西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月1日

(令和2年9月1日(火) 11:21~11:50  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から2点申し上げます。
 まず、本日防災訓練がございました。9月に入って、特に台風などの災害、沖縄から今九州方面に来ているという中で、災害時に今後避難所を利用せざるを得ない状況等が発生してしまう可能性があるわけですけれども、この新型コロナ対策としっかりと両立していく、感染症が拡大しないように防止策をしっかり講じていただくことが大事だと思います。
 現場で災害対応に当たられる地方自治体においては、内閣府、消防庁、厚生労働省が策定しました、「新型コロナウイルス感染症に配慮した避難所開設・運営訓練のガイドライン」がございますので、これはもう通知をさせていただいて、周知を図っているところでありますけれども、これに基づいて事前の備えに万全を期していただきたいと思います。
 また、国民の皆様におかれましても、いつどういう災害が起こり被災される場合があるか分かりませんので、避難した場合に、日常と異なる状況におきましても、ここにあります、手洗い、マスク、消毒、そして換気の良い場所、そして何より3密の回避ということ、こうした基本的な感染症感染防止対策をしっかりと講じていただくことをお願いしたいと思いますし、日頃から様々備えをしていただけるとありがたいと思います。
 それから2点目に、新型コロナウイルス感染症対策を効果的に推進するために、国民の皆様、それから若い方々にも正しい知識を持っていただき、理解を深めていただきたいと思っております。
 こうした新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、そして経済活動、社会活動、あるいは文化やスポーツ、こういった活動と両立を図っていくわけでありますけれども、その中でこうした感染症に関する知識や理解を深めていただくために、普及・啓発活動の推進に協力いただける方、今回、「コロナ対策サポーター」として私から委嘱をさせてもらうことにしました。
 ここにありますように、ヴィッセル神戸のイニエスタ選手、読売ジャイアンツの菅野選手、そして吉本興業の西川きよしさん、サントリーの新浪社長、楽天の三木谷社長、そしてソフトバンクのPepper君で良いですかね、にお願いいたしました。それぞれの分野で第一線で活躍されている方ばかりであります。それぞれのお立場で御自身のSNSのアカウントであったり、あるいは私ども内閣官房のコロナ対策室の特設サイトにおいてもメッセージを発信していただく予定にしております。
 それぞれのお立場で、いろいろな機会を通じて国民の皆様に呼びかけていただいたり、正しい知識・理解、こうしたことを深めていただければと考えております。こういったことをお引き受けいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
 今後、まさに私ども内閣官房におきましても、こんな特設サイトでメッセージの動画を掲載させていただきます。
 そして、今のところ女性が含まれていませんが、現在、女性も含めて様々な方々とも調整を行っております。御承諾いただき次第、適宜発表していきたいと考えております。こうした皆さんに様々なお立場から、様々な機会で発信していただいて、より理解が深まっていければと考えております。
 感染状況をお話し申し上げます。
 昨日から申し上げていますとおり、東京都のこれは陽性率、新規陽性者の数でありますが、少し減少傾向が見えつつあるのかなと思いますが、引き続き発症日ベースで各県別の分析をしていただいております。
そして、陽性率も東京都で4.1%、愛知県5.3%、大阪府5.2、福岡5.1、沖縄5.9ということで、かなり下がってきておりますので、良い傾向が続いていると思います。
 次、お願いします。
 東京における60代以上、やはり重症者の数は後から増えてきますので、ここも注目をずっとしているわけですけれども、200人強というところでありますので、4月の300人前後に比べると、比較的まだ少ない状況です。
 病床も、それぞれしっかりと確保していただいていますので、沖縄、福岡のように60%近いところもですね、福岡も数を確保するということでありますし、沖縄については引き続き支援をしっかり行っていっているところであります。
 重症者の数も、大阪も60ですし、沖縄も24ということでありますので、特に重症者の数をしっかり見ていかなければいけないと思っております。
 60代以上の方の数は、これは1日の陽性者の数ですけれども、東京14、愛知18、大阪16、それから沖縄10と、このあたりもしっかりと見ていかなければいけないと思っております。
 そして、それぞれの指標も日々しっかりと見ているところでありますが、特に病床に逼迫状況はないかということで、引き続き沖縄とは連携しながら、しっかりと支援を行っていければと思っております。
 先週、今週の新規陽性者の数も1を下回ってきているところが多いので、減少傾向が少し見えてきたのかなと思っておりますが、専門家の皆さんにしっかりと分析いただくことにしております。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)まず、雇用情勢についてお伺いします。今日、7月の完全失業率が発表になりまして、2.9%と前月より0.1ポイント悪化となりました。有効求人倍率も1.08倍と、14年4月以来の低水準になっています。改めて足下の雇用情勢について御認識をお伺いしたいというのと。
 もう1点、第2次安倍政権を振り返っていただいて、7年8カ月、大きく雇用情勢が改善した時期だったと思うのですけれども、改めてこの間の総括と、とはいえコロナ禍もある中で雇用情勢、残された課題と取り組まなければいけない課題について、あわせてお伺いできればと思います。
(答)私も内閣府の副大臣として安倍政権、この2次政権ができたときからアベノミクスに携わっております。安倍総理が特に重視されたのが雇用であります。やはり、職を求めている方にしっかりと職があるという状況、そして、それぞれ生きがいを持って働き、また、働きやすい環境で所得が増えていくということが何より大事だということで、雇用対策に特にアベノミクスは最優先で取り組んできております。
 全都道府県で有効求人倍率が1倍を超える状態になり、非常に雇用関係は、安倍政権発足時に比べて大幅に改善したものと思っております。特に2012年から19年の比較で言いますと、いわゆる生産年齢人口が545万人減る中で、雇用者の数が465万人プラスになっております。そういう意味で、生産年齢人口が減る中で働く人はむしろ増えているという状況。特に女性とそれから元気な御高齢の方、高齢者の方々、まだ俺働きたいんだと言われる方、元気だからと言われる方がしっかりと仕事に就ける環境は作ってこられたものと思っております。
 特に女性が子育てや家庭と両立させていくという中で、保育所の整備、それから育児休業の取りやすい環境、様々な制度改正も行ってきましたので、非常に良い状況にずっときていたものというふうに考えています。
 ただ、先般、「選択する未来委員会2.0」でも指摘がありましたけれども、女性の方々のいわゆるM字カーブは解消してきました。結婚や出産に伴って就業が減ると、それがMのような格好になるわけですね。20代後半から40代の間がどうしても下がってしまうと、就業率がですね。これを解消してきたのですが、残念ながら非正規の形で再び職に戻るというケースが非常に多くて、正規社員、正社員は30代からがくっと減り続ける、いわゆるL字カーブが解消されていないということでありますので、次の課題として、やはり女性の能力のある方、意欲のある方が正社員として御自身の持っている能力を遺憾なく発揮できる、そうした環境を作っていくこと、これは大きな課題だと認識しております。
 それから、あわせて雇用の関連で言えば、働き方改革もこの間いろいろな議論がありましたけれども、残業時間の上限規制の導入であったり、それから同一労働同一賃金であったり、こういったことを実現してまいりましたので、雇用、環境、そして働き方改革は大きく進展したこと、これは安倍政権の大きな成果だと認識しています。
 同一労働同一賃金も、6月も、恐らく初めてボーナスをもらわれる非正規の方、パートの方がおられたのではないかと思います。同じ仕事をしていれば同じ待遇を受けるということで、これは家計調査などからも明らかになっています。7月も引き続きこうした状況が出てくればいいなと。来週火曜日には家計調査も発表されますので、そういったところを分析できれば、確認できればと考えています。
 そうした中で、本当に残念なことに、2月から武漢からのウイルスによってこの新型コロナウイルスが広がったことによって、雇用環境が非常に悪化しました。特に4月、5月は意図的に緊急事態宣言によって経済を止めましたので、多くの県で休業要請もなされました。そうした中で経済を止めていく、そうした状況の中で雇用環境は非常に悪くなったわけであります。
 これはいつも出している数字でありますが、今日発表されました労働力調査、7月分が出ましたので、3月、4月にかけて就業者が100万人減りました。休業する方が450万人ということで、4月には季節調整済みで650万人の方が休業したわけであります。
 失業は、ここは企業が踏ん張ってくれて、休業という形を取ってくれましたので失業者はそれほど大きくは増えませんでしたけれども、しかし、もう1点、94万人の方は非労働力人口、つまり一旦仕事を離れて仕事を求めない立場になられました。これは特に女性が多くて、子育てのために、学校が休みになったがゆえに仕事を一旦離れるという判断をされた方。それから高齢者が多いです。リスクがあるということで仕事を一旦辞めた方々がおられて、94万人増えたわけであります。
 そうした雇用環境が、4月にそういう状況になったわけですが、その後、7月との比較をしますと、就業者も23万人増えてきました。そして、休業された方が650万人もいたわけですけれども、445万人減って207万人となってきました。
 実は、休業者の平準ベースは180万人ぐらいであります。これは先ほど申し上げた育児休暇などが取りやすい環境を作っていっていますので、当然、育児をしている女性、出産をされて育児休業を取られた方がいますので、平準で180万人ぐらいおられますから、そういう意味ではかなりその水準に近づいてきているということが言えると思います。
 そして、残念ながら失業された方も18万人増えていますが、何とか企業が今踏ん張ってきている状況の中で、この部分の失業された方へのマッチングであったり職業訓練であったり、ここもしっかり応援していかなければいけないと思っておりますが、休業されている方もまだ200万人おられますので、雇用調整助成金でサポートしていくということであります。
 解雇等がなければ、中小企業の場合は月額で上限33万円、10分の10、100%国がその分は支援するということでありますので、ぜひ中小企業の皆さんはそれを活用していただければと思いますし、大企業でも75%まで支援がありますので、何とか雇用を守れるようにしっかりと応援していきたいと思っております。
 ちなみに、雇用調整助成金は、そのやり方で12月末まで延長することにしておりますので、うまく活用していただければと思います。雇調金は、ちなみに助成額が1.1兆円まで増えてきました。最新の数字で、30日現在で87万件の助成を行って1兆1,000億まで、約1.1兆円まで助成が行われてきております。
 申請に対して86.1%の助成になっておりますので、申請は101万件ありますけれども、87万件まで終わっております。週に9万件近く対応できますので、引き続き申請もありますから、今2週間程度で助成が行われていると聞いておりますが、この雇用調整助成金、1.6兆円まで枠もありますので、これを活用していただきながら、雇用を守っていくところに全力を挙げていきたいと思っております。
 それから、非労働力人口、一旦離れられた方も94万人おられましたけれども、そこから半分の48万人は職に戻られています。そして、まだ半分の方が離職されたままでありますけれども、いずれにしても、この失業を増やさないように2.9%で。これは諸外国に比べれば、他の先進国に比べれば低いわけですけれども、失業された方にはマッチング、そして職業訓練の新たな訓練を受けられること、そういったことを含めてしっかりと支援していければと考えています。
 もちろん、非常に厳しい状況になられた方には、いわゆる緊急小口資金というもので、3カ月で最大80万円の支援もございますし、住宅確保給付金という形で住居代に対する支援もありますので、そういったものを活用していただきながら、何とか国民の皆さんの雇用、生活、そしてそれを支える事業、事業者の皆さんの取組をしっかりと応援していければと考えているところです。
 いずれにしても今後、感染状況がどうなるのかしっかりと見ながら。また、海外の状況も大事であります。輸出が戻ってきて生産も少し増えてきておりますけれども、雇用にはプラスの影響があると期待しているところでありますが、海外の動向いかんによっては製造業、そうした生産にも影響がありますので、どんな事態になってもしっかりと国民の皆さんの生活、雇用、事業を守っていけるように、これは状況を見ながら臨機応変に対応していきたいと考えているところです。
(問)本日からスタートしました「マイナポイント事業」について伺いたいと思います。この事業、本来、東京五輪・パラリンピック後の個人消費の落ち込みを避けるために期待された事業でしたが、現在のコロナ禍での個人消費の冷え込みを下支えする効果が期待されると思います。大臣はこの「マイナポイント事業」について、どのような政策効果が期待されるとお考えでしょうか。また、8月に入って個人消費は足踏みの動きも出ていましたが、この「マイナポイント事業」を含めて、どのように個人消費を回復させて内需主導で経済を回復させるのか、大臣のお考えを改めてお願いいたします。
 あともう1点、全然話が違うのですけれども、自民党総裁選について伺いたいと思います。本日の自民党総務会で総裁選の方式が決まって、選挙が本格スタートします。これまで大臣は、コロナ対応での経験などを日本の将来に生かして先頭に立ちたいということをおっしゃっていましたけれども、今後の御自身の対応を出馬されるかを含めて、または他の候補者の支援に回るのかどうか、その辺をお話しできるところがあれば伺いたいと思います。
(答)まず、消費の状況でありますけれども、来週、家計調査とか、私どもの景気ウォッチャー調査も出ますので、そうしたものを含めて来週、消費の分析をした上で詳細をお話ししようと思います。
 昨日ちょっと申し上げた、小売業販売額。6月は非常に良くて、4月が非常に悪く、そして5月25日には緊急事態宣言を全面解除しましたので、地方では先に解除していますから、そういう意味で回復基調にあって6月は非常に良かったんですね。これは、ピンクの自動車、それからエアコンとかですね。それから衣服も、恐らくずっと買い物をしていなかった方々を含めてかなり出た。7月はその反動があったこと。それから長雨、豪雨の影響、そして足下の感染状況ということでこういう状況で。その後、様々な週次のデータ、8月のデータも御指摘のように足踏みをしているような状況かなということであります。
 この数字を見ていただいたら分かるように、環境さえ整ってくれば、消費については底堅いものがあるのではないかという期待をしております。これは、4月以降、企業がこうしたコロナの厳しい中でありましたけれど、一定の賃上げをやってくれています。それから、大企業で同一労働同一賃金が導入されて、6月の配偶者の方、いわゆるパートで働いておられる方のボーナスなどが出ていることがデータから見受けられます。
 これまでもらっておられなかった非正規のパートさん、アルバイトの方々が、同一労働同一賃金ですから、同じ仕事をしていれば同じ待遇があるということで、初めてそうした処遇が与えられてきているのではないかと思いますので、そういったことの所得を支える効果もあるのだと思います。
 それから、5月、6月には、1人10万円の定額給付金もお配りして、これは約13兆円近い金額でありますので、消費税に直しますと5%分を還元しているのと同じ効果であります。
 こうしたことで消費の下支えを何とかしてきているのだと思いますけれども、当然、足下の感染状況、あるいは天候でかなり影響を受けますので、こういったことの分析を来週に出てくるデータも含めて進めたいと思っています。
 今申し上げた定額給付金を含めて、雇用調整助成金も1.1兆円ということ。それから家賃給付の事業者に対する給付金もスタートしました。こういったもので支援してきております。今申し上げた定額も、もう99%お配りしております。13兆円近い金額。それから、持続化給付金の中小企業への給付も4兆円を超えています。311万件。そして、雇調金が1.1兆円まできています。緊急小口とか休業支援金、四捨五入すると0.0になりますけれども、7.3万件の支給が始まっています。家賃支援もあります。こういったことで、直接給付という形で18兆円、雇調金は企業を通じてですけれども、休業手当という形で手当てされますので、18兆円のいわば直接給付を行う形で生活の下支えをしてきております。
 そうしたことに加えて、9月からマイナポイントで5,000ポイント分最大使えるという事で、2万円に対して5,000円分付与されるということでありますので、引き続き下支えにはプラスになってくると思っております。
 昨日時点で394万件の登録をいただいていると聞いております。予算は4,000万人分ぐらい用意しておりますので、約1割の登録であります。ぜひ、こうしたものも活用していただいて、日常品を買うときにも使えます。電子決済、いわゆる感染防止のためにも、非接触型で電子決済というもの、キャッシュレス化も引き続き推進していく、そうしたことにも資するわけでもありますし、何より御指摘のように生活を下支えするということでありますので、ぜひ、御活用いただければと思います。
 2点目の総裁選についてでありますが、今回、安倍総理が御持病を理由に退任を表明されました。私は本当に残念であります。官房副長官としてもお支えしてきましたし、今の立場でも経済政策、そしてコロナ対策で、御指示を得ながら取り組んできておりましたので大変残念ですし、近くにおりながら、もう少し、そういう辛い状況であったということを早く気づくべきだったなということも反省もしておるのですけれども。
 いずれにしても、先程来申し上げている、このアベノミクスでやってきたことを含めて、これを承継し、発展させていくというのが何より大事だと考えています。
 先ほどの女性の活躍も進んできましたけれども、まだ更に進めなければいけない。それから、今回コロナを経験して、デジタル化、これも政府にとっては大きな課題を突きつけられたわけであります。もう何年も前からやらなければいけなかったことを、もう待ったなしでやらなければいけない。こういったことを含めて、そして雇用対策もこれから。雇用は大体遅れてくることもありますので、そういう意味で、生活、雇用を守っていくということにも万全を期していかなければいけない。アベノミクスで重視してきた雇用をしっかりと守っていくということだと思いますので、こういったことを継承し、そして発展させていく、それが大事だと考えています。
 そうした中で、仲間の皆さんとも相談してきたところでありますけれども、私自身が今回立候補するということはないと、出ることはないと考えています。何より、この今、目下のコロナの対策、このコロナ対策に空白を作るわけにはいきませんし、全力を挙げて、何としても減少傾向が見え始めたこれを定着させていくこと、その上で経済そして社会活動、先ほどの文化やスポーツ活動とも両立していく、それを実現しなければいけませんので、そのために与えられた職責をまずは全うしていきたいと考えているところです。
 ありがとうございました。

(以上)