井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月9日

(令和3年2月9日(火) 9:22~9:39  於:中央合同庁舎第4号館1階全省庁共用108会議室)

1.発言要旨


 消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 昨日から10都府県において緊急事態宣言が延長されましたが、現時点では生活関連物資の需給状況に大きな変化はないとの報告を受けております。他方で新型コロナウイルスに関連する消費生活相談の件数につきましては、先週、週当たりの登録件数が9月以来の1,000件台である1,108件になるなど、注意が必要な状況です。引き続き新手の悪徳商法等に十分注意していただく必要があります。
 特にワクチン接種に関しては、地方公共団体が接種スケジュールを公表するなど、準備が本格化しております。このような状況を踏まえ、消費者庁をはじめ、政府を挙げて警戒レベルを上げ、ワクチン詐欺被害防止対策を集中的に実施することといたしました。
 対策の1点目は、注意喚起の強化です。お手元に配付のとおり、各省庁と連名の資料を作成し、本日から全国の消費生活センターに送付をいたします。また、昨日から開始したコロナ被害防止キャンペーンにおいても、順次ワクチン詐欺を取り上げるほか、政府広報の枠組みも活用し、新聞、テレビ、ネットなど高齢の方も含め、より多くの方に届くよう、これまでになく幅広い媒体を活用した集中的なキャンペーンを実施いたします。
 2点目は、相談体制の強化です。昨日公表された厚生労働省の新型コロナワクチンコールセンターの開設に合わせ、国民生活センターにもワクチン接種をかたる詐欺等の消費者トラブルに関する相談を無料で、土日祝日を含め、毎日受け付ける「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を、2月15日より開設します。市区町村等がワクチン接種のために、金銭や個人情報を電話やメールで求めることはありません。消費者におかれては、不審な電話などを受けた場合には、一人で悩まず、消費生活センターなどに相談をいただきたいと思います。
 次に、国際博覧会担当の大臣として報告いたします。
 昨日2月8日、オーストリアのシュラムベックデジタル化・経済立地大臣との間で、2025年の大阪・関西万博について2国間のウェブ会談を行いました。シュラムベック大臣は、オーストリアで国際博覧会を担当されている私のカウンターパートです。
 会談では、まず私より、昨年12月1日のBIE総会での登録承認を受けての大阪・関西万博の成功に向けた決意を表明するとともに、ポストコロナ社会のショーケースとして、世界各国とともにつくる万博であることを強調し、オーストリアの早期参加表明を強く働きかけました。シュラムベック大臣からは、大阪・関西万博への高い評価と期待が表明されました。参加を前向きに検討いただいているということで、大変心強く思っております。
 この結果、私からは、これまでに30カ国1国際機関への招請を終えたところです。また、本日17時から、カタール、アイルランド、スペイン、ルクセングルクの4カ国の代表大使の方をお招きし、大阪・関西万博への参加招請を行います。コロナ禍で大変厳しい状況ですが、今後ともさまざまな機会を活用して、しっかりと招請活動を進めてまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭のワクチン詐欺のホットライン開設について伺います。
 まだ実際にワクチン接種は始まってはいないとは思うんですけれども、このタイミングで設置された狙いというのは、どこにあるのでしょうか。
(答)とにかくこのワクチンは、政府を挙げてしっかり成功させなければいけない大きな課題だと考えております。そういう意味では、ワクチン接種そのもの自体はこれからですけれども、もう準備が進んでおりますし、実際その詐欺の報告など、警察あるいは国民生活センターへの相談など、いろいろ受けておりますので、やはり早め早めに今の段階からしっかり手を打っておくべきだと。そういう判断で、消費者庁をはじめとして関係省庁と協力をして、今般この集中的なキャンペーンを行って国民の皆様にしっかり注意していただこうということです。
(問)宇宙関連で1点お聞きしたいんですけれども。先週、京都にある宇宙ベンチャーが、人工衛星内に寺院をつくって打ち上げるという話が話題になっていました。世界遺産に指定されている寺院との共同ということもあり、今後は万博でも注目されそうなコンテンツではありますが、大臣として御所感はいかがでしょうか。
(答)大変興味深い取組だなと思って、私もニュースを聞きました。今、宇宙利用に関して、民間企業が続々と参入をして、それぞれのアイデアでいろんなおもしろい取組をしております。宗教法人というのは初めて聞きましたけれども。いずれにせよ、いろんな方々が宇宙利用に参画をして大いに実現していただくというのは、すばらしいことなのではないかなと。我々も我々の範囲で応援していきたいと思います。
(問)冒頭のワクチンのホットラインのことについて、いただいた資料で特別定額給付金の際に行った詐欺防止の取組を参考に、とあるんですけれども、そのときに学んだというか、このときの経験をベースにして今回ホットラインを、ということだと思うんですけれども、具体的にはどんなことを学んで、どんなことを生かしているのかということを教えてください。
(答)特別定額給付金のときにも、いろんな詐欺が発生をしてしまったということで、やはりそういったことは厳重に防いでいかなければいけないと思っています。そういう意味では、先ほど御質問があったように、先手先手で手を打っていくということも一つだと思いますので、今回このタイミングでキャンペーンを開始すると。
 そして、あらゆる媒体を使ってやっていくというのも重要なことだと思いますし、特にどうしても詐欺の被害に遭いやすい高齢者の方々。ですから、高齢者がよく利用される新聞とかテレビとか、そういった媒体についても、集中的にこのキャンペーンを活用していくと。そういった様々な反省点といいますか、気づきがありますから、そういったことを生かして今回のキャンペーンを開始したいと思っています。
(問)著名な日本画家の平山郁夫さんなどの作品をもとにした、偽物の版画が数年前から百貨店で流通していたとの報道があって、警視庁が著作権法違反で捜査中ということであります。まず、大臣に事案の受止めをお聞かせいただきたいのと、精巧な偽物の版画というのは、なかなか見分けが難しいと思いますが、その流通防止等について何か方策、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
(答)この件につきましては、現在、警視庁による捜査が行われているということですので、捜査の具体的な内容に対するコメントは差し控えたいと思います。ただ、我が国を代表する日本画作家の作品の偽物が国内で流通しているということが事実であるとすれば、これは大変遺憾だと思っています。我々、知財本部として、模倣品・海賊版対策として、知的財産推進計画2020に基づいて、違法コンテンツ流通防止などに向けた普及啓発活動を行うなど、関係省庁、関係機関が一体となった取組を推進しているところでありますので、こういったことが起きないように、しっかり取り組んでいきたいと思います。
(問)冒頭でワクチンの話があったので、健康・医療担当大臣として、今AMEDとかで日本初のワクチンについての研究開発をしているかと思うんですけれども、開発予定というのはどうなっているのでしょうか。
(答)ちょっと詳細はあれですが、もし必要があれば事務方から後で御説明をしますけれども、御承知のように、日本初のワクチンということでは、まだ実用の段階ではないということで、引き続き取り組んでいくということです。
(問)コロナ対策についてお聞きしますが、被害防止キャンペーンが開始されたということで、これは「188」の認知であるとか意識向上とかに大きな意義があるかと思うんですけれども。大臣先ほどおっしゃった先手先手を打っていくということで、冒頭、法と証拠に基づく法執行ということで、悪質業者に対する法執行について、このキャンペーンあるいは今回のあれを利用した形で迅速化されるということは考えていてよろしいでしょうか。
(答)すみません、質問の趣旨が分からないのですが、法執行というのは。
(問)被害防止には消費者の注意喚起と悪質商法あるいは悪質業者に対する行政処分というのが、私は必要だと思っています。それで、キャンペーン自体は非常に消費者への注意喚起として、「188」の周知徹底であるとか、あるいは消費者の注意意識の醸成であるとかいうことについては、大きな意義ということを感じますが、同時に被害防止に向けて、例えば詐欺について、先ほど給付金の教訓があるということもおっしゃっていましたが、詐欺的な商法であるとか、あるいは詐欺の事業者であるとかいうことに対する法執行、行政処分、これもキャンペーン中に力を入れていかれるというふうに考えていてよろしいかどうかということなんですが。
(答)まさに今、先手先手でやっておりまして、実際にワクチン詐欺そのものの報告は、全国でもあまりまだ多く発生はしておりません。ですから、まずは普及啓発に努める中で、そういった報告を受け止めて、そして対応を考えていくということになると思います。
(問)万博の関連、直接関連するわけではないんですけれども、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長による女性を軽視するような発言ですが、森会長の発言に呼応するタイミングで、先週ヨーロッパ各国の駐日大使館がツイッターで「#DontBeSilent」とか、「#GenderEquality」(男女平等)というハッシュタグをつけて相次いで投稿を行いました。本日、万博への参加招請を予定しているアイルランドなども、そういう賛同を表明していますけれども、今回の森会長の発言の万博招請への影響について、どのようにお考えかということと、また今後どのようなメッセージを世界に対して発信されていくかということを伺えますでしょうか。
(答)森会長の発言そのものについては、私は所管ではないので、コメントは差し控えますけれども、万博の招請活動に対して、何か直接の影響があるとは承知はしておりません。ただ、万博はやはり例えばSDGsの実現、それからさらにその先ということを盛り込んでおりますから、当然のことながら、ジェンダー平等、男女共同参画ということであって、それは万博の中でもしっかり実現をしていきたいと思っていますし、そういった万博であるということは、世界各国に向けてもしっかり発信をして参加招請にこれから励んでいきたいと思っています。
(問)科学技術についてお聞きしたいと思います。
 先週2月5日に、AMEDのムーンショット目標のプロジェクトマネージャーが公表されまして、これにて目標1から目標7まで全ての目標についてプロジェクトマネージャーが確定したと。さらにJSTのほうでは、今後そのポストコロナ、アフターコロナを見据えたミレニア目標という新たなムーンショット目標を検討しています。こうして、実際に動き始めたわけですけれども、それにムーンショット型研究開発制度に対する大臣の所感、今後の期待についてお伺いさせていただければと思います。
(答)御承知のようにムーンショットは、これからの未来社会を見据えて、そして野心的、意欲的な研究開発をしていただくということですから、プロジェクトマネージャーが出そろった、決まったということは、大変うれしく思っておりますし、研究者の方々には、その目標に向かってすばらしい研究をこれからやっていただきたいと思っています。大いに期待をしております。

(以上)