西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月15日

(令和2年9月15日(火) 14:53~15:22  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私からは5点申し上げます。
 まず、本日の閣議で、先月末に対策本部で決定いたしました、今後の取組で示された施策等を執行するために必要な経費として、総額1兆6,386億円の予備費の活用を閣議決定いたしました。医療体制の確保に1兆1,946億円などであります。
 それから2点目。本日、10時45分から1時20分ぐらいまで、第1回の大都市の歓楽街における感染拡大防止対策のワーキンググループを開催いたしました。私も最初から最後まで出席いたしました。全国の、北海道から九州、福岡までの5つの自治体の皆さんに、都道府県と市区町村に御参加いただきました。
 その中で、4月、5月の緊急事態宣言時の経験、それから7月、8月の感染が再拡大したときの経験、これを各自治体から取組等を説明いただいたわけですが、もう御案内のとおり、いずれもこの大都市の歓楽街における、いわゆるキャバレーやクラブなどの接待を伴う飲食店から感染が広がったと考えられています。飲食店などにおいてクラスターが発生し、それが広がっていったと考えられています。今後の感染拡大、いわゆる秋冬のインフルエンザとの同時流行などにも備える意味から、対策の強化を図れるように、このワーキンググループを設置したところであります。
 御案内のとおり、今日、御参加いただいたのは、北海道、東京都、大阪府、愛知県、福岡県と、それぞれの市区であります。そして、参考までに沖縄、神奈川、静岡県、山口県などの取組も出していただきますけれども、ここではPCR検査の実施の実績だけ整理させていただいています。
 例えば東京の歌舞伎町では、7,675件のPCR検査をやっています。これは4月下旬以降と書いていますが、この数字は6月、7月、8月の合計の数字だと思います。21%の陽性率があったということですが、大阪のミナミ地区でも5,800、すすきのでは2,000を超える検査、沖縄松山地区でも御案内のとおり2,000を超える検査を関係者の皆さんに呼びかけて行ってきております。愛知県で924件、福岡では410件。
 それから、それぞれの地方でも感染があったところでは、浜松でもクラスターが発生しましたけれども941件、山口県山陽小野田でも190件など行われてきています。横浜が152件と、ちょっと少ないですけれども。
こういったそれぞれの対策で合わせて、それぞれの地区で4月、5月と、それから7月、8月は特に期間・地域・対象を絞った特措法に基づいて休業要請や営業時間短縮などの措置を取られています、要請が行われています。
 こういったことの分析をしっかりと行った上で今後の対策を議論していきたいと思っていますが、特に挨拶の中でも申し上げましたけれども、今申し上げたようなデータ、それから陽性者の数、それからそれぞれの地域の規模、店舗数とか従業員の方の数とか、こういったものをきめ細かに分析して、これだけのそれぞれの地区で差はありますけれども、PCR検査を幅広く行っていっています。
 これがどの程度効果を持ったのか。前々から申し上げていますとおり、無症状の方でも、関係者に幅広くやることによって陽性者が特定できれば、そこから2次感染を防ぐことができます。そういった取組がどの程度の効果を持ったのか、こういったことも含めて分析を進めたいと思っております。その際に人工知能、スーパーコンピューターなども活用することも考えています。やはりここが急所、肝になってくると思いますので、この大都市部の歓楽街での対策を進化させていきたいと考えています。
 そうした中で、通常時からPCR検査を受診勧奨するとか、相談体制をしっかり作るとか、事業者にはガイドラインの徹底、それから対策を講じていく中で、やはり地域と事業者、従業員の方々との信頼関係の構築も大事でありますし、正確な情報を共有する、知識を共有するということも大事です。新宿では勉強会を10回近く開いたという御説明も今日ありました。そして、それぞれの状況、下水なども使ったサーベイランスも含めて、平常時から取り組む対策。そして、感染が広がってきたとき、検知されたときに速やかに対策を講じるということで、今回取られた戦略的大規模なPCR検査の実施とか、陽性者の方には宿泊療養施設の確保が必要です。そして、特措法の関係。協力的でない店舗への対応をどうするか。そして、いずれにしても、感染拡大すると保健所が大変になりますので、保健所の支援をどうするべきなのか。こういった対策を中心に議論を進めたいと思っております。
 今日も、それぞれの自治体から課題も含めて様々な御説明がありましたので、整理しながら何回か、この9月、10月で開いて、10月中には一定の取りまとめを行い、この秋冬に備えていきたいと考えています。
 それから3点目であります。分科会の議事概要の公表についてであります。第1回の分科会、いわゆる新型コロナウイルス感染症対策分科会ですね。専門家会議が発展的に移行したこの分科会の第1回、7月6日の議事概要は既に公表しておりますが、本日、第2回、7月16日の議事概要を公表いたしました。
 名称は議事概要と言っていますけれども、見ていただいたら、もう抜粋だけなんですけれども、こういう形でお一人お一人の名前と発言内容を詳しく書いておりますので、名称は議事概要でありますけれども、見ていただければもう議事録と呼んで良いと思います。お一人お一人の発言を確認して、個別名称とか個人情報にかかわる部分は整理してありますけれども、基本的にどういう議論が行われたかということが全て分かるように公表いたしました。本来であれば、3カ月以内ということでまだ時間はあるんですけれども、できるだけ早く公表していくという方針で臨んでおります。
 お一人お一人に御発言を確認する時間は必要ですけれども、今後も分科会の議事録について、できるだけ詳しく記録を残していきたいと考えておりますので、このような形で、ほぼ議事録と言って良いと思いますけれども、残していければと考えています。
 それから、4点目です。コロナ対策サポーターからまたメッセージが届きました。ソフトバンクのPepper君からであります。見ていただければと思います。テクノロジーを使った感染症対策ということでコメントが届きました。

(動画開始)
(Pepper)こんにちは、Pepperです。コロナ対策サポーターを務めさせていただくことになりました。僕たちロボットは感染することがないので、新しい日常をサポートするお手伝いを日々行っています。テクノロジーを使った感染症対策や、新しい生活様式の情報など、沢山お伝えできたらと思います。1日も早くこの事態が収束できるように僕も頑張ります。一緒に乗り越えましょう。Pepperでした。
(動画終了)

(西村大臣)既に東京都においては、このコロナウイルス感染症の陽性者のための宿泊療養施設において入居時の出迎えとか、入居者の食事の受け取り時にこのPepper君が声掛けをするなど、もう既に活躍していますけれども、新たにこの動画をいただきましたので、本日、内閣官房の特設サイトで公開したいと考えています。
 いずれにしても、多くの方々に正確な情報を伝え、また、接触確認アプリCOCOAのダウンロードをはじめ、このコロナ対策をしっかりそれぞれのお立場で取り組んでいただければありがたいと考えています。
 最後に5点目。本日の感染状況についてでありますが、全国のカーブはこのような形で。これは発症日別ですので、7月の末から減少傾向にあることは変わっておりません。
 東京の発症日別のエピカーブですけれども、ちょっとここのところ、もう9月3日が12日前になりますので、ここから先はまだ積み上がりますから、この辺はまだ増えてくると思うのですけれども、ちょっと横ばいというか、こういう状況、下げるスピードが落ちています。
 東京の陽性率も3.7%でかなり低いんですけれども、ちょっと横にはっている感じがします。
 大阪も全体に減少傾向が続いておりますけれども、少し凸凹しているところがありますので、全体としては減少傾向ですけれども、スピードはちょっと緩やかになってきているのかなという印象があります。
 東京都の陽性率も3%台で推移していますが3.7、愛知県も3%台だったのが5%台ということ。検査の数が、日曜日ですから普段の5,000件のレベルからは少ないわけですけれども。それから、大阪府も5%。他方、福岡県は1.7、沖縄も1.7と、かなり低い水準まできていますので、全国的な傾向は変わっておりませんけれども、少しペースが落ちてきている感じもありますので、ここはよく注意して見ておかなければいけないと思っています。
 60代以上の方の陽性者も、この1週間で100人台半ばでありますから、300人台だったピーク時に比べるとまだ半分ぐらいですけれども、よく見る必要があると思っています。
 重症者の方も、東京の人工呼吸器、ECMOは22人、大阪もピーク時は70人ぐらいこの7月、8月はありましたけど、今は36人まで減ってきています。この間も少しお話ししましたけれども、阪大病院の先生方からも聞きましたけれども、かなり治療方法が定着してきたということで、中等症から重症化する際には腹ばい、うつ伏せで腹臥位というので、それで人工呼吸器をつけるのが非常に効果的だというようなことも分かってきたということでありますので、重症化をかなり抑えることができているということであります。
 第2ステージから第3ステージの指標、第4ステージの指標も、もう赤の第4ステージのところはなくなっていますが、幾つかのところで25%、20%、25%、20%を超えているところがあります。陽性率は10%ですが、もうほぼというか、全部かなり低い数字になってきています。全国も4%程度、最近では3%から4%程度でありますのでかなり下がってきていますけれども、このあたりの指標もよく見ながら対応していきたいと思っております。
 人工呼吸器とECMO。人工呼吸器も4月のピーク時から、この7月、8月のピークは半分ぐらいで、もう減少傾向にあります。ECMOも、さらに厳しい方はECMOをつけられるわけですが、4月のピークから3分の1程度で、ここも減ってきていますので、全体として重症化しないように、また、命をお守りできるようにしっかりと体制
を組んでいきたいと考えております。
 こうした状況で、全体としては、全国的には減少傾向が続いているという認識でありますが、地域、地域の状況をよく見ながら、引き続き注意しながら見ていきたいと考えております。
 今週末からいわゆるシルバーウイークということで4連休となります。多くの大学では秋学期、対面授業も開始されるようでありますし、また、東京都は8月から実施してきた飲食店の営業時間短縮が本日までということで、明日からは解除になります。そして、イベントの開催制限についても19日以降緩和はできるということでありますが、こうした状況で感染拡大防止と、そして経済活動、社会活動との両立を図っていくわけであります。
 経済活動、社会活動を広げていくためには、感染拡大防止策の徹底が必要であります。各都道府県にも通知させていただいていますが、19日以降のイベント開催の緩和についても、それぞれの業界でガイドラインをしっかりと改定して、そしてそれを守っていただくことが大前提でありますので、現在、各省庁を通じてそれぞれの団体にも通知がなされています。劇場やスタジアム、それぞれ感染防止策を徹底していただいて、例えば入り口のところで検温をするとか、あるいは接触確認アプリを推奨するとか、それぞれの都道府県がやっている通知サービス、QRコードの読み取りの通知サービスを推奨するとか、こういったことを含めて、そして、イベントの前後で密な状態にならないように順次入っていってもらうとか、あるいはトイレとか飲食の場所とか、これを注視する。こういったことを含めて徹底してもらうことが何より大前提でありますので、そうしたことを実行していただきながら、経済活動、社会活動を広げていくということであります。
 それぞれの地域の状況をよく見ながら、主催者におかれてはそうした対策を講じていただくと同時に、各都道府県においては足下の状況も見ながら適切に判断して対応していただければと考えています。
 各都道府県には通知を送らせていただいて、事務レベルで都道府県にしっかりと説明を行ってきていますので、今後、経済活動を広げていく中で感染が広がらないように、それぞれの立場で努力していただければと思います。
 それぞれお一人お一人の、基本はマスクをし、消毒をし、そして換気のいい場所で、大声は出さないということが大事であります。3密を避ける、これはもう基本でありますので是非徹底していただきたいと思いますし、事業者の皆さんはガイドラインの徹底をお願いしたいと思います。
 そうした活動をしながら経済社会活動との両立を図っていくということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)何点か伺わせてください。まず、本日会議が行われました、大都市の歓楽街での感染防止のワーキンググループですが、歓楽街の感染防止には、やはりPCR検査を幅広く行っていくということが大事だということですが、一方で、ガイドライン守れなかったりとか、休業要請を無視したりとか、非協力的な店舗もまだまだあると思いますが、その辺の問題の対応について伺えないでしょうか。
 あともう1つ。PCRを広げていく中では、新宿区もそうだと思いますが、保健所の負担が非常に大きかったということですので、例えば保健所以外でPCR検査をすぐ受けられる、また、相談できるようなそういったセンターを歓楽街に作って広げていくとか、そういうことも検討課題にあるのでしょうか。
 あと、最後にこれはちょっと全然違う話になりますが、昨日の自民党の総裁選挙で菅官房長官が大差をつけて選出されました。大臣は菅官房長官の支持を表明されていましたが、新総裁に対する期待、何を望むのか、その辺を伺えないでしょうか。
(答)まず、この歓楽街対策ですね。PCR検査については、先ほど御覧いただいたように各地域でかなり前広に呼びかけを行って、無症状の方も含めて、あるいは店舗に陽性者が出ないお店も含めて、かなり前広に行ったことによって陽性者を特定し、そこから2次感染、3次感染を防いできた面があると思うんですね。このあたりの分析をしっかり進めたいと思っています。地域によって、規模によってこの検査件数の差もありますので、進めていきたいと考えています。
 今日の議論でもありましたけれども、そうした中で、協力的なところはもちろんPCR検査を受けて、むしろそこは陰性者が多いわけですね。ところが、協力的でない、潜ってしまうようなところが受けてくれない。むしろそちらの方が感染している方がいるかもしれないリスクがあるわけですね。ガイドラインを守ってくれていない、そういったお店が受けてくれていない面がありますので、このあたりは今日も議論になりました。先ほどの前のページですけれども、非協力的な店舗へどう対応していくのか、このあたりが大きな焦点だと思っています。
 座長の今村先生は駒込病院の感染症対策をやっておられますけれども、いわゆるHIVの経験もお持ちでありまして、基本は信頼関係を作りながら、地下に潜ったりしないように対応していくことが基本だと考えられています。
 新宿区の取組もこれまでも御紹介してきましたけれども、新宿区長が先頭に立って、今日も御紹介がありましたけれども、ホストクラブやキャバクラ、約300店舗を2日間にわたって歩いて、ガイドラインの遵守やこうしたPCR検査の呼びかけも行われていますし、勉強会も何回となく、正確な情報を知ってもらおうということで行われています。そうした信頼関係のもとで、先ほどの数字のとおり7,000人を超える方が受診されているわけでありますので、基本はこういった取組が大事だと思いますが、今日も議論になりました、やはり協力的でない事業者もいますので、そういったところについてどう対応するのか、このあたり、特措法の24条9項で休業要請などもできるわけですけれども、そういったことも含めて、さらに何が必要か、何をしなければいけないのか、こういったところの議論を詰めたいと考えています。
 それから、保健所の負担についても今日も議論になりました。大きな論点の1つだと思っています。
 一番下のところにも書いてありますけれども、まさに感染が広がってくると保健所の負担が非常に重くなってきます。そこで今日も幾つかの自治体から紹介がありましたけれども、いわゆる専門的な疫学的調査の、これは保健師さんがしっかりやっていただかなければいけない部分と、そうじゃない、例えば陽性者に対してどの病院に入ってもらうのか、あるいは宿泊施設に、ホテルに入ってもらうのか、そういった整理とか、あるいは陰性者への連絡とか、そういったいわゆる定型的な実務の部分は保健師さんでなくとも、かなり他の方のサポートができますので、こういった部分をどういうふうにして。普段はもちろん両方やってもらったら良いんですけれども、かなり逼迫してきて陽性者が増えてきた場合、こういったときの対応をどうするのかということもしっかりと考えていかなければいけないと思っていますので、今日もかなりこの点は議論になりました。
 先般、大阪府でお話を伺ったときは、大阪はもう一元的に、今日も紹介がありましたかね、大阪府でどこの病院に入院するかとかは、保健所じゃなくて府が全部段取りをして、一元的に一括して調整しているということでありまして、これによって保健所の保健師さんが自分が担当した陽性の方をどこの病院に入れなければいけないのかというのは、その作業は手間が省けますので、そういったやり方があるということで紹介がなされていました。
 そういったことも参考にしながら、各都道府県のそれぞれ好事例、有効的に効果的に行われている取組なども共有しながら対策をさらに進めていきたいと考えています。
 それから、PCR検査を受けるのに、ここは風評被害もありますし、個人個人の偏見・差別の問題もありますので、「ああ、あの人、PCR検査の所に入っていった」とかというのも、これも本来あってはならないことなんですけれども、そういった風評や偏見・差別の問題も、これも別途ワーキンググループでさらに議論していきますけれども、そういったことがない、気軽に、ちょっと今日熱があるとか、何か喉に違和感があるとか、これはお客さんであっても、遊びに行こうと思って繁華街に行ったら、ちょっと何か喉がおかしいなと思ったときに、本来はそこで遊びに行かずに帰ってもらったら良いんですけれども、近くに相談センターがあれば、そこに相談に行くということも可能ですし、働いておられる皆さんも、何か今日ちょっと違和感あるなと思ったら、相談センターという形でいろいろな健康相談を受けられれば、非常にそれは有効じゃないかと、こんな議論もありました。このあたり、今後現地の調査やヒアリングなども進めていく中で、これはお客さんにとっても、それからそこの地域で働く皆さん方にとっても、御自身の健康、命を守るという観点からも効果的なやり方が何があるのか、これをしっかり議論していければと考えています。
 それから、昨日は菅新総裁が誕生いたしました。私も菅候補に自分の票を投じたところでありますけれども、官房副長官のときから2年間お仕えし、お人柄や改革への姿勢、こういったことを含めて私はお人柄、政治姿勢、尊敬申し上げております。
 様々な御指導もいただいてきました。そして安倍政権のアベノミクスを継承し、それをさらに発展させていくと。特に第3の矢の成長戦略のその肝は規制改革でありますので、これを第一に掲げて取り組まれるということであります。
 さらには、このコロナを機に、日本の取り組んでこなかった一丁目一番地はやはりデジタル化の遅れであります。このことについて、骨太方針でもデジタル化を強力に推進するということが書かれております。規制改革、そしてデジタル化を推進されるというその強い意欲に私も強く支持しているところであります。
 国会議員票も、そして地方票も圧倒的に多数の支持を得られたと思いますので、この安定的な基盤、支持をもとに規制改革、そしてデジタル化を是非強力に進めていただきたいと思いますし、そのことも私の立場で全力で応援していきたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)