小此木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月18日

(令和2年12月18日(金) 11:07~11:28  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。少し長いんですが、5点ほど私からあります。
 まず、大雪についてですが、12月16日からの大雪による被害の対応状況についてお知らせします。
 関越自動車道で発生した車両の立ち往生について、国土交通省、警察庁、NEXCO東日本とが連携し、除雪作業と車両の誘導を進めています。南魚沼市、湯沢町では、避難者を受け入れられる準備をしていたところですが、今朝9時時点で南魚沼市に1カ所の避難所が開設され、立ち往生されていたドライバー2名が避難しています。孤立や停電については、それぞれ車両通行止めの解消に向けた道路警戒や復旧に向けた作業が行われています。政府としては、昨日、関係閣僚会議を開催しました。総理からは、本格的に雪が降り積もる時期に入ったことを踏まえ、事前の備えに全力を尽くすよう指示があったところです。引き続き地方自治体や関係機関とも緊密に連携して、的確な情報収集と災害応急対策に取り組んでまいります。
 明日から明後日にかけて、北日本から東日本の日本海側では再び大雪となるおそれがあります。国民の皆様におかれては、最新の気象情報に留意いただき、身の安全の確保を最優先にしていただきたいと思います。大雪による交通障害、屋根からの落雪や雪崩に十分警戒し、除雪作業を行う場合は一人では作業せず、家族や近所の方々に声をかけて十分注意をしていただくようお願いいたします。
 防災、国土強靱化関連のワーキンググループについてですが、災害から国民の命を一人でも多く守るためには、公助とともに自助・共助、これを組み合わせて防災に取り組むことが重要です。こうした中、効果的・効率的に災害対応を行うため、デジタル技術をさらに活用すること、激甚化・頻発化する自然災害に対する対応方策を改めて整理すること、10月の「世界津波の日」座談会に参加した若い学生の方が例えば「正常性バイアス」と言っていましたけれども、より一層の防災教育や意識啓発に取り組むことなどが必要であると考えました。これらについて検討していただくため、今般、有識者や関係省庁に参画をしていただいて、3つのワーキンググループを立ち上げることといたしました。ワーキンググループの名称はそれぞれ、「デジタル防災技術ワーキンググループ」「事前防災・複合災害ワーキンググループ」「防災教育周知啓発ワーキンググループ」として、赤澤副大臣にこれを全体統括していただきます。各ワーキンググループの検討結果は、来年6月までに取りまとめ、令和4年度予算要求等に反映いたしたいと存じます。詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
 また、このたび「防災女子の会」ということが立ち上がりました。女性のニーズや課題に配慮した災害対応について検討するため、今般、内閣府防災担当と、男女共同参画局の女性職員を中心とした「防災女子の会」が立ち上がりました。来年の春ごろまでに提言をまとめていただき、令和4年度予算要求等に反映したいと思います。女性ならではの視点やアイデアを大いに期待しております。これまた詳細は内閣府防災担当にお問い合わせいただきたいと思います。
 第3回土地利用の実態把握に関する有識者会議の開催についてですが、来る12月22日、来週火曜日ですが、第3回国土利用の実態把握等に関する有識者会議を開催する予定でおります。これまでの会議では、国際関係、行政学、民法、土地問題に関する有識者の方々にお集まりいただき、これまでの課題を整理しつつ、法的措置も含む新たな制度のあり方について検討をいただきました。今回の会議では、これまで制度の大枠や具体的設計についていただいた御指摘をもとに、これまでの、一旦、議論の総括をしたいと考えています。
 尖閣諸島及び竹島に関するデータベースについてお話ししますが、内閣官房領土室では、尖閣諸島及び竹島が、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であるという我が国の立場をより客観的に、かつ説得力のあるものとするため、平成26年度から6年間にわたり、それぞれ約2,000点に及ぶ資料を委託調査により収集してまいりました。例えば尖閣諸島については、第二次世界大戦中に米軍が作成していた地図において尖閣諸島は琉球列島の一部であるとされていたこと、また竹島についてはサンフランシスコ平和条約の作成過程において、竹島は日本に属するという認識を持って条文が作成されたことが確認されました。そうした資料は、これまでも毎年公表しておりましたが、今般、内閣官房領土室ホームページにおいて、資料を時代別・論点別にまとめ、有識者によるコラムや動画コンテンツを掲載するなど、竹島及び尖閣諸島に関する研究のデジタル上の拠点となる、見やすく使い勝手のよいデータベースを構築いたします。尖閣諸島分については本日公開し、竹島分についても近日公開予定であります。英語でも順次公開し、国際社会における我が国の立場の理解を深めてまいります。詳細は後ほど事務方からブリーフィングいたします。
 私からは以上でございますが、何かございましたらどうぞ。

2.質疑応答

(問)国土強靱化関連のワーキンググループなんですけれども、2点ありまして。まず1つ、このタイミングでこういった個別のワーキングをつくるというのは、例えば今年の7月豪雨ですとか、何か直近の災害で課題が見えての立ち上げなのかというタイミングのところをまずお伺いできますか。
(答)国土強靱化ですか。
(問)ワーキンググループの話ですね。
(答)このタイミングというのは、常に私たちは考えていまして。それぞれの分野で、私もそうですし、副大臣や政務官、あるいはそれぞれの議員の皆さん、議会からも、そういう様々な思いを寄せられております中で、常に考えています。防災の分野においても、IT分野における技術革新、こういったものも利便性、あるいは有用性があればどんどん取り入れていかなきゃいけないという観点もあります。
 何度も申し上げているように、激甚化・頻発化する自然災害の状況、そして今回特に総理が発信されている、自助・共助・公助、そして絆、こういった言葉だけでなく、取り組みが、それぞれ独立したものじゃなくて私たちは組み合わせして、現在いろんな形での防災意識の向上のため、あるいは実際の災害救助、こういったことに使われていると思いますが、より効率的に、そういったことが国民の皆さんにも理解をいただき、私たちもその法律を執行する、あるいは救助そのものを実行することにおいて常に向上を目指していかなきゃなりませんので、このタイミングということでなく、常にそういうことを思っていながら、整理ができる段階で発信をしていくということの一つの仕事であると、常々思っているということから発信しているということです。
(問)ありがとうございます。もう1点なんですけれども、細かく3つテーマがあったかと思うんですけれども、それぞれ可能な範囲で、現時点でどういうことを検討していきたいと考えているかということと、大臣が各テーマの重要性をどう考えるかというところを併せてお伺いできますか。
(答)繰り返し言います。例えばデジタル防災技術、事前防災・複合災害、防災教育周知啓発、1番のデジタル防災技術というのは、先ほども申し上げたように、デジタルとか防災技術というのは、例えば私が初当選した翌々年には阪神・淡路大震災というものがありました。20数年、30年近くたった中で、そういう技術、あるいはデジタルの技術も向上してきたので、そういったことも改めてここで整理をして発信していくということですね。
 事前防災、あるいは複合災害というのは、特に複合災害は、頻発化する、激甚化する災害にプラスして、残念ながら今年はコロナ対策も、災害のあったところ、あるいは避難所でそういった対策が必要になりました。そうした複合、国民の皆さんから、被災者から見れば、複合した災害にどう対応するかということをこれからまた深く勉強しながらも、その対策そのものは進めていかなきゃいけないという中で、そういうことをしっかりと、今現実がそういうことなんですよという中で、国民の皆さんだけじゃなくて、もちろん私たちも、報道する皆さんも含めて、そういった防災についての知識、あるいは啓発について、皆さんからも発信していただければ、こんなにありがたいことはありませんし、まさにそういう中で報道というものが、今、多くの皆さんと認識をするということにおいて役立っていると思いますので、こういったものを取り合わせてやっていきたいということにおいて、こういったことを赤澤副大臣にお任せして進めていっていただきたいと、こういう意味があると思って発信をしております。
(問)防災教育の観点で何か思いがあれば。
(答)防災教育というのは、いろんな話をしてまいりましたけれども、特に津波防災の日に女子学生、高校生たちと話をしてきたと言いましたけれども、彼女たちからの話として、「正常性バイアス」という言葉が出てきました。自分が大丈夫だからと思って安心してはいけないということ。どこからいつ何があるか分かんないという、危険があるということは持っていなきゃいけないよということが座談会の中で出たんですけれどもね。彼女たちが東日本の大震災を体験したのは小学生のころなんですよ。小学生のころに、テレビ画面で見ていたにしろ、あるいは様々な話を聞いていたにしろ、小学生の彼女たちが、今、そういったものに気をつけてください、防災意識を高めましょうと発信する側に回っているということ。これは人が人に伝えるということですから、これこそがまさに、上から物を言うという形じゃなくて、いろんな方々にその意識を伝えるという意味での教育が大事だなと、その座談会では思いましたということを一つ話に上げたところであります。
(問)今のワーキンググループの関係なんですけれども、具体的に取り上げたいテーマというのはございますでしょうか。というのは、これまで内閣府防災では有識者会議みたいなものはたびたび開かれていると思うんですけれども、なかなかアドホックなもので終わってしまっているような感じもありまして。つまり新たに立ち上げるに当たって、結論として打ち出していくものがあると思うんですけれども、具体的な大臣として取り上げたいテーマ、例えば2番の複合災害とかであれば、広域避難の問題だとか、今、近時、話題になっているテーマ等あると思うんですけれども、そういうのがありましたら教えてください。
(答)例えば今言った複合災害。これまでも話してきましたけれども、今回こういう初めてのコロナという新感染症、新しい感染症の対策を防災で言うのであれば、災害時に避難所が開設されます。あるいは仮設住宅等、人がやっぱり密になるということを避けなきゃならないという中でも、一つのところに避難をしなきゃいけないという困難が重なったときに、努力があったと思うんですね、自治体での。
 そういった中で、今回、熊本の話をたびたびしてまいりましたけれども、球磨村の仮設住宅、あるいは避難所においても、感染者は幸いなことに出なかったという話がありました。そういったところをまさに検証して、何がこういう結果につないだのかということ。これはよい結果として、あるいはもうちょっと気をつけることもあったかもしれないという話もありましたが、この検証をそういったところでしてもらって、まさに具体的な今後起こり得る様々な対応について生かしていくということを改めて考えていただくということだと思います。
(問)「防災女子の会」の設立についてお話があったと思うんですけれども、これの結成の狙い、意図とか、今後の活動内容とか、どういった効果を期待されているのかについて教えてください。
(答)これは私もなかなか考えの及ばないところで、足らないところでもありましたが、数回これまで災害の現場に立ち会い、あるいは様々なところの視察を含め、特に避難所、仮設住宅を一人の人間として見たというよりは、一人の男性としてしか見ていなかったというようなところで、女性の生理用品ですとか、女性の生活上の様々な男性と違った必要不可欠なものがあろうかと思いますけれども、そういったものが、避難所や仮設住宅等で、そういった目で隅から隅まで見ていなかったという自分の反省も含めて、あるいはいろんな人の話も聞きながら、防災について、国土強靱化、減災ということについても、そういう女性ならではの視点で見られるということは必ずあろうかと思いますので、私自身の反省も含めながら、遅きに失しないように様々な観点からいろんな意見を言っていただいて、認識をここも広めたい。これも一つの防災教育につながるものとは思いますが、そういった視点があります。
(問)今朝の閣議でIR基本方針が決定されたかと思うんですけれども、菅総理は公正性・透明性を確保するというようなお話をされたかと思います。カジノ管理委員会を担当される大臣として、今回の閣議決定で基本方針ということをどのように受けとめていらっしゃるか、所感をお伺いします。
(答)IRの整備そのものは、政府として今後我が国を観光先進国としていくための重要な取り組みであるということで進めてまいりましたから、それはそのとおり進めてまいりますが、先ほどからコロナの話もいたしておりますけれども、今年、こういう残念な中でオリンピック・パラリンピックも来年に順延ということになりました。日本は多くのインバウンド、観光客の皆さんから大きな利益を受けてまいったことの中での困難でありますから、これは政府として一体的に、その困難を切り抜けていこうという努力の中でありますけれども、特に私はカジノ管理委員会の事務を担当する大臣として、この基本方針がありますので、必要な規則、ルール、規制、こういったものをしっかりと、必要な準備が着実に進められていくように、今、委員の方々が努力をしていただいていますので、それを見守り、健全に進めていかれるものと認識をしています。
(問)土地利用の実態把握に関する有識者会議ですが、先ほどの話では、会議では議論の次の議論の総括をしたいということですが、次回に提言を出していただいて政府のほうで対応していくということなのか、また現在の政府の対応状況といいますか、新たな法的措置も含めてという表現にまだお変わりないですけれども、今の検討状況、今後のスケジュールを教えてください。
(答)今、様々な御指摘をいただいているところであります。新たな制度の大枠及び具体的な設計について、一度、座長のもとで取りまとめていただきたいと考えています。その取り扱いについては、有識者の先生方とも相談をしながら検討していきたいと思っています。
(問)防災関連のワーキンググループは、これは先日、国土強靱化のほうでも新しい対策をまとめたと思うんですけれども、そこに反映させていくべきものなのか。また自治体の避難計画とか、そういうところに生かしていくのか。もう少し具体的に、どういう現場に成果を反映させていくかということを少し具体的に教えてください。
(答)防災・減災、国土強靱化というのは、これもそれぞれ独立しているものでなくて、全て関連しています。様々な観点から要望や、あるいは期待を受けています。言葉遣いがそれぞれ違うんですけれども、防災のための国土を強くしなやかにしていこうということが大事であると。その防災が、災害は自然的な発生ですから、これを食い止めることはなかなか難しいけれども、最小限度に抑えることができるという考えから、様々な思いがあり、様々な方策が考えられ、そして着手されているということでありますから、そういった常に整理をしていかなきゃならないという思いがあるということです。
(問)新潟県の雪の立ち往生のほうですが、復旧の見通しというところは今どうなっておるんでしょうか。
(答)これはまだ滞留している自動車等があり、今、必死に救出やら、あるいは雪の除雪等が行われていまして。そういったことが今、国土交通省において精査されている段階でありますので、正確なことはまだここでは発信できませんので、また事務方からもお話をさせていただきたいと思います。一刻も早く、やっていると、努力が今されているところです。

(以上)