井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年1月29日

(令和3年1月29日(金) 11:14~11:32  於:中央合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨


 科学技術政策担当大臣として報告をします。
 本日の閣議におきまして、「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。原子力立地地域特措法に基づく支援措置は、これまで多くの立地地域で活用され、現在も避難道路をはじめとする防災インフラの整備に重要な役割を果たしております。延長が実現し、本法に基づく支援措置が今後も継続していくことは重要な意義があります。また、昨年12月28日には、原子力委員会において私も出席し、「原子力立地地域特措法を延長することが必要」との見解をいただいております。本法案は、これらを踏まえたものであり、原子力立地地域特措法を延長し、防災インフラ整備に対する支援措置等を継続していくべく、取り組んでまいります。
 次に、クールジャパン戦略担当の大臣として報告をいたします。
 先日、コスプレと著作権の関係について、政府としてルール化する方針との報道がありました。報道では、政府の規制により、コスプレを楽しむ方がこれまでどおりの活動ができなくなるとの懸念が述べられていると承知しておりますが、私の本意とは異なりますので、ここで改めて考えを述べたいと思います。
 コスプレは、国内外においてファンが増加しており、クールジャパンの観点からも重要な日本のポップカルチャーの一分野です。コスプレについては、現時点では大きな問題とはなっていないものの、今後コスプレ人口が増えていくにつれ、法的な問題が発生する可能性が高まることを懸念する声があると承知しております。今後コスプレ人気がさらに高まると予想される中で、こうした懸念を払拭し、コスプレ文化をさらに盛り上げていくためにも、関係者が安心してコスプレを楽しむための環境が重要であるとの問題意識を持っており、そのために必要な方策について考えたいというのが、私の本意です。
 必要な方策を考えるに当たって、例えば一部の企業においては、コスプレを含めた二次利用の際のガイドラインを作成し公表しておりますが、そうした民間での動きも参考になると考えています。現在関係者からのヒアリングを行い、実態把握を進めるとともに、課題の整理を行っているところであり、年度内を目途に方策を整理できるよう、関係者との議論をさらに進めてまいります。
 最後に、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 緊急事態宣言後、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談の件数や物資の需給状況は、現時点では特段問題はないとの報告を受けておりますが、引き続き注視をしてまいります。また、前回報告しましたワクチン接種をかたる詐欺については、昨日厚労省などとも連携をして、SNSで注意喚起を実施しました。引き続き、相談状況などを分析し、関係省庁とも連携をし、適時適切なタイミングで注意喚起を行うなど必要な対策をとってまいります。
 関連して、コロナ禍の中、いわゆる「内食」の機会が増え、賞味期限を過ぎた食品を前に、家庭における食品ロスを意識された方も多いのではないかと思います。そこで本日は、賞味期限の愛称である「おいしいめやす」キャンペーンの開始について発表します。
 昨年消費者庁では、消費者に「賞味期限」と「消費期限」の違いについて正しく知っていただくため、賞味期限の愛称として「おいしいめやす」を選定しました。今回消費者庁では、「おいしいめやす」を多くの方に知っていただくため、御賛同いただいた事業者の協力のもと、来週2月1日月曜日より、全国でキャンペーンを開始します。スーパーやコンビニでのポスターやレジ画面への掲示により、賞味期限の正しい意味である「おいしいめやす」を理解いただけるよう、取組を進めてまいります。
 こちらに掲示しておりますけれども、今回作成したポスターデザインにつきましては、消費者庁ウェブサイトに掲載し、御自由に御利用いただけるようにしますので、是非御活用をいただきたいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)学術会議について伺います。
 昨日、学術会議が会見して、4月の総会までに6人の任命を改めて求めるということで幹事会声明を出しまして、その趣旨として、4月の総会で学術会議のあり方を議論するために、会員210名全員がそろった状態で開催したいということでした。井上大臣に提出するというお話だったんですけれども、もう声明は受け取りましたか。あと任命については首相に権能があるということだと思うんですが、所管する大臣として、この声明を受けて何かしらの対応をされる御予定があれば、教えてください。
(答)日本学術会議の件につきましては、昨日幹事会の後、事務的に声明の提出をいただきましたので、私も受け取って読ませていただきました。ただ、おっしゃるように、この会員の任命につきましては、これは総理大臣の権能ということでお答えは差し控えさせていただきたいと思っています。
 他方で、4月の総会を目指して、今、日本学術会議のあり方についてもいろいろと御検討いただいているということですから、是非それをしっかり議論を深めていただければと思っています。来月ぐらいには、大体その中間報告といいますか、今どういった形で議論が進んでいるのかなどについて、私も学術会議側といろいろ協議していきたいと考えています。
(問)声明を受けて、学術会議の意見を総理にお伝えする御予定はありますか。
(答)学術会議側からは、特に私から総理に伝えてくれといったようなことは今回いただいておりませんので、そういう意味では、私自身が受領して読ませていただいたということであります。
(問)あと最後に、声明では6人が今欠員されている状態、法律が定める人数を満たさぬ状態が4カ月続いていて、この状態の是正を図るべきだというふうに学術会議は声明の中で言っているんですけれども、大臣はこの6人が今欠員されている状態というのは、どういうふうに見ていらっしゃいますか。是正を図るべきだというふうな意見もあるんだと思うんですけれども。
(答)恐縮ですけれども、やはりこれは任命にかかわる話ですので、私からはお答えは差し控えたいと思います。
(問)任命問題について伺ったわけではなく、その6人の方がいない、その204名の状態についての御質問なんですけれども。
(答)繰り返しになりますけれども、そうは言っても任命にかかわる御質問だと思いますので、私からはお答えは差し控えたいと思います。
(問)続いて、学術会議のことで伺いたいと思います。
 昨日の梶田会長の会見の中で、井上大臣から求められている会員比率の見直しについては、4月までに結論を出せないという旨、述べられていますけれども、この件については、大臣どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)なかなか4月までには難しいといったような発言があったということは、事務方から報告は聞いております。他方で私からは、これも1つの論点として、しっかり考えていただきたいといったことを昨年のうちにお伝えをしておりますので、是非御努力をいただければと思います。
(問)会員比率についてなんですけれども、人文社会科学の比率を減らすことの必要性については、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。人文社会科学を減らすようにと直接的におっしゃっているわけではないと思いますけれども、自民党PTの提言などを見ると、実際の研究者の数と合うように見直すこともどうかという提案がなされております。大臣もそういう趣旨でおっしゃっていると思うんですけれども、この必要性については、大臣、どのように考えていらっしゃいますか。
(答)これは別に人文系の比率の話だけではなくて、例えば性別であるとか、あるいは年代とか、それから地方出身者とか、民間所属とか、いろんな形でそれぞれの会員の方々のバランスをとってもらいたいといったことを従来から申し上げておりまして、その中の一つの論点でもあると思っております。
 おっしゃるように、そもそも研究者の割合と学術会議の会員の割合、これが分野によって大分乖離をしているといったようなこともありますし、そういったいわば統計上の研究者の数のほかにも、新しい学問領域への対応など、様々な要素、これを考慮する必要があるとは思っています。その上で、まずは学術会議の皆さんで、この論点について是非検討を進めていただきたいと思っております。
(問)原子力の立地地域の特措法についてお尋ねしたいんですけれども、この法案の中で10年の延長が盛り込まれていると思います。その10年の根拠について教えてほしいんですが、昨年12月の原子力委員会の議論を見ていると、立地地域の代表の方々もこの延長の必要について、今その仕掛かりのある道路とか、それから防災施設が、この法案が切れてしまうと工事が途中で終わってしまうということをかなり懸念されていたと。そうであれば、1年や2年の延長であれば分かるんですけれども、なぜ10年必要なのか。
 それともう一つは、立地地域の防災について、この法律がうまく効果的なのであれば、その防災を考えると、30キロ圏、いわゆるUPZのようなところにも、この法律の適用する道路なり港湾なり、そういった整備について広げる必要があると思うんですけれども、私の理解だと、現行でそこまで広げることはないというふうに理解しておるんですけれども、その点について大臣の考え方をちょっとお聞かせください。
(答)原子力の立地地域特措法につきましては、従来から10年ごとに見直しをしているということで、今回もその延長を10年間、といったことを考えているということです。おっしゃる現在進行中の事業だけではなくて、そのほかにも、やはり防災インフラの整備というのは、原発が立地している中で必要な事業だと思いますから、それをしっかりやっていくという趣旨と考えています。
 それと、どこのエリアまで整備をしていくかということについては、それはいろんな考え方があると思いますけれども、予算の制約もありますし、そういった中で、それぞれ立地自治体で判断をしていただければと思っています。
(問)難しいところだと思うんですけれども、要は防災のための道路なのか、観光のための観光道路なのか、その整備の中で区分けをすることはとても難しくて、事故が起きれば防災道路になって、通常のときは観光道路ですと。その法律の目的は「防災に配慮しつつ」というのが盛り込まれているので、防災なんですけれども、そこら辺の線引きですね、予算の使い方について、行政としてどういうような監視の必要があるのかというのは、大臣のほうでお考えはありますでしょうか。
(答)おっしゃるとおり、道路というのはいろんな用途で活用できるということで、防災・観光にかかわらず、交通インフラですから通常の道路事業というのがあって、その中でいろんな目的のために道路を整備されていると考えます。
 ただ、この特措法においては、まさに原発立地地域の防災ということですから、そういう観点から事業について支援をしていくということになります。
(問)コスプレのことに関して1点ちょっと教えていただきたいんですけれども。著作権と二次利用の問題というのはクールジャパン全体にかかわってくる話だと思うんですが、コスプレ以外の例えば同人誌ですとか、ほかのクールジャパンに関するようなところも含めて今回議論されるのか、今回はあくまでもコスプレに限っての議論なのか、そのあたりを大臣、どのようにお考えなんでしょうか。
(答)今回は、まずはコスプレについてと思っています。コスプレを楽しむ方がたくさんいらして、そして今コスプレが大いに盛り上がっているということであります。
 そうした中で、この著作権との関係についても、懸念が私にも伝えられてきたものですから、そういうことであれば、私の立場としては、むしろコスプレを盛り上げていく。ですから、コスプレを楽しむ方々の立場に立って懸念を払拭していくということが私の役割だと思いますから、そういった環境整備をこの際取り組んでいこうと考えております。
(問)あくまで今回はコスプレに限って、それ以外のことについてはまた今後検討するということでしょうか。
(答)いろんなコンテンツがあると思いますから、そういう意味では、いろいろ問題が生じるようであれば今後も考えていかなければいけないと思いますけれども、先ほど申し上げたように、まずは今コスプレについてそうした懸念があるということですから、今回対応したいということです。

(以上)