西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年8月25日

(令和2年8月25日(火) 11:26~11:55  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。お待たせしました。まず私から報告をさせていただきます。
 本日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、私から本年4-6月期のGDP速報について、また、新たな日常を早期に実現するための「実行計画」の策定に向けた協力依頼を行いました。その内容をポイントのみ御紹介します。
 4-6月期の実質成長率は御案内のとおり、マイナス27.8%ということですが、様々な直接給付の措置もあり、欧米諸国に比べて減少幅が抑えられていること、それから足下では個人消費に持ち直しの動きが見られ、また、輸出にも伸びが見られてきていること、こういったことを御報告した上で協力依頼を行ったわけですが、こうした足下の経済状況の詳細につきましては、今週の月例経済報告でさらに細かい分析の報告をさせていただければと考えています。
 その上で政府、我々としては、本年4月・5月を底として経済を成長軌道に戻すことができるように、7月の長雨や足下の感染状況、こういったことが消費に与える影響などにも注意しつつ、感染防止策を講じながら「新たな日常」の下で、経済社会活動との両立をしっかりと図っていければと考えているところであります。
 こうした考えの下、今回のいわばコロナのショック、危機を変革の機会とすべく、「骨太方針2020」に掲げました「新たな日常」、デジタル化であったり地方創生であったり、あるいは人・イノベーションへの投資、あるいは包摂的な社会の実現、こうしたことを実現するための主要施策について、政策目標と達成に向けた手段、政策スケジュールを明らかにする実行計画を年末までに策定することとしております。これによって来年度予算や税制、規制改革などの制度改正を含め、総合的に実行して、誰もが成長を実感できる、「質」の高い経済社会の早期実現を目指していくということにしております。
 こうしたことを踏まえまして、関係閣僚に対して実行計画に盛り込むべき内容の具体化を早急に進めていただくこと、そして年内の実行計画策定に向けた協力をお願いしたところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)コロナ対策についてお聞きいたします。
 昨日の分科会でなんですけれども、繁華街対策のタスクフォースの立ち上げという提案がありました。これまでの繁華街対策というのは、政府と自治体で協力してやっていた部分があると思うんですけれども、今回の提案を受けて、これまでの取り組みのどういった点を生かして今後取り組んでいかれるお考えなのか。提案を受けた対応方針をお願いいたします。
(答)昨日の会見でも一部申し上げましたけれども、新宿区歌舞伎町での取り組み、この経験を最大限に生かしていければと考えています。昨日紹介できなかった点ですけれども、既に御案内のとおり、今回の感染の拡大のある意味1つ大きな焦点となった歌舞伎町対策でありますが、6月7日に新宿区長と意見交換をし、その日、小池知事ともお話をしました。そして6月14日には小池知事、新宿区長、尾身先生も入って意見交換をし、さらに7月4日には豊島区長にも入っていただいて対策を講じました。
 そして7月10日に大きな3つの対策として、戦略的なPCR検査、メリハリのきいた感染対策、保健所機能の強化など、小池知事、両区長、そして尾身先生と一緒に対策を発出させていただき、そして新宿区長は7月20日から21日にかけてホストクラブなどの店舗をみずから歩かれて、感染防止策、ガイドラインの遵守などの呼びかけを行いました。
 そうした取り組みの成果がどう出てきているか、まだ予断を許しませんけれども、これはもう既に公表されている数字ですが、6月の新宿区のPCR検査のスポット検査で、受診者1,266名。いわゆる接待を伴う飲食業429名ですが、会社員、無職、その他ということで、会社員は友人であったり、こういったお店を訪れた人であったり。無職とかフリーターとか学生という方もいるんですけれども、こういった職業についていることを言わない方もおられますので、そういった方々も含めてPCR検査を行ったところ、陽性率17.9%。7月は3,770名が受診され28%。特に接待を伴う飲食業では陽性率40%と、非常に高い数字でありました。
 その後8月のデータはまだ出ていませんが、新宿区全体の陽性者の数、これはこのスポットだけではなくて、区全体の陽性者の数ですが、6月は381名、7月は1,188名という非常に高い数字で、8月は24日までの数字ですが、548名と少し落ちついてきている感じがあります。7月に3つの対策、PCR検査を幅広くやっていくこと、そしてメリハリのきいた感染防止策、それから保健所機能の強化ということで、国と区が連携して対策を講じまして、そして区のほうで7月下旬にこのような形で感染防止策のキャンペーンを行ったことで、一定の成果が出てきたのではないかと思っております。
 昨日の提言で、組織を作って自治体や関係業界と連携した対応が必要であるということで、取り組みを強化してほしいと。特にここの点が昨日も議論になったんですが、関係業界や従業員の方々の感染状況を把握できる、信頼関係を最大限構築・維持しつつ、実際に即した感染対策を行うということで、現場における感染対策のアドバイスとか、従業員の感染対策の研修会とか、接触確認アプリの活用とか、下水のサーベイランスなどが挙げられたところであります。
 まさに私どもが新宿で行ってきた取り組みでは、新宿区長が先頭に立って、キャバクラ、ホストクラブなど、接待を伴う飲食業の方々に研修会を行ったり、ガイドラインを守っていただくための様々なアドバイス、呼びかけを行い、また、幅広くPCR検査を呼びかけてきた。いわば信頼関係をつくってやってこられた太陽政策で、一定の成果を上げてきたわけであります。
 他方、これは都道府県知事会からも要請がなされていますし、東京都知事からも要請がなされている、いわゆる強制力を伴う措置。これは特措法の改正、あるいは他の法令の活用も含めてだと思いますが、こういったことについても提言がなされています。いわゆる北風政策と言ってもいいと思うんですが。基本は提言にあるように、これまでHIVなどを経験してこられた感染症の専門家の皆さんは、基本的には信頼関係を作って検査を幅広く受けてもらう、このことが大事だと。そうしないと地下に潜ってしまう。検査を受けてくれない。どこかに散っていってしまうという経験がありますので、基本は太陽政策で、多くの関係者の皆さんに幅広くPCR検査を受けてもらい、感染防止策を講じてもらうという政策をとることが大事だと思っております。
 しかし中には、ガイドラインを守らない、あるいは要請に応じない事業者もあるわけでありますので、いわゆる北風政策としての強制力を伴う措置、こういったことについても都道府県知事からは要請がなされているところであります。国会でも様々な議論がされているところであります。
 こうした状況を踏まえて、今後どういった対策をとっていくのがいいのか、新宿区での取り組み、経験を踏まえながら、政府として今後の対応についてしっかり検討を進めていきたいと考えているところです。
(問)昨日の分科会でも少しお話があったんですが、国際的な人の移動についてお伺いします。
 在留資格者のお話が出たんですが、いつごろから可能にしていきたいか、その要件、スケジュール、また、ビジネスとか旅行者などの扱いをどう決めていくのか、お考えをお願いします。
(答)昨日、政府の考え方などについて現状を御報告したのは、まず日本に生活基盤を有する在留資格保持者等について。これまでに入国拒否対象地域に指定される前に出国した、永住者等の在留資格を有する方、また、人道上配慮すべき個別の事情がある方に対しては、再入国を認めてきているところであります。こういった分類に当たらない、区分されない方についても、日本への再入国ができないために出国できずにいる、日本に滞在中の在留資格保持者の方、それから入国拒否対象地域指定後に出国をして、日本への再入国ができずにいる在留資格を保持している方、こういった方々について再入国を認めるべきではないかという様々な声、これは国際的な声も含めて、様々な要請、声があるところであります。
 政府としてこういったことを踏まえながら、感染拡大の防止と両立をする形で、どのように再入国を認めていくことができるか、今真剣に検討を急いでいるところであります。まだタイミングについては確定しておりませんけれども、検討を急いでいるという状況であります。
 同時に既に御案内のとおり、ベトナムやタイ、オーストラリア、ニュージーランドとはいわゆるビジネストラックとして交渉を重ねているところであります。既に行き来が始まっているところもございます。感染拡大を防止する、水際でしっかりと防いでいくということをやりながら、今後往来をどのような形で活発化していくのか、議論を進めていきたいと考えています。
(問)連続最長2,800日目の記念すべき閣議を経験されたわけですが、大臣は落選当時、安倍先生が応援に来ていただいて、その当時は頼りになる兄貴のような存在とおっしゃっていたと思います。それで現在2,800日を、大臣は総理補佐官からずっとやってこられたわけですけれども、今現在、安倍総理のことをどのような政治家と受けとめておられるのか。ちょっと体調をこのごろ崩されていますけれども、何だかんだいろいろありましたけれども、月並みな言い方ですけれども、やはり超人的なカリスマというか、どういうイメージでしょうか。西村先生にとってどんなふうな政治家なんでしょうか。
(答)まさに御指摘のとおり落選している当時、御存命で元気でありました、拉致被害者である有本恵子さんのお父様、明弘さんを交えて、拉致の問題を解決するというようなセミナーを開いて、そのときに安倍総理に来ていただいて、いろいろ激励をいただいたこともありましたし、そもそも山口県田布施の御縁もあります。義理の父の縁もあり大変激励をいただいて、一番苦しいときに言葉をかけていただいた御恩があるわけでありますし、当時からある意味慕ってきたわけであります。
 そしてその後、第2次の安倍政権ができて、副大臣としてアベノミクスの当初から、甘利大臣のもとでかかわることができた。また、TPPの交渉にも携わることができた。そういう意味で安倍総理とともに、一緒に経済再生を歩んできた、そんな思いがあります。そして官房副長官として2年間お仕えし、外交の現場、まさにトランプ大統領との様々なやりとり。今、記憶が確かじゃないかもしれませんけれども、首脳会談に9回同席したと思います。そして電話会談も23回だったかな。そのたびに終わった後、記者ブリーフを行ってきました。
 もし間違っていれば後で正確な数字を言いますけれども、様々な経験をさせていただきましたし、そのたびごとに総理の決断し実行する姿を見てまいりましたので、私は当然この期間、総理としてやってこられたことはすばらしいと思います。その期間のこともさることながら、加えてこの間TPPを実現してきたことや、安倍政権でまさに六重苦、七重苦と言われた日本経済を立て直して、デフレではない状況をつくり出してきたこと。こうしたことを含めて、国会で苦しいことがたびたびありましたけれども、様々な課題について一つ一つ結果を出してこられたこと、まさに決断し実行されてきたことを心から尊敬しておりますし、引き続き元気でリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 そうした中でこのコロナ対策については、まさに今正念場を迎えているわけであります。いわば緊急事態宣言のときに並ぶ、あるいはそれよりも多い新規陽性者の数がいる中で、何とか重症者の数を増やさず、また、死亡者の数もこれ以上増やしたくないという思いの中で今取り組んでおります。経済との、あるいは社会活動との両立を図っていかなきゃいけない、そういう局面に来ております。
 「新たな日常」をどう作っていくのかというのは非常に難しい。昔の日常に戻れば、以前の日常に戻れば、また感染は拡大しますので、今回も減少傾向が見え始めているときであります。「新たな日常」をしっかりと構築して、そして感染防止と経済活動の両立を図っていく大事な局面でありますので、私の与えられた任務をしっかりと果たしながら、安倍総理の引き続きのリーダーシップのもと、ぜひそのことを実現していきたいと。いわば本当の日本のモデルをしっかりと作っていければと。真の日本モデルを構築していければと考えています。
 私が同席したのは日米首脳会談9回、電話会談23回でした。外遊に同行したのは11回あります。G7サミットも2回同行させていただいて、微力ですけれども、近くで補佐をさせていただいた。私にとっては貴重な経験をさせていただきましたし、安倍総理がまさに世界の首脳とその場でさまざまなことを決断し発言し、また、約束をして、それをその後実行していくということ、それを目の当たりにしてきましたので、私はこの間のすばらしい功績、そしてさらにこれからもリーダーシップを発揮していただきたいと願っております。
(問)実質季節調整のGDPの水準についてお聞きしたいんですが。
 去年の7―9月期は539兆円から485兆円ぐらいまで縮小しました。答えが難しい質問かもしれないですが、元の水準に戻すにはどれぐらいの時間がいるでしょうか。
(答)前にも申し上げたかもしれませんけれども、私どもの「新たな日常」を作っていく実行計画などを今後つくり、そして実行していくと。様々な改革を実行し、政策を実行していく中で、コロナ前の水準に戻っていくのは2021年度の末ごろだと考えております。したがって2022年の1―3月期に、コロナ前の水準に戻すことができればと考えているところでありますので、そうなるように、またそれが少しでも早く実現できるように、まさに年末にかけての実行計画をしっかりと策定し、それからもちろん今すぐできることは既に実行していかなきゃいけません。
 例えば以前にも申し上げましたけれども、ハンコはなくとも、印鑑がなくとも、押印がなくとも契約は有効であるという文書を発出したり、電子署名が有効であると明確化するような文書も発出しておりますので、「新たな日常」を作っていく制度改革もしっかり行っていければと思います。
 タクシー業界の皆さんが今、食事の宅配を行ったり、あるいはオンラインで薬の注文をし、タクシーがその薬を運ぶといったことも、規制改革で認めていっております。オンライン診療やオンライン教育も、規制改革を行う中で実現していっておりますので、様々な「新たな日常」を、昔の日常、以前の日常に戻さないという決意のもとで進めていければと考えています。
 先般も経済界にお願いしましたけれども、かつての日常から比べると、直近の平日の電車を利用する方が、首都圏で約4割減少、関西圏でも約3割減少しているという現実、数字が出てきております。もちろん現場で私たちの生活を支えていただいているインフラ、鉄道とか電気・ガスとか、こういった現場の方々はなかなかテレワークができないわけですが、できる方は新たな多様な働き方を認めていく、より広い様々な働き方を容認していく、そうしたことも含めてテレワークをぜひ引き続き継続していければと思います。
 企業においては昨日も報道がありましたけれども、マンションの1階をそういうスペースにする。あるいは社宅の一定のスペースをテレワーク用のスペースにする。あるいはカラオケボックスやホテルを、テレワーク用の施設として利用することを推奨している。そういったことも含めて新たなビジネスモデルを、「新たな日常」の下で作っていくことが大事だと思いますので、そういった取り組みを制度改革、規制改革、あるいは予算、税、様々な形で応援しながら、しっかりと成長軌道に戻していくことを実現できればと考えています。
(問)今のことに少し関連するかもしれないんですけれども、現状の個人消費なんかについて。例えば7月の車だと13%減とか、デパートでも20%以上減少している中で、個人消費が少しずつ回復していくということなのか、やっぱりどうしても8割ぐらいで止まってしまうのか。感染状況にもよると思うんですけれども、今の個人の消費マインドというのはどう捉えられているかというのが1点。
 その上で例えば経済対策を新たに打って消費を喚起する。例えばエコカー減税なのか補助金なのか。今回のメニューというのは主に投資をメインに考えられているとは思うんですけれども、個人消費を底上げするような経済対策というのを今後打っていくべきかどうか、そこら辺のお考えを教えていただければと思います。
(答)まず個人消費についてでありますが、4月、5月は緊急事態宣言のもとで人為的に経済をとめたような形になっておりますので、当然非常に悪い数字であります。そのことを反映した数字であります。しかし以前にも御説明したように、6月の消費はかなり強い基調で回復の方向が見られたところであります。7月、8月に入って長雨の影響、あるいは豪雨の影響、それから感染が拡大し新規陽性者の数が増えてきた状況を踏まえて、少し足踏みの状態でありますが、自動車などもマイナス幅をかなり縮小してきておりますし、8月に入って非常に暑く、最近の猛暑でエアコンなどが非常に売れている状況であります。
 天候の状況、それから感染状況、こういったものの分析を進めてきているところでありますが、基調は底堅いものがあると認識しております。今度の月例経済報告でどこまで分析・報告できるかわかりませんけれども、引き続きこの点の分析を進めていきたいと考えています。
 他方、よく7割経済とか8割経済と言われます。感染防止策と両立していくにはそれしかないんじゃないかと言われますが、決してそんなことはないと。「新たな日常」を構築していければ、その中で新たなビジネスモデル、先ほど申し上げたような、それぞれの業種で皆さん工夫されて、新たな取り組みをされようとしています。それができれば決して7割経済とか8割経済ということはないと。むしろ7割デジタル、3割リアル、そういった経済をそれぞれの業界、業種ごとの創意工夫で、あるいはイノベーションで作っていくということが大事だと思います。イノベーションや創意工夫ができれば、私は必ず経済は回復できるし、成長軌道に戻せると。特にデジタルの動きを加速することが大事だと。
 現にソフトウエア投資は着実に増えておりますし、新たなベンチャーも様々生まれてきております。我々の6兆円の資金は当然、中堅企業などの支援にも使われるわけですけれども、新たな取り組み、ベンチャー企業への支援もしっかり行っていきたいと考えております。いずれにしても「新たな日常」をどう作っていくかと。今、多くの業界で試行錯誤をしていると思いますけれども、思い切った制度改革、規制改革や予算、税制上の措置も含めて、対応を考えていきたいと思います。
 そうした中で既に1次補正、2次補正の予算をかなり使ってきておりますが、特に2次補正はまだ持続化給付金、それから家賃支援、こういったこと。それから昨年の補正予算で手当てをした中小企業対策の3,600億円、持続化補助金とかIT補助金とか、こういったものの活用がなされてきているところでありますし、これはまだ枠もあります。こういった既存の予算をしっかりと活用しながら、そうした「新たな日常」に向けての取り組みを、しっかりと後押ししていきたいと考えています。予備費もまだ1次補正、2次補正を含めて10兆円が残っております。こういったものを頭に置きながら、経済の情勢、足下の感染状況、世界経済の動向、こういったものをしっかりと見ながら、必要があれば臨機応変に、時機を逸することなく対応していきたいと考えているところです。

(以上)