西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月11日

(令和2年9月11日(金) 21:06~22:01  於:中央合同庁舎8号館1階講堂)

1.発言要旨

 まず、本日の分科会では、最近の感染状況につきまして分析、評価をいただきました。その上で、今後のイベント開催の制限の在り方、「Go To トラベル事業」、「Go To Eat事業」について政府から提案を行いました。
 分科会では慎重な御意見も含め、様々な視点で御質問や御意見をいただきました。これらを提言として取りまとめられておりますので、後ほど尾身会長からお話しいただきたいと、御説明いただきたいと思っておりますが、私の率直な印象といたしまして、これまでいわば踏んできたブレーキをゆっくりゆっくりと慎重に上げていく、そういう思いで、感染防止策と経済社会活動との両立を図っていく、そんなような今日は受け止めをいたしました。
 具体的には、感染防止策をまずは徹底をしていく、これが大前提であります。その上で、詳細はまた後ほど申し上げますが、イベントにつきましては、9月19日から緩和をしていく。そして、「Go To トラベル事業」につきましては、東京を対象にすることについて、10月1日からスタートすることを予定しつつ、今後9月下旬にかけての感染状況、これを踏まえて、そこをよく見極めながら、最終的に判断をしていきたいと考えております。
 10月1日から予定をいたしたいと思いますけれども、今後の感染状況もよく見極めていきたいと考えております。
 「Go To Eat事業」につきましては、農水省におきまして提言をしっかりと受け止めて対応していくことになります。そして、どの場合も、いずれの場合でもありますけれども、今日提言がなされますが、感染拡大した場合には、より厳しい規制に戻したり、あるいは事業の在り方について見直しを行う、検討するといったようなことも含めて考えていくことになります。「Go To事業」につきましては、具体的な対応は両省において検討されていくことになります。
 それから、大都市部の歓楽街における感染拡大防止対策ワーキンググループの設置を報告いたしまして、来週には第1回会合を開くことになります。
 また、AI等のシミュレーション開発事業について御報告をし、今後の課題などについて御議論をいただきました。
 まずは、私から以上を申し上げたいと思います。尾身先生から分科会の提言を御説明いただければと思います。

(尾身茂会長)尾身です。よろしくお願いします。
 それでは、簡単に今日の議論、我々の提案についてお示しし、皆さんと共有したいと思います。
 今日は今大臣がおっしゃったとおり、こういうことを議論しましたが、今日の私のこれから皆さんと共有するのはここです。一番社会的に関心がある、この今後のイベントあるいは「Go To トラベル」について、私どもの分科会の提案の最終版が今日まとまりましたので、それを今日政府にお示ししました。そのことをちょっと今日、今から御説明させていただきます。
 ここがまず、今日の我々の分科会から政府への提言ですけれども、これはイベントの開催制限緩和についての分科会から政府への提言ということで、「はじめに」という序文と「提言」の具体的なものと分けて、「はじめに」の方ですけれども、未だ医療機関への負荷が続いている状況に未だありますが、全国的に見れば、新規の新型コロナウイルスの感染者の報告については、緩やかですけれども、減少傾向にある。こうした中、スポーツ・文化活動にかかわる大規模イベントを開催したいという期待が高まっている。しかし、その一方で大規模イベントに関しては、参加者が多数かつ広域にわたるため、感染が一度発生した場合の影響が、極めて深刻になる可能性があると考えています。したがって、分科会としては、以下のことを政府に今日提案をさせていただきました。
 まず1番目ですけれども、地域の感染の状況が、ステージ1またはステージ2相当と判断されれば、マスク着用など感染防止対策を徹底することを前提として、5,000人という人数上限を解除することを検討されたらどうかということです。また、歓声や声援などが想定されない、例えばクラシックコンサートなどについては、収容率を100%以内として良いんじゃないか、検討していただきたいとしました。
 さて2番目ですけれども、ある都道府県で、感染の状況がステージ3相当以上、ステージ3とか4と判断された場合には、イベントの人数制限を元に戻すことや、イベントを中止することも含め、慎重な対応を取っていただきたいと申し上げました。
 それから3番目ですけれども、国民向けに、イベント参加の際に気をつける点やイベントの前後にも感染リスクがあることについて、周知徹底をしていただきたいということです。
 それから4番目、最後ですけれども、感染防止と社会活動の両立に向けて、これから民間企業や自治体などとも連携し、大規模イベントにかかわる科学的知見や好事例の分析及びAI等技術を活用したシミュレーションなどを用いて、今までよりも、より有効な対策について、さらに検討していただきたいということにいたしました。
 それから、ステージ1とか2というのは、その最後のアスタリスクのところですけれども、このどこのステージになるかについては、各都道府県知事なんかが主体的に判断をしていただくということだと思います。
 さて次に、このまま続けます。
 今度は「Go To トラベル」の方でも、これも同じように「はじめに」と「提言」と2つに分けています。
 未だ医療関係の負荷が続いている状況にあるが、ここは一緒です。こうした中、1番目のポツですけれども、感染対策を社会全体が徹底すれば、社会経済の制限を徐々に緩めることは可能だと我々は考えております。しかし、感染レベルが落ち着く前に社会経済活動を再開すると、人の移動が活発化し、感染が再燃する可能性が高くなると思います。したがって、「Go To トラベル事業」などを通して、さらに社会経済活動を促進する際には、各都道府県の判断で、感染レベルがステージ1またはステージ2相当まで下がっていることが求められると思います。
 さらに、「Go To トラベル事業」を契機として、新たな生活様式における旅の在り方として、小規模でかつ時と場所が分散される、いわゆる小規模・分散型旅行が定着することを期待したいと思います。この小規模・分散型旅行は、事業者にとっても収益の平準化につながると同時に、また利用者にとっても、生活、余暇の質の向上にもつながると考えられます。このことを踏まえて、新しい生活様式における「Go To トラベル事業」を含め、新たな旅の在り方としては、分科会として以下のことを提言させていただきました。
 まず1番目ですけれども、これはいわゆる小規模・分散型旅行が普及されるようなインセンティブですよね。これを「Go To トラベル事業」の中に組み込んでいただきたい。例えば、人の混雑レベルにより、割引率、混雑をしているところは、ちょっと割引率を低くする。あるいはクーポン券の発行量なども、その混み具合によって調整するということで、あまり混んでいるときには行かないで、すいているところに行くというインセンティブを付す。いわゆるダイナミックプライシングというものを、是非この機会に定着をさせていただきたいということを申し上げました。
 それから、ここの「Go To トラベル事業」を開始する目安として、当該都道府県の感染の状況がステージ1またはステージ2相当であることを基本としていただきたいということを申し上げました。
 それから3つ目ですけれども、全国的に「Go To トラベル事業」を実施したとしても、ある都道府県がステージ3相当あるいはそれ以上と判断された場合には、当該事業にかかわる感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたいということであります。
 それから4番目ですが、全国的に「Go To トラベル事業」を開始する前に、既存のガイドラインがあるわけですけれども、それをもとに旅の旅程にはいろんな場面がありますよね。交通でバスに乗ったり電車に乗る。あるいは宿泊、観光する場合もある、飲食する場合もある、そういう旅程、旅の中の場面ごとに、今よりももう少し分かりやすいガイドラインを、業界が中心になって作っていただきたいということであります。
 それから最後ですが、人の移動に伴う感染拡大のリスクを最小限にするために、その感染拡大が具体的にどのような状況下で生じたかについて、詳細な分析を進めていただきたいと申し上げました。いずれのステージにあるかについては、各都道府県が判断する必要があると思いますが、それを踏まえて、政府が当該都道府県と調整する必要があるのではないかと思いました。
 さて、それと最後にもう一つ情報ですけれども、どんどんページを進んでください。
 今日お伝えするときに決定したのは、いわゆるこの大都市の繁華街における感染拡大防止のワーキンググループを作って、早速こうしたメンバーで1回どのようにして、この大都市の繁華街における感染拡大防止ができるのかという。いろんな関係者がいますよね。そこのお店のオーナー、あるいは利用する人たちと、いかに信頼関係を構築しながら、そのまち、その地域が安全なまちにできるということを、自治体や関係者とともにやっていくということを実施するためのワーキンググループで、それについては、なるべく早い時期にここの今村さんという東京の都立駒込病院のこの人は、エイズのときにやっぱり同じように、エイズにかかった人にどうやって寄り添って感染対策をするかということの経験を持たれる方なので、この方に座長になってもらってやることになりました。これは報告で、また様々な議論が深まって、中間報告なんかも出るときは、そのときは今村先生とかにも来ていただいて、紹介させていただければ。今日はここの肝が「Go Toキャンペーン」と大規模イベントのここだけで、今日は周知をして説明させていただきました。
 どうもありがとうございます。

2.質疑応答

(問)「Go To トラベル事業」についてお伺いします。
 大臣の御説明ですと、10月1日に東京追加を予定しつつ、感染状況を直前まで見極めるというふうにおっしゃいましたけれども、改めてその10月1日の前に分科会を開いて最終的に感染状況等について、また分科会の方で御審議いただくということなのでしょうか。
 足下の東京の感染状況ですけれども、分科会の今日の提言では、ステージ1・2相当を満たしているという条件が付いていますけれども、現状の話、もっと東京はステージ1・2を満たしていないということなのでしょうか、その2点をお願いいたします。
(答)まず、東京の状況につきましては、それぞれの数値、指標がございます。各県の指標を出してください。
 見ていただいたら分かるんですけれども、幾つかの指標はステージ3に当たるところのものも示していますが、ステージ2のものも、これでいきますと、例えばPCRの陽性率は3.3%とか、それから新規報告者、右側のほうですね、4。
 PCRが10%、これは3.3%、新規の報告者数15人というところは7.94まで来ていますし、先週からの予定も0.89というところですから、このあたりはステージも2なんですね。ただ一部にステージ3の指標がありますので、このあたりですね、この利用者数も15ですけれども、16ということで、ちょっと上回っている。こういった状況からステージ3、この数字だけじゃなくて全体でクラスターの状況とか、全体で総合的に判断をしていきますので、機械的に全て当てはめるというわけじゃありませんけれども、幾つかの指標がステージ2、幾つかの指標がステージ3を示しているという状況の中で、ステージ3にあるとはいえない状況だと思います。
 そして、更にいえば、減少傾向が明確になってきておりますので、それぞれの数値はずっと改善をしていっていますから、こうしたことから、状況について御説明を申し上げ、そして10月1日からのスタートについて、基本的には了解をいただいたと考えています。
 ただ、今後の状況次第では、例えば実効再生産数も1より下回っていますけれども、まだ1に近い数字であるとか、あるいは大きなクラスターが出れば当然どんと数は増えることになります。そうした状況をしっかりと見極めながら、判断をしていきたいと考えておりますが、このまま改善状況が進めば、10月1日から開始をしていきたいと考えておりますが、いずれにしましても、様々な御提案も、今日いただきましたので、こうした御提案、御提言を観光庁においてしっかりと受け止めて、そしてまた事業者や利用者に混乱がないということも大事な視点だと思いますので、そうしたこともよく判断をしながら、最終的に判断していくことになりますが、基本は10月1日からスタートをしたいということであります。
 まさに、今の申し上げたこと、そして提言の中にもありますように、何かもうブレーキを思い切り外して、今度はアクセルを思い切り踏む、そういう状況ではないということでありますので、今日の御議論を私自身も聞いておりまして、ブレーキを慎重に上げていきながら、そしてこの経済と感染防止策を両立していく。そのために幾つかの提案もいただいておりますので、観光庁において、しっかりと受け止めて対応していくということになります。
(問)イベント開催についてお伺いしたいんですけれども、今日の結論としては、19日から11月末までということで了解を得られたということになるのかどうかということと、それと今までは屋内外という基本的な考え方を持っていらっしゃったと思いますが、今回はイベントの類型ごとに分類を改められたということになると思いますが、今回の狙いを改めてお伺いできればと思います。
(答)まず、これまでのさまざまな4月、5月の緊急事態宣言を経験したこと、そしてその後、感染がかなり減って、しかし7月、8月にまた再拡大してきたこと、そうした中で様々な対策を取り、そして国内外で様々な研究が行われ、またクラスターがどこでどういう形で発生しているかということも、ある程度分かってきています。
 それから、スーパーコンピューター「富岳」を使ったシミュレーションなども行ってまいりました。そうした中で、そうしたことを踏まえて、感染リスクの高さを少し類型で判断をしていけるようになってきましたので、これまでの経験、知見、これを踏まえて、こういう形で整理をさせていただいたということでありまして、当面11月末まで、9月19日からということで判断しておりますが、やはり大声、これが感染を広げる、これまで手洗い、マスク、3密回避と言ってきたんですけれども、大声と換気、これがかなり影響を与えるということで、大声を出すことがないと想定されるものと、大声を出すことが想定されるものと、やはりここはリスクが違うということであります。
 大声を出すことが想定されていない、そういうことは前提であるというクラシック音楽のコンサートとか、今日議論でもありましたジャズとか、それから人形劇、演劇とか、それからバレエとか古典芸能で文楽、人形浄瑠璃、歌舞伎といったもの、あるいはこうした落語、それからいろんなセミナーみたいなものですね。入学式、卒業式も合唱とかをやらなければ、いろんな前提は、細かい前提はありますけれども、歌を歌ったり大声を出さなければ、みんなでマスクをしてきちんとやっていればリスクは低いもの。
 それから一方で、ロックコンサートとか、あるいはやっぱりスポーツは大歓声が出ます。そしてライブハウスなどですね。こういったものを区別しようということで、こちら側はスパコンの「富岳」のシミュレーションを使っても、飛沫の飛ぶ範囲は分かってきましたので、前を何メートルあけるかすれば、あとは客席は大丈夫だということは分かってきました。クラスターも発生をしておりません。そしてこちらは100%というわけには、まだいかないわけですけれども、引き続き今後もそうした様々な研究を踏まえて、さらにそれを緩和することができるかできないかは、議論をしていきたいと思いますが、今日の時点では2分の1までということであります。5,000人以下の場合は5,000人が上限、5,000人を超える場合は2分の1までということでしたいと思いますが。
 今日提言の中にもありましたけれども、マスクの着用とか、あるいは参加者の把握、何かあったときに、ちゃんと連絡先があること、あるいはCOCOAのしっかりダウンロードを促進すること、それから大声を出さないことの担保とか、それから演者と観客との間の接触を避けるとか、あるいは特に今日、先ほどありました催し物の前後で、イベントの前後で大勢で飲みに行ったり、そういったことがないように、交通機関で密になったりしないような、こんな工夫をしていただくという、こういったことを大前提としながら、一定の緩和を行っていければと考えております。
 今日提言をいただいたこと、こういったことも提言いただいておりますので、大きな方向性としては、政府として9月19日から当面11月までこういった形で緩和をすることとしたいと思いますが、先ほどの御提言にもありましたとおり、それぞれの都道府県で、自分のところがステージ3とか4とかになってきたと、なっているということであれば、当然それぞれの県の御判断で、より厳しい制限を取ることができますので、そのことも私たちのペーパーにはしっかりと明記を今日もしておりますけれども、今後各都道府県に通知をする際には、それの明記もしたいと思います。
 それから、全体として当然、感染状況が日本全体として悪化をしてきた場合、それからこうした緩和をした中で、クラスターが発生をした場合、その原因を見極めながら、そうした状況を踏まえて、当然状況に応じて見直しを行っていくことはあり得ますけれども、当面11月末まで、こういった形で運用していきたいと考えています。
(問)「Go To トラベル」についてお2人にお伺いしたいんですけれども。
 尾身先生にはステージ1~4ということで、区分について、各都道府県が基準を定めるということにしておりますが、現状、東京都を含めて多くの自治体は、自分たちがどこのステージにあるのかというのを公言していないんですけれども、そうなると制限の実効性がなくなるんじゃないかという疑問があります。そのことについての御意見と。
 あと現状、沖縄とかはステージ3とか4の数値が結構多いと思うんですけれども、現在、「Go To トラベル事業」を実施している対象地域でも、そういうところは一旦止めるという必要性があるのでしょうか。そこについて尾身先生に伺いたいです。
 西村大臣には、各都道府県がステージを自分たちでどこに位置付けるのかというのを、指定するべきなのかということについて、そこの御意見もお願いします。
(答)では私から先にお答えします。このステージの指標は、まず大前提として機械的に当てはめて、幾つ当てはまったからステージ幾つということではなくて、総合的に判断をしていくと。一時的に数字が悪化しても、それは特定のクラスターが発生していることもありますので、全体として総合的に見ていくということが、分科会でも提言の中に含まれています。その上で各都道府県、それから私たちも日々、どの県が、どの数字が、どこに当たっているかというのは、特に3とか4になっているかどうかというのは、毎日見ております。
 先ほどお示ししたこれは、ちょっと感染が多い所の都道府県だけを挙げておりますけれども、毎日私はこれとにらめっこをしながら、そして数字が悪くなっている都道府県知事と連絡を取って、これはこういうふうになってきているけれども、どういう状況ですかと。あるいは国として何か支援が必要ですかとか、あるいは場合によっては休業要請などの措置についてどうしましょうかと、そういった相談を受けることもあるし、私からも連絡を取って対応について協議をしていっています。
 当然ほぼ毎日、尾身先生や押谷先生とこういった指標も見ながら、都道府県の状況、それからクラスターの状況についての分析をお聞きして、私が取るべき必要な措置を各都道府県と連絡を取ってやっていっています。ということですので、状況を見ながら悪化してきているところがあれば当然、連絡を取ってどう対応をしていくかということを考えています。
 沖縄の例でいえば、特に医療の状況が非常に一時的に悪化しましたので、何度も御説明してきましたけれども、看護師さんや保健師さんの派遣、それから療養施設の確保、こういったことも含めて国として全力を挙げて応援してきた。そして、沖縄県では那覇市の松山地区、繁華街のPCR検査を2,000人以上の人に集中的に行って、そしてそこで陽性者を特定して、その範囲で二次感染、三次感染をしないように防いできた。
 こういった積み重ね、さらには休業要請や時間短縮の要請なども行って、国と県がこういった連携しながら対応してきたことによって、減少傾向になってきているわけでありますので、それぞれのどの対策がどう効いたかというのも、これから先ほどの大都市の都市部における繁華街の対策の中で、沖縄県の事例も是非取り上げてやりたいと。大都市と言えるかどうかは別として、感染が広がりましたので、取り上げて分析をしていきたいと思いますけれども、そういったことを日々連絡を取り合いながら、こういった様々な事業についても対応をしてきているところでありますし、これからもそうしていきたいと考えています。

(尾身茂会長)私の方から今の御質問に答える中で、「Go Toキャンペーン」とイベントについては当然のことですけれども、極めて一般社会の人は随分関心がありますよね。先ほど結論だけを出して、どういうレコメンデーションをしたというのをお見せしたんですけれども、この機会ですから、今日は随分ここが議論に出ましたので、どんなふうに分科会のメンバーが考えたか、感じたか、なぜこのレコメンデーションを出したかについて、説明を補足的にさせてもらいます。
 まずは政府の方の「Go To トラベル」にしろ大イベントにしろ、なるべく社会経済を少しずつ徐々に気を付けながらやられたいという意向は、我々、医療関係のメンバーも経済社会のメンバーも、みんなその気持ちが分かるというか。その中で実は今日かなり議論があったのは、国の方の一応の目安として、「Go Toキャンペーン」の方は10月1日ぐらいにできればいいんじゃないのか。それからイベントの方は9月19日に始められたらいいんじゃないのかという話は、我々も聞きました。
 我々の分科会からの2つの提案では、あえてその日にちを書いていないんです。我々はいつやるということについてあえて言及しなくて、むしろなぜステージのことにしたか、ということを少し説明したいと思います。
 実は感染状況をどう捉えるかということでも随分今日は議論がされました。皆さん覚えておられると思うんですけれども、7月に「Go Toキャンペーン」で東京を例外としたときの3つの根拠は、東京の感染の状況が、言葉が適切かどうかわからないですが、別格だという話があったことが一つ。それから東京から感染が全国に広がったということが疫学上分かっていたこと。それから三つ目は、東京の人流が圧倒的に多いこと。この3つでしたよね。
 人流についてはすぐには変わらないですよね。感染が別格だったということが当時はあったんですけれども、今は東京も多少は感染がひどくなったけれども、全部の県ではないですけれども、他の県が一部上がってきて、東京とその他の差が、7月の時期に比べると比較的縮まっているということは事実なんです。
 ところがあえて我々が日程について言及をしなかった理由は、今日の実効再生産数なんかもそうですけれども、東京は確かに1を下回っているんですけれども、まだ1すれすれで、これからどうなるか分からない。確かに新規の感染者数も徐々に落ちているんですけれども、大臣もさっきおっしゃいましたように、さっきのステージでいうと3の部分に入っているところもあるし、それとまだ新規の感染が下火にはなっているけれども、本当にまだそれが定着してというところまで、まだ医療界の方が行っていないんじゃないのかということで。
 もう一度言います。確かにそういう中で感染は下方向に行っているんですけれども、まだこれが完全に落ち着いたというところまで行っていないので、常に再燃の可能性がまだあるんだというのが、分科会のメンバーの今日の。したがって期日を。
 そういう中で今、「Go Toキャンペーン」というのを仮に東京を外して、今こういうふうに我々が判断している中で、仮に条件をさっき言った1とか2のステージを満たさないでやってしまって、これでむしろ感染が拡大してしまうということが起きた場合に、せっかく始めた「Go To トラベル」というものが信頼を失うんじゃないかというのが、我々の今日の1つの大きな根拠です。
 それともう一つは、せっかくこれだけ税金を使ってやる事業ですよね。これについてはやっぱりある程度基準みたいなものがあって説明ができないと、一般の我々市民は納得できないんじゃないかと。そういうようなことで、私たちはもちろん国が10月1日、そういうふうに準備することは当然ですよね。だけども私たちは10月1日というのを前提、あたかもそれで決まって、何が何でもやるんだということについては、分科会は少し待ってくださいよと。しっかりと感染のレベルが2あるいは1になってからやっていただいた方が良いんじゃないかということは、かなり強く今日の議論の中で出ました。
 ちょっと長くなりましたけれども、そういう中でステージ3とか2とかはっきりしないなら実効性がないんじゃないかということですけれども、これは大臣に説明していただいたように、これが目安で、これを使って最終的に知事たちに判断していただくということですから。今日も平井知事が知事の代表という形でいて、知事たちもこれについてはそういうものとして理解をしていただき始めているので、そのこと自体、私は特に問題ないと思っています。
 むしろもう一度繰り返しますと、国が準備して、我々もその気持ちというか考えは十分分かるので。ただ、万が一まだステージ3なんかにいるときにやると、せっかくやったものが信頼を失う。今日の時点でまだ東京はそこまで盤石でなく、確かに感染は下火になっているけれどもという非常に。いつも重要になって申し訳ないけれども、なので、やはりステージ1・2というのが原則で、これは大規模イベントの方も同じことをして、そういう基準。
 このことにみんなが、社会が、言ってみれば、感染をゼロにすることは、「Go To トラベル」とイベントだけじゃなくて、これからまだ長丁場になる。どこまで感染を抑えたらいいかというのは、我々分科会としては2、1のところに既に行って、多少感染が来たら、すぐにまた知事たちなんかのリーダーシップで、ハンマーとダンスということを、私たちは日本の社会の、これからの戦略の共通の理解としていただければということで、今日はステージ1・2ということをかなり強調させていただいたのはそういう理由です。
 それから最後にもう一つ。この前の「Go To Eat」のときもそうですけれども、国民の税金を使ってこういう事業をやるんでしたら、新しい生活様式ということで、さっきの小規模分散型旅行というようなものを、これは今日明日の問題というよりも、これからの日本の社会、今までの社会の人々の生き方、仕事の在り方、レジャーのやり方について、せっかくこういう危機があったので、これを逆手に取って、新たな人々の生き方、働き方というものに、こういう機会ですので、是非。
 単に感染症対策ということじゃなくて、そういうことの契機にしてやっていただきたいという気持ちがかなり強く、分科会のメンバー。そういうこと。ちょっと長くなりましたけれども、今日の2つの提案の背景を説明させていただきました。
(問)西村大臣にお伺いしたいことがありまして。
 期間なんですけれども、9月19日~11月末というふうにされていますが。まず9月19日なんですが、これは4連休の初日でもありますし、新内閣の発足直後ということもありますけれども、前倒しで緩和するに当たって、この辺をどの程度意識されたのか。
 加えて11月末という期限なんですけれども、これまで緊急事態宣言解除後、3週間ごとに緩和を徐々にされてきて、ブレーキを踏んだときも1カ月というふうな期間で様子を見られていたと思うんですけれども、2カ月を超えて一定の期間を見るという、その2カ月超の背景というか考え方について教えていただければと思います。
(答)まず19日は、新内閣発足とかは全く関係ありません。私がいろいろ考えた中で、あるいは議論してきた中で2つのことでしょうか。一つはJリーグやプロ野球機構から御要望をいただいた。また、それぞれのトップの方、コミッショナー、チェアマンと議論する、意見交換をする中で、9月19日というのはやはり大きな節目として、両団体は非常に意識して考えておられるということがございました。直接お話をする中でそういう要望をいただきました。
 それからもう一つは、今日も御提言をいただきました、感染防止策をやはり徹底していくことが大事でありますので、これが大前提でありますので、今一度それぞれの劇場であったりスタジアムであったり、それから人数が増えるわけですから、もう一度密にならない状況、あるいは換気の状況、トイレや飲食の場面、あるいは前後の場面、それから接触確認アプリ「COCOA」を促していくステッカーを張ってもらったりとか、そういったやはり一定の準備に1週間程度はいるだろうということで、9月19日ということで設定させていただきました。
 それから、なぜ11月かということですけれども、通常、年末年始はさまざまな大きなイベントがありますので、そこに際してはもう一度確認をする必要があるのではないかということ。それからもう一つは、やはり冬の時期のインフルエンザとの同時流行ということを考えると、どこまでが秋でどこからが冬というのはありますけれども、そうしたことを踏まえて、11月末までということにさせていただいています。
 ただ、当然、今の「Go To トラベル」の話もそうでありますけれども、感染状況は日々変わりますし、大きなトレンドも変わってきますので、今は減少傾向にありますから、これが今の尾身先生のお話のとおり、東京が定着することを確認していきたいと思いますけれども、大きなクラスターが発生したり、先ほど申し上げたように、様々な御意見を今日いただいています。私の印象としても繰り返しになりますが、今ブレーキをパンと外して、アクセルを全力で踏み込むような状況ではまだないということでありますので、ブレーキをゆっくりゆっくり慎重に上げていきながら、つまり感染防止策をしっかり取ることを定着させていきながら、経済社会活動を拡大していくということでありますし、その両立を図っていくために様々な工夫をし、「新たな日常」をみんなで作っていくということだと思いますので、その「新たな日常」の1つの提案として、先ほどの小規模分散型旅行というものの提案を受けました。
 みんなが同じときにわーっと旅行に行って密になるのではなくて、平準化されて、しかも大規模旅行ではなくて少人数で行く。それがそれぞれのいろんな時期にあると。これは働き方改革、休みの取り方などにも影響してくるわけでありますけれども、そういった狭い意味で、今すぐやれる「新たな日常」もあれば、中長期的に作っていくものもありますけれども、そういったことを頭に置きながら、ブレーキを徐々に徐々に上げていくわけであります。
 したがって当然、感染状況を見ながら、分科会はいわばその時々の感染状況を、定期的に御判断いただくような場でもありますので、状況を見ながら分科会を開いて、また専門家の皆さんにも御意見をいただきたいと考えています。
 繰り返しになりますが、当然、日々、尾身先生や押谷先生をはじめ専門家の皆さんとは、毎日にらめっこしながら数字を確認しているところでありますけれども、やはり全体として御判断いただく場面がもし来れば、それは分科会を開いて適切に判断をしていきたいと考えています。
(問)尾身先生に伺います。
 大都市の歓楽街における拡大対策のワーキンググループのところで、この文章の中に「大都市の歓楽街は感染拡大のいわば急所」という表現もあり、今回の感染拡大も含めて、歓楽街対策というものが対策の要点になっているというふうに考えているところについて、先生方の議論や御意見というのをもう少し詳しく伺いたいと思います。
また一方で、こういうふうに歓楽街の対策というものを特出しすればするほど、やはり夜の街ということへのスティグマですとか、そういったことに対する懸念ということも上がってくると思います。そういったことについて先生方がどういうふうに考えておられるのか、ということを改めて伺いたいです。
 さらに、この分科会の前のシンポジウムで先生も少しお話をされていたんですけれども、具体的な歓楽街対策の在り方の1つとして、現場にセンターのようなものを設置するということについて、折に触れてお話をされていますけれども、そうした具体的な出てくるべき対策のありようというものについて、どのように考えていらっしゃるのかということについて伺えますでしょうか。
(答)(尾身茂会長)どうもありがとうございます。まずはなぜ急所かということですよね。これはいろんな記者会見でも何度も申し上げたと思いますけれども、今回のいわゆる第2波と言われているようなこの感染の拡大が、実は東京の街から東京の他の街、それから全国に広がったことはほぼ間違いない、というのが我々の判断ですので、これからまた全国的にステージ1、あるいは2になったとしても、同じようなことが起こる可能性がある。
 夜の街というのは、いわゆる3密等々のリスクが高いところですよね。だからそういうところがそのまま何もしなければ、また同じことで。今回も実はかなり早い時期に分かっていたんだけれども、対応が少し後手に回ったというのがあるんです。そういうことがあって何かが起きる前、早いうちに平時から、従業員とかの体の具合が悪ければ、すぐに相談できたり検査できたり、そういうしっかりしたシステムを作ったらいいんじゃないのかということで。
 それからそういうことに政府あるいは自治体、関係者が努力をすればするほど、スティグマというか偏見・差別という御質問ですよね。そういう場所以外にも今は感染したら偏見というのがあるわけで、そういう意味でワーキンググループも作っているわけですけれども。
 今日は2つのレコメンデーションが支柱だったので、こちらはあまり詳細にしませんでしたけれども、実は「そういうスティグマというものをなくすために、事業者やそこで働く人々の信頼関係が重要だ」ということが、今回のワーキンググループの1つのメインテーマといいますか、考えになると思います。これは従業員の人あるいはお客さんも含めて、自治体とか国も含めてみんなが、皆さんの健康と皆さんの街を安全にしましょうという、むしろスティグマとは反対の方向に行くということですから、何とかそういうことでいければいいなと思っています。
 それから相談センターを作るかという話は、私は相談ができるような場所というものがあった方が良いという意味で、これから物理的にそういうものを作るかどうかというのは。ただ、私なんかはこれをみんなと話したときに、実は同じように東京には、結核の感染を疑う人がすぐに相談できるような場所があるんです。
 そういうことが元々イメージにあるので、これは絶対作るとかじゃなくて、疑われた人がすぐに相談でき検査ができるようなことがあると、実は感染が拡大したといったらすぐ分かりますよね。その人たちのケアができる、入院するということだけじゃなくて、モニターができるという部分もあるし、その人たちのスティグマなんかも反対の方向に行くということですから、そんなことでワーキンググループがすぐに活動してくれたもので、なるべく早い時期に皆さんに何らかの報告ができれば良いなと思っています。

(西村大臣)補足させていただきますと、今日いただいた御提案は座長の今村先生が、ワーキンググループ設置の趣旨の中に書かれています。先ほど尾身先生から紹介がありましたとおり、今村先生はHIVのことをずっとやっておられたということがありますので、その経験を踏まえられて、今、尾身先生がおっしゃられた信頼関係が大事であるとか、そして一番下のところに書かれていますけれども、歓楽街で働く方々や、その地域を守り、安心なまちづくりにも資すると。これは今村先生の今日のペーパーに書かれていますので、こういったことを我々もしっかり受け止めて。
 そしてまた今回、新宿区では区長さんが信頼関係を作って、本当に一軒一軒歩いて呼びかけてPCR検査を行ってもらったり、度重なる勉強会、研修会を開いてやってきたようなこと、こういった経験。しかし一方で、それに応じてくれていない事業者や様々あります。これは大阪や先ほどの沖縄県那覇市の松山地区でも、いろんな呼びかけに応じてくれた人、あるいは時間の短縮、休業要請、いろんな対応を取ってきました。こういった経験もしっかりと整理しながら。
 そして先ほどメンバーがありましたけれども、五大都市と言っていいんでしょうか、五大繁華街と言っていいんでしょうか、北海道すすきので経験された札幌市、それから新宿区、名古屋市、大阪市、福岡市、それぞれの都道府県の方々に入っていただいて、それぞれの4月5月、そしてこの7月8月の経験をお話しいただきながら、当然、都道府県、市の方々ですから、それぞれの地域を大事に思って、それぞれの地域がやはり健全な繁華街として発展していくこと、みんなに愛される歓楽街として発展していくことを望んでおられる方々ですので、こういった御意見も伺いながら、議論を進めていければと思いますし、私も今回、やはり新宿区での取組も一緒になってやってきましたので、ある意味で思い入れもあります。
 何とか今後もし同じようなことが起こった場合、あるいはインフルエンザと同時の流行になったようなことも当然頭に置きながら、いろんな事態を想定してしっかりとこのワーキンググループで議論していただいて、対応を考えていきたいと。次なる対策をしっかりと練っていきたいと。中にもありましたけれども、普段からできること、そしていざというとき、感染が広がったときにやらなきゃいけないこと、こういったことを整理をしながら対応をしていければと考えています。
 どうもありがとうございました。

(以上)