の認識では、まだ何も決まっていないと思うんですね。少なくとも正式な手続は何もされていないわけですから、それは森会長の辞任もそうですし、ましてや後継指名とか、あるいは後継人事についてもまだまだこれからということだと思っておりますので、この段階で何か私が申し上げるというのは適切ではないと思っています。
(問)今の森発言に関連してなんですけれども、今回、森氏の発言によって、日本は非常にジェンダーとか平等とか、男女共同参画とか、そういったものに非常に遅れた国じゃないかというふうに世界から思われてしまうという懸念があると思います。
 東京オリンピックが終われば、当然、次は大阪万博ということになりますし、大阪万博でもジェンダー平等を含むSDGsを達成するというのが目標の一つにはなっております。その中で日本が世界から向けられてしまったそういう印象を大阪万博で挽回するという意味合いも含めて、より一層の対策や、女性ということに対しての理解というのが求められると思うんですけれども。また一方で、大阪万博の協会の理事についても、副会長以上が全員男性であるとかですね、今後、いろんなジェンダーという目線から、いろんな視線が向けられると思います。この点に関しての大臣の受止めを教えてください。
(答)そうですね。おっしゃるように、大阪・関西万博に関しましては、ですから、今回のこのオリパラの件が起きる前から、もともとSDGsへの貢献ということもあって、ジェンダー平等、男女共同参画といったことを一つの大きなテーマの一つとしておりますので、これは当然引き続きしっかりやっていくということだと思っています。
 私も、そういう意味では、いろいろ関係者、特に女性の関係者とも引き続きいろんな意見交換などもしながら、きちんと男女共同参画に配慮した、しっかりした大阪・関西万博を実現していきたいと思っております。
(問)今後も進めていくということは分かりました。そのお立場からして、今回の森発言について、後任ということではなくても、実際大臣がどのように受け止めているかというメッセージは、次の大阪万博に向けたSDGsの推進という意味合いもあると思いますので、改めてお聞きしたいと思います。
(答)そうですね。そういう意味では、国際社会のこういった男女共同参画に対する目というものがありますので、そういう意味でも、しっかりこの大阪・関西万博では、そういったことをきちんと配慮して進めていくということ、世界に向けてもしっかりアピールをしながら進めていきたいと考えています。
(問)新型コロナに関連した質問なんですが、新型コロナのワクチン接種が今月中旬にも日本で始まると言われています。国民のワクチンに対する期待は高まっていると思うんですけれども、翻って、国産ワクチンについては開発が遅れているという指摘もあります。
 そこで、科技担当大臣の井上大臣に伺いたいのは、国産ワクチンの開発が何で遅れているのか、現状認識としてどう思っているか教えてください。
(答)国産ワクチンについては、おっしゃるように、なかなかまだ実用化まで至っていないということですが、ただ、他方で我が国の研究開発力が海外と比較して劣っているわけではないと思っています。例えば、国内のワクチンの市場規模がもともと小さいとか、グローバルなワクチン供給網にも十分参画できていないということで、これまでコロナに限らず、国内製薬会社やアカデミアにとって感染症ワクチン開発の優先順位が高くなかったといったような事情があると思っています。
 しかし、他方で、今のコロナのこういう状況でありますから、国産ワクチンの研究開発というものも非常に重要だと思っております。現在も臨床試験を開始するなど着実に進行は見られている、そういった研究開発もありますから、引き続き我々としてもしっかり支援をして、そして進めていきたいと思います。
(問)関連してなんですけれども、引き続き支援していきたいというお話でしたが、具体的にどうしていくかというのが問題だと思うんですが。例えば第6期の科学技術・イノベーション基本計画、今パブコメにかかっていますけれども、感染症対策については重視すべきだと書いてあるんですが、ワクチン開発についてはさほど言及がないようにも見られるんですけれども。国産ワクチンができない体制、すなわち国家の危機管理上の問題だと思うんですけれども、その辺、どういうふうに改善していくべきか、大臣のお考えを教えてください。
(答)第6期の(科学技術・イノベーション)基本計画の中では、答申素案においてですが、健康・医療戦略及び医療分野研究開発推進計画に基づいて、ワクチン開発を含めた医療分野の研究開発の推進を行う旨を記載しているところであります。
 それから、コロナ対策としては、これまでに2,000億円近くの予算を措置しているということもありますので、そういう意味で、先ほども申し上げましたけれども、とにかくこれからワクチンが非常に重要な鍵になるわけであって、しかも、まだまだ国産のワクチンは実用化されていないといったような状況ですから、これはしっかり支援をして、安全なワクチンをなるべく早く供給できるということを、やはり目指すべきだと思います。
(問)今、ちょうど基本計画の話が出てきたんですけれども、ちょうど昨日、基本計画のパブコメが終わったんですが、今のところどのぐらいの意見が出て、どんな意見が多かったのかとか、その辺については、大臣いかがでしょうか。
(答)700件以上、意見の提出がありました。速報値で739件ということで、主な意見としては、基礎研究、学術研究に対しては長期的な視点を持って十分な支援をしてもらいたいとか、博士学生の支援強化の方向性はよいが、その後の安定的な雇用やキャリアパスの確保が重要であるとか、世界の後追いでなく、世界をリードする技術を普及拡大させるため、民間との連携の仕組みが必要などの御意見がありました。
 引き続き、しっかりこの御意見も受け止めて検討して、答申案に反映をして、年度内の閣議決定を目指していきたいと思っております。
(問)コロナに関連してなんですけれども、WHOの中国の報告の中で、中国政府は冷凍食品を通じてウイルスが来たのではないかというようなコメントを出しているというふうに報道もされています。
 食品安全委員会のほうでは、今までもずっと食品を通じた感染というのはないですよ、というようなメッセージを出されてはきていると思うんですけれども、今時点で、国としてメッセージを出していた、食品を通じてはないという認識には変わりはないのかというところは、大臣、どのようにお考えなんでしょうか。
(答)ですから、これは従来から言っているように、食品を通じた感染はないと我々としては考えていますけれども、中国政府の見解について、詳細なところは存じあげておりませんので、そのことについてとなると、ちょっとコメントは差し控えたいと思います。

(以上)