井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月20日

(令和2年11月20日(金) 10:13~10:34  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 科学技術政策担当大臣として報告をいたします。
 お手元に配付したとおり、日本学術会議のあり方の検討の一環として、来週24日、学術会議を訪問し、学術会議の若手の会員や連携会員の方々と意見交換を行う予定です。今後、学術会議のあり方について、未来志向で検討を進めるに当たって、若手の会員や連携会員の方々から、学術会議で取り組まれている活動の内容や、若手の方々がより一層活躍できるような学術会議のあり方などについての御意見を直接伺い、率直な意見交換を行いたいと考えております。
 参加される若手研究者の中には、女性の方、地方大学に所属される方などを含め、多様な御意見を伺えるようにしていきたいと考えています。学術会議のあり方については、まずは学術会議において検討いただいているところでありますが、私としてもこのような意見交換も踏まえつつ、ともに未来志向で検討してまいりたいと思います。
 続いて、国際博覧会担当大臣及び科学技術政策担当大臣として報告します。
 明日11月21日に大阪へ出張します。花博記念公園鶴見緑地にて行われる万博の桜2025植樹式及び花博開催30周年記念イベントに参加します。続いて、ナレッジキャピタルやGVH♯5といったスタートアップ関連施設を訪れ、視察やスタートアップとの意見交換を行います。
 まず、万博の桜2025は、大阪・関西万博に向け、寄附により2025本の桜を植える取組であり、その植樹式に参加することで、大阪・関西万博開催に向けた機運醸成を図りたいと考えます。また、花博開催30周年記念イベントでは、地元首長とともにステージに登壇し、大阪・関西万博に向けた発信を行います。
 続いて訪問するスタートアップ関連施設では、大阪を中心とした関西地域で活躍するスタートアップや、支援者の取組について、現場を訪問し、生の声を聞くことで、スタートアップ・エコシステム形成に係る課題の確認と今後の支援策の検討に生かしたいと考えます。
 大阪では、今回訪問するナレッジキャピタルやGVH♯5などを中心に、イノベーション創出の担い手となるスタートアップや、大学、民間支援企業、自治体などが連携しております。関西の「知」を生かした新たなイノベーションを生み出していく環境整備を進めていきます。この動きを加速したいと考えます。
 最後に、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
 本日、「公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。今回の政令改正は、違反行為を通報した場合に、通報者が公益通報者保護法による保護の対象となる法律を追加するものです。通報対象事実を定めるに当たり、現行法では、法律を列挙する方式を採用しており、先の通常国会で成立した改正法でも、その方式を維持しております。一方、通報した際に、保護の対象となる違反行為の定め方については、国会審議でも議論があったとおり、対象となる法律の内容などを定性的に広く規定する形式のほか、逆に細かく条文ごとに列挙する形式など、様々な方法があり得ます。改正法の施行状況を踏まえた検討における論点の一つと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、おとといですけれども、基本計画専門調査会に2時間も出席されて、ずっと議論を聞かれたかと思うんですけれども、この議論を聞いて、大臣の問題意識として現在の科学技術政策に対してどのような問題意識を持っておられるのか、教えてください。
(答)おとといの会合におきましては、研究力の強化、それから基本計画の骨子についての議論を行いました。2時間半弱、長丁場でしたけれども、大変興味深い議論が多く、じっくり聞かせていただきました。会合を通じて、例えば若手研究者や女性研究者の育成や処遇改善など、しっかり取り組み、日本の研究力を抜本的に強化していく必要性を再認識しました。
 それから、骨子につきまして、この基本計画の策定作業、大詰めを迎えつつあると感じています。これから骨子への肉付け作業を進めることになりますが、世界と伍する規模の大学ファンドの創設、また研究開発投資目標の設定、こういったことが重要な課題であると考えています。無味乾燥な計画ではなく、魂のこもったメッセージ性のある、皆さんに読んでもらえる計画にしたいと考えております。
 また、会合の中では、2025年大阪・関西万博について委員の発言もありました。こういった委員の皆さんの問題意識を次期基本計画にも反映して、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」、これも科学技術・イノベーションの力で具現化していきたいと思います。
(問)今、お話があったファンドについてなんですけれども、例えば今度の第3次補正予算の中で何か形にするとか、そういうお話は出ているんでしょうか。
(答)今、まさに政府で詰めの調整をしております。何とか形にしていきたいと思っています。
(問)公益通報者保護法の八号政令については、以前から分かりづらいというような指摘があったかと思うんですが、消費者庁に制度の見直しについて、今後具体的に指示されたことはありますでしょうか。
(答)公益通報者保護制度事業の法令遵守の促進、また消費者利益保護の観点から、非常に重要であると考えております。こうした観点から、消費者担当大臣への就任後、初めての政令改正ということで、国会における議論の状況も踏まえて、先ほど発言したような定め方もあると思いまして、私として率直な考えをお話ししたところであります。
 改正法には施行後3年を目途とした検討規定が付されておりますけれども、話題となった通報対象事実の定め方については、それを待たずに早急に検討するような形からの指示をしております。
(問)今までも八号政令は、ちょくちょく改正されていったかと思うんですが、今回この大臣の発言、この点について指摘されたというのは、法律により実効性を持たせるという趣旨での発言と捉えていいんでしょうか。
(答)やはりこの公益通報をされる方が、その対象がやはり明確でないと、それはなかなか困りますから、やはりそこはしっかり明確にしていくべきではないかなと思っています。
(問)学術会議についてお尋ねします。
 大臣、17日の参議院内閣委員会で、いわゆるデュアルユースについて発言されて、冷静に考えていかなければいけない課題だということで、梶田会長ともお話をしているというふうに発言されて、そのちょっと確認なんですけれども。学術会議側が自ら検討する課題について、デュアルユースもそこで検討課題として含めるように、梶田会長側に要請なりお話なりをされたのかということと、どういった真意を梶田会長とお話ししているのかという、その点をお願いいたします。
(答)私の認識は、国会で答弁したとおりなんですけれども、若干報道が少し認識が違いまして、私のほうから何か、デュアルユースに関して見直しを学術会議側に要請したということではありません。今、学術会議と我々のほうで、未来志向でこの見直しをしていこうという、その一環の中で、広くいろんな課題について検討してもらいたいということを梶田会長のほうにお願いして、そしてそれをお待ちしているといった状況です。
(問)例えばデュアルユースに関連して、軍事研究の話ですと、2017年に学術会議が声明を出していますけれども、そういったものを見直してほしいとか、例えば新たに学術会議側でデュアルユースについて議論をして、何らかの声明を出してほしいとか、そういったことを要請したとかいうことではないんですか。
(答)全体の中で、別に選択肢を排除することなく、いろんなことを検討してもらいたいということなんです。
(問)学術会議側の検討項目は5項目、大臣も発表されて、学術会議側も5項目やりますということだったんですけれども、そこの5項目に、デュアルユースの議論というのは入っているわけではないということなんでしょうか。
(答)それは学術会議側に聞いていただければと思いますけれども、あくまで学術会議が持ってきたペーパーの中に、その5項目が入っているという認識ですけれども、それ以外についても何か検討を排除するということではないと思います。
(問)大臣としていろいろな御意見も学術会議に申し上げますということをお話していましたけれども、このデュアルユースについても検討してくださいということをお願いした、という趣旨の発言ではないということですか。
(答)要請したという事実はありません。
 たびたび私申し上げているとおり、やはり時代の流れとか、いろんなことがありますから、デュアルユースについても冷静に考えなければいけないのではないかという、私の考えを述べたということです。
(問)意見を述べて、こういった議論があるということを投げかけたという形ですか。
(答)学術会議全体の見直しというのは重要な課題だと思っていますから、私も梶田会長をはじめ、学術会議の皆さんとはいろんな話をしております。そうした中では、いろんな話題が出てくるということなので、むしろ何か排除しているということになるとおかしいと思いますし、そこは御理解いただければと思います。
(問)今の関連ですけども、火曜日に1時間半とって若手の方とお話をされる予定ということで、かなり長くお話しされる予定でありますけれども、大臣としてどういったことを議論したいとか、質問したいというふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。その中に、例えばデュアルユースについての話を聞きたいといったことがありますでしょうか。
(答)やはり学術会議が期待される機能を発揮していくことが重要だと思っていまして、そのためには、若手の方、女性の方、あるいは地方の方、こういった方々にも積極的に参画して、多様性を高めた中で、いろんな取組をしてもらいたいと思っています。ですから、現状そういった女性や若手の方々がどれぐらい活躍することができているのか、彼らの意見が学術会議の運営や提言にどれぐらい反映されているのか、こういった問題意識がありますので、このようなところを率直に意見交換していきたいと思っています。
 あるいは、梶田会長からの問題意識としては、若手研究者にとって学術会議の活動を行うことが研究者の研究業績として評価されるのかどうかといったような御発言もありましたので、そういったことについても、当事者の方々からの御意見も伺いたいと思っています。
 そういった意見交換の結果をこれからの学術会議の見直しの中で、いい形で反映できればと思っています。
(問)今回、出席される8人の若手の方というのは、学術会議側で選ばれた8人ということなんでしょうか。またその中には、人文系の研究者も含まれていますでしょうか。もし分かれば、教えていただければと思います。
(答)私からなるべく若手、女性、あるいは地方の方、こういったような多様性を高めた人を何名か人選してもらいたいと、学術会議にお願いをして、それを学術会議で選んでいただいたということです。
(問)全員、自然科学系の学者さんかどうかというのは、まだそこまでは分からないですか。
(答)詳細については個人の問題もありますので、それは控えさせていただきます。
(問)消費者問題分野で1点お聞きします。
 新型コロナウイルスの感染症の数が全国的に増加しています。それで、特に心配なのは、このような状況のときに、各地域で運営されてきた見守りネットワーク、高齢者、障害者を対象とした見守りネットワーク、これが果たして今どうなっているのか、維持されているのか、実質的に動いているのか、あるいはどういう形になっているのかということについては、継続できるのかどうかという心配なんですが。今年の8月に消費者委員会というところが、20年後の地方消費者行政のあり方ということについての今やるべきこと、着手すべきことも含めて報告書の中に提案されております。
 その中で、コロナ禍のような緊急時の対応については、緊急時消費者問題対応ネットワークの構築、整備すべきであるということで。この中では緊急時だからこそということなんですけれども、消費者行政であるとか、あるいは医療機関であるとか、福祉であるとか、警察であるとかとの連携が必要だということを述べられています。それで、この中にはNPOも入るわけですけれども、現行の見守りネットワークを活用しながらということだと思いますが、緊急時の対応について、このようなネットワーク、これはどういうふうにお考えでしょうか、大臣としては。
(答)緊急時の安全・安心確保のためにも、まず平時からのネットワークづくり、これが重要だと考えています。消費者庁では高齢者、障害者などの配慮を要する消費者を見守るための「見守りネットワーク」の設置を進めていると。見守りネットワークは、自治体の消費者行政担当部局や消費生活センターのほか、福祉関係者や消費者団体などの民間を含めた関係者で構成されており、緊急事態時においても多様な関係者が連携をして、消費者被害を防止することができる、そんな仕組みであると考えています。
 新型コロナウイルス感染症拡大下においては、対面での見守りが難しくなるなど、見守りネットワークの機能維持を図るための対策が必要と考えています。消費者庁としては、令和2年度第2次補正予算において、悪質事業者などからの電話を撃退できる通話録音装置の貸与などを支援するための予算、これを措置するとともに、令和3年度においては、タブレット端末を用いた見守りの導入などに必要な予算を要求しております。
 このほか、令和3年度に新たに都道府県による市町村支援や、市町村間連携の強化に取り組むための予算を要求しており、こうした施策を幅広く行うことにより、感染症や災害発生時においても、消費者の安心・安全が確保される地域体制を構築してまいりたいと思います。
(問)来週の意見交換の件で追加でお伺いしたいんですが、先ほど若手、女性、地方の方と今回お話をされる、梶田さんのほうからも問題意識として研究の結果がどう評価されているかという発言があったというお話もありましたけれども。大臣御自身としてはこういった若手、女性、地方の方々というところに関しての問題意識というのを、現状どういうふうに考えていらっしゃるか、改めてお伺いできますでしょうか。
(答)若手や女性や地方、あるいは民間の方ということで、やはり学術会議の会員や連携会員の皆さんの多様性を高めていくということは重要だと思っています。そのことは梶田会長をはじめ、学術会議側も同じ問題意識を共有していると思っていますし、学術会議の皆さんも、ここ数年努力をしていただいて、項目によっては非常にその多様性が高まっていることも認識をしています。また他方で全体として、より多様性を高めていくためにどうすればいいかといったことを、一緒に考えていきたいと思います。

(以上)