西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月8日

(令和2年9月8日(火) 10:28~10:43  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から2点申し上げます。
 まず、本日の閣議で新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン確保のために予備費の使用を閣議決定したところであります。現在、御案内のとおり、この新型コロナウイルス感染症対策分科会におきまして、新たなワクチン接種に係る各種論点について議論を行っているところであります。今月中にも中間とりまとめを行う予定でございます。
 国民の皆様の命を守るために、政府として厚生労働省を中心に、円滑かつ速やかに接種できるように尽力をしていきたいと思います。
 それから2点目に、GDPの2次速報についてであります。既に事務方から説明があったとおりでありますけれども、実質成長率が前期比マイナス7.9%ということで、1次速報値から若干の下方改定となりました。
 その要因は主として、先日公表されました法人企業統計を踏まえて、設備投資がマイナス1.5%からマイナス4.7%に下方改定されたことによります。この感染症、新型コロナの影響による企業収益の悪化、それから先行き不透明感の高まりを背景にしているものと思います。
 先行きについても慎重に見極めていく必要がありますけれども、中身を見ますと、例えば情報通信機械については、通信機器あるいはデータセンター向け電子部品の生産能力増強投資など、増加に寄与している部分もあります。まさに新たな日常に向けた前向きな投資も見られるところであります。
 政府としては、税制あるいはIT補助金など、様々な形でこのデジタル化の動きを更に推進をしていくということで、前向きな投資に対してはしっかりと応援をしていきたいと考えています。
 4月、5月についてはこれまでもお話ししていますとおり、緊急事態宣言によっていわば人為的に経済活動、社会活動を止めることによって感染拡大を防いできたわけであります。数字で見ますと、当然厳しい結果になるわけでありますけれども、全体として持ち直しの動きが見られているところであります。
 個人消費については、本日、家計調査が発表されましたが、月次の動きで見ますと、6月は経済活動が段階的に再開されたわけでありまして、5月25日に緊急事態宣言が解除されたわけですから、6月は非常に消費が大きく増加をしております。
 7月は前月比でいいますとマイナスになっておりますが、その要因としては先月もお話ししましたように、衣服など、6月に大きく伸びたものの反動減、それからエアコンなど家電も長雨の影響から前月からは減少しております。前年比ではプラスでありますけれども、前月比で見ますとマイナス。それから、足下の感染者数、陽性者の数の増加に伴う支出の足踏み感、こういったことが背景としてあるのではないかと思いますが、今日発表されました内訳を見ますと、前年比でいいますと、やはり冷蔵庫、洗濯機、パソコン、テレビ、この辺りは増加をしております。マイナスは旅行費とか自動車、ガソリン、こういった関係でありますので、引き続き感染拡大防止との両立をどう図っていくかというところの、ある意味模索されている状況ではないかと思います。
 ただ、足下で見ますと、新車販売台数も5月を底にして8月まで3カ月連続で前月比プラスになっておりますし、週次で見た家電販売額も前年比プラスで、今申し上げたとおり、エアコンはプラスで推移をしています。
 水準を6月、7月でならしてみますと、御案内のとおり1―3月、以前から申し上げているとおり1月、2月は消費税率引上げの影響も薄らいできて非常に高い水準で消費が推移していました。そして、コロナウイルスの影響で3月から落ちて、4月、5月は緊急事態宣言の下で非常に低い水準ですけれども、6月に一気に消費が戻ってきたわけですが、7月はその反動、あるいは天候の理由、足下の感染拡大もあってこういう状況になっていますが、6、7でならしてみると、この1―3月期の高い水準と、数字がたまたま一致しておりますが、非常に高い水準に戻ってきております。
 そして、この消費を取り巻くその背景となる雇用、所得の環境なんですけれども、家計調査の本日の実質実収入で見ますと、ここにありますとおり、7月の実収入は9.2%と非常に高い伸びであります。
 この背景は何かといいますと2点ありまして、1つが配偶者の収入が増えている。これはいわゆるパート、アルバイトの方々の、ここはその他の世帯収入もそうですけれども、パート、アルバイトで同一労働同一賃金で6月と同様に特別給与が出ている部分がプラスに寄与しているものと思います。そして、特別収入ということで非常に高い伸びですけれども、これは1人10万円の特別定額給付金が行き届いていっている表れだと思います。
 そして、そのことは今日発表されました毎勤でも見られます。今日発表されました毎月勤労統計ですけれども、その特別給与を見ますと、これは6月、7月で平均で見ていますが、プラス17.3%ということで、これまでパート、アルバイトの方が、特別給与をもらえていなかった方が恐らく6月、7月で初めてもらえた部分があると思います。同一労働同一賃金の導入の成果だと思いますが、見ていただいたら分かりますように、建設関係、電気、ガス、学術研究、教育関係、医療福祉関係、それぞれ特別給与が大きくプラスと出ておりますので、こういった背景もあります。
 こういったことを考えますと、今、申し上げたとおり、特別定額給付金も、もう99.5%まで支給が終わりました。12.6兆円の支給。そのほか、雇用調整助成金も最新の数字で1.2兆円。これはリーマンショックのときと同レベルの金額の支給、助成が行われています。そのほか、緊急小口資金や休業支援金、四捨五入するとゼロになりますけれども着実に支給が行われています。家賃支援の給付金など18兆円の、いわば直接給付ですね、雇用調整助成金は企業を通じていきますけれども、いわば直接給付、持続化給付金の4.2兆円も含めて18兆円の給付がここまで行われてきておりますので、こういった政府の支援策、補正で認められました予算の着実な執行で家計の下支えをしているわけでありまして、家計調査で見受けられますように、所得が非常に伸びておりますので、消費は今回7月は、先ほど申し上げたように6月の反動、天候理由、足下の感染拡大もあって少し落ちていますが、所得は増加をしておりますので、こうしたことを背景に引き続き持ち直しの動きが続いているし、続くものと期待をしたいと思っております。
 ただ、この足下の感染状況、あるいは天候、猛暑が続きましたし、そういったことを含めて動向についてはしっかり見ていかなきゃいけないと考えております。
 2次補正で認められました家賃支援給付金、最大600万円の給付金、あるいは雇用調整助成金も延長しました。それから9月から5,000円分のポイントが付くマイナポイント。それから「Go Toキャンペーン」についても、「Go To Eat」について先般分科会で御議論いただいたとおり、各県内で行う飲食業へのプレミアム食事券については、農林水産省において議論をされ、今日一定の方向性を農林水産大臣の方から発表されるものと思いますけれども、そういった取組を進めることによって、消費、経済の下支えをしっかり行っていければと考えているところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日のGDPに対して、今、個人消費の方について大臣の御見解を伺ったんですけれども、今回の設備投資の方なのですが、企業収益の悪化と先行き不透明感が背景で、今回、予想よりも落ち込んだ形になりました。内需主導の景気回復シナリオを描いていらっしゃると思うんですけれども、この設備投資が弱い部分に対しては、大臣はどうやって手を打っていこうと考えて、何かお考えがあればよろしくお願いします。
(答)一番の設備投資減少の背景は、先ほど申し上げたように、企業収益が悪化していることと先行き不透明感だと思います。
 他方、今回7月から8月にかけて感染拡大が見られましたけれども、9月に入ってその減少傾向が明確になりつつあります。これも先週の分科会でもそういう方向性が確認されていますが、まだクラスターなどが発生すれば予断を許さない状況ではありますが、これが確実なものになってくれば明確なものになってくれば、足下の消費もさらに戻ってくるものと思いますし、海外での感染状況が落ち着いてくれば、企業の輸出もアメリカや中国向けが伸びておりますので、そういったことを背景に生産を増やし、また設備投資も増やしていくという方向になってくることを期待したいと思っております。
 他方、様々な減税措置、それから特にIT関係については減税措置、それから中小企業についての予算措置、それからローカル5Gや光ファイバーの設置、こういったものについての予算を着実に実行していくことによって、地方も含めて投資環境を作っていければと思いますし、必要な規制改革などを行っていければと考えています。
 消費がやっぱり全体の6割を占めますので、これが戻ってくることが何より先行きの明るさにつながってくると思います。海外でも感染者の数が増えていても、特に先進国、欧米では亡くなる方の数が非常に減っていますので、これは日本とよく似た面があります。
 やはり3月、4月、5月の経験を生かしてきている。さまざまな医療機関もその経験を踏まえて対応してきていますし、日本の場合もPCR検査などを幅広く行っています。また、標準治療も定着をしてきたということもありますので、こういったことを背景に先行きの明るさが見えてくれば、投資意欲は戻ってくるものと期待をしたいと思います。特にこの「新たな日常」を作っていくIT関係、デジタル化の部分は、先ほど申し上げたように、通信機器、データセンター、そして電子部品の生産能力増強など、増加に寄与していますので、こういったデジタル化の流れが牽引役になってもらえればと期待をしているところです。
(問)4―6月期のGDPは一応、過去最大の落ち込みとなって、当初はV字回復ということも言われていたわけですけれども、その7月、8月の個人消費の足踏み感などを踏まえますと、7―9月期のリバウンドはどの程度の大きさになると、今、大臣はお考えでしょうか。
(答)足下の状況については、本日午後、景気ウォッチャーの調査の発表もありますので、そのときに少し今後の見通しもお話しできればと思います。ありがとうございました。

(以上)