小此木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月20日

(令和2年11月20日(金) 9:36~9:48  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。私からございます。
 来る11月25日ですが、第2回国土利用の実態把握等に関する有識者会議を開催する予定であります。今月9日の第1回会議には、国際関係、行政学、民法、土地問題に関する有識者の方々にお集まりいただき、国内の土地取得に関し、どのような懸念があるのか、安全保障の観点から我が国の土地の利用、管理等の制度にはどのような課題があるのか、対象とすべき土地、講じるべき対応策は何か、土地の利用、管理等と私権制限のバランスなどの論点について、それぞれの専門的知見から非常に実のある御議論をいただきました。議事要旨は内閣官房のホームページに掲載していますので、詳細についてはそちらを御参照いただきたいと存じます。第2回会議においては、第1回の議論を踏まえつつ、講じるべき対応策等、具体的な制度設計について御議論いただく予定であります。
 もう一つですが、本日11月20日付で中央防災会議議長である内閣総理大臣から、関係省庁、都道府県などに降積雪期の防災体制の強化等のために通知を発出いたします。この通知は、大雪等に備えた災害初動体制の確立、住民等に対する普及啓発、注意喚起、除雪作業中の事故防止に向けた取り組み等を、新型コロナウイルス感染防止対策の徹底と併せて関係機関にお願いするものであります。これから本格的な降積雪期を迎えるに当たり、感染防止対策を含め、人命の保護を第一とした防災体制の一層の強化を図ってまいります。
 私からは以上です。何かございましたらどうぞ。

2.質疑応答

(問)7月豪雨の関連で2点お尋ねさせてください。
 昨日、熊本県議会で熊本県知事が、球磨川支流の川辺川に流水型のダムの建設を国に求めるということで表明をなされました。その表明についての大臣の受けとめをまず1点お願いします。
 もう1点は、これから今後、球磨川では流域治水というものが国主導で進められていくことになると思いますが、その中ではハードだけではなくソフト対策も大事かと思われます。住民の早期避難というのをいかに実効性を高めるものにしていくかという課題があると思いますけれども、そこについての御見解をもう一つお願いいたします。
(答)熊本県の蒲島知事が、昨日、今後の球磨川流域の治水の方向性を表明されて、その中で川辺ダムについては新たな流水型のダムを国に求めるとの考えを示されたと承知しております。私も球磨村を訪ねて仮設住宅に参りましたが、そこでも、そこにお住まいの方に問われて方向性を11月に示すということは言われていましたが、昨日そういうことで表明されたということだと思います。
 本年7月豪雨を始め、激甚化する災害から国民の命と暮らしを守るため、流域全体で治水対策に取り組んでいくことが重要であるということを私自身も考えております。災害から国民の命を一人でも多く守るためには、住民は自らの命は自らが守ろうという意識をまず持っていただくということ、適切に避難行動をとっていただくとともに、行政は分かりやすい避難情報を提供するなどして、住民避難を全力で支援していくことが重要であると、これも変わらぬ思いであります。
 現在、内閣府に設置した有識者から成る避難に関する検討会において、早期避難の実効性の確保の観点から、避難勧告と避難指示を一本化し、現行の避難勧告のタイミングで避難指示を発令すること、高齢者等の自ら避難することが困難な方々についての、避難計画である個別計画の策定を促進することなどについて、中間取りまとめにおいて提言がなされています。
 今後、最終取りまとめに向けて、引き続き御議論をいただくとともに、議論を踏まえ、住民の皆様が水害時に適切な避難行動をとれるように、関係省庁や自治体、メディアの皆様とも連携し、住民への周知、普及啓発等を行ってまいりたいと存じます。
(問)評価のところで重ねてお尋ねなんですが、川辺川においてはダムをつくるつくらないというところで長年の議論がありまして、一旦はダムのない治水ということを目指す方向性で動いたわけですけれども、今回、流水型という形でのダムをつくるというような判断を知事が地元でされたということについては、いかが評価されていらっしゃるんでしょうか。
(答)これは、先ほど申し上げましたけれども、たまたま知事と一緒に仮設住宅に伺って、いろんな住民の方がおられました。その方が、非常に治水等について心配のある、つまり懸念を、知事に直接訴えられたことを目の当たりにいたしました。一般的にも、この数年の激甚化・頻発化と、私たちもそういう言葉自体をよく発信することになりました。そういうような災害がたびたび重なって起こっている中で、知事が、私から言うのも何ですけれども、そういう流れを見る中での意識の変化、あるいは県民の皆さんの不安というものを強く感じとった結果なのかなと私的には思いますが、そこは蒲島知事の思いですから代弁することはできませんけれども、私自身が全国を数年前から歩く中でそういうことを感じておりますので、国民の皆さんにも変化はあろうかと思います。いずれにしても、具体的な治水対策については、国土交通省等とも連携しながらやっていくということが重要だと思います。
(問)今のダムの関連で伺いたいんですけれども、まず今回の判断というのは、さっきありましたように、脱ダムの考え方というのを転換したと言えるものだと思うんですが、さっき大臣も「意識の変化」とおっしゃいましたけれども、他のダム建設とか、あるいは全国的な国土強靱化政策への影響、今回の知事判断の影響をどういうふうに考えられますかと。全国的な国土強靱化政策にとって、今回の知事判断というのは追い風になるというふうに捉えられますでしょうか。
(答)これは、追い風だとか向かい風の話じゃないと思うんですけれども。いかに国民の皆さんが、あるいは私たち政治家も含めてですけれども、災害、これは風水災害だけじゃなくて雪も、先ほど申し上げたように、これから雪が心配されますということで防災会議議長からの通知を出すということ、まったくいつ起こるか分からない地震ですとか、前の就任時には火山の噴火というものがありまして、この噴火で石が直撃して1人の命が亡くなったということもありました。ニュースを聞くたびに、あるいは実際に災害に遭われた方々の意識というものが、さっきの言葉は何でしたっけ、追い風だとかそういうことではなくて、非常に不安な気持ちが増してきた中での対策が防災・減災、国土強靱化というものに繋がるものであって、風が吹いたからと、そういう例えた言葉の話ではないと思います。
(問)もう1点、関連でお伺いさせてください。
 国土強靱化担当大臣ということでもあると思うんですが、国土強靱化政策というのは、国の財政が厳しい中で必要なものという捉え方の一方で、そういうものをつくり過ぎると、また巨額の無駄遣いといった非難というのが常に再燃するというか、隣り合わせにあるものだと思うんですが、そのあたりのバランスとか、あるいは何が重要なことかというのをお聞かせください。
(答)災害がいつあるか分からないから、すごく今のお話のように難しいところであって、確かに私も二十数年政治家をする中で、町を歩けば、あるいはいろんなところを訪ねた中で、無駄という言葉と突き合わせて活動してきました。
 自分の頭の中でも、これは無駄じゃないかなと思っているときに、これは何回か言いましたように、例えば新横浜で去年、ラグビーのワールドカップができたんですよ。そのとき、スコットランド戦に勝ったということもありましたけれども、あの新横浜スタジアムそのものが遊水地であったこと。それは言ってみれば、私の本当に小学生ぐらいのときから活動が始まった、これをつくろうという。それ以前は、鶴見川流域というところですけれども、氾濫の歴史であったと。その命が失われた遺族の方々の思いですとか、そういった思いが行政や政治に通じて去年のラグビーに繋がっているとも考えられるときに、その流れの中で、いろいろ無駄だとか、やっぱりでもつくっていてよかったという話があるんですね。だから、一概に計算の上ではなかなか言えないところがある。
 だけれども、じゃあ新横浜はよかったかもしれないけれども、日本全国を見たときにどうなんだろうかと。まだまだそういう強靱化されていないところがたくさんあるという中で、どういうバランスをとっていくのか、どういう各省庁や自治体との連携をとっていくのかと、情報を共有しておくのかということが大事であって、一概に無駄だとか、そういうところはどうしようかと、なかなか難しい昨今になってきたんではないでしょうか。むしろ防災意識からすると、私は向上してきたような気がします。だけれども、全てにおいてどこまでお金をかけるかというのは、非常に難しい問題としてはあるということは言えると思います。

(以上)