井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月11日

(令和2年12月11日(金) 10:21~10:37  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 国際博覧会担当の大臣として報告をいたします。
 2025年日本国際博覧会協会において、大阪・関西万博の基本計画の策定に向けて作業を進めておりますが、会場建設費につきましては、最大で1,850億円となり得ます。
 大阪・関西万博の費用としては、会場建設費のほかにも、入場料収入で賄う事業運営費や途上国支援、関連インフラ整備費などの費用がかかりますが、会場建設費は最大で1,850億円ということです。可能な限りコスト縮減を行っておりますが、改めて精査をした結果、当初の想定より600億円の増額となります。この中で、大阪・関西万博の成功に向けて全力で取り組んでまいります。
 会場建設費は、国、大阪府・市、民間がそれぞれ3分の1ずつ負担をすることになっています。大阪府・市、経済界にも御理解をいただきたいと考えております。
 経済界につきましては、今朝、関西経済連合会の松本会長、また大阪商工会議所の尾崎会頭にも私から電話をさせていただき、理解と協力を求めました。
 また、本日、これから大阪に出張し、吉村大阪府知事、松井大阪市長にお会いをして、自治体分の負担についてお願いをしてまいります。
 もう一件、昨日12月10日、フィリピンのロペス貿易産業大臣との間で、2025年の大阪・関西万博について二国間の万博担当大臣会談を行いました。ロペス大臣は、フィリピンで国際博覧会を担当されている、私のカウンターパートです。
 会談では、まず私より、12月1日の博覧会国際事務局(BIE)総会での登録承認を受けての大阪・関西万博の成功に向けた決意を表明するとともに、新型コロナウイルスで世界中が苦しむ中、ポストコロナの時代を見据え、次の世代の命のための強靱で持続可能な社会を思い描かなければならない、このポストコロナ社会のショーケースとして、世界各国とともにつくる万博であることを強調し、フィリピンの積極的な参加を強く働きかけました。
 ロペス大臣からは、大阪・関西万博への強い関心と期待が表明され、参加を前向きに検討いただいているとの印象を受けました。大変心強く思っております。今後とも様々な機会を活用して、しっかり招請活動を進めてまいります。
 次に、科学技術政策担当大臣として報告をいたします。
 先ほど、自民党「政策決定におけるアカデミアの役割に関する検討プロジェクトチーム」の役員の方々が来訪され、塩谷座長から日本学術会議の改革に向けた提言をいただきました。提言においては、アカデミアと政治との連携が極めて重要であり、「政府と日本学術会議が協働して政策実現に努めることで、我が国の科学技術力の世界最高水準への向上と国民の幸福の実現を果たしていくことが望まれる」という大切な視点も示していただきました。
 私からは、提言をしっかりと受け止めたいと申し上げた上で、「梶田会長には、年内にできる限りの対応案をまとめて御報告をいただくので、その内容を見た上で、本日いただいた提言も踏まえつつ、政府と日本学術会議がともに未来志向で取り組んでいく道筋を考えていきたい」とお話をさせてもらいました。
 もう一件です。本日、京都・大阪・奈良3府県にまたがる関西文化学術研究都市、通称「けいはんな学研都市」のうち、精華・西木津地域を訪問します。けいはんなプラザにおいて、関西文化学術研究都市について説明を受け、理化学研究所、情報通信研究機構、国際電気通信基礎技術研究所、けいはんなオープンイノベーションセンターを視察する予定です。
 2025年大阪・関西万博では、Society5.0を世界にアピールしたいと考えております。万博開催地である関西地域において、Society5.0実現に不可欠な最新の研究開発や成果の展開について話を伺うことを楽しみにしております。
 もう一件、最後です。12月10日にアジア原子力協力フォーラム(FNCA)第21回大臣級会合がオンラインで開催され、私も出席しました。
 会合では、IAEAグロッシー事務局長による基調講演及び各国代表者との意見交換を実施した後、新型コロナウイルス流行下での原子力関連活動の状況等について、各国から報告いただきました。
 私からは、新型コロナウイルス流行下でのIAEAの活動維持について高く評価すること、ZODIAC(ゾディアック)等のIAEAによる途上国への新型コロナウイルス対策支援を支持すること、FNCAとIAEAの協力関係を強化すべきこと等について発言したところ、グロッシー事務局長より、日本の支持に感謝し、FNCAとIAEAの協力関係強化に賛同する旨の発言がありました。
 今次会合においては、新型コロナウイルスの流行を受けた対応として、FNCAとIAEAとの連携、停滞を余儀なくされているFNCAプロジェクト活動等の正常化に向けた努力等に言及した共同コミュニケを採択いたしました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先ほど、自民党のPTから提言があったかと思うんですけれども、あと年内に来る梶田会長からの報告を受けて、政府としては今後どのようなスケジュール感で学術会議のあり方について具体的に検討していくのか、教えてください。
(答)従来から申し上げているとおり、まずは学術会議側から考え方を整理して私のところに御報告をいただくこととなっております。それを踏まえまして、年内に一定の方向性を政府として示していきたいと思います。
(問)ただ、一定の方向性を示して、それで来年は、例えば具体的に有識者会議をつくったりとか、そういうことはお考えでしょうか。
(答)それも含めて、まずは学術会議の皆さんにお考えをいただいているので、その内容にもよってまいりますので、まず報告をいただいてから、来年以降のことは一緒に考えていきたいと思います。
(問)万博について2点お伺いします。
 600億増加の1,850億という発表でしたが、この上振れの理由について、具体的にお話しできるのであれば教えてください。
 あともう一点、3分の1ずつの負担ですと、200億ずつそれぞれ負担増になるわけですが、特に経済界は、以前大臣、大阪出張へ行かれたときも、このコロナ禍でさらなる負担というのは、なかなか経済界としても難しいという声は当初からございました。この辺、経済界に対して、今朝お電話されたということですが、何らかの対応なり、そのようなことをお考えなのか、負担分ですね。何か御見解があれば教えてください。
(答)まず600億円の増額の理由ということですけれども、主な原因、3つありまして、1つは来場者の快適性、安全性、利便性向上のための施設整備ということで、様々な施設整備の分ということ。それから、2番目が参加国、事業者の多様な参加を促進するための施設整備ということで、1番目が320億円ですね。2番目が110億円、それから3番目は、大屋根、これの設計変更によって170億円ということになっております。
 なお、パビリオン等のコスト縮減、施設面積の縮小、水上広場構築物の削除、リユース可能な小型受電設備等への変更等によって、可能な限りコスト縮減も行っております。詳細については、後ほど事務方に聞いていただきたいと思っています。
 それから、経済界ですけれども、先ほど申し上げたように、私からお2人に今日電話で御報告、お願いをいたしました。そのお答えとしては、万博成功のための必要な費用であると理解しており、そのための寄附を集めるべく御努力をいただくということで御発言をいただきました。
(問)先ほど、会場整備費について大臣からお話がありましたけれども、この基本方針の策定状況、年内の策定ということで、その進捗具合についても改めて教えてください。目途とか、ほかの部分もですね。
(答)基本方針は政府が閣議決定するものですので、それについても今、年内に策定する最後の調整をしているということです。むしろ、この会場建設費が記載されるのは基本計画という、協会で策定する基本計画ですけれども、これについても同様で、年内にはこの計画を正式に策定してもらうということで、これは協会に私から働きかけているという状況です。
(問)今の会場建設費の増額分のところで、来場者の快適性、安全性の部分なんですけれども、これはコロナ対策という意味合いで理解していてよろしいんでしょうか。
(答)そうですね。コロナ対策もありますけれども、そのほかにも、例えば暑さ対策としてのドライミストとか、単独トイレ等の整備とか、あるいは雨よけ、日よけのための来場者の入場ゲートの屋根とか、いろんな観点から来場者の皆様のための施設整備ということになりますので、これも事務方にまたお聞きになっていただければ、細かいことを説明させたいと思っています。
(問)その会場建設費に関してなんですけれども、最大600億円増額になるということは、当初の試算時期にそこを織り込めなかったのか。織り込んでいたけれども想定以上だったということなのか、そのあたりの事情をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)当初から、今年の7月に就任した会場デザインプロデューサーの新たな会場計画案、また会場運営プロデューサーの意見なども踏まえたということで、それで改めて費用を精査したということになります。その内容については、博覧会協会においてコンサルタントとともに協会内部で検討を進めてきたものであり、可能な限り単価調査もするということで精査されたものであります。
 ですから、そういう意味では、やはり改めて精査をしたところ必要になった経費ということで御理解をいただければと思います。
(問)確認なんですけれども、この増額分の試算は万博協会がしたという理解でよろしいんでしょうか。
(答)そうですね。基本計画に盛り込むということで、その主体である協会で精査をしたということですけれども、もちろん国も3分の1負担分が当然ありますから、私も協会とよく協議をした上で、この金額ということになったということになります。
(問)あと、最大という表現をされましたけれども、これ以上膨れ上がる可能性はないという理解でよろしいんでしょうか。
(答)そうですね。今回の金額は上限であると考えています。当然、やはり無駄なコストをかけてはいけないと思っておりますし、今後具体的には詳細設計とか調達や契約、また工事実施の各段階において入札を当然通じていきますから、その中で費用の低減や効率的な執行にも努めていきたいと思います。
(問)増額、600億円って相当大きくて、スカイツリー1基で500億円というような額で巨額になるんですけれども、消費税の増税であるとか、コロナ禍で国民生活がますます苦しいという中で、この国負担分、そして府市負担分を含めると多額の税金投入があるということについては、どういうふうに国民に理解を求める考えでしょうか。
(答)経済状況が非常に厳しいということで、コロナ禍の中で国民生活も様々な負担を強いられていると、そういう中ではありますけれども、是非御負担をお願いして、その上で、やはり国民みんなが本当に喜ぶ、盛り上がることができる、そういった万博を成功させていくというのが我々の責任だと思います。
(問)確認なんですが、3分の1の負担分というのは、今日は大阪にも行かれるということなんですけれども、知事、市長の反応もあると思うんですけれども、それはもう変えるつもりは国としてはないということでよろしいんでしょうか。
(答)それでお願いしたいと思っています。

(以上)