井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月5日

(令和3年2月5日(金) 8:35~8:46  於:衆議院本会議場中庭側廊下)

1.発言要旨


 まず、消費者及び食品安全担当大臣として報告いたします。
 緊急事態宣言の延長が決定しましたが、新型コロナウイルスに関連する物資の需給状況に、現在のところ大きな変化はないとの報告を受けております。
 他方、昨年以来、コロナに関連して、約8万4,000件という多くの消費生活相談が寄せられております。特に先週は、1週間ベースで1,108件となっており、1,000件を超えるのは9月下旬以来の数字となっております。今後、ワクチン詐欺など新手の悪質商法への警戒も必要となる中、十分注意をいただく必要があると考えています。
 このような状況に鑑みて、消費者庁では、2月8日からコロナに関する消費者被害防止キャンペーンを開始します。テレビCMやウェブ動画、新聞広告など、様々なメディアを活用するほか、消費者団体等と連携して啓発イベントを開催するなど、コロナ禍に乗じた詐欺・悪質商法等への注意喚起及び消費者ホットライン188(いやや)の活用を幅広く呼びかけます。
 消費者庁がこうした大規模広報イベントを実施するのは初めてであり、大変危機感を持っております。このキャンペーンを通じて、消費者の皆様には、是非コロナ禍における様々な消費者トラブル等を自分の問題として捉え、慎重な購買行動や行動変容に結びつけてほしいと考えます。そして、困ったときは一人で悩まず、消費者ホットライン188(いやや)に御相談をお願いします。
 もう一つあります。
 昨日、消費者委員会が、「特定商取引法及び預託法における契約書面等の電磁的方法による提供についての建議」を決定いたしました。
 特定商取引法や預託法における契約書面等の電磁的方法による交付を可能とすることについては、社会や経済のデジタル化の中で、消費者の利便性の向上やデジタル技術を活用した消費者保護に資すると考えております。
 他方、消費者団体などから、高齢者などデジタル機器に必ずしも慣れていない面もある方々への対応など、不安の声が寄せられていることも承知をしております。そういった点につきましては、消費者委員会の建議も踏まえ、消費者の承諾の取得の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法のあり方などについて検討を進め、消費者の承諾を得た場合に限り電磁的方法による交付が行えるよう、改正法案の検討を早急に進めてまいります。
 特にクーリング・オフについては、さらなる消費者保護につなげるという観点から、建議にも記載されたとおり、電磁的方法によるクーリング・オフを可能とすることは消費者の利便性の向上にも資すると考えています。私から消費者庁に、今国会に提出する法律改正案にクーリング・オフの通知についても電磁的な方法によることを可能とする改正を盛り込むよう、検討するよう指示をしております。
 最後に、国際博覧会担当の大臣として報告をいたします。
 一昨日2月3日、ベルギー王国のデルマーニュ副首相兼経済・労働大臣との間で、2025年大阪・関西万博について2国間のウェブ会談を行いました。デルマーニュ大臣は、ベルギーで国際博覧会を担当されている私のカウンターパートです。
 会談では、まず私より、昨年BIEの総会での登録承認を受けて、大阪・関西万博の成功に向けた決意を表明するとともに、新型コロナで世界中が苦しむ中、ポストコロナの時代を見据え、次の世代の命のための強靱で持続可能な社会を思い描かなければならない、このポストコロナ社会のショーケースとして世界各国とともにつくる万博であることを強調し、ベルギーの早期参加表明を強く働きかけました。デルマーニュ大臣からは、大阪・関西万博への高い評価と期待が表明されました。参加を前向きに検討いただいている模様であり、大変心強く思っています。この結果、私からは、これまでに30カ国1機関への招請を終えたところです。引き続きしっかり活動してまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、冒頭でおっしゃった特商法、預託法の改正について触れられておりましたけれども、電磁交付によって一覧性ですとか見守り機能ですとか、書面が有していた機能が完全に代替できるのかというような不安が、消費者団体とか消費者委員会の本会議でもそういう意見がありました。改めて、こうした不安の声に対する大臣の見解を教えてください。
(答)先ほど申し上げたとおり、時代の中で、やはりデジタル化ということは、消費者の利便性にも資するものかなと思っております。他方で、いろんな消費者団体はじめ、いろんなお声もあるのは事実でありますから、そういった懸念を払拭できるように、これから制度設計の中でもしっかり配慮してやっていきたいと思っています。
(問)それで、今国会に提出予定ということなんですけれども、具体的には、時期としてはいつぐらいに提出をされて、改正がなった後もガイドラインの設定ですとか、懸念に応える制度設計をしてからの運用ということになると思うんですけれども、運用自体はいつごろになるかという見通しが分かっていれば教えていただきたいんですけれども。
(答)まだこれから条文も詰めて、与党審査などもありますので。そういったことを経て、できれば、この通常国会に出すということは、やはり年度内には提出しなければなりませんから、そういったスケジュールを念頭に準備を早めていきたいと思っています。その段階でも、引き続き、いろいろ消費者団体をはじめとして、多くの国民の皆様の声を聞きながらと思っています。
 法律を成立させていただければ、そこからやはりいろいろな準備もありますし、国民の皆様への普及啓発といったこともありますので、やはり施行期間は十分に時間をとって、1年ぐらいはやっぱり必要だと思いますけれどもね。そういったことについても、これからよく詰めて検討していきたいと思っています。
(問)ベルギーの副首相とウェブで会談されたということなんですけれども、在京大使の方と会われるケースと、カウンターパートの方とウェブで会われるケースというのは、どのように区別されているんでしょうか。最初にウェブでカウンターパートの方と会われるのを進めながら、なかなかそれが難しい場合に在京大使と会うとか、どういったような手順でやられているんでしょうか。
(答)できれば、なるべく多くの国の担当閣僚の皆さんとウェブでやりたいと思っているんです。ただ、どうしても時間の制約であるとか、あるいは、コロナ禍の中で相手方の御都合などもありますから、そういった中で、可能な国とはウェブ会談をやり、それがなかなか難しいようであれば、在京大使の皆さんにお願いをしているということになります。
 ベルギーは、私も本来であれば直接ベルギーに行って、それでお会いをしようということで調整をしていたんですけれども、このコロナ禍の中でそれを断念したといったような経緯も実はあったんです。ですから、そういう意味でもやはり大臣に、オンラインですが直接働きかけるべきだと判断して、それでおととい、それを行ったということになります。
(問)カウンターパートの方とできるだけ会うというのが最初にあって、そういった交渉を進められているということですか。
(答)そうですね。ただ、さっきも申し上げたように、どうしても時間の制約とか、そもそも時差が大分ある国もありますしね。そういった中で、なるべく多くの方とやっていきたいと思っています。
(問)ベルギーの副首相と会うというのは、何かベルギーに理由があるんですか。
(答)ベルギーは、いわば万博大国でありまして、過去6回かな、自国で万博も開催をされております。そういう意味では、大阪・関西万博にも非常に前向きであるということを聞いておったものですから、そういう意味でも是非お話をしたいと思って、我々からお願いをさせてもらいました。
(問)東京オリンピックの件なんですけれども、大会組織委員会の森会長が、女性蔑視とも受け取れる発言をされて、昨日発言撤回して謝罪されたんですけれども、オリンピック精神に反するという指摘もあるんですが、大臣、この件に関して、お考えや御見解があれば教えてください。
(答)これは直接私の所管ではないので、そういう意味では発言は差し控えたいとは思いますけれども、総理もおっしゃっておりますとおり、やはり男女共同参画でありますとか、そういったことは今の時代、非常に必要だと思っています。
 いろいろ私の担当する分野でいえば、日本学術会議の会員の話でも、やはり男女の人数比を是正していくべきだということで取り組んできています。これは総理もおっしゃっておりますが、学術会議でも努力をして、女性を増やしておりますから、そういった取組というのは社会のあらゆる分野で必要だと思っています。

(以上)