井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月23日

(令和2年10月23日(金) 11:49~12:18  於:中央合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨


 まず、科学技術政策担当大臣として御報告します。
 先ほど、日本学術会議の梶田会長及び幹部の皆さんにお越しいただき意見交換を行いました。梶田会長からは、平成27年の有識者会議の報告書や外部評価委員会による外部評価を踏まえると、学術会議の提言機能や情報発信力、国際活動などにおいて検討すべき課題があること、このため、まずは学術会議において検討を進め、年末を目途に状況を私に報告するとの御説明もいただきました。
 私は、所管大臣として、梶田会長と十分にコミュニケーションをとりながら、未来志向でお互いに検討を進めていきたいと考えております。本日は、日本学術会議の方針を了解した上で、学術会議に期待されている機能が発揮できているかという観点から、考えられる課題について解決に向けた道筋をしっかり検討し、年末を目途に状況を報告いただきたいと要請をいたしました。
 我が国が世界で一番イノベーションに適した国を目指すためには、アカデミアは必要不可欠な存在であり、その達成のため、政府もアカデミアも何ができるのか、お互いに知恵を絞ることが重要であると考えています。また、日本学術会議が国の予算を投ずる機関として、科学の観点から社会的課題について提言していくなど、本来発揮すべき役割をより適切に果たし、国民の皆様に理解される存在であり続ける必要があると考えています。今後、梶田会長とも連携をして、学術会議のあり方について、未来志向でしっかりと検討してまいります。
 続きまして、国際博覧会担当の大臣として報告します。
 明日、10月24日に大阪へ出張します。大阪・関西万博のメインテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に深く関連する健康・医療関連の研究機関などが集積する北大阪健康医療都市と、1970年大阪万博の会場跡地である万博記念公園の視察を予定しております。
 再び科学技術政策担当大臣として、もう一件御報告をいたします。
 昨日、日本科学未来館を訪問し、毛利衛館長との意見交換や各種展示の視察、研究エリアにある南澤研究室の訪問を行いました。毛利館長とは、イノベーション創出のための科学技術コミュニケーションの重要性といったことについて意見交換を行いました。南澤研究室では、手で触った感触を伝える触覚技術の研究を視察しました。遠隔地でのアバターなど、今後幅広い分野で活用が見込まれる技術と感じました。このように、若手の研究者をしっかり引き続き支援をしてまいりたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどの学術会議の話なんですけれども、大臣、おっしゃったのは、学術会議側で年末までに意見を出す、大臣の側でも何らかの検討会を設けて未来志向のあり方を検討するという理解でよろしいんでしょうか。
(答)まずは私から、私の考え方、あるいは進め方、こういったことについて私の意見を述べた上で、学術会議に要請をいたしました。学術会議としても、やはり内部でしっかり検討をして、その結果を年末までに私にも報告をしてもらいたいと。それにつきましては、もちろん私として丸投げするわけではなくて、随時いろいろ意見交換をしながら、私のほうからも物を申す形で年末までに結論を出していきたいと思っています。
 学術会議側としては、具体的には、幹事会の中にワーキンググループをつくって、そして、その中でまずは進めていくといったようなお話がありましたので、それについては了解したということです。
 私自身も、今日まず梶田会長とお話をしなければと思ってお話をしましたので、その上で、国会が始まるものですから日程調整をしながら、来週にも、今度は私が学術会議側に行って、いろいろ学術会議の活動を見させてもらったり、あるいは意見交換をさせてもらいたいと思っています。
 それと、また同じように、河野大臣の行政改革の観点からの検討、それから自民党のPTとありますから、河野大臣や塩谷座長とも来週早い段階でお話をしたいと思っています。
(問)先ほど梶田会長からもお話を聞いたんですが、今日は、6人撤回のいわゆる理由とか、そして、その撤回を拒否したやりとり、これは井上大臣から、担当任命権者でないというお話だったということなんですが、この今日のお話をする前から、その点については答えられないとか、私は担当大臣ではない等の趣旨は学術会議側には伝えていらっしゃったんでしょうか。この点が今一番争われているところなんですが、大臣として、6人の任命を拒否した問題、これを今後どう学術会議側と話し合って解決していくつもりなのか。担当大臣でないのであれば、それは菅総裁に託すということなのか、窓口は誰になるのか、お答えください。
(答)梶田会長からは、総理に提出をされたその紙を私もいただきまして、これについてもよろしくお願いしますといったようなお話がありました。ただ、私のほうからは、任命に関しては総理大臣の任命ですから、やはり総理でお考えをいただくということであって、この具体的な話というよりも、やはり学術会議全体のあり方として未来志向で前向きに協力しながら考えていきましょうといったことでお答えをいたしました。
(問)総理のほうで考えてもらうということは、井上大臣ではなく、やはりその話は直接的には総理が判断して考えるべき問題だという認識でいいのか。
 それから、もう一点ですね。9月28日、99人の発令案が出されました。これ、6人を今回排除するということについて、大臣はいつお知りになったのか。この2つ、お聞かせください。
(答)前者については、そういう理解で結構です。
 後者につきましては、9月30日に事務方から報告がありました。
(問)そうすると、6人の排除の時点では、大臣は把握されていなかったという理解でよろしいですね。
(答)9月30日に報告があったということです。
(問)すると、事前にこの6人を105人の名簿からは外して、99人でいきますという相談は、官房長官、総理や杉田副長官からはなかったという理解でよろしいですね。
(答)官邸の動きについては、私、把握しておりませんので、私自身は9月30日に事務方から報告を受けたということです。
(問)そのときの報告は、6人を任命せず99人でいくというお話で聞かれましたか。
(答)そうですね。
(問)そのときに、なぜこの6人が入っていないのかという趣旨のやりとりはありましたか。
(答)特にありません。
(問)そうすると、大臣は、6人が欠けているということを30日に知ったわけですが、そのときに何かお感じになったり、これは初めてのことですので、今後問題になる等々の認識はございましたか。
(答)ただ、これは、何度も申し上げているように総理の権能でありますから、私としては、その報告を承ったということです。
(問)宇宙関連で2点お伺いしたいんですが、まず1点目に、先日、米国版はやぶさと言われます探査機「オシリス・レックス」が小惑星「ベンヌ」へのタッチダウンに成功しました。「オシリス」と「はやぶさ2」のチームは協力関係を結んでいまして、今後も試料分析などで協力をする予定です。まず、そのタッチダウンの成功に関しまして、大臣の御所感を聞かせていただければと思います。
(答)そうですね。おっしゃるとおり、この「オシリス・レックス」に関しましては、日本からも「はやぶさ2」の工学データや運用結果、これを提供するなど協力をさせていただいているということもありますから、今回のタッチダウンの成功については大変喜ばしく思っています。
 今後、「はやぶさ2」と「オシリス・レックス」が採取した試料は、日米で交換をして分析を行うこととなっておりますので、こうした取組を通じて科学的な知見の獲得や、宇宙分野における日米協力の一層の深化、これにつながることを期待したいと思います。
(問)もう一点、本日、文科省の閣議後会見のほうで、JAXAが新しく宇宙飛行士を募集するという話があったそうなんですが、それに関する御所感をお伺いできますでしょうか。
(答)これは、しかし、所管ではないものですから、ぜひ文科省やJAXAにお聞きになっていただきたいと思います。
(問)学術会議の件で伺いたいんですけれども、今日、かなり時間も超過してお話されていたようなんですけれども、どういった点が白熱した議論になったのかということについて、改めて教えていただけないでしょうか。
(答)そうですね。そういう意味では、いろいろ論点もありますし、それから進め方についても意見交換をさせてもらいました。もともと設定する時間が短かったのではないですかね。ちょっと皆さんをお待たせして申し訳なかったんですけれども。やはり緊密にコミュニケーションをとって、そして未来志向でお互いに協力してやっていくということですから、今後もしっかり時間をとってやっていきたいと思っています。
(問)6人の会員候補の方の任命拒否というものがなければ、おそらく今回の話し合いというのも行われていなかったと思うんですけれども、その点について、4人のほうから何かお話はありましたでしょうか。意見の表明とかですね。
(答)先ほど申し上げたとおり、6人の任命の話に関しては、総理に提出された、その書類を私も改めていただきました。それについてよろしくお願いしますということはありましたけれども、私からは、これはもう総理大臣の権能ですから、総理のほうでお考えいただけると思いますということを申し上げました。
(問)今日、菱田副会長、髙村副会長、小林幹事もいらっしゃっていたわけですけれども、例えばそれぞれ、どういったお話があったか、もし可能な範囲で教えていただけますでしょうか。
(答)そうですね。ただ、やはり梶田会長が中心になってお話をされておられましたし、学術会議の役員の方ということで、そこは同じ思いなんだと思います。
(問)最後に1つ、今日、大臣のほうから自分の考えも述べたということですけれども、例えばどういったお考えを、あり方としてどういうふうになるべきだという考え方を伝えられたんでしょうか。
(答)そうですね。やはり学術会議の期待されている役割というのは、非常に私は重要だと思っているんです。日本の学術の振興とか、あるいは国際的な交流とか、それから国民に対する発信であるとか、そういった機能はぜひよく発揮していただきたいということ。ですから、まず現在、その期待される役割が発揮されているのか、いないのか、そしてどこに問題があって、どういうふうに正していけばいいのか、この検証をしてもらいたいと思っています。
 その上で、では、例えば組織としてどういうふうにあるべきなのかとか、あるいは、学術会議の活動というか、運用面での改善と、こういったこともできるでしょうし、そういう意味では幅広く検討してもらいたいと思っています。
(問)万博関連で伺います。大臣、今週大阪の出張ということで、視察場所を選ぶに当たって何か重視している点がありましたら、教えてください。
(答)そうですね。前も申し上げたように、国会が開かれるまでは毎週のように大阪に行きたいということで、大阪以外の府県に結構行きましたけれども、大阪は1週間ぶりということで、今週も行こうということで、明日行くことになりました。視察場所としては一つは、やはり「いのち輝く」ということでテーマとしていますから、健康・医療産業、特に大阪の地で力を入れている、そういった典型的な例として、いわゆる健都ですか、そこに行こうということになりました。私は健康・医療戦略担当大臣も兼務をしておりますから、そういう意味でもぜひ見てみたいというのが1点。
 それから、もう一点は70年万博の跡地ですけれども、これはやはり25年万博を考えたときにいろんな意味で参考になるなと思っていまして。先般、50周年のセレモニーには伺いましたけれども、そのときにはセレモニーだったので、なかなか中をつぶさに見ることができなかったものですから、改めて見させていただこうということで選びました。
(問)関連して、健都はサテライト会場としても非常に積極的なんですけれども、そのサテライト会場の場所という意味でも、今回の視察については選定されたということでよろしいでしょうか。
(答)サテライト会場については、まだ具体的なことは何も決まっておりません。例えば一口にサテライト会場といっても、どういった位置付けで何をやるかとか、そういったことはこれから、少なくとも政府の方針というものを決めた上で、いろいろ自治体の方々の協力を得ていくということになるかと思っています。
(問)消費者御担当の分野で1点。消費者教育推進会議、今週月曜日開かれましたが、国の大枠の方針であるとか、そういうことを課題を決める、検討するところですけれども、成年年齢の引下げであるとか、幼児から高齢者の消費者教育であるとか、また社会のデジタル化に対しての消費者教育であるとか、極めて重大な課題が提起されていると思うんですけれども。国の方針ということは、全国の自治体との連携というのも今後必要になってくるということで、この消費者教育推進に対して、大臣としてどのような重要性を考え、あるいはその取組について何かイメージ等々あれば、お考えをお聞きしたいと思います。
(答)おっしゃったこと、そのとおりだと思います。いろいろ時代の変化に合わせて消費者教育の重要性、必要性というのがますます高まっていると思っておりまして。そういう意味では、もうこれ、19日ですけれども、消費者教育推進会議に出席して、冒頭、私のそういった思いというのを述べさせていただいたところです。その上で、しっかり、この消費者教育、我々も推進していきたいと思います。
(問)学術会議の件でお伺いしたいと思いますけれども、本日、会長のほうから、年末を目途にあり方について御報告をしますというふうなお話があったと思います。そういうふうになったのは、本日大臣のほうから求めてそういう話になったのか、それとも、菅総理とお話をした際にその話が出ていたのか。どういう経緯で、そういった会議の側があり方についてまとめるという話になったのか。
(答)これは、まずは私のほうで考えて、そして総理に御相談をし、その上で今日、梶田会長に要請をしたということです。やはり国民の関心が、今、学術会議に向けて非常に高い。こういうときにスピード感を持って、一定のしっかり検討結果を出していかなければいけないと思っているところです。
 また、他方で河野大臣の検討、それから自民党のPTの検討も年末を目途にということでやっておりますから、そういう意味では、私のところでも平仄を合わせてしっかりやっていきたい、そういうことです。
(問)年末という言葉がよく聞かれるんですが、これ、過去の学術会議のあり方の検討のように有識者委員会を立ち上げてというと、なかなか厳しいのではないかなというふうにも感じます。これ、もちろんスピード感と大臣もおっしゃったんですが、議論が拙速になるのではないかという懸念もあると思うんですが、このあたり、国民の関心も高い事項ですから、どう広く理解を得て結論を出していくとお考えでしょうか。
(答)確かに両方あると思っているんです。過去、何度か有識者会議を立ち上げて学術会議のあり方を見直したこともあります。そのときもやはり数カ月から1年、2年かけて検討したこともありました。ですから、そういった必要性というのも感じております。
 ただ、他方で、スピード感を持って、やはり年内にということなので、まずはそこを念頭に置いて取り組んでみる。その上で、さらなる検討が必要であれば、また来年以降、何らかの形を考えたいとは思っています。
(問)学術会議の話なんですけれども、先ほどから、未来志向で学術会議の機能を発揮するための検討をすると。学術会議の内部で話し合う場合は、学術会議の内部組織をどうするのか、行革の観点から河野大臣が議論するのは、例えば学術会議の組織そのものですよね。自民党のPTも似たようなものだと思うんですけれども。例えば欧米のようにアカデミーが、例えば各省から審議依頼を受けるのを義務化するとか、そういう学術会議の外の機能、行政体制も何とかしないと、そもそも機能が発揮できないのではないかというのが欧米と比べたらあるんですけれども。そういう学術会議の外の行政体制とか、そういう大きな視点での検討というのはどこで行われるんでしょうか。
(答)それは私のところでやります。ですから、幅広にいろんな論点があると思っています。先ほど学術会議は内部でやるので内部のことだけだろうとおっしゃいましたけれども、学術会議側にもそうした外部との関係も含めて検討してもらいます。例えば、行政の関与のあり方であるとか、あるいは国民に対する情報発信とか、それは必ずしも内部で完結している話ではありませんのでやっていただきます。それから、河野大臣の行革についても、予算や人員を検討するというときには、やはりその裏側にはどんな機能を発揮するかと、その機能を発揮するためにどれぐらいの予算や人員が必要かと、こういう議論だと思いますから、そういう意味では協力をしながら、いろんな観点の課題について取り組んでいきたいということです。
(問)下村政調会長が、そもそも諮問、答申をこの10年受けていないと。それに対して広渡元学術会議会長が、政府の側がそもそも諮問をしてこなかったと。これは単純に学術会議のあり方だけでなく、政府の側として諮問をしていく、積極的に日本学術会議のお話を聞いていくという姿勢に欠けていたのではないかなと思うんですが、今後積極的に関係性も含めて政府の側から諮問を行っていくという、こういう考えはあるんでしょうか。
(答)そういったことも含めて検討していきたいということです。
(問)それから、たしか昨日の文科省の学術会議担当者が、年間80本の政策提言を行っているということなんですね。ということで、この政策提言について、そもそも政府の側もいろんな意味で、この80本をそもそもしっかり受け止めているという点があるのか。ここもちょっとお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。
(答)私は、やはり学術会議の皆さんが御努力いただいて提言をされているわけですから、しっかり我々の政府の側も受け止めなければいけないと思っておりまして、そのことによって政策に反映できる幅も広がっていくと思うんですね。そういう意味では、例えば現状、事務方に事務的に提出していると聞いておりますので、例えば担当大臣である私自身がしっかり受け取って、その趣旨を直接伺うとか、いろんなことが考えられると思いますので、検討したいと思います。
(問)それから、6人の任命拒否や撤回に関する話は、あくまでも任命権者の総理だというお話なんですが。先ほど副会長のほうから、今後この点についてもうちょっと学術会議、しっかり議論を重ね、それを大臣を窓口に学術会議として、この6人についての問題をきっちり提言していきたいということだったんですが。これ、井上大臣、窓口になって、6人の問題についても総理にしっかり伝えていくということなのか、あくまでも総理に直接的にやってほしいということなのか。ここはどういうふうになっていくんでしょうか、今後。
(答)その副会長の発言について、私、伺っていないので、趣旨は定かではありませんが、私の理解としては、今回の具体的な個別の任命については、これは総理大臣の権能ですから総理のほうでお考えをいただくということで。ただ、他方で、私は科学技術の学術会議の担当大臣ですから、制度的に、この任命とか推薦のあり方ということについてはやはり検証をしていくと、こういう役割分担だと理解しています。
(問)そうすると、あくまでも6人拒否の窓口になるというわけではない。それがある場合は、首相官邸、総理に直接的にやりとりしてほしいということでしょうか。
(答)これは総理大臣の権能だと理解しています。
(問)重ねてですけれども、今回、たしか科学技術基本政策の見直しの中で、いわゆる人文社会科学系の知識も取り入れていくというふうな見直しを行ったと思うんですね。その流れの中で言えば、今回拒否された6人というのは、非常に新たな基本政策を進めていく上でも重要な人材だったと思うんですが、現時点でこの6人が欠けてしまった中で、この基本政策を進めていかなきゃならない。この状況について、大臣としてどう思っていらっしゃるんでしょうか。
(答)今回の任命の件については総理の権能ですので、総理のほうにお聞きになっていただきたいと思います。

(以上)