小此木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月29日

(令和2年9月29日(火) 10:41~10:55  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。
 私からですが、9月26日土曜日に熊本県の球磨村と人吉市を訪問しました。老人ホーム「千寿園」で犠牲者に黙祷を捧げました後、仮設住宅や避難所で被災者の皆様と直接お話をさせていただきました。蒲島知事をはじめ首長との意見交換を行いました。
 今回の視察では、避難所におけるコロナ対策の取組も見てまいりましたが、人吉市の避難所では、国からプッシュ型で送付した段ボールベッド、あるいはパーティション等が有効に活用されておりました。直接床に敷く布団よりも高さがある段ボールベッド、これはウイルスに対してはさらに避けられるというようなことがあるということで、知事から直接そういう話を伺いました。
 球磨村の仮設住宅で被災者とお話しした際ですが、「今後の住まいの再建に向けて、治水がどうなるかが気にかかる」と。この「治水」という言葉は、大体、政治家、議員、あるいは首長さんの間ではよく使われる言葉ですけれども、仮設住宅に住まわれてから5日、6日目の若い奥さんだったんですが、「治水」が気にかかりますという言葉を受けて、かなり深刻にといいますか、不安が残っているような感じでもありましたので、この問題が地域の重要な課題となっているということを改めて感じました。
 球磨村では、特に専門家を交えてタイムラインを作成するなど、いわゆる構えの部分については全国の自治体でも先進的な避難に係る取組を進めてきたと、こういう認識がありました。ところが、千寿園などで14人の方が亡くなるなど、早朝のこともあったのですが、そういう被害が生じたとのことでありました。
 今回行った視察の結果については、関係各省としっかりと共有して、現地の復旧・復興や、今後の災害対応に活かしてまいります。
 もう一つですが、明日なんですが、領土問題担当大臣といたしまして、明日の午前、領土・主権展示館を視察いたします。
 領土・主権展示館の視察は初めてですが、我が国が抱える領土・主権問題について、その認識を深めるとともに、今後の情報発信のあり方を考える機会と考えております。視察後、皆さんから何かございましたらば質問にお答えしたいと思います。
 なお、日程や取材にかかわる詳細は、領土・主権対策企画調整室に照会をしていただきたいと存じます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、冒頭のお話の中で、熊本県での視察のことをお話しいただきました。その中で2点ほどお尋ねさせてください。
 先ほど球磨村のタイムラインのお話とかも触れられたんですけれども、タイムラインを設けていながら被害が防げなかった部分というのも多くあると思うんですけれども、国として例えば制度面でも改善の余地があると考えている部分があるかどうかというのが1点です。
 あともう一つ、仮設住宅での避難者の方の「治水」が気になるというお話がありました。今、氾濫した球磨村について国と県で検証作業が始まっておりますが、ダムをつくるとかつくらないとかいうような議論もございます。この球磨川の治水の方向性について、大臣何かお考えがあればお聞かせください。よろしくお願いします。
(答)まず、私たちは想定外という言葉を使って言いわけのように発信するのはいいことだと思っておりませんけれども、現実に球磨村に参りまして千寿園では、早朝のこともあり、結局、対応ができなかったという町の方々の反省の思い、悔しかったとも言える感情が伝わってきました。そのことを率直に受けとめて、感じながら、こういう災害についてはタイムライン、つまりあらかじめ意識の中でも体制の中でも、構えはあったと思いますが、それが足りなかったことに対して、改めてその思いと現実にあったことを検証して、これから来てもらいたくないけれども、そういう災害についての構えを新たにしたいという、これは情報共有、そのときの在り方の共有、それから次に備えるということにほかならないと思っています。
 検証委員会について、仮設住宅に入れてもらいまして、直接御家族の方に話を聞きました。最初、笑顔で迎えてくれたんですね。その裏にというか一方では、家が流されたり、知人が亡くなられたりしたこともあったんでしょう。そこまではお聞きしませんでしたけれども、そういう中で笑顔で迎えてくれたことに一種の感動をいたしましたが、最後に知事や私たちに向かって「治水はどうなんでしょうか」ということを真剣に聞かれました。変な話ですが、若い方から「治水」という言葉が出てくるとは、ふだんの感覚では思わなかったんだけれども、非常にその不安というものが身近だったんだなということを感じましたときに、既にこの豪雨の球磨川豪雨検証委員会というものが開かれ、知事からも11月を目途として皆様にお答えをしたいという話がありましたので、そこは改めてそういうところも国が注視していかなきゃならないと思っています。
(問)1点だけなんですが、先ほど千寿園のことをお話になったときに、検証が必要だというふうなお話をされたんですが、既に国交省と厚労省の方で千寿園の被害について検証する動きがあるやに聞いておるんですが、内閣府防災として何か検証に関わっていくというか、また別の形での検証というのは何かあるのでしょうか。
(答)検証というのは情報共有も一つの大きな在り方だと思っていまして、つまりその特にお年寄り、お一人ではなかなか歩くことができなかったり御不自由な方々、車椅子を必要とする方々が早朝そのようなことがあって、何とか2階に連れていかなきゃいけないということもあったんだと思います。それが実際にどういうことがあったのかということを詳しく今、検証がされているんだと思いますけれども、そういう答えといいますか、次につなげると。次あってほしくないけれども、起こらないということは言えないわけであって、そういったところの情報を共有するということだと思いました。
 それは何も球磨村だけじゃなくて、そういった答えが出たときに、いろんな地域に私たちは発信をしていって、正に公助な発信をしながら、そして自助の中で自分たちでも地域の皆さん皆さんで考えていただくと。こういういろんな組み合わせの中で発信をしていかなきゃいけない、そういったことに検証を私たちも内閣府も役立てなきゃならないという意味で申し上げました。
(問)防災の観点から、郵便局長や郵便局に期待されることはありますでしょうか。あと、郵便局長の半数以上が防災士資格を取得しておりまして、近年、災害備蓄管理士というような新たな資格もできたようなんですけれども、それについてのお考えだとかをお願いします。
(答)郵便局長さんが全国に2万3,852人おられるそうですが、そのうちの半数以上の1万1,967名の方が防災士の資格を持っておられるということを認識いたしました。頻発する災害に対応して、地域の防災力を高めるためには、行政による公助と連携し、地域の住民等による自助・共助の取組を進めることが重要であると思っています。そういう中で、郵便局長さんはいろんな地域の行事にいらっしゃいます。私たちにも一人一人選挙区があって、今年はコロナ禍で、そういう行事の中止が相次ぎましたけれども、大抵の行事にはそういう郵便局長がいらっしゃいます。余程地域の情報に詳しい方々、あるいは歴史的に名士と言われる方も多い中で、郵便局には日頃からいろんな情報が集まり、地域のことをよく知る郵便局長が、防災士の資格を持って地域の実情を踏まえた防災啓発活動や防災訓練等を引っ張っていただいていると、大変心強く思っていることであります。
 今後とも地域の郵便局長や郵便局には、地域の防災活動への積極的な御参加を期待するとともに、内閣府としても、地域で多様な防災の担い手の連携が進むように環境整備を進めてまいりたいと思います。
(問)視察の話に戻ってしまいますが、先ほど「治水」の話が出ましたけれども、被災者であったり被災地域の復興・復旧について、その他具体的な要望であったり、住まいの再建であったり、何か具体的な要望とかそういうのは何かありましたでしょうか。
(答)さっきの方が言われたように、タイムラインは備わっていたけれども、こういうことになってしまったという地元の方々の反省といいますか、残念だった、悔しい思いをした、繰り返しになりますけれども、そういった思いを感じたということがすごく強く印象に残っています。
 この仕事をして、この前も、先週ですか、答えたんですけれども、災害というのは繰り返し起こってもらいたくないんだけれども、しかし、やっていたにもかかわらずとか、あるいは同じ目に何年か後に遭っているとかという話も必ず聞こえてきたんですね、これまで。だから、その経験を持つたびに、言ってみれば悔しい思いをしないように、さらに構えの意識を高めたいというのは、感情として伝わってまいりました。私たちとしては、そういうことがあったことをしっかりと伝えて備えてもらいたいと。というのは、繰り返しとか悔しい思いをする人もいれば、この前言いましたように、こんな大災害は初めてだと思っている方々もいらっしゃいます。あるいは、「逃げてください」と言っても逃げてくださらない方もおられるという経験も聞きました。そういう中で、繰り返し繰り返し、自助・共助・公助のあり方、あるいは組合せも含めて発信していくということが大事だと思いました。
(問)別の領土・主権展示館の視察ということで、この辺、記憶が曖昧なんですけれども、今年に入ってリニューアルオープンをされて、どんどんこの問題について日本としても、自らの主張を発信していこうという思いを感じたんですけれども、今回視察するに当たっての狙いというか、これは就任に当たっての視察という位置づけでよろしいんでしょうか。
(答)そうです。私自身もやっぱり再認識する必要があろうかと思いますので、そこの担当大臣が参りまして世間の皆様にアピールすることが重要だと考えております。

(以上)