井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月25日

(令和2年12月25日(金) 10:32~10:54  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 消費者及び食品安全担当並びに公正取引委員会を担当する大臣として報告をいたします。
 昨日、携帯電話料金の低廉化に向けた二大臣会合の下の局長級共同検討チームが開催され、検討状況を話し合いました。この中で、消費者庁からは表示に関する総点検の状況を報告し、公正取引委員会からは、年明けに消費者アンケートを実施するなど携帯電話市場におけるフォローアップ調査についての進捗状況を報告しました。
 表示に関する総点検を踏まえ、消費者庁から携帯大手各社に対して既に、主に次の3点について指摘を行っております。
 1番目は、基本料金に対し複数種類の割引が適用される料金プランについて、全ての割引適用後の最も安い料金のみが強調して表示されており、どのような条件を満たせばいくらの割引が適用されるのか分かりにくい点。2番目に、携帯電話と固定インターネット等とのセット契約について、携帯電話料金が割引される旨のみが強調して表示をされ、固定インターネット等の費用や契約期間の縛り、解約手数料の条件が明瞭に表示されていない点。3番目に、5Gサービスの提供に当たり、各周波数帯の性能の違いやサービスの提供エリアが異なることが十分に説明されていない点。
 消費者庁では、ただいまの3点を中心に各社に対応を要請しました。今後、そのフォローアップを行うとともに、新たに提供される料金プランの表示も含め、引き続き総点検を行っていくこととしており、総務省とも連携をしてまいります。
 なお、ただいまの内容は、先ほど菅総理にも報告をし、消費者のために今後ともしっかり取組を進めていくよう御指示をいただきました。
 もう一件、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 消費者安全調査委員会については、去る10月に私から、調査委員会の機能強化と調査・審議の透明性向上について検討をお願いしました。本日、第100回の調査委員会において今後の取組事項を決定する運びとなりました。短い期間で精力的に御議論いただいた中川委員長をはじめ委員の先生方に感謝をいたします。
 本日の決定は、国民生活センター等外部機関との連携強化や、より幅広い事故に対する委員会としての意見具申を可能とする等による委員会の機能強化、また、会議の積極的な公開や調査映像等の提供による透明性の向上、この2つを柱としています。これにより、来年以降、処理件数の増加や情報発信機能の向上が実現をされ、より多数の消費者事故を防止し、より消費者に身近な調査委員会となることを期待しております。
 次に、国際博覧会担当の大臣として報告をいたします。
 先ほど、2025年日本国際博覧会協会の石毛事務総長より基本計画の手交を受けました。これを受けて、これから大阪に出張し、博覧会協会とともに基本計画を正式に発表する記者会見に出席をいたします。
 引き続き、政府としても全国的な機運の醸成、各国への参加招請活動の推進など、大阪・関西万博の成功に向けた取組をオールジャパン体制でしっかりと進めてまいります。
 次に、宇宙政策担当の大臣として報告します。
 令和2年度第3次補正予算案及び令和3年度予算案における宇宙関係予算について取りまとめました。宇宙関係予算の総額は、令和2年度補正予算案と令和3年度予算案の合計で4,496億円と、本年度の実績を800億円以上上回るものとなりました。
 過去10年間の宇宙関係予算の伸びが550億円程度であったことを踏まえると、本年度の実績を800億円以上上回る今回の宇宙関係予算案は、宇宙基本計画改定後の最初の政府予算案としてふさわしい、大変力強いものとなったと考えています。宇宙政策を前進させるため、私自身が先頭に立って府省の縦割りを排し、政府全体でしっかり取り組んでまいります。
 もう一件、宇宙政策担当の大臣として報告をします。
 先ほどの閣議におきまして、「民生用月周回有人拠点のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国航空宇宙局との間の了解覚書」に我が国として署名することが決定されました。近日中に米国との間で署名を行う予定です。
 この覚書は、月周回軌道上に建設する有人拠点である「ゲートウェイ」に関する協力を行うために日米間で署名するものであり、我が国が参加する国際宇宙探査計画「アルテミス計画」の実施に向けた第一歩です。本覚書も踏まえつつ、アルテミス計画のさらなる発展に向けて、政府を挙げて取り組んでまいります。
 最後に、科学技術政策担当大臣として報告いたします。
 23日に福島県を訪問し、内堀福島県知事との面会、南相馬市の福島ロボットテストフィールド、浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド及びJR双葉駅を視察しました。
 内堀知事との面会では、「福島イノベーション・コースト構想」をはじめとした福島県でのイノベーションに係る取組などに関して意見交換を行いました。ロボットテストフィールドにおいては、「無人航空機エリア」や「水没市街地フィールド」等を視察しましたが、研究開発のテーマの一つとして「空飛ぶクルマ」が対象となっているとのことであり、大阪・関西万博を担当する大臣としても大変興味深く説明を伺いました。
 また、水素研究フィールドでは、再生エネルギーを活用した世界最大級の水素製造施設であり、水電解装置や水素貯蔵・供給設備などを視察しました。私自身、自民党の「水素議連」の幹事長を務めておりまして、福島県内にこのような立派な施設ができていることに大変感銘を受けました。
 菅政権は、2050年カーボンニュートラルを目指しており、この施設がしっかり役目を果たすことにより、大きな目標に近づくのではないかと期待感を持ちました。
 さらに、津波被害区域や、今年3月に双葉町内で初めて避難解除された地区及びJR双葉駅を視察しました。かつては町内全域が避難区域に指定され、復興という姿がなかなか想像できなかった双葉町ですが、復興が進んでいる姿を見て、率直にうれしく思いました。
 一方、まだ避難区域に設定されたままの区域も多く残っており、原発事故の大きさ、被害の深刻さを改めて実感をしました。閣僚の一人として、復興をさらに進める必要があると強く思いました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)万博の基本計画についてなんですが、大臣が読まれて期待されているポイントだとか、国民にここに注目してもらいたいというようなポイントがありましたら教えてください。
(答)そうですね。本当に協会はじめ関係者の皆さんが非常に御努力をいただいて、年内に基本計画を策定していただいたことは大変ありがたいと思っております。
 正式に最終版、まだ私、受け取ったばかりですから、そういう意味ではこれから精査をしたいと思っておりますけれども、途中段階でもいろいろと会場デザインをはじめとして、この万博がこういった形になるということがイメージできるような、そんな基本計画でありますから、国民の皆さんにもこの基本計画を見ていただいて、さらにこの万博に対する期待、これを高めるように、そんな国民がわくわくできるような、そんな基本計画だったのではないかと思っております。
(問)大臣御自身がわくわくを感じたポイントって、どちらになりますか。
(答)いろいろありますけれども、やっぱり会場デザインなんかは実際にデザインのイメージがもう出ているわけですから、それを見ると、何となく、この4年半後の具体的なイメージが心に描かれてきて、しかもかなり斬新なデザインもあるものですから、これはすばらしいものだな、見てみたいなということを思いました。
(問)空飛ぶクルマとか、あのあたりはいかがですか。
(答)そうですね。空飛ぶクルマについては、基本計画というか従前から、特に地元自治体から大変要望も多いことですから、これは是非実現をさせたいと思っています。
 ただ、空飛ぶクルマは、私もまだ実証実験中と聞いていますけれども、実物を見たことがないものですから、そういう意味では早い機会に実物を見せていただいて、よりイメージを膨らませて、そしてより期待感を高めてしっかり取り組んでいきたいと思います。
(問)宇宙関連でお伺いします。
 今年最後の大臣会見ということで、2020年の宇宙政策を振り返っていただいて、21年はどのような宇宙イヤーにしたいかということをお聞かせ願えますでしょうか。
(答)そうですね。2020年は、本当に宇宙関係についてはいろいろ大きなことがあったと思っております。私自身は閣僚に就任して約100日でありますけれども、私が就任した以降も、例えばはやぶさ2であったり、あるいは野口さんが宇宙へ行かれたりと、それからアルテミス計画、それを含めて来年度の予算を大幅増額することができたということで、そういう意味では2020年、宇宙政策に関する大きな期待を持つことができる年に、おかげさまですることができたのかなと思っております。
 ですから、来年は、こういった予算を活用しながら、この取組をさらに前に進めていく。やっぱり宇宙に関しては、人類にとって最後のフロンティアの一つでもあり、国民がこれから未来に向けて期待できるような、そういった分野ですから、そういった期待に応えるように積極的に進めていきたいと思っています。
(問)大臣が最初におっしゃった携帯電話料金の低廉化に向けた総点検なんですけれども、総点検とは具体的に何をされたのかということと、これは店頭での表示のチェックだったのか、ネットでの表示のチェックだったのかというところはいかがでしょうか。
(答)そういう意味では、ネットも、それから店頭も、表示についてはまさに総点検であわせてチェックをいたしましたし、また、これから引き続き、この総点検を続けていきたいと思います。
(問)今回は3点を特に強調して指摘をされたということでしたけれども、これはいろんな指摘があった中で、とりあえずメインのものを私たちに知らせてくださったのか、それとも、この3点以外は特に指摘はとりあえず今回はしていないということなのか、どうでしょうか。
(答)基本的にはいろんな御指摘をいただいておりますので、それはもう適時適切にしっかり指摘をしていくということだと思っています。今回、この3点に絞ったのは、大臣会合をやって、それから総点検ということで期間も限られていたものですから、一番いわば問題があるのではないかと思われた点に絞って、まずは総点検をしたということです。
 先ほど申し上げたように、これからも引き続きやってまいりますし、携帯会社も新しい格安料金などもこれから設定をされるでしょうから、そういったいろんな動きに合わせて、様々な観点から、引き続き消費者のためにこういった点検は続けていきたいと思っています。
(問)最後に、今、いろんな料金を各社が打ち出していて、中にはネット限定で購入できるプランというのも徐々に見受けられるようになってきたなという印象がありまして、ネットでの表示というのが、今後のチェックのポイントになっていくのかなと思っているんですが、そのあたりはいかがお考えでしょうか。
(答)そうですね。別にネット限定自体は悪いことだと思いませんけれども、やはりそうなると、当然ネットの表示が、それを消費者の方が見て判断をされるということですから、ネットの表示の重要性も高まってくるということで、我々もネット表示についても引き続き力を入れてチェックをしていかなければいけないと思います。
(問)宇宙関係、2点お伺いします。
 先ほどの閣議でゲートウェイに関してNASAと了解覚書に署名することが決まったということなんですけれども、これまではゲートウェイに関しては共同宣言など結ばれているところだと思うんですが、今回、それから何が進展したのか、その内容について少し伺えますでしょうか。
(答)日米の共同宣言を踏まえて、より具体的に、これからどういったことをやっていくかということを定めるのが今回の覚書ということです。
(問)あと、予算についてなんですけれども、この省庁別の内訳を見ると、文科省では50%を切っているということで、他省庁が非常に増えたというのが印象的なんですけれども、今回、これだけ多くの予算を確保できた要因と、この予算の計上の方法で、何かこれまでと変更があった部分、もしあれば教えていただけますでしょうか。
(答)特に計上の変更はありません。宇宙関係予算、おかげさまで大幅増ということになりましたけれども、これはやはり関係省庁、関係者が一致して取り組んで訴えてきたということがあると思います。やはり宇宙政策というのは、先ほども申し上げたように非常に重要な政策でありますから、そういう意味では、皆さんの努力でこういった結果を出すことができたというのは大変うれしく思っています。
(問)昨日の学術会議についてお伺いします。
 昨日、一部から三部の会員比率の見直し検討について要請があったかと思うんですが、これは人文社会科学系の人数を減らすように求めているのではないかというような声も聞かれます。一方、次期科技基本計画では、人文社会科学系の重要性についても触れていらっしゃると思うんですけれども、今回の見直し検討の要請というのは、大臣としても問題意識を持っていらっしゃるのか、もしくは自民PTの提言を受けての要請なのか、これはどちらというふうに捉えたらよいでしょうか。
(答)もちろん、昨日私が申し上げたのは政府としての考え方でありますから、私もそうですし、それから、菅総理もいつも会見や国会などでおっしゃっています。あわせて自民党のPTからもそういった趣旨の提言があったということだと思っています。
(問)あと、昨日の梶田会長との面会前に、PTの塩谷座長ともお会いしているかと思うんですけれども、そのあたりでどういった要望があったというのは伺えますでしょうか。
(答)それは、自民党PTが提言を出していますから、なるべくこの提言を政府の考え方に反映してくれといったことを強く伺いました。
(問)消費者関係で1点伺わせていただければと思います。
 携帯の表示についてなんですけれども、既に要請をされたということで、各社の現在の対応状況を教えていただきたいのと、もし対応されていないところがあるのであれば、いつまでに対応してもらいたいと考えているんでしょうか。
(答)各事業者とも真摯に受け止め、対応を検討するといった反応であったと聞いております。
(問)大臣としては、いつまでには結果というか、しっかり対応していただきたいということはありますか。
(答)そうですね。それは各社によっていろいろ対応状況があると思いますので一概には言えませんけれども、これはやっぱり消費者の皆さんが既に現段階で誤解を招く表示になっているとしたら、これはお困りですから、そういう意味ではなるべく早く是正をしてもらいたいと思っています。
(問)あと、少し話が変わって、消費者事故調の件についてなんですけれども、今日取りまとめられるということですけれども、発信力強化ですとか、処理を速めていくということになるのかなと思うんですが、やはり人員体制、要員についても心配なところがあるんですけれども、そういう方向性が示された暁には、大臣としては、どういうふうに、またさらにバックアップしていきたいというふうに考えていらっしゃいますか。
(答)そうですね。おっしゃるように、なかなか消費者安全調査委員会もマンパワーが限られているといったこともあるかと思います。そういう意味では、やはり消費者のことを考えると、より増強していく必要性はあるかとは思っていますが、なかなか予算の制約等々ありますので、今日のこの決定を踏まえて、また今後考えていきたいと思います。

(以上)