井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月17日

(令和2年9月17日(木) 16:17~16:47  於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨


 この度、国際博覧会担当大臣並びに科学技術政策、宇宙政策、クールジャパン戦略、知的財産戦略、消費者及び食品安全を担当する内閣府特命担当大臣を拝命いたしました井上信治でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、大阪・関西万博ですが、東京オリンピック・パラリンピックに続く国を挙げた国際イベントです。世界に向けて日本の魅力を発信する絶好の機会であり、大阪・関西はもちろん、日本の成長、活性化につなげていきたいと思います。
 次に、科学技術政策ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大や大規模災害の発生など国内外の状況が著しく変化する時代にあって、世界で最もイノベーションに適した国に向け、次期科学技術・イノベーション基本計画の策定や統合イノベーション戦略の具体化を通じて、スピード感と緊張感を持って科学技術・イノベーション政策を進めてまいります。
 知的財産戦略、クールジャパン戦略についてですが、内閣府が司令塔となって、関係省庁と協力して知的財産推進計画の着実な実行を図るとともに、クールジャパン戦略を再構築し、日本の文化を活用したソフトパワーの強化につなげてまいります。
 宇宙政策についてですが、宇宙を巡る国際的な競争が激化する中、宇宙政策の強化は喫緊の課題であり、本年6月に改訂した新たな宇宙基本計画の着実な実行を図ってまいります。
 消費者や食品安全についてですが、高齢化やデジタル化の進展や「新たな日常」など、消費者を取り巻く環境の変化を受け、必要となる制度の見直しに果敢に取り組んでまいります。
 また、適正な取引や表示、安全の確保に向けた厳正な法執行、科学的知見に基づく食品の安全の確保等にしっかりと取り組んでまいります。
 公文書管理についてですが、研修の充実・強化、チェック体制の整備などの公文書管理の適正化に向けた施策を担当大臣として着実に実行に移してまいります。
 この他、独占禁止政策を中心とする競争政策、特定秘密の指定等の適正確保等についても着実に取組を進めてまいります。
 重要な政策課題に取り組むに当たり、身の引き締まる思いであります。菅内閣の一員として精いっぱい努めさせていただく所存でございますので、何とぞよろしくお願いをいたします。

2.質疑応答

(問)科学技術・イノベーション政策についてお聞きしたいのですけれども、大臣は日本の今の科学技術・イノベーションの現状についてどのように捉えていらっしゃるのか、その上で今後どのように取り組みたいのか、教えてください。
(答)科学技術・イノベーションは本当に重要だということは言うまでもないと思います。新型コロナウイルス感染症の拡大、また各地での大規模災害の発生、高齢化問題の深刻化などの社会的な課題への対応の鍵であるとともに、フロンティアを切り拓き、人類に夢や希望を与え、明るい未来社会へと導く重要な存在であると。また、イノベーションを巡る米中を中心とした覇権争いが激しさを増すなど、安全保障の観点からも重要な課題と考えています。その一方で、我が国の足元を見ますと、論文数の国際的なシェアの大幅な減少など、研究力の低下、デジタル化の遅れなど、イノベーション力の停滞などの課題もあります。第5期科学技術基本計画で掲げたSociety5.0を早期に実現させて、国民の安全と安心を守るために、日本や世界が抱える環境問題などの解決と経済成長の両立に大きく貢献することが、科学技術・イノベーション政策の重要課題であると考えております。そのためにも、現在検討中の次期科学技術・イノベーション基本計画を具体的かつ実効的なものとして、次期基本計画の最終年度に開催される2025年大阪・関西万博、私、こちらのほうも担当大臣をしておりますので、命輝く未来社会のデザインを具体化したSociety5.0も世界にアピールしていきたいと思っています。
(問)先ほど大阪府の吉村知事から近く面会する方向で調整しているという発言があったのですけれども、具体的な日程は決まりましたでしょうか。また、その際、仮に大阪に行かれるのだとしたら、現地などを視察される予定はありますでしょうか。
(答)これは、昨日も申し上げたように、私、とにかくまずは現地に伺って、それで知事や市長を始めとして地元の方々といろいろ意見交換したいと思っています。知事がおっしゃるように、今、調整中ですので、もうしばらく、なるべく早くと思っています。
(問)これまで万博の誘致などで、何か万博との関わりがありますでしょうか。もしありましたらエピソードを教えていただきたいというのと、今後、どのような万博を目指していきたいと考えていらっしゃるのか、以上お願いします。
(答)誘致のエピソードというか、万博そのものということで言えば、愛知万博のときは私も行きました。それで、ちょうど国会議員になって割とすぐのころ、15年前ですかね。それで地元の方々と一緒に行きまして、大変興味深かった思い出もあります。ですから、そういう意味で、もう一度日本で万博をやりたいという思いで、誘致についても国会議員の一人として賛同させていただいて、そういう意味では2年前に決定したときは本当にうれしい気持ちがしたということをよく覚えています。万博というか、万博を行う大阪・関西との関わりということで言えば、私、実は元国土交通省職員でもありまして、航空局の環境整備課というところにいたときに、伊丹空港の環境整備にずっと取り組んでいまして、そのときも地元の皆さんとの意見、交流が最も大事なものですから、これは毎週のように伊丹に行きまして、豊中とかそういうところで、あるいは大阪府、そういった方々と協力しながら政策を進めてきたと。そんな経験もありますので、是非これからこの大きな課題に取り組むに当たって、地元の皆さんとしっかり協力しながら進めさせてもらいたいと思っております。
(問)食品ロスについてお伺いをしたいのですが、新型コロナウイルスの影響で、飲食店の営業時間の短縮ですとか、食品ロスへの関心が高まっているかと思います。今のウィズコロナ、アフターコロナの新しい時代の食品ロスの課題についてどのようにお考えであるか、また今後どのように削減をしていかれるか、その抱負についてもお聞かせください。
(答)食品ロスの削減は、これはまた非常に重要な課題だと思っています。私も環境副大臣を3年やっていたものですから、環境省としても取り組んでおりました。ですから、今回この食品ロスの担当大臣になったということで、しっかり頑張っていきたいと思っています。昨年施行された食品ロスの削減の推進に関する法律に基づいて、基本方針が3月に閣議決定されたということで、この基本方針に基づいて本年度より国や地方自治体、事業者、消費者、各々の立場でさまざまな取組が進められていると。一方で、食品ロス削減の推進のためには関係者との連携強化とか、それから消費者の取組の実践、こういったことが不可欠だと考えております。特にその分野におきまして、消費者庁としては食品ロス削減に関する取組の表彰などを通じて、優良事例の普及展開、あるいは食品ロス削減月間である10月を中心に賞味期限の愛称募集、それから環境省が中心となったドギーバッグの募集への協力などを通じた消費者への働き掛け、こんなことを進めております。しっかり関係省庁とも連携して取り組んでいきたいと思います。
(問)今回の万博相のポストなのですけれども、万博特措法で充当が決められておりますが、一本立ちするかどうかは総理の判断で、兼務もあり得たと思うのですけれども、今回一本立ちの大臣ポストということになった、それだけ菅総理がこのポストを重要視しているということの表れだと思います。これに対してどうお応えになるかという、その意気込みを聞かせてください。
(答)おっしゃるとおりだと思っています。とにかく、この大阪・関西万博を、国を挙げて取り組んで、そして絶対に成功させなければいけないということを菅総理が思っておられて、そしてその菅総理を中心に我々もまた担当大臣として、しっかり頑張らなければいけないと思っています。そういう意味では、本当に重要な新設のポストに拝命いただいたということは、私にとっても非常に光栄だと思っていますので、しっかり頑張っていきたいと思います。
(問)科学技術政策について伺います。安倍政権では、科学技術を成長戦略の柱に据えて、内閣府の司令塔機能を強化したり、あと政府全体の科技予算の増額を進めたり、また社会実装を強く意識した大型研究プロジェクトを進めてきました。一方で、先ほど大臣がおっしゃったように、若手研究者の苦境であるとか、あと論文数のシェアの低下など、基礎研究力の低下が懸念される事態が起きています。こうした背景を踏まえ、大臣として今後、こうした政府の方針を維持していくのか、何か新しい方向性を打ち出すおつもりがあるのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)当然、こういった今までの安倍政権の方針というものを今の菅政権でも継承して、そしてそれをさらに進めていくということだと思っております。ですから、具体的にはしっかり、また検討して対応を考えていきたいと思っています。
(問)万博についてなのですけれども、新型コロナの影響でドバイ万博が延期され、いわゆる大阪の承認をするBIE総会も遅れているということで、非常に現場では危機感もございますが、そういった点、国としてどのような支援をなさっていかれるのか、御所見をお願いします。
(答)コロナに関しては、とにかく政権一丸となって取り組んで、そしてできるだけ早く終息に導いていくということだと思っています。もちろん、大阪・関西万博は2025年ですから、それより前にしっかりコロナを終息させて、そしてしっかり対応して成功させていく、そういうことだと思います。
(問)先ほどの御挨拶で、「必要となる制度の見直しに果敢に取り組んでまいります」と、今までの大臣とはちょっと違うかなり積極的な御挨拶をいただいたのですが、どのような必要となる制度の見直しに果敢に取り組んでいかれるのでしょうか。それからもう1点、消費者庁の担当大臣がどの大臣になるのだろうかと、最後まで実はいつもよく分からないというところがございまして、今回、万博を担当される井上大臣が、なぜ消費者と食品安全を担当されるようになったのか、大臣御自身の受止めをお教えいただけるとありがたいです。
(答)まず、具体的な今後の取組といたしましては、例えば近年の変化として、高齢化とか、あるいは成年年齢の引き下げ、デジタル化の進展、こういったことがあります。ですから、これに対応していくということで、デジタル化について言えば消費生活相談のデジタル化対応を推進していく。また、デジタル・プラットホーム事業者が介在した消費者取引を始めとするデジタル社会における取引の安全の確保のための法的枠組み、こういった環境整備に取り組んでいきたいと思います。それから、消費者の脆弱性につけ込む、より巧妙な悪質商法による被害の増加も大変な問題だと思っていまして、的確に対応するため関係法令の改正、こういったことにも取り組んでいきたいと思っています。万博と関連性があるかということはあれかもしれませんけれども、ただ私自身も、こういった消費者保護、消費者行政ということに国会議員としても大変関心があって取り組んでまいりましたし、さっき申し上げた環境省の副大臣時代も、食品ロスの削減も消費者保護に近い面もあると思っておりますし、あるいは私は福島原発の事故の対応を、かなり力を入れてやってまいりましたので、あれも放射能に汚染された食品安全の話が非常に大事だったものですから、それに対して取り組んだと。そういったところから、私が今回、この消費者保護を担当することになったのかなとは思っています。
(問)万博についていろいろお伺いしたいのですけれども、先ほど、まずは地元にお伺いして意見交換をされたいというお話がありましたが、具体的には新設のポストということで、どんなところから万博について着手したいとお考えなのかというのと、あと地元での意見交換ということですけれども、具体的にどんなことについて、地元の御意見を捉えたいとお考えなのでしょうか。
(答)今回の万博については、もちろん日本中が全体としてしっかり取り組んでいかなければいけません。しかし他方で、開催地というものは非常に重要ですから、そういう意味では大阪、また関西の皆さんのいろいろな御意見、御要望を賜った上で国としても協力しながら進めていくと考えております。ですから私も大臣に就任したばかりですので、まずは現場を見て、それから現場の皆さんの声に耳を傾けたいと思っております。これからどうするかということに関しては、今後のスケジュールとして、まずは本年遅くに予定されている博覧会国際事務局の総会で登録申請書が承認されるということを目指しておりますので、承認後は各国に向けて正式な参加調整ということも行っていかなければいけないと思っています。
(問)宇宙政策についてお伺いしたいのですけれども、大臣が就任されて特に力を入れていきたい宇宙への課題やイベント、政策などがありましたら、教えてください。
(答)宇宙システム、位置情報その他のデータや通信機能の提供など、我が国の経済社会、安全保障に不可欠な役割を果たしていると認識しています。特にポストコロナ、この「新しい日常」において強靭な社会構造の実現に不可欠な社会のデジタル化、リモート化の基盤として、その役割を更に高めていかなければいけないと思います。また、こうした宇宙システムを支える産業科学技術基盤を強化して、我が国の宇宙活動の自立性を維持していくと、これもまた喫緊の課題だと思います。6月に閣議決定された新たな宇宙基本計画の着実な実行に向けて、必要な予算をしっかり確保して、宇宙政策をしっかり推進していく、と考えております。
(問)大臣、国交省の御出身で環境副大臣を務めていらっしゃったというお話を先ほどされましたけれども、御自身のどういったキャリアを担当の職務に生かしていけるとお考えでいらっしゃいますでしょうか。先ほど消費者行政について少しお話になられたので、是非、科学技術、あるいは宇宙の関係でその辺りをお話しいただければ幸いです。
(答)国交省とか環境副大臣の経験もいろいろ生かしていきたいと思っています。今回いただいた役については、とにかく所掌が広いものですから、それぞれについてそれぞれ今までの経験が役立つ部分があると思います。ただ、内閣府、あるいは内閣官房ということでいうと、私は内閣府の副大臣も経験させてもらいましたし、あるいは国会のほうで内閣委員長とか、それから内閣委員会の筆頭理事とか、そういう関係をずっとやってきましたので、そのときの経験をしっかりこの内閣府の担当大臣として生かしていきたいと思っています。
(問)消費生活関連について1つお聞きしますが、今現在、消費者生活相談というのは全国で90万件台という高水準です。残念ながら、今、誰もが消費者被害に遭うという状況になっております。井上大臣自身が身近に経験された消費者問題、あるいは消費者被害というのがもしあれば、お聞きしたいと思います。それと付随して、悪質商法に対する排除についての決意を一言お願いしたいと思います。もう1点、消費者庁と消費者委員会は創立11年になるわけです。そのときの創立の基本的な目的の一つが、縦割りをなくして一元化、各省ばらばらの行政を一元化していく、それで消費者目線に立って、要するに総合的に実施していくということでした。そのために、霞が関のパラダイムの転換とまでも言われました。私としては縦割りを阻止するというのが、今回、総理のお話の中でいろいろ出てきていて、それで「縦割り110番」も提案されていたわけです、行革のほうに。本来は消費者行政が、あるいは消費者庁が、そういう縦割りに対して管轄になるのではないかと思っていたのですが。それは良いとしても、大臣として一元化していく、縦割りを排除していく、推進に向けての対応策なりがあれば、お聞きしたいと。この2点をお願いします。
(答)本当に消費者生活相談件数、非常に多いということ、特に高齢者による相談が3割以上を占めているということで、我々も危機感を持っています。私自身が直接消費者被害に遭ったかと言われると、思い当たることはあまりないのですけれども、身近で特殊詐欺の被害とか、これは本当に今多いですから、私の地元なんかでも、そういった被害に遭われる方は多いですし、非常に深刻だなと思っていますので、そういう意味ではしっかり取り組まなければいけないなと思います。それから、縦割り行政の弊害の是正、打破というのは、まさに菅政権として重要課題であるということで、菅総理がおっしゃっているとおりだと思います。この消費者庁、おっしゃるように、そういった観点もあって創設されたわけですから、これをさらに進めていくということだと思います。そのことによって、菅総理がおっしゃっているような縦割り行政の打破を担当大臣としても進めていきたいと思います。
(問)また万博のことについてに戻るのですけれども、万博、特に冒頭に大臣が国を挙げた国際イベントであるということ、日本の成長の活性化につなげていきたいと。要は大阪・関西万博ですけれども、日本全体の成長、活性化につなげるということですが、今現在だと大阪・関西に、まだこれから調整をしていかないといけないと思うのですが、どのように他の地域に広げていくということ、また大阪・関西以外の自治体に対してはどんなことを働き掛けていきたいと思われますでしょうか。
(答)私自身も大阪・関西出身ではありません、東京ですけれども、こういった大阪・関西出身じゃなくて、東京の者が担当大臣になるということも、これは大阪・関西にとどまらず、日本全国でみんなで応援して、そして成功させていくということの一つの表れだと思っていますので、そういう意味ではしっかり取り組みたいと思います。大臣に就任したばかりですから、先ほど申し上げたように、まずは大阪・関西の皆さんといろいろな話をしたいと思っておりますけれども、それと同時に全国に対していろいろPRをしたり、お願いをしたりと、そういった活動も当然、これからやっていきたいと思っています。
(問)宇宙政策に関して伺います。先ほど基本計画の着実な実行に向けて必要な予算をしっかり確保されるとおっしゃっていました。前任の竹本大臣は、宇宙予算の規模について、現状の3倍ぐらい、1兆円規模を確保したいという意欲を示されて、省庁にも予算要求を呼び掛けているということだったのですけれども、間もなく概算要求の時期も近づいておりますが、井上大臣として日本の宇宙予算の規模とか、あり方についてお考えがあれば、教えてください。
(答)そういう意味では、宇宙開発に関して諸外国も非常に力を入れて取り組んで予算を投入しているということでありますから、やはり我が国としても強化をしていかなければいけないということは、同じ認識であります。概算要求などに向けて具体的にどれぐらいのものを考えていくかというのは、これからしっかり考えて対応したいと思っています。
(問)新政権ではデジタル化への取組が注目されています。先ほど井上大臣からも、消費生活相談のデジタル化対応に取り組んでいきたいというお話がありましたけれども、消費者庁担当相として省庁のデジタル化対応にどのように協力、または取り組んでいきたいとお考えか、教えてください。
(答)省庁のデジタル化というか、所管する分野のデジタル化ということですかね。そういう意味では、デジタル化時代がある意味、菅政権のこれまた重要課題の一つということでありますから、消費者行政でもそうですし、それからクールジャパンとか、あるいは科学技術、また万博についても、こういった日本の技術を未来に大いにPRするということですから、そういった私の担当する分野の中においてもさまざまなデジタル化を促進していく、そういった必要がある分野がありますので、そこはしっかり取り組んでまいりたいと思います。

(以上)