井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年1月22日

(令和3年1月22日(金) 9:21~9:41  於:中央合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨


 消費者及び食品安全担当大臣として発言します。
 緊急事態宣言後、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談や物資の需給状況は、現時点で特段問題はないとの報告を受けておりますが、引き続き注視をしてまいります。
 これに関連し、本日はコロナ禍における消費者トラブルに関する国際的な連携の取組について御紹介します。
 この度、OECDと協力して、「デジタル時代の消費者のぜい弱性」及び「オンライン上の悪質商法」について、国際的な消費者取引に係る諸問題に関し、国際研究プロジェクトを開始することとしました。
 諸外国でも、オンライン取引における新しい消費者被害や、消費者の個人情報を蓄積したオンライン事業者と消費者との情報格差等の問題が顕在化しつつあり、我が国としても議論をリードすることができると考えています。
 今後、我が国のOECDへの拠出金を財源とし、我が国や米国等のOECDメンバー国での議論を経て、今年中に1次報告書を取りまとめる予定です。その過程において得られた知見については、今国会への提出を予定している特商法の改正法案等の施行や、消費者への注意喚起等に積極的に役立ててまいります。
 もう一件、発言いたします。
 先日発言した、表記に誤りがあったビール飲料について、昨日、サッポロビールの方から今回の件について御報告をいただきました。
 この問題の発生後、私からサッポロビールに対し、食品ロスの削減が重要な課題となっている中、表示の一部が誤っているだけで全て廃棄することは食品ロス削減の観点から適切ではないと伝えていたところです。その上で、多くの消費者の声を背景に、短期間に精力的に検討され発売を再決定されたことは、御英断であったと思います。
 また、食品ロス削減に関する取組についてもお話を伺いました。缶ビールの賞味期限延長など技術的な蓄積に支えられ、幅広い御努力をいただいており、私からも引き続き、食品ロス削減に御協力いただきたい旨を申し上げました。
 今後も、食品ロス削減のため政府一丸となって取組を進めてまいりますが、企業の商習慣を見直す取組、これも後押ししていきたいと考えています。
 公文書管理担当の大臣として2点報告します。
 行政文書の管理のデジタル化を進めることは、文書の管理を確実かつ効率的に行うとともに、政府全体のデジタル化を進める上で重要です。また、デジタルを活用した新たな行政サービスや仕組みが次々に生まれる中で、行政文書管理のルールを適切に組み込んでいくことや、必要に応じて運用を見直していくことも重要です。
 このため、本日、公文書管理委員会を開催して、「デジタル時代の行政文書の管理のあり方」についての議論をスタートしていただきます。7月ごろを目途に、一定の取りまとめを行う予定です。
 2点目は、新しい国立公文書館の施設の完成、開設の時期についてです。
 国立公文書館について、諸外国と比べると施設や機能が十分でないとの指摘があることや、既存の書庫が近く満架となる見込みであることを踏まえ、新しい施設を、国の三権が集中し、多くの国民にとって利用しやすい国会の前庭、具体的には現在憲政記念館がある場所に建設することとしております。実は私も超党派の議員連盟の事務局長として、ずっと推進をしてまいりました。
 新館は、令和8年度中の施設完成及び開館を目指して設計を進めてまいりました。埋蔵文化財に関する事前調査を実施したところ、大規模な埋蔵文化財調査の実施が必要であることが判明したことなどによって、残念ながら最大で2年程度後ろ倒しになる見込みとなりました。これについても本日の公文書管理委員会において報告をいたします。
 現時点では令和10年度中の開館を見込んでおりますが、今後、少しでも早く開館できるよう、引き続き関係機関と調整を行うとともに、開館までの期間を有効に活用して、展示内容等について充実した検討を行ってまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)内閣府が行っている官民研究開発投資拡大プログラム、PRISMなんですけれども、これ、以前から、その仕組みとか、何をやっているのかとか、あるいはその成果について非常に分かりにくいという話があったんですけれども、大臣としては、ここら辺はどうお考えでしょうか。
(答)PRISMについて、内容について、また公開、非公開についても御意見があると聞いております。
 PRISMのガバニングボードは、原則として公開としております。昨日もPRISM運用指針の改正に関する議論が公開で行われたと承知をしています。ただし、調整途中の予算配分に関する情報や、委託先事業者の競争力の源泉となる技術的な知見等に関する情報など、公開することにより第三者に利害を及ぼすことが懸念される研究開発情報等に関する事項を扱う場合には、座長の判断により非公開で実施をしております。非公開で実施した場合でも、ガバニングボードの議事次第、議事要旨は公表しており、資料については非公開情報を除いて公表してきております。
 PRISM運用指針の改正については、機動的な運用の一環としてPRISM制度の充実を図る観点から、積極的に制度の拡充を進めており、今後も公開することによって透明性の確保に努めてまいります。
 また、成果や非公開情報を除いた資料を内閣府のホームページに公表することで、検証可能性を担保するよう努めているところ、引き続き透明性の確保に最大限努めてまいります。
(問)基本的にそういう機微情報を扱う認識というのは分かるんですけれども、ガバニングボードは、例えばこの1年間で公開の回数というのは非常に少ないんですね。なおかつ、ホームページに公開したことだけで、それで国民に100億円の使い道がはっきり分かるようになるとお考えでしょうか。
(答)今申し上げたように、機微な情報もいろいろ多岐にわたってあるものですから、そこは座長の判断で非公開とさせていただいているということです。
 それはいろんな御意見があるのかもしれませんけれども、基本的には、そういうことでやらせていただいておりまして、適切だと考えております。ただ、いずれにせよ、なるべく説明責任を果たしていくというのは行政として当然のことですから、可能な範囲でしっかり対応していきたいと思います。
(問)冒頭のOECDとの協力について2点質問させてください。
 情報共有ということでしたけれども、リーダーシップをとっていくことは国際協力の中で重要だと思うんですが、日本のほうから具体的な提言とか提案、今国会に提出する法案のこととか、何か具体的にお示しされる御予定はあるのかというところと、国際協調の中で、執行面でも国際協力が必要になってくるところだと、デジタル化の部分はあると思うんですけれども、そのあたりについてはどういうふうに検討されているのか、教えてください。
(答)国際研究プロジェクトの詳細については、今後事務局や加盟諸国との議論によって決まっていくものですけれども、諸外国でもデジタル時代における消費者への情報発信や法執行の難しさに直面していると考えられ、執行も含めて効果的な消費者政策のあり方も、論点の一つとして検討されると考えています。
 例えばオンライン上の悪質商法について、広告表示と消費者の行動との関係を、行動経済学の観点からも検証することによって、今回提出を目指している法案の施行のほか、消費者への注意喚起等においても積極的に役立てていきたいと考えています。
(問)冒頭、公文書管理の関係で2点お話があったと思うんですけれども、それぞれ大臣の期待というか、そういったところをお伺いしたいんですが。
 1点目、デジタル化については菅政権の重要課題でもあると思うんですが、これが進むことでどういうことが期待されるかというところをお伺いしたいのと、2点目、公文書館についても、新たなものができるところで期待している部分というのを、改めてちょっとお伺いできればと思います。
(答)おっしゃるように、デジタル化は菅政権の最重要課題の一つということで、これから設立されるデジタル庁と協力をして、公文書管理の面でのデジタル化も推進をしていきたいと思っています。そのことによって、国民にとって適切な公文書管理、これが推進されると同時に、やはり公文書管理に携わる方々の負担軽減とか、いろいろな効果があると思っておりますので、いろいろ今後、詳細などを詰めながら、しっかり進めていきたいと思っています。
 新しい公文書館については、これ、やはり世界各国と比べて、今の体制はまだまだぜい弱なものですから、やはり必要だということです。これはもう、ここ十年来、ずっと取り組んできたものですから、そういう意味では、計画がしっかり進みつつあるということは非常によかったと思っています。埋蔵文化財の関係なので、どうしても遅れてしまうのはいたし方ない面もあるんですが、そうはいっても、令和10年度ってまだ大分先ですからね。少しでも早くできるように、それから、大切なのはその中身ですから、それについても引き続き議論していきたいと思います。
(問)今回、今国会に出される消費者関連の法律なんですけれども、デジタルプラットフォームに関連する法律ということと、特商法、預託法改正のことについてなんですが、いろんな意見が出始めております、消費者団体、弁護士会。それで、消費者委員会のほうでも素地があったので検討しているということで、何らかのタイミングを見計らって意見書なりを提出する予定であるかのように聞いております。
 お聞きしたいのは、この2つの法律の改めて意義というものと、それとあと、国会スケジュールですね。提出スケジュールが分かればということを、ちょっとお聞きしたいと思います。
(答)まず、デジタルプラットフォーム、この消費者保護に関して、「新しい生活様式」のもと、喫緊の課題となっているということで、早急に対応する必要があると考えています。
 法案について、25日に消費者庁の検討会を開催して、報告書案を提出して、それについて議論をいただく予定であります。その内容も踏まえて、速やかに法案作成作業を進めて、今国会に提出したいと考えております。
 それから、特商法、また預託法の改正法案については、詐欺的な定期購入商法への対策、過去に大規模な消費者被害を発生させた販売預託の原則禁止、こういったことを盛り込むとしており、消費者被害の防止を図るためにこちらも重要な法案であって、早急に具体策を取りまとめて今国会に提出してまいります。
(問)しつこいようなんですけれど、PRISMのことなんですけれども。例えば10月8日に開かれた国立大学のイノベーション創出環境強化事業の予算配分の項目、ホームページで見て、議事次第があって、配付資料があって議事があるんですけれども、議事要旨のところの議事というのが1行です。ほかの非公開議題についても見てみると、大体議事要旨の欄の議事は2行なんですね。多分、資料についても、そのときは配分決定前だから公開できないとなるんでしょうけれども、ホームページで公開するのであれば、配分決定後であれば、そのときの資料についても公開したり、あるいは、どんな意見が交わされたのかというのが分からないと、検証の可能性というのは、EBPMの観点からいうとやはり非常に低いんじゃないかと思うんですけれども、大臣としてどうお考えでしょうか。
(答)今具体的に御指摘があったことについては、今、この場で言われたものですから、また精査してみたいと思っています。
 おっしゃっている趣旨も分かりますので、そうした観点からも、もう一回チェックしてみたいと思っています。
(問)昨日の食品リコールの件について、また事業者のほうから報告があったということで、食品ロスの関係で一つ。法律違反であるとか、あるいは安全性の問題の表示であるとか、そういうことの表示についての間違いについては、これまでリコールとか判断されてきたのですけれども、それ以外の表示についてどうするかという判断については、事業者であるとか世論であるとか、いろいろありました。議論にもなりました。こういうことについて、昨日の件について、大臣としてのお考えといいますか、食品ロスの観点から何らかの検討のきっかけになるかどうかということについて、きっかけになればいいなと思ってはいるんですけれども、それについて何か思いがあればお聞きしたいと思います。
(答)サッポロビールの件に関しては、先ほども申し上げましたけれども、私からも、やはり食品ロスの観点から、廃棄をするのではなくて再発売すべきではないかということ、これはこの問題の発生直後に事業者に既に伝えております。その上で、また多くの消費者からの声を受け止めたということで、再発売を決定されたということは、私はよかったと思っています。
 昨日も報告いただいたんですけれども、消費者から事業者に対して声が寄せられた中でも、否定的な見解というのは本当に数件しかなかったということで、ほとんどが、むしろやはり再発売すべきではないかという意見が多かったということですから、そうした消費者の声というのを大事にしていきたいと思っています。
 今、実はこの食品ロスの関係については、やはり関係省庁にまたがる課題が多いものですから、私が主催している関係省庁の閣僚級の会合、この中で課題と対策を整理して早急に取りまとめるといった指示を昨年したところでありまして、それに基づいて各省庁、今検討しております。
 消費者庁としても、今回の事案に関連する話としては、今おっしゃったように安全性とか、あるいは法律の直接の規制内容にかかわるものでなければ、やはり食品ロスの観点から、廃棄することをなるべく避けるようにといったようなことを政府としてしっかり打ち出せないかといったことも今検討しておりまして、近日中に食品ロスの総合的な対策、これを取りまとめて発表したいと思います。
(問)関連してなんですけれども、節分の日にサッポロビールの再発売が行われると伺っているんですけれども。今回、いいきっかけになったと思うんですけれども、大臣、是非手に取って飲んでみたいというような思いはお持ちだったりされるんでしょうか。
(答)実は、これ言ってはいけないのかもしれませんけれども、昨日ちょっとサンプルで1缶いただいたので、今冷蔵庫で冷やして、今晩飲みたいなと思っています。

(以上)