西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年8月4日

(令和2年8月4日(火) 18:30~18:58  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 時間を変更しまして、大変申し訳ございません。遅くなりました。
 私から冒頭、2点申し上げます。
 まず、お盆の帰省についてでありますけれども、私のこれまで発言してきたことも含めて一部に誤解もあるようですので、改めて2点、このことについて申し上げます。
まず1点目でありますけれども、現在、県をまたぐ移動については、国として一律に控えてくださいとは言ってきておりません。体調の悪い方はそもそも外出も控えていただくとか、当然、県をまたぐ移動も控えていただく。あるいは、旅行については、分科会から御指摘いただきましたように、宴会を目的とする団体旅行とか、若者・高齢者などの団体旅行、これは控えていただくということで分科会からも御提言をいただいております。
 その上で、例えば家族旅行についても申し上げてきましたけれども、旅行する側が3密を避けるとか、大声を出さない、換気をよくした場所にいるといった基本的な感染防止策、マスクとか消毒とかも当然ですけれども、こういった感染防止策をしっかりと講じていただく。それから、受け入れ側のホテルとか観光施設なども、例えば食事は大皿ではなく個別に提供するとか、あるいは観光施設も入場制限をして人数管理をして密にならないように工夫するとか、こういった形で感染防止策を双方が徹底して行っていれば、これは大きなリスクにはならないということで、分科会の専門家の皆さんからも御指摘をいただいているところであります。
 そして2点目、田舎の実家におじいちゃん、おばあちゃんがおられるような、高齢者がおられるような場合、こうした高齢の方は感染した場合に重症化するリスクが高いわけであります。したがって、家族旅行であっても、こうした高齢者がいる田舎の実家に帰省するような場合は十分に注意していただきたいということをこれまでも申し上げてきました。こうした考え方については私も会見で申し上げてきましたし、官房長官もその趣旨を述べられているところであります。
 引き続き、分科会の専門家の皆さんも、前回の分科会以降も、平井知事からも問題提起もありましたので議論がなされています。分科会の方々、構成員の方々、専門家の皆さんの御意見をしっかりとお聞きしながら、政府としても国民の皆さんにできるだけわかりやすく発信していければと考えています。
 2点目であります。接触確認アプリの「COCOA」についてですが、6月19日のリリース以降、多くの方にダウンロード、インストールしていただきました。1,000万件を超えたということで報告を受けました。スマートフォンにアプリをインストールされている皆さんに改めてお礼を申し上げたいと思います。
 このアプリは、より多くの方にインストールしていただくことによって、いわゆるクラスター対策、濃厚接触者が近くにいたということが効率的にわかりますので、通知が行きますので、そういう意味でコロナの感染拡大防止にさらに大きな貢献が期待されているものであります。先月には、アプリからの通知によって陽性者との接触を知り検査を受けたところ、御本人の陽性が判明した事例があったと聞いています。
 もう詳しくは申し上げませんけれども、1メートル以内で15分以上接触したこの2つのスマートフォン同士で記録を行って、いつどこで誰と誰が接触を行ったとか、それぞれの人がどこにいたのかとか、そういう位置情報とか電話番号とかは一切とりません。スマホ同士が認識して、ある方が陽性者であった場合に、1メートル以内で15分以上いた人のスマホに通知が来る仕組みであります。そして、通知が来ればスムーズにPCR検査などが受けられるということでありますので、基本的にはクラスター対策は保健所が中心となって、濃厚接触した方をいろいろお聞きしながらその方々を追いかけていってPCR検査を受けていただくわけですけれども、そのことがより効果的に、効率的に行えるようになります。
 保健所も負担がかなり大きくなってきている中で、当然、感染者の数が増えると保健所の負担が大きくなってきます。そうした中で、より多くの方にこのアプリをダウンロードしていただいて、より効率的にクラスター対策、接触者の確認ができればと考えておりますので、ぜひ、多くの方に引き続きインストールしていただきたいと思っています。
 会社でも、会社の社員がアプリをインストールしていだけると、どなたか陽性者と接触があったことの通知がありますので、会社内の感染防止にもつながります。学校でも同じです。ぜひ、多くの方にインストールしていただければと考えています。
 わずかな時間でできます。私どもの、この「corona.go.jp」からもとれますし、厚労省の接触確認アプリからもインストールできますし、「COCOA」で検索してもインストールできますので、もう短時間でできますので、ぜひ、お願いできればと考えています。
 それから、あわせて、それぞれの地域で独自のコロナの感染者が出た通知システム、お知らせシステムがそれぞれの都道府県、市町村などで取り組みがなされています。東京都の「東京都版新型コロナ見守りサービス」もそうでありますし、それぞれの県でありますので、国のこの「COCOA」と同様に、利用者が増えることによって感染拡大防止つながっていきますので、ぜひ、こちらもお願いしたいと思います。
 いろんな施設に入ったり、お店に入ったりするときにQRコードを読み取れば、そのお店で感染者が出れば、その施設で感染者が出れば通知が来ますので、より早くそうしたクラスター対策につながっていくことができますので、国の接触確認アプリ「COCOA」と同様に、それぞれの地域のQRコード読み取りによる通知サービスもぜひ御活用いただきたいと、御協力いただければというお願いであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、冒頭2問伺います。1つは、感染者が増える中で軽症者用の療養施設についてなのですけれども。昨日、沖縄県の玉城知事の会見で、国としてもサポートしていくと言っている施設について、JICAの沖縄センターのようなのですけれども、何か問題があって使えないというようなことで知事から大臣へ相談を差し上げているような発言がありました。どのような御相談があったのかと、国としての対処について教えてください。
 2点目は、今日の午後に大阪のほうで知事と市長の記者会見がありまして、特定のうがい薬を使うことによってウイルスの重症化を防いだり、感染予防につながるといった発表がありました。国のほうからも、うがい薬の増産などに支援を受けるお話をいただいているような発言も市長、知事両者からあったようなのですけれども。西村大臣のほうに何か報告があったのか、あとは国として何か対応を考えていらっしゃるのか教えていただけないでしょうか。
(答)1点目の沖縄県へのサポートについてであります。玉城知事と話をさせていただいています。国として全面的にサポートしていくということでお伝えしております。その中の1つに、軽症者向けの宿泊療養施設の確保の話がございました。
 沖縄県では、まずは民間施設を優先したいということで伺っております。本日、新たに100室の運用を開始したということでありますので、これまでの60室から160室に増強したと聞いております。さらに、その他の民間ホテルの借り上げも進めているということで、近々追加の施設も確保できる見通しであると承知しています。
 その上で、御指摘のJICAの研修施設ですけれども、一旦、知事からメールが来て、何か課題があるようだということで伺いましたけれども、その後、確認させていただいています。JICA側では特段何か支障があることはありませんので、国としてこれを宿泊療養施設として提供する用意がございます。ですので、沖縄県の民間施設の借り上げの状況によって活用いただければと考えておりますので、沖縄県とよく調整したいと思います。
 ちなみに、民間のホテル借り上げについても、政府の中では観光庁が担当して、ホテルといろいろな調整を行ったりもして支援も行います。それから、借り上げの費用については2次補正でも手当しました包括支援交付金が総額2.2兆円ありますので、これでその費用を全額国が支援することになっておりますので、そうした様々な支援。もちろん、別途地方創生の臨時交付金も配分させていただいております。3兆円のうち、沖縄県分としては既に415億円計上させていただいておりますので、こういったものも、もちろん対策として活用できますので、様々な形で沖縄県のそうしたコロナウイルス感染症対策をサポートしていければと考えています。
 それから、2点目の大阪府知事、大阪市長のお話は承知しておりません。お話があれば検討したいと思いますけれども。ちなみに、専門家の皆さんとお話ししますと、あまりこれまでうがいということは言ってきていないんですね。手洗い、消毒、マスク、換気というようなことを言ってきています。
 うがいは、ウイルスは割と早くついてしまうと、もうなかなかとれないということがこれまでの知見ではそうお聞きしておりますので、普通の単純なうがいではそんなに効果があるわけではないようですけれども、御指摘のうがい薬ということでありますので、何か喉に付着したウイルスを消毒する、殺す、そういう性質が、効果があるのであれば、それはしっかりと専門家の判断をいただいて活用できるのであれば活用していければと思います。いずれにしても、まだお聞きしておりませんので、お伺いした上で専門家の御意見を聞いて判断していきたいと考えています。
(問)大臣、熊本県の山鹿市の介護施設長がSOSを発していることは御存じですか。これは、もともと前に介護職、20代の方1人が感染、現在43人のクラスターになっています。介護長が今日訴えているんですけど、1週間前に感染したけれどまだ病院に入れない。それから、高熱を発して緊急入院しなくてはいけない人も病院に入れない。感染している人と感染していない入居者及び介護職の人が混在していると。
 熊本県の病床使用率は実は30%です。しかし、介護施設の老人が感染した場合、病院はなかなか受け入れられない現状があって、逆に言うと、日本の死亡者が少ないのは介護施設がこれまでいかにがんばったかだと思うのですが。
 今、市中感染が広がっている中で、やっぱり介護施設をいかに守るかということが。私は以前に、そういう介護職の人にはPCRをやるということをお願いした件もあります。こういう問題について分科会で諮ったり、いかに介護職、あるいは介護の現場を守るかということについてお考えがあれば、ぜひ、伺いたいです。
(答)まず、熊本県の「介護老人保健施設太陽」というところでクラスターが発生しています。御指摘のとおりです。40名近い方が感染していると報告を受けています。
 それらの方々の症状まで詳しく聞いておりませんので、高齢者が多いでしょうから重症の方がどれだけおられるか、あるいは無症状の方もおられるかもしれません。そういった方々が適切に治療が受けられるように病院で受け入れる、あるいは、その施設内で受ける、様々な形はあると思いますので、適切になされているかどうか、御指摘もありましたので確認したいと思います。
 御指摘のように、熊本県で病床が逼迫しているという報告を受けておりませんので、しっかりと病床も確保されていると思いますけれども、それぞれの容体がどういう容体なのかも含めて、しっかりと命をお守りできるように確認したいと、対応したいと考えています。
 その上で、高齢者施設はおっしゃるように1人感染者が出れば当然リスクの高い方々に感染するリスクがありますので、できるだけ早く検知することが必要です。これまでも面会は控えていただいて、オンライン面会のような形で面会していただくようなことも、緊急事態宣言のときから、あるいは「新たな日常」ということでお願いもしてきました。
 院内感染と高齢者施設、この2つで感染拡大を防ぐことは非常に大事な課題だと思っています。院内感染のほうは、入院される方、手術される方、もうほぼ全て検査を受けておられるのではないかと思います。
 高齢者施設では、まだそこまでの取り組みがなされていないと思いますが、分科会でも議論がなされました。1つには、1人でもそういう陽性者が出た場合には、もう全員検査をするということ。あるいは、リスクの高い地域にある高齢者施設です。これは地域の医師の判断。その高齢者施設には当然医師もかかわっておられると思います。医師の判断、あるいは保健所の判断で全員受けられるようにはなっています。
 そういったことも活用しながら、御指摘のように、今や抗原検査で割と早い時間で、防護服なしで、唾液でやる検査もできますので、無症状の方もこれでできますので、PCR検査と同様に抗原検査も活用しながら、とにかく高齢者施設での感染拡大を防いでいくことが大事だと思いますので、引き続き今申し上げたような方針で取り組んでいますけれども、さらに施設内感染をどう防いでいくのか議論を深めていければと考えています。
(問)大臣、きょうで会見を連続で100日続けられていることになるのだと思うのですが、ある種異例の対応だと思うのですけれども、どういうお考えに立って毎日会見を開き続けいらっしゃったのかという点と、あと、今後、連日会見をどれぐらい続けられるおつもりなのかということもあわせてお考えがあればお願いします。
 それともう1点、ちょっと別なのですが、一方で、総理が記者会見を開いて説明する場というのは1カ月超、2カ月近くないわけなのですけれども。このコロナ対応で総理の会見というのをお考えになっているような予定はないのでしょうか。
(答)まず、私のことでありますけれども、3月6日にコロナ対策、特に新型インフルエンザ等対策特別措置法ということの担当の任命を受けまして、それ以来、とにかく何としても新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐということ、それと、もともとの担当であります経済財政政策担当でありますので、経済をしっかりと景気回復、経済を回復させていくこと、この2つのいわば相矛盾するような課題の任務について、とにかく両立を図れないのかということに腐心してきました。
 この新型コロナウイルス感染症は、ワクチンができていない中でリスクをゼロにすることはできないわけです。したがって、あちこちで発生はするわけです。しかし、それをできるだけ早く検知して、クラスター対策を初めとした対策でその範囲で封じ込めていく、小さな波で抑え込んでいくということをやらなければいけない。同時に、感染防止策をみんなで講じながら、一人一人に先ほどのマスク、消毒、大声を出さない、換気、3密回避、こういった基本的なことをやっていただきながら、事業者の皆さんにもガイドラインを守っていただいて、感染防止策をやっていただいて、そして経済活動との両立を図っていく、このことに腐心してきたわけであります。
 リスクをゼロにできない中で、本当に難しい。国民の皆さんも、できるだけ小さくしたい、ゼロにしたいと思っておられると思います。でも、リスクはゼロにはならないんですね。どこかに無症状で潜んでいるわけでありまして、しかし、それもマスクをやって、距離をとって、消毒をやってということを積み重ねていけば、感染リスクは非常に下がる。3密を回避すれば感染リスクは下がるわけでありますので、これを「新たな日常」として、「新しい生活様式」としていかに定着させるか。皆さんで、みんなでこれを定着させていくと。本当にこれは難しい課題だと思っています。
 そうした難しい課題の中で、特に足元で最近ではまた感染の数が増えていますので、心配しておられる方も多いと思いますし、できるだけ正確な情報、そしてこうした両立策、両立していくには何が必要かということをできるだけわかりやすくお話ししたい、皆さんに理解してもらわなければいけないという思いで、できる限り日々のいろいろな変化も含めて状況をお伝えしたいと思って会見に臨んできています。
 しかしながら、私の説明がなかなかうまくない部分、不十分な部分もあって、さまざまな御批判もいただき、御指摘もいただいております。日々、反省をしながらですけれども。私の取り柄は心身ともにタフだということ。ボクシングもやっていましたし、ずっと運動をやってきましたので鍛えられてきました。体育会でかなり激しく鍛えられてきましたので、そうしたさまざまな御批判もしっかりと受けとめて、今日よりも明日、いい説明をしよう、いい会見をしようと、そんな思いで毎日臨んできています。逃げずに会見に臨む、会見をするのが今の私の責任だと考えています。
 できれば、多くの国民の皆さんに1日も早く安心して経済社会活動ができることを心から望んでおりますし、そのために政府を挙げてワクチンや治療薬の開発、それから海外で開発されたものについても一定量の確保、こういったことに全力を挙げているところであります。
 なかなかそう簡単ではない。まさに足元でこれだけの感染者が高い水準で推移していますので、簡単なことではありませんけれども、何とかできる限り正確な情報をお伝えして、国民の皆さんにも御理解をいただいて、そしてみんなで新たな日常をつくっていくことによって。以前の日常、昔の日常には戻らない。戻ると感染は広がりますから、そのことをみんなで、それぞれの立場で御協力、御努力いただきながら、また、政府としていろいろな取り組みを支援していく。このこともまだ十分に伝わっていないところもありますので、こういったアクリル板を購入したり、消毒液を買ったり、換気をよくしたりする。そういう設備を買ったりするのも持続化補助金で中小企業の皆さんには支援をしておりますので、そういったことも含めて、できる限りわかりやすく、さまざまな情報をしっかりとお伝えできるように努力していきたいと考えています。
 いずれにしても、何日続いたとか日数は関係ありませんので、とにかくそういう日が来るまで、できる限り皆さんに正確な情報をお伝ええしたいと考えていますし、心新たに、決意新たに、また全力で取り組んでいきたいと考えています。
 安倍総理が何回会見をやられたか、今、手元にありませんけれども、節目節目で会見されていますし、ぶら下がりもされています。日々、できるだけ正確な情報、そして専門家の皆さんの分析、あるいはそれぞれの今の取り組み状況、こういったことを総理にしっかりとお伝えしながら、そして、必要に応じて総理からの指示もいただいておりますし、その上でまた節目節目で総理には会見していただければと考えています。
 当然、日々、菅官房長官も毎日2回にわたって会見されておられます。もちろん私だけで足りない部分は菅長官も会見されていますし、政府全体として、ぜひ、できる限り多くの国民の皆さんに理解していただける、そうした情報を提供できればと考えています。
(問)先ほどの熊本の介護施設でのクラスターの件ですけれども。恐らく問題の本質というのは、要介護の感染者を受け入れられる医療機関が決してそう多くはない。介護と看護の両方を提供できる医療スタッフがそろっている医療機関というのは必ずしも多くはない。それは、恐らく空きベッド数ではかれるものではないということではないかと思うのですけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。
(答)この熊本での介護施設の状況を詳しく把握しておりませんので一概には申し上げられませんし、軽々なことは申し上げられませんけれども、対応の仕方はさまざまあるのではないかと思いますので、よく実態を聞いて、そしてそれぞれの方が適切に治療を受けられる、それぞれの状態があると思いますので、これは要介護の状態もあれば、また、感染症の状態もありますので、そうした状況に応じて適切に治療が受けられるように、状況をしっかりと確認して対応できればと考えています。

(以上)