井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月10日

(令和2年11月10日(火) 10:42~10:59  於:中央合同庁舎第4号館1階全省庁共用108会議室)

1.発言要旨


 最初に、閣議の内容について御報告をいたします。
 本日の閣議において、菅総理より、新型コロナの感染防止策、デジタル改革やイノベーションなどによる経済構造の転換、好循環の実現などを柱とする経済対策の策定、令和2年度第3次補正予算編成に向けた作業を開始するようにとの指示がありました。
 私の所掌分野におきましても、デジタル改革やイノベーション促進をはじめとして多くの関連する課題を抱えており、必要となる施策について積極的に検討してまいります。
 続いて、科学技術政策担当の大臣として報告します。
 SIPの一つである自動運転のプロジェクトにおける国際的な取組である国際ワークショップの開催について御報告します。
 本日から世界の第一線で活躍されている多くの専門家が参加し、自動運転の研究開発や国際標準化に関する議論をするための国際ワークショップを開催しております。今年は新型コロナウイルスの感染症の影響で、リアルとオンラインのハイブリット形式での実施としております。私も今朝この国際ワークショップに参加をし、ネットを通じて各国からの参加者を歓迎するとともに、自動運転の社会実装に向けて国際的な協調や連携を呼びかけてきたところであります。コロナ禍の中ではあるが、引き続き内閣府として関係省庁と協力して、国際連携の強化、自動運転の実現に向けて取り組んでまいります。
 続きまして、宇宙政策担当大臣として報告をいたします。
 本日午後4時からスペースデブリに関する関係府省等タスクフォースを開催いたします。本日の会合では、先般、環境省から示されたスペースデブリ対策の考え方など、関係府省などの取組を共有し、政府衛星のデブリ化防止対策等を具体的に検討した上で、取りまとめを行いたいと考えています。内閣府が司令塔となり、スペースデブリ対策を一層強力に推進できるよう、関係省と連携してまいります。
 最後に、消費者及び食品安全担当の大臣として報告をいたします。
 本日消費者庁において、総務省と連名で、携帯電話業界における「頭金」の表示や端末販売価格に関する注意喚起を行います。これは先月総務省において公表された「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」に記載された取組です。具体的には、携帯電話業界で行われている「頭金」の用法が、通常の分割払いと異なり、携帯電話業界独自のものであり、消費者が最終的な端末価格を誤解する可能性があるものとなっております。そのため、総務省の有識者会議においても、携帯電話事業者がこのような誤解を招く表示を行わないことが求められたことを踏まえ、今週中にも携帯電話事業者から販売代理店に対する通知も行われることとなりました。その上で、消費者庁としても、消費者の皆様に注意を喚起するものです。
 消費者庁においては、本日の注意喚起に加えて、今後、総務省とも連携をし、景表法の運用も通じ、携帯電話事業者や販売代理店に対して、不適切な表示が行われないよう、引き続き是正を促します。
 以上です。

2.質疑応答

(問)バイデン氏がアメリカの大統領選で次期大統領に決まりましたけれども、バイデン氏が大統領になることで、日本の科学技術政策にどのような影響を与えると大臣はお考えでしょうか。
(答)大統領選挙、バイデン候補が勝利したということについては、お祝いを申し上げたいと思います。これからということだとは思いますけれども、例えば大統領選のときの民主党の政策綱領において、パリ協定の復帰とか、あるいはクリーンエネルギーとイノベーションへの歴史的な投資とか、気候変動問題への積極的な取組を掲げられておりまして、こういった取組に関しては、科学技術やイノベーションの飛躍的な発展が不可欠であるというふうに思っております。
 我々日本においても、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた取組ということを最重要課題として進めておりますので、そういう意味では、日米方向性は一致しております。しっかり科学技術政策に関しても、アメリカと連携協力できるように取り組んでいきたいと思います。
(問)あともう一つは、内閣府がやっているPRISMという事業なんですけれども、PRISMで海外投資家を呼び込むような取組を今後始めるということを聞いたんですけれども、具体的にどんなことを、どういうふうなスケジュール感で進めていくのか、教えてください。
(答)内閣府では、世界に伍するスタートアップ・エコシステム、これを形成するべく、その拠点となる都市を選定して、各省と連携して支援を強化しております。その一貫として、御指摘のPRISMにおいて「スタートアップ・エコシステム形成推進事業」、これを新設しまして、拠点都市において海外トップ支援者のスタートアップ支援プログラム、これはセミナーとか個別相談、またネットワーク形成など、そういったものを今年度中に実施する予定としております。これによって世界のトッププレイヤーと各拠点の支援組織のつなぎやノウハウの移転を行うことによって、スタートアップのグローバル展開を促進するとともに、世界の投資家から資金提供を呼び込むことを目指しております。
 また、来年度以降もこのような取組を継続できるように努力をしていきたいと思います。
(問)先ほどのバイデン氏の当選に関してなんですが、科学技術だけでなく、宇宙政策に関しても大きく影響が見られるというふうに考えられると思うんですけれども、それに関しまして、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)宇宙政策においても、日米の間で安全保障とかあるいは民生の宇宙利用、それから宇宙科学探査、こういった全ての分野で包括的に連携をして日米同盟の強化に貢献をしております。
 これは、政権によらず一貫して継続をしておりますし、先ほどの綱領においても、引き続き宇宙開発の重要性が示されておりますので、引き続きこの宇宙協力、しっかり日米で取り組んでいきたいと思っています。
(問)消費者関連のことで2点ほどお聞きします。
 1点目は、大臣から御説明がありました携帯電話の端末のことです。注意喚起というんでしょうか、これについては、販売代理店への通知も行うということで、業界団体のほうでそういうことがありますけれども、この対策として、何か行政側のほうでお考えがあるかどうかということです。事例を見ますと、要するに誤認表示の取締りということが出てくるんじゃないかと思います。それとあと、割賦販売法のことが出てきていますから、総務省との連名ということですが、経産省とはどうなのかということを。つまり今後の対策をちょっとお聞きしたいということです。
 それが1点目で、2点目は、先月ありました食品ロス削減のキャンペーンについてですが、大臣のほうで賞味期限の愛称であるとか、通称のことについての大臣賞をお渡しになったわけですね。写真もそうですけれども、フォトコンテスト。特に愛称については、それが生活の中に定着したりとか、普及されることによって今後の効果が出ると思うんですが、そういうことが普及される、定着されるような施策とか取組とか、そういうことのお考えがあるのかどうか、その2点をお願いします。
(答)まず、携帯電話の件ですけれども、これはまずは総務省で携帯電話会社とか、あるいは販売代理店と、そこは話をしておりまして、今週中にも携帯電話の事業者から販売代理店に対する周知ということで、その「頭金」の使用方法について周知が行われるということです。
 我々消費者庁としては、消費者の誤解を招く、そういったおそれがあると思っておりますので、そこをしっかり周知徹底をしていくということになります。
 それから、この賞味期限の話ですけれども、「おいしいめやす」ということで、この「おいしいめやす」という標語を活用して、さまざまな普及啓発活動、これも消費者庁でやっていきたいと思っています。具体的には、例えばウェブやポスターを用いた広報をして、それに加えて、今年中に年末にかけて、全国10カ所で食品ロス削減をテーマとするシンポジウム、これを今行っているところでありまして、私も時間が許せば、ぜひ参加をしたいと思っています。
 それから、実際に消費者が賞味期限と接する店舗での取組、これが重要だと思っておりますので、従来から協力をいただいている小売業界とも今協議をしておりまして、店舗でのポスター掲示、こういったことの御協力もぜひお願いをしたいと思っています。
(問)頭金のことでもう一点ちょっと伺いたいんですけれども、どうもやはり「頭金」という言葉自体が誤解を招きやすい表現なのではないかと感じるんですけれども、こういった表現自体を是正する、もしくはなくすといった指示だったり、取組だったりというのは考えていらっしゃらないんでしょうか。
(答)これはむしろ総務省のほうの所管ですので、総務省のほうが携帯電話事業者あるいは販売代理店と話をして、基本的にはそういう方向でこれから進めていくというふうに聞いています。
(問)3次補正についてなんですけれども、今までコロナ対策としてワクチンとか、そういう病気についての研究開発をしてこられたんですけれども、それ以外に例えばノーベル賞をもらった天野さんが、深紫外線LEDをつくって、それが99.9%ウイルスを死滅させるような機能を持っているんですけども。例えばそういうものを組み込んだ空気清浄機を開発したら、それに対して補助金を出すとか、購入補助金とか、そういうコロナとイノベーション促進の社会実装、そういうものを一緒にしたような対策というのは、今回の3次補正では考えておられるんでしょうか。
(答)もちろんいろんな予算を考えていかなければいけないんですけれども、何分、先ほど指示があったばかりなものですから、具体的な事項についてはいろいろ財政当局ともお話ししながら、これから検討していくことになります。
(問)昨日CSTIの有識者議員と意見交換を行われたかと思うんですけれども、その中で、予算や人が担保できたら独立した組織でもいいのではないかというような発言があったと大臣がおっしゃっていたかと思うんですけれども、これは年末までに取りまとめる、検討結果を取り入れられるような可能性というのがあるのでしょうかということと、このほかに大臣がこれは検討したほうがいいなと思われるような発言は何かありましたら改めて教えてください。
(答)確かに昨日の有識者議員の方から、そういった組織の見直しについての発言もありました。今はまさに私のほうでも検討段階ですから、幅広くいろんな方から御意見を聞いて、そしてそれがそれぞれ反映させられるかどうかというのは、これから検討していきたいというふうに思っています。
 あとは、やはり昨日は特にCSTIの中でも産業界の3人の方に来ていただきました。それはやはり1つは、今、菅総理もおっしゃっているように、産業界出身の会員の方が3%しかいないということで、多様性を高めるべきではないかといった意見があります。その辺についてお話を伺って、それはぜひそうしてもらいたいという御意見でありました。
 この多様性を高めるということに関しては、これは日本学術会議側の問題意識、我々と共有をしておりまして、かつ今までもその取組をしてきたところですから、そういう意味では、この多様性を高めることについては、やはり年末までの取りまとめの中で、何らかの取組を決めていきたいとは思っております。
(問)それは産業界だけではなく、私大ですとか男女比であるとか、いろんな多様性ということを含めてということですか。
(答)一般論でいえば、そういうことです。ただ、具体的にどういう多様性かということになりますと、それはそれぞれいろんな御意見があったり、あるいは現状も違いますので、それはまた今後の検討の中で考えていくということではないんでしょうか。
 昨日は、たまたま産業界だったものですから、その産業界出身の方が3%しかいないというのは、これは残念ながら事実なものですから、そこに着目をしたということです。

(以上)