西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年7月31日

(令和2年7月31日(金) 15:33~16:51  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

お待たせいたしました。
 本日、第4回新型コロナウイルス感染症対策の分科会を開催いたしました。
 予定した時間よりもかなり長く議論を行っていただきました。主として2点の御議論をいただいたところであります。
 1点目は、現在の感染状況についての分析・評価、それから、今後想定される感染状況のレベル、感染状況やそれを検知するための指標についても御議論いただいたところであります。
 まず、感染状況については脇田国立感染研究所の所長から、足元の感染状況、あるいは専門家の現状分析を御説明いただいた後に、途中、小池都知事、それから吉村大阪府知事にもテレビ会議に御参加いただき、それぞれの地域、都と府の感染の状況、それから対策について御意見をいただきまして、その上で意見交換し、議論を深めていただきました。
 今後想定される様々な状況、特に感染状況、これについて指標と対策について議論をいただきました。
 先に尾身会長のほうから、その議論が行われた結果、構成員全体で提案をまとめられておられますので、それについて御説明いただければと思います。

(尾身茂会長)尾身です。よろしくお願いします。
 簡単に、大体、今日の分科会で大事な点で合意されましたので、その結果について御報告申し上げます。
 これはもう、この前のスライド、前回ですけれども、一番大事なのは我々の今、医療、公衆衛生、経済が両立し得る範囲で十分に制御可能なレベルに感染を制御して、死亡者、重症者を最小限に。
 それと、東京などを集中に感染が今、少し増加しているところがありますよね。そういうところは、感染レベルをなるべく早く、早期に現象に転じさせるということは、この前政府に提言していたことで。
 次のスライドに行ってください。
 これは、この前、政府の提案。大事なのはここで、今日、実はかなり時間をかけて議論をしたのはここでございます。もちろん、先ほどのように、今ある状況はなるべく感染を下にしたいということはこの前。そのために各都道府県が努力されていると思いますが、それと並行して、ここがポイントだと思いますけど、努力はしてもらって今、感染が少しずつ上がっている県もありますよね、それについては、なるべく可及的速やかに下の方向に行っていただきたい。
 同時に、これは危機管理の要諦、大事なことですけど、そういうことと同時に、ここに、感染拡大が継続したときや爆発的な感染に備えて、指標やらとるべき対策について大きな方針というか、大きなピクチャーを示さないと国民に対する政府の責任が果たせないんじゃないかということで、ぜひ、これを検討してくださいということで政府にお願いして、実はその検討をしたのが今日の会議の最重点テーマでありました。
 次のスライドに行ってください。
 これは、後で読んでいただければと思います。
 次のスライド。
 これは、昨日のアドバイザリーボードのほうでも議論されたところですけど、一部の今の感染の状況は、都市部を中心にして、こういう飲食店、飲み会、会食なんかで地方でも感染拡大が生じていることが一つ。それから、一部地域では感染拡大のスピードが非常に憂慮すべき状況であるということ。それから、ここは大事なことで何度も強調させていただきたいと思いますけれども、いわゆる飲食店、居酒屋、そういうような状況が多くて、こういうところは3密、こういうようなことで起きて。したがって、そういうような感染対策、3密を避ける、換気などが非常に強く求められていることで。
 現在のところ、基本的な感染対策が行われていれば普通の買い物とか普通の出勤、オフィスなどで感染が拡大する状況ではない。一方、注意しなくちゃいけないのは、感染経路不明の感染者が増加しているということは、これは事実であります。
 最近では、家庭内や医療機関、高齢者における感染拡大がされています。これまで若年層を中心とした感染拡大が見られた。つい最近までは、そうした傾向でしたが、しかし都市部を中心に感染者の増加が進むことにより、中高年層への拡大が徐々に見られ、重症者も徐々にではあるけれども増加しているという認識であります。
 したがって、このようなことが続くと、保健所や医療機関に負荷がかかるということで、ちょっとこれははみ出ちゃっていますけれども、こういうことがあるので宿泊療養施設の確保を初め、医療提供体制の状況を常に点検して、しっかりと準備してくださいというのは、今回のこの評価であります。
 次のスライドをお願いします。
 今のは現在の評価ですけど、これは緊急事態宣言解除以降にどんなふうに感染が拡大したかということを簡単にまとめた評価ですね。
 ここで大事なことは、緊急事態宣言前後にかかわらず、感染リスクが高かった場所は、全面解除後と同様に、その後もいわゆる3密と大声だったということが極めて重要だと思います。
 その中で、3密と大声に関する感染経路として、最近になって、いわゆる「マイクロ飛沫感染」というのが世界的に重要視されて、注目されているのは皆さん御承知のとおりです。重要な様々な状況証拠から、3密と大声のこういう環境においては、もちろん飛沫感染や接触感染もありますけれども、それに加えて、この3密のような状況においては、飛沫感染や接触感染に加えて「マイクロ飛沫感染」が起こりやすいものと考えられています。
 一方で、野外を普通に歩いていたり、感染対策をとられている店舗での買い物や食事、それから十分に換気されている電車通勤・通学などでマイクロ飛沫感染が起きる可能性というのは低い、限定的と考えられる。つまり、3密になっているところによって、この「マイクロ飛沫感染」が起きやすいということが、今までのこの評価で我々が判断したところであります。
 次のスライドをお願いします。
 さて、今日の一番議論したところで、最も時間を割いたところがここから二、三ページ始まりますけれども。
 これは、都道府県によって感染の状況が違いますから、全国を一律に議論するということは今のところあり得ないと思いますので、各都道府県別に今後想定される感染状況ということであります。
 目標は、先ほど1枚目のスライドで示しましたように、こういうことで。今の状況ですね、それぞれの地域によって状況が違いますが、今、東京とか大阪で感染が少しずつ拡大しているっていうのは皆さん。そういう地域では、もうここは言い過ぎても言い過ぎることはないと思うんですけれども、感染レベルをなるべく早期に減少に転じさせる必要があるということを政府に申し上げました。
 それはなぜかというと、仮にそんなに上昇しなくても、平行状態であっても、患者さんはどんどん、どんどん蓄積してきて医療に負荷がかかることはわかっているので、長引けば長引くほど負荷がかかってきますので、なるべく早い時期に減少に転じさせるような対策をとっていただきたいということであります。
 さて、そうは言ってもということでこれからの議論になりますが、今回は各県をこういう4つの段階に分けて議論したらいいんじゃないかということが合意されました。
 1つ目が、感染ゼロ、散発段階という、こういう段階ですね。これはどういうことかというと、感染者の散発的発生はあるんだけれども、医療提供体制にそれほどの、特段の支障がないという段階。これは、そういう段階である県もありますよね。
 それから、次の段階に行くと、次の段階、ここを行ったり来たりすることがありますけど、感染漸増段階ということで、感染者の漸増及びそれに従って医療提供体制の負荷が蓄積されるというような状況です。3密環境などリスクの高い場所でクラスターが度々発生することで感染者が徐々に増え、重症者が徐々に増加してくると。このために保健所などへの負荷が増大するとともに、新型コロナウイルス感染症に対する医療以外の一般の医療も並行して実施する中で、両方やるわけですよね、医療提供体制への負荷が蓄積しつつある段階ということが、この感染漸増段階。
 それから、次の段階は感染急増段階ということで、感染者の急増により医療提供体制に支障が発生するという段階であります。これは、この前の段階と比べて、だんだんクラスター感染が多発するなど、感染者が急増し、新型による感染者に対する医療供給体制の負荷がさらに高まり、一般の医療にも大きな影響が出ている状況であります。
 さらに、最後、これが一番、言ってみれば、言葉が適切かどうか、最悪の状況ですね。最悪の状況が感染爆発段階。爆発的な感染拡大及び深刻な医療提供体制が機能不全だという段階です。病院クラスター連鎖による大規模かつ深刻なクラスター連鎖が発生し、爆発的な感染拡大が始まり、そのため、このままいけば高齢者や高リスク者が大量に感染し、多くの重症者及び死亡者が発生し、公衆衛生体制、医療経済が機能不全に陥っている状況。
 この4つの段階に今回分けたわけであります。
 次のスライドが、これ、今日の会議の内容を簡単に。これが今日の会議の肝になるスライドで、簡単にまとめました。
 どういうことかというと、感染ゼロ、散発段階と漸増段階、これが今、多くの日本の県がここにあると思いますけど、これとこれで、実は今回の一番の肝はこういうことです。
 ここの段階、今、多くどちらかに当てはまると思いますね。今、ほとんど感染が散発という段階と東京都や大阪なども漸増段階ということで。次の段階がこれですね。この次の段階に移ったことがわかってから対策をとっては遅過ぎますね。次の段階に移って対策をとっては遅過ぎる。特にここなんかそうですよね。一番最悪な状況になって対策をとっても遅過ぎますね。
 危機管理感染症対策でも、何か大変なことがある予兆を早目に見つけて、悪くなる前に対応を打つというのが感染症対策危機管理の要諦でありますので、その考えで今回も。今この段階だとします、ある県が。ここの感染漸増段階ということ、ある県がここだとしますと、この次の段階に移る予兆があった場合。まだ移っていないんです、移っていないんだけど、そこに移る予兆があったら、予兆を見つけてすぐに先取りをした介入をしていただきたいということです。よろしいでしょうか。ここに移る、それからアクションをとるんじゃなくて、移る予兆を探知して、探知したらすぐに介入を始めて、次の段階に移ることを防いでいきたいということです。
 我々が今回、分科会がコンセンサスだったのは、今この段階だけど、こっちの段階はもとより、ここの感染急増段階という中間地点を設けたわけです、今回。ここが最悪ですから、最悪に行く前に、もう1つの中間段階を設けて、この中間段階には絶対に行かないようにみんなで努力しようということです。
 もちろん、今にある段階の人は感染を、冒頭申し上げましたけれども、今ここにある人は、なるべく感染を下火に行ってほしいわけですよね。だけどもこういうこともあり得る。今の対策は必ずしも成功する100%の保証はないんで、その後どうなるかということを前もっていろんなシナリオを考えていただきたいというのが、この我々の考えで。
 もう一度、再度繰り返しますと、ここになってからでは遅いので、その予兆を早く見つけて、見つかったらすぐに今の段階よりも強い対策を打っていただきたいということです。
 その予兆を見つけるのが、実はインディケータ、ここです。指標ですね。いろんな指標を用いて、この予兆、この指標というのはそういう意味です。予兆を探知するための指標であり、探知したらすぐにアクション。だから、このインディケータ、指標とアクションは同じ時期に起きるということです。よろしいでしょうか。指標でこの予兆を見つけて、見つかったらすぐに、次の段階に行く前に、行くことを防ぐためにすぐにアクションをとっていただきたいというのがこの考えです。これは次の段階も同じです。
 今、いろんなところで緊急事態宣言を出したほうがいいかどうかという議論がありますが、我々はここの中間段階を、さらにこれが悪くなったら、これを突き抜けていくことも理論上あり得るわけで、この最終的な感染爆発段階に行ってから緊急事態宣言を出しても遅いわけですよね。さっきと同じです。だから、緊急事態宣言を仮に出すのであれば、この段階に行く前に予兆を見つけてすぐにやる。その日をまた考えるということであります。よろしいでしょうか。ここが今日の肝であります。
 次のスライドへ行ってください。
 そういう中で、じゃあその指標は何かということですけれども、今日は大体こういうことの基本的な考えということを分科会は合意いたしました。それはどういうことかというと、もちろん、この検査態勢、いわゆる抗原検査、PCRとか検査体制ですね。それから、このいわゆる新規の報告数。こういういわゆる感染のレベルをあらわす、こういう指標はもちろん大事でありますけれども、それと同時に、特にこれは医療提供体制の負荷に関する指標を重視ということです。
 ただ、ここでは書きませんでしたけど、皆さん、ぜひ、報道するときはつけ加えていただきたいんですけど。実はこの医療提供体制の負荷ということを主に都心部のほうでは重要視しますけれども、まだ感染がほとんど、それほど拡大してない、非常にまだ感染が下火な地域がございますよね。そこはまたちょっと違う考え方をとらないといけないというのが今日、随分意見が出ました。
 したがって、これは東京都を中心に、都心部を中心の考え方で、地方の小さな、まだ感染が下火のような所はまた別途考えるということだけは申し上げて、これだけは。これは今、東京とか大阪が国民的な関心になっているから、それを中心にしてやりましたけれども、地方のほうでは必ずしも医療供給体制だけじゃなくて、この感染者の数というのも同じように重要だから、少し大きな都市部の県と、地方のまだ感染が少ない所は、その辺はきめの細かい議論が必要だということが今日出まして。みんな、それはそうだなということで納得。
 したがって、これは私たちのもともとの意見でしたけれども、今日は基本的な考えを同意する、議論して。そして、この具体的な検査の数ですよね。何人とか、何パーセントかというのは2つあって、特に医療体制のほうは今、厚生省のほうがいろんな状況を集めているところだし、しかもいろんなこういう具体的なことを示すのは、今、県のほうで、各都道府県でいろんな取り組みがあるんで、各都道府県とのしっかりした連携といいますか、それをしないで国が一方的にやると、むしろ混乱を起こす可能性もあり得ますので。
 私どもは今回は、基本的な考えが今日まとまったので、これから大臣にも先ほど御提案申し上げましたけど、今日から1週間ぐらい、なるべく早いうちにいろんな県と連携しながら、どういうことが全国的に。いろんな、地方の県もありますから、そういう所にもふさわしいインディケータをこれからなるべく早く。そんなに1カ月も2カ月もかける余裕はありませんよね、今の状況。それを次の分科会でやる。ただし、その間に厚生省のいろんな医療関係の情報が我々は必要です、提言するには。それと、各都道府県との連携ということも必要なので、そのプロセスがもう明日から、国のいろんな基本的考えが各都道府県で、おお、納得、そうだなというものじゃないと、むしろ出すことによって混乱が生じますから。だから、あえて今日は出さなくて、1週間程度ですね、じっくりやって次の分科会で最終結論を出したいというふうに思っています。
 次のスライドを。
 これはもういいですね、もうこれはよろしいです。
 それで最後、ちょっと参考になるスライドは、どんどん行ってください。
 これが、漸増の段階から次の段階にいく予兆があったときに。よろしいですか。今の感染急増段階という3番目の段階ですよね。今、2番目の段階の、これが行きそうだという予兆があったときには、どんなことをしていただきたいかと。予兆が見つかったらというのが、これが我々の政府への一応の、こんなことをやったらいかがですかというのを大体リストに書いて示したものです。最終的には、これはまたいろんなことがディテールがありますから、後であれですけど。これがこういうこと。
 で、次のスライド。
 さらに今度は3番目から4番目に行くときに、こういうように。これはかなり、今の前のスライドよりも強い対策がとられますけれども、なるべく我々は、恐らく日本人は誰もここまで行きたいっていうふうに思っていないと思うんで、その中間地点で絶対に、最悪の場合は中間地点でとめたいというのが今回の。これが一応リスク管理ですから、最悪のことも当然お示しするのが国の私は責任だと思うので、こういうことを分科会のほうとしては、一応検討してくださいというものを書いてあるということです。
 次のスライド。
 それで、あと2つぐらいだと思うんですけど、実はクラスター、クラスター。先ほど私は3密、今までの緊急事態宣言解除後、いろんな感染が起きましたよね、いろんな場所。劇場であったり、いわゆる接待を伴う街であったり、最近になって会食、お酒を伴うというようなことが、どんなことがあったのかというのを国のほうにまとめてもらったのがこれです。
 そうすると、これが件数ですね。接待を伴う会食、職場。こういうことで件数で、総人数、1人あたりの人数、最大人数で、こういうことであります。ところが、申し上げたようなこういうふうな場所で、違いはあったけれども、先ほど言った3密のようなことが一番の感染拡大の共通な状況であったということが言えるという、こういうことです。
 もう1つのスライドをお願いします。
 これで皆さん、実は個人情報という問題があって、なかなか全てのことが公表できないということがあったと思うんです。だんだんと厚生省のクラスターサーべイランスのチームを中心に、保健所の人や地元の関係者の人が努力して。実際に今までの、特に今緊急事態宣言解除後ですけれども、どういうところでクラスター感染が起きたと言っても、皆さん、ああ、クラスター感染かと思うけれども、どういうことで実際に起きたかというのがだんだんわかって、公表ができる段階になってきたんで、それの一部だけですけれどもお示しして、実感がこれで、ああ、そういうことだったのかとわかっていただければと思います。
 これが接待を伴う飲食店クラスターということで、こういう場所、キャバクラ、ホストクラブ、ラウンジ、スナックというこの人たちが。こういうような、この人がいて、次の感染をして、この人、これからこの人からこういうふうに。ういう感染の連鎖がわかっている例がある。これがリンクがわかる例で、こういうことで。
 ここの接待を伴う飲食店クラスターでわかったことはどういうことかというのがここのページで、流行地から来た利用客から店員さんに感染していたということ。接客時に3密となり、店員から今度は利用者に行った。逆ですね。有症状の店員が勤務しているところに来て、店舗利用者と店員に感染。こういうことがクラスターの分析でわかってきたということです。
 したがって、こういうことがあったんで、これからどういうことをしていただければ。これは国から国民の方に伝えてほしいと思いますけれども、症状があるときは店舗の利用を控えてください。店員は3密を極力減らす工夫や検温などの健康管理。それから感染症の早期発見、早期対応。こういうことでクラスター感染の広がりを防げる。
 これはもう感染症の常識ですけれども、こういうクラスター感染が起きたら、早く介入すれば早く介入するほど収まるのが早くなりますから、このことはぜひお願いしたいというのがこれからわかることです。
 次のスライドをお願いします。
 これは今度、昼カラオケというところがありましたよね。これは、比較的年齢の高い人たちが一定感染をした。ある県というのはあれですけれども、こういうことも。これを見ていただければ、先ほどのように、どういうふうにして感染が行ったのかというのがわかる。
 この昼カラオケクラスターというものを分析してわかったことは、マスクを着用せず長時間歌うという人が多かったというのがわかっている。それから、複数店舗利用者が別の店舗、1つのところではなく別の店舗に行って感染が広がっていたということ。オーナー、従業員の感染、有症状者での利用店舗で感染者が多かったと、こういうようなことがわかって。それをこういうことから、ぜひ、政府が国民の皆さんにお伝え願いたいのは、マスク着用。長時間利用、これはもう長時間利用ということですから、これを回避。有症状者の店舗の出入り、有症状者の人が感染をちょっと広げたという部分、それを徹底してくださいということがわかったということです。
 次のスライド。
 あとは、このマイクロ飛沫ということが今、話題になっていますよね。マイクロ飛沫というのは、今までも実は飛沫感染、接触感染というのがあって、それが最近、マイクロ飛沫ということが言われてきて。これはもう皆さん、よろしいですよね。だんだんとマイクロ飛沫というのが重要視されてきているということで。このマイクロ飛沫がどういうことかというと、換気の悪い密閉空間では、5マイクロ未満の粒子がしばらくの間空気中を漂って、少し離れた距離まで感染が広がる。こういうようなことで、マイクロ飛沫感染が起きるということは大体わかってきて。
 このことは、実は注意して強調したいのは、いわゆる空気感染ですね、空気感染というのは、もうこれは、一番典型的なのは結核菌とかはしかです、麻疹。ウイルスで認められて。もうこのマイクロ飛沫のあれよりもっと小さな飛沫が、例えば空調などを通じて空中で長時間漂う。長い距離でも感染が起こり得るもの。こういうことは、我々分科会あるいは厚生省のアドバイザリーボードで、これは起きていないと思います。こういうことが起きていれば、もっと感染はあっという間に広がりますから、こういうことは今のところ起きていなくて。このマイクロ飛沫というのは、先ほどから、昨日のアドバイザリーボードでも確認があったように、主に3密があるような所でこれが起きている、こういういうことですね。こういうことだと思います。
 最後、これで終わりだと思う。
 ちょっと長くなりましたけど、説明を終わります。どうもありがとうございました。

(西村大臣)それでは、この分科会での議論を踏まえまして、私の受けとめと今後の対応についてお話し申し上げます。スライドへ行く前に、3点申し上げます。
 1点目が、まさにこの感染状況の分析と対策を議論いただいた上での私の受けとめであります。
 まさに、足元の感染状況は新規感染者の日々の報告数が分科会の専門家の皆さんの分析、漸増しているということでありますが。ただ、高齢者の60歳代以上の方の感染の数も増えておりますし、また入院される方の数も増えております。この状態が続けば、さらに医療提供体制に影響を及ぼしてくるわけであります。今日は特に医療の関係の皆さんからも、そうした懸念が示されました。まさに医療体制に負荷が増してくるわけであります。ですから、何としても減少傾向にさせなければいけないということを、改めて意を強くしたところであります。まさに今は次の段階に進めてはいけない、警戒を強めなければいけない、この状況だということを改めて認識をいたしました。
 そのために何が必要か。今日も御議論いただきました。やはり原点に戻ると、今のお話のとおり、3密、大声、これを回避すること。それとガイドラインの徹底です。後ほど少しお話ししますが、今、尾身会長からもありましたとおり、幾つかのクラスターが発生したところでは、ガイドラインが守られていません。それで、マスクを外して大声を出して感染が広がっている。何としても、ガイドラインの徹底をやらなければいけない。これは既に5,000件を超える団体に、関係省庁から通知をして、実は幾つかの企業からも、私のところにそれについての問い合わせも入っています。しっかりと届いているなということも改めて確認しました。今日文科大臣とも、朝、閣議のときに交わしました。大学を含めしっかりと伝えてあるということをお聞きしております。各省庁連携をしながら、それぞれの団体でガイドラインの徹底をしていただきたいと思います。
 その上で、今日お二人の知事から状況のお話をいただき、また提案、まずは、とろうとしておられる対策と国への提案もございました。その中には、ガイドラインを遵守していないところへの休業要請、これもやっていきたいと。それからガイドラインをしっかり、もう守ってくれるように。こういう要請は既になされていますので、これは持続化補助金など200万円まで支援も行ってきております。それぞれの地域によっては、さらに支援金を出して応援をしているところもあるようでありますが、遵守するように言ってきています。
 その遵守しているところであっても、例えば大阪府知事が提案として言われていたのは、大阪のミナミの地域、かなり限定的にエリアを絞って、そこの営業時間の短縮などの要請を行うことを考えたいということでありました。これは当然休業要請なり、営業時間の短縮なり、これまでも私もこの場でも述べてきたと思いますし、当然あり得る対策だと思っております。ガイドラインを徹底していく上で、やはりメリハリをつけて要請をし、そのための費用は応援をしていく。持続化補助金などで応援をしていく。そしてそれがなされていないところは休業要請、あるいは仮に守っていたとしても、あるエリアについて焦点を絞って休業要請。ただし、そのときに支援金なども考えたいということでありました。
 協力金、支援金など、これは両知事がおっしゃっておられました。国としては、1次補正、2次補正で、これは東京都、大阪府のみならず3兆円の金額をそれぞれの都道府県に交付をいたしておりますので、まずはこれで対応していただければと思いますが、さらに感染状況、あるいは対策、こうしたものも見ながら、国としてさらに何ができるか、これを考えていきたいと思います。
 そして、次の段階に行く具体的な指標については、今、尾身会長から言われたとおりであります。厚労省のほうで病床の分析なども、これはずっと進めております。定期的に公表もされています。病床の占有率が高まってくると、次の病床確保に向けての動きを都道府県と連携して対応したりもしています。あるいはホテルの確保、軽症・無症状の方へのホテルの確保も、厚労省、観光庁と連携をしながら、都道府県をサポートして対応してきています。
 こうした状況をよく見きわめながら、厚労省と調整をしながら、また部会長がおっしゃったように、各都道府県の状況が様々ありますので、そういう状況も踏まえながら、この手法の議論をぜひ進めていきたいと考えています。
 このことについては、今日は平井知事も都道府県知事会を代表して出席をされておられましたので、共有をいたしておりますので、各都道府県の状況もしっかりと踏まえながら議論を進めていきたいと。そして改めて近々開く分科会において議論をしていただいて、方向性を出していければと考えています。
 2点目が、ワクチンの議論であります。
 ワクチンにつきましては、まさに前回の分科会で2009年の新型インフルエンザのときのワクチン接種の基本方針のときに、かなり議論があったということで、その議論をきょう、もう一度お示し、改めておさらいをしたような形で資料提出をさせていただきました。その上で御議論いただきました。さらに、優先的に接種する対象者などについて、今後さらに議論を分科会においても深めていただいて、8月を目途とする中間取りまとめに向けて、引き続き議論を重ねていきたいと考えています。
 そして、3点目に、本日の分科会では、感染者に対する心ない攻撃、あるいはプライバシーの侵害、こうしたことについて懸念する御意見が出されました。まさに感染者に関する偏見・差別を防止してプライバシーを保護していくこと、これはもう極めて大事なことであります。政府として、部会のもとにワーキング・グループを設置して、こうしたことの専門家の先生も交えながら協力をいただいて、対策について急ぎ検証を進めていきたいと考えています。
 これ、私も繰り返し申し上げてきました。もう誰がかかるかわからない、どこに潜んでいるかわからないウイルスであります。それぞれに感染防止策、マスクをし、消毒をし、そして3密を回避する。取り組まれていることと思います。私どものコロナ対策室のスタッフも1名かかりましたし、私もPCR検査を受けたわけでありますけれども、どこでどういう形で感染があるか。尾身会長が言われたように、普通に買い物をしたり、地下鉄に乗ったり、オフィスで感染防止策をしっかりしていれば、リスクは非常に低いということ、限定的であるということを言われているわけであります。そうだとしても、何かきっかけで感染することがあり得ますので、その人自身が何か悪いと非難されるべきことではありませんので。ぜひ例えばネット上でそうした感染された方の住んでいる地域とか行動履歴を追及するとか、非難をするとか、そういったことは絶対にやめていただきたいと思います。
 私からその3点でありますが、1点目についてだけ、簡潔にグラフで申し上げたいと思います。
 次をお願いします。
 今、尾身会長からありましたとおり、現段階、この漸増段階ということで感染者は増えている。しかし、先ほど来申し上げていますとおり、この次の急増段階に行きかねない、絶対に行かせてはいけない、そういう状況だと思います。何としてもこの元に戻す。早期に減少に転じさせるというのが、もう共通の思いでありますので、何としても対策を強化して、この感染が少ない段階、減少に転じさせる。こちらに行くんじゃなくて、こちらに戻すということを改めて、今日、意を強くしたところであります。
 次をお願いします。
 重症者の数もピーク時、400床を当時確保していましたので、この当時105名という高い数字でありました。この時点で100床に病床を増やしましたので、33人の段階で100床に増やしましたから、33%ということで、このパーセントは落差がありますけれども、しかし、その後、5名まで減ったわけでありまして、100床に対して5%です。ここまで減ったわけですが、その後、感染拡大を受けて、やはり22名までこういう上昇傾向にありますので。つまり大事なのは病床が今22%で余裕はあるということですけれども、しかし新規感染者が増えれば、当然重症者も増えてきますので、病床が一番チェックしなければいけないことでありますが、やはり感染者、報告者の数を減らすことも大事なことであります。
 次をお願いします。
 全国も同様であります。328名というピーク、4月の末でしたけれども、一時期は31名まで減って、今87名まで増えてきています。ここもまだ病床でいうと2,532ですから、使っている全体では2.3%ですから余裕がありますが、しかしこの増えている傾向を何としても減少にしなければいけないということであります。
 次をお願いします。
 これはECMO、人工呼吸器も通常と同様の傾向です。
 次をお願いします。
 これも東京の状況ですから、もうあれします。
 東京の入院患者の数も、ここから5月11日までは自宅とかホテルで療養された方も入れていましたので3,000とかになっていますが、ここから自宅・ホテルなどを除いて、いわゆる病院に入所されている方、5月12日が1,413名でした。そこからぐっと減って、これがまた1,100名台まで今増えてきているという状況でありますので、何としてもここを減少傾向にさせなければいけないということです。
 次をお願いします。
 直近は今申し上げた1,150幾つでしたけれども、2週間前は760名だったわけですから、この間にそれだけふえておりますので、何としてもこれを減らさなければいけないということです。
 次をお願いします。
 注目すべきはこの60歳代以上の陽性者の数で、今のところ直近で150名台でありますが、ピーク時は300名前後でありましたので、ここから増えないようにしなければいけないと思います。
 次をお願いします。
 これは先ほど尾身会長からありました。
 次をお願いします。
 次をお願いします。
 これも御説明がありました。
 次をお願いします。
 クラスターの状況もたくさんあります。
 次にどんどん、院内感染とか昼カラオケとか職場とか。ここでちょっととめてください。
 スポーツジムなんですれども、実は緊急事態宣言のころまでは、スポーツジムはたくさん感染者が出ていました。わかりますよね。呼気を荒げてハーハー言って遠くまで飛ぶ。そして密集したところで、強いスポーツを行っている。トレーニングを行っている。しかも、消毒もなかった中で感染が広がったんだと思いますが、実はわかったことを、ちゃんと換気の徹底とかマスク着用とか、ガイドラインを作って、それを徹底してもらっています。その結果、最近はスポーツジムでは出ていません。きちんとやれば、それぞれの業界で抑えられるんですね。
 スポーツジムは御案内のとおり、当時クラブなどの接待を伴う飲食店、カラオケ、スポーツジム、あわせて発生の多い業種としていわれていました。リスクの高い事業体といわれていましたけれども、しっかりとクラスターのこの経験を踏まえて対策、ガイドラインを作って、今業界団体が必死になって。実は最近そのガイドラインのやっておられる方とも話したんですけれども、もう徹底的に今やっていますからと、各ジムでということであります。事務の経営者の方がおっしゃっていました。やればできますので、それぞれの業界で徹底をするということを。改めて今回5,000以上の通知を出していますけれども、ぜひこれを徹底していければと思います。
 次をお願いします。
 これもいいですね、接待を伴う飲食店。
 次はバス。バスのツアーも実は初期のころ、武漢からの観光客を乗せたバスツアーだったと思いますけれども、クラスターが発生しました。しかし、その後、やはり徹底してマスクの着用とか換気とかを徹底することによって、その後、最近は出ていません。それぞれの業界で、こうやってガイドラインを徹底すれば、感染防止と経済活動、社会活動との両立ができるわけですから、ぜひこのことのお願いをしていきたいと思います。
 次をお願いします。
 今日大阪府知事が提出された資料であります。先ほど申し上げたことですけれども、接待を伴う飲食店、バー、キャバレーやホストクラブなどです。ガイドラインを遵守していない施設には、休業要請を行っていきたい。それから、ガイドラインを遵守しているところ、ステッカーを張っているところと、その他の酒類を提供するところについては、営業時間の短縮を要請することを考えたいということであります。当然こちらにも既にガイドラインを守るようには要請をしているわけでありますけれども、つまり守っていないところはやめてくださいと。しかし、ピンポイントでミナミのある限定的なエリアについて、こうしたことを考えていますと。これについては、きちんと守った上で、営業時間短縮をやっているということで、ステッカーを掲示していることを条件に、支援を行っていきたいという考え方をお示しされました。
 東京都も少し差はありますけれども、同様の考えを小池知事が示されています。これは当然あり得る考えですし、私もこれまでも示してきたことであります。
 次のページをお願いします。
 これは、以前に分科会でも私どもお示しをしたものであります。24条9項に基づいて、ガイドラインの遵守を要請し、ガイドラインを遵守していないところ、お店は使わないでくださいということも要請しつつ、しかし、状況を見つつ、まさに高齢者や重症者の状況なども見ながら、この3番目の措置、ガイドラインを遵守していない店に対しての休業要請等ということで。休業要請はかなりきついわけですけれども、時間の短縮なども含めて、これまでも案としてお示しをしてきたことでありますので。これは、それぞれの感染状況に応じて都道府県知事が判断をされて行っていくこと、これは当然あり得ることだというふうに思います。連携をしながら、こうした焦点を絞って、そしてその業種、今クラスターが発生している業種について焦点を絞り、対応対策を強化していくこと、これを連携しながら取り組んでいきたいと考えています。
 繰り返しになりますけれども、様々な協力金や支援金については、これまで予算措置を補正予算でしっかりと講じておりますので、それを活用いただければと思いますが、大阪府も1,000億円を超える交付金を交付いたしております。そうしたものを活用していただきながら、対応していただければと思いますが、今後の感染状況や対策、こうしたことを踏まえながら、政府として何をすべきか、何ができるかを考えていきたいと思います。
 次をお願いします。
 もうあとは既に申し上げた、今尾身会長からもあった、ここにも、もうずっと貼ってありますけれども、3密回避と大声禁止、それからガイドライン遵守の店を使う。それからやっぱり接触確認アプリをインストールしていただいて、クラスター対策が効果的、効率的にできるようになりますので、保健所の負担を下げることになりますので、ぜひできるだけ多くの皆さんに協力をいただいてインストールしていただければと思います。
 私からは、以上です。

2.質疑応答

(問)大臣と尾身先生に連続でお聞きしたいんですけれども。大臣については、今日提案がありました急増段階への移行を防ぐための施策の提案というのがあります。これについては司法の策定を前にして速やかにやっていくという理解でよろしいんでしょうかということをお伺いさせてください。
 それと尾身先生にはマイクロ飛沫についての御言及がありましたけれども、このマイクロ飛沫も気をつけないといけないということになると、これまでのこの対策をさらに、例えば個人レベルでもお店レベルでも、タイプをさらにバージョンアップして気をつけないといけない、対策が強化という。それは何か必要なこととお考えなのでしょうか。お答えお願いします。
(答)この御提案をたたき台として暫定合意という形でいただいております。今申し上げたように、例えば一番上のガイドラインを遵守していない酒類の提供を行う飲食店への休業要請等ということで、登録は既に恐らく初めとして、感染の拡大が見られる都道府県においては、当然対策としてとり得るものと思います。
 それから右側の病床体制の追加の確保。これもここにありますけれども、先ほど申し上げたように、ホテルの確保であるとか、それから公共施設についても利用ができないのか、各関係省庁の所有しているそういった施設についても調整を進めているところであります。追加の病床の確保に際しても、厚労省で様々サポートしていると承知をしておりますので、もう既に繰り返しになりますけれども、今後急増段階にならないように、全力を上げてこれをやっていかないといけないと思っています。
 当然全体の大前提として、感染防止策を徹底しながら、経済社会活動との両立も図っていくという中で、今とるべき措置をこうして御提案をいただいておりますので、より感染拡大が見られる地域においてはそうしたことを進めていく、これはそれぞれの都道府県と連携して対応していきたいと考えています。
 今日実は平井知事からもお話があったんですけれども、感染が少ない県もあって、そこではここまでやる必要もないところも、知事の判断としてそこまでやらなくてもいいだろうと思っている県もあるということでありますので、これは都道府県の事情に応じて対応していただくことになりますし、指標もそういった感染の少ない県、多い県、そういったところもよく見ながら指標をつくっていかないといけないと思いますので、専門家の皆さんにもそのあたりはよく情報提供しながら御協議いただければと考えています。

(尾身茂会長)マイクロ飛沫感染があるので、これから個人のレベルの対応が今までと同じなのか、もっと厳しく。実はこれ今日は文章としては書いてありませんけれども、我々特クラスター班の専門家の人たちが、いわゆる3密という概念をかなり早い時期に、換気の問題だとか、距離の問題だとかいうのを、皆さん覚えておられると思うんですけれども。そのころに我が国の、日本の前の専門家会議のメンバーの間では、このことはもう前から議論されていたんです。いわゆるせきじゃなくてマイクロ飛沫的なことがある状況で起こる。これがいわゆるスーパースプレッダーイベントとして。スーパースプレッダーというのはウイルスのことですから、このイベントとして起こるんじゃないのかというのは我々専門家の間では随分、当初から議論していました。
 なぜ今日あえてマイクロ飛沫というのを申し上げたかというと、WHOなんかでもいろいろこのことがあって。恐らく今NHKの方ですよね、御質問があるように、恐らくこれで、えっ、今までと違うのかという話が当然国民の皆さん、一般の我々の間で、そういう不安というのが起こり得ますよね。
 そういうことなので、あえて実は私もさっきのプレゼンテーションで申し上げたマイクロ飛沫感染というのは、実は前からわかっている。3密のことで起きるというのは我々専門家の間ではずっとそう考えていたんだけれども、最近外国、WHOなんかのこの言葉がかなり頻繁に出てきて、一般の人に空気感染なんかと間違って誤解を、そういうイメージになると困るので。実は3密というのが、実はマイクロ飛沫感染が最も起こりやすいということで。先ほどの共知をしたように、普通の街を歩いているということで起こる可能性はきわめて低いということで、そういうことで今回わざとあえて取り出して説明をさせていただいたということです。
(問)質問は二つございます。まず1問目なんですが、岐阜県が2回目の緊急事態宣言を出す動きを。東京都、今速報で沖縄県も視野に入れているとのことです。自治体独自の緊急事態宣言を出す動きについては、国としては静観するということになるのでしょうか。特に東京都がやるとなると、かなり国民は混乱すると思うんですけれども、これについお答えをお願いします。
 二つ目は、一方でこれは尾身先生にもお聞きしたいんですけれども、実はこの国によります第1波のときのコロナ対策の検証。これは収束後に行うということで先送りされております。改めてあえてお聞きしたいのですが、緊急事態宣言の再発令、緊急事態宣言そのものというのは、科学的に大きな効果はあると考えてよろしいのでしょうか。
 この2問お願いします。
(答)まず私から。岐阜県知事、それから玉城知事とも連絡をとりいたっております。岐阜県知事は二、三日前に電話でかなり長い時間、多くが愛知県名古屋と。10分だそうですね。名古屋と岐阜間が10分ということで、やはり名古屋で感染者が増えたら通勤、通学圏内でありますので、その影響をかなり受けて、絶対値は当然大都市に比べて少ないんですけれども、しかし感染が増えている状況で、強い危機感を持ってありました。
 玉城知事も、昨日か一昨日偶然内閣府の下でお会いしましたし、その後電話で、メールでやりとりなどをしております。今日も七十何名ということで、先ほど連絡を受けておりますが、危機感を強めておられる状況だと思います。それぞれの県が県として対策を強化していくこと、これは当然あり得ることでありますので。最も近いところで県民の皆さんの生命や健康を守る責任がある立場から、それぞれの都道府県知事が御判断でなされていくこと、県民の皆さんに呼びかけをし、また対策を強化していくこと、これは私あり得ると思っております。
 現に緊急事態宣言を出した際にも、その基準に満たなかったけれども、専門家の皆さんとも御議論して、そこにはいたらないけれどもという県で、それか京都府であったり、愛知県もそうでしたかね、後に緊急事態宣言の対象となったところもありますけれども、それぞれの県で対策をとられていくことは、それぞれの立場でやっていただければと考えています。
 特に東京の場合はおっしゃるように、これは感染者の数も非常に高い水準でありますし、影響は大きいと思います。東京都知事ともよく連携をとりながら、今日も御説明いただいて、対策を強化していくということで、私どももそれをサポートしながら、何とか減少になれるように、協力して進めていきたいと考えています。

(尾身茂会長)検証のほうは私がですか。
(問)緊急事態宣言について科学的に効果があると考えていいのか、改めてあえて。
(答)(尾身茂会長)検証すべきかどうかという質問でよろしいんですかね。
(問)緊急事態宣言をやること自体が科学的に効果があると考えていいのか。
(答)(尾身茂会長)緊急事態宣言が効果があったかどうかということですけれども、まず事実で話しましょうかね。皆さんも既に御承知のように、緊急事態宣言を出すちょっと前に、都知事が強いメッセージを都民に発しましたよね。これ緊急事態宣言、今のそれこそ緊急事態宣言を出されなくても、知事が権限があるというお話ですよね。権限という、ごめんなさい、出すことはむしろあり得るし、そういうことで今こういう場の上では、国の役割はもとより重要ですけれども、これ現場の知事さんたちの役割はきわめて重要だということは専門家会議が何度も我々期待していますと。言い出しっぺということで、あのときは知事がかなり強いメッセージを都民に出されて、実は緊急事態宣言を出す前に、既に感染のいわゆる人口再生算数が少し減ったんです。たしかあのときは8.6ぐらいだと思います。
 緊急事態宣言が出されるとさらに5.6ぐらいだったと思いますけれども、それで下止まりしたというのがあるので、都知事たちのメッセージも効いたし、緊急事態宣言も一定程度効いたということは間違いないと思います。
 その上で、じゃあ緊急事態宣言を出さなかったらどうだという評価。これはきわめて難しい。今の段階ではできないと思いますが。しかしあれだけの、あのときはどんどん医療がひっ迫していて、メリハリの効いた対応も理論的には今から考えると可能だったと思いますけれども。私は専門家の一員として見ますと、あのときの状況はあのオプションしかなかったと思うし、あれがぎりぎりのタイミングだったと思います。あれより遅かったら問題がもっと深刻になったと。効果についてはこれは何度も私いろんなところで申し上げましたけれども、感染症対策でこれはスペイン風邪のときからずっとそうですけれども、基本的には人と人の接触が落ちると間違いなく。そういう意味では極力8割ということで効果があったけれども、あれだけのことをする必要があったかどうか、しなかったらどうかということはまた別の議論で、それはまたじっくりと検討したらいいと思いますけれども。効果があったかなかったかと、そういう質問をされれば、一定程度の効果があったことは私は間違いないと思います。
(問)大臣に2点お願いします。
 今回このレベル1、レベル2、レベル3と感染レベルの設定、あと予兆をとられるための資料を検討ということなんですけれども。これは今回の提案を受けて、政府として正式に検討されていて、今後、例えば基本的対処方針、そういったものに入ってきたりするものなのかということが1点と。あとは指標というのは、この数値を入れて47都道府県ごとにつくられるものなのでしょうか。緊急事態宣言の通知基準というのを特定されていないと思うんですけれども、そこら辺の御所見をちょっといただければと思います。
(答)今後、指標についてもこういうものをいただきますし、それから見るべきものについては今日かなり整理されてきましたので、それぞれの数値レベルをどういうふうに見ていくかということについて、議論の提起を代数を数値であらわしたり、あるいは重症者の数、60代以上の高齢者の感染者の数、新規感染者の数、こういったところをどういう数値で見ていくのかというところを、今後さらに詰めていただくことになります。
 これは繰り返しになりますが、厚労省が日々担当してきた、検討調整をしている病床の体制、あるいはホテルの隔離の状況、こういったことも踏まえながら、そして都道府県の感染状況にかなり差がありますので、そういったことを踏まえながら、今後議論を深めて進めていきたいと考えていますけれども。その上で、当然対策についても、そのレベルというか、段階という言い方をしていますけれども、今漸増段階で、次は急増段階、そして爆発段階ということで、急増段階に行かないために、何とかこれをもとに戻して、感染が少ない状況に、減少傾向に転じさせるということが大事でありますので、そのために今やらなければならないことはもう既に対応し、強化をしていきたいと思っていますけれども。さらに今後そうした数値の指標が示されてくることになれば、当然それに対応する対策も我々もいただいた提言ももちろん踏まえながら、さらに我々としてできることは何かないのかしっかりと考えて、それを対策としてお示しをしていくことができればと。
 最終的にはそれぞれの都道府県知事の判断で都道府県内でやっていただくことになりますので、都道府県知事にお示しをすることになりますので、その議論の結果、内容次第でありますけれども、私は基本的対処方針を変更することはあり得ると思っておりますので、それが一番イメージ的にお示しをすることになると思いますので、そういったことも視野に入れながら、議論をして進めていただければと思っております。
 それで、都道府県ごとに示すということではなくて、全国の共通の仕様としてお示しいただくことを念頭に置いておきますが、ただ場合によっては少し幅があるのかもしれませんし、今後の議論次第でどういった形でお示しをいただけるのか、都道府県の状況などもよく私どもとしても情報提供もしながら、またそれでも地域のクラスター対策などのそうした状況も踏まえながら、どういった形でお示しするのがいいのか、これは専門家の皆さんに御議論を深めていただければと考えています。

(尾身茂会長)今大臣のほうからお答えいただいた、その例の都道府県ごとということは私も大賛成で。都道府県ごとに示すということは、私ども専門家、今の段階では考えていなくて、むしろ今日の会議の中でも随分意見が出た。私はその意見は非常にもっともだと思うのは、先ほどちょっと冒頭で私申し上げましたけれども、これは我々当然のことながら、今の東京を中心とした感染のことが一番、皆さんもそうですし、我々も最大の関心があるから、どうしてもそちらに関心が行っているんですけれども。我々が国に提案するときは、今そういうことで関心がそちらにどうしても行きますよね。だけど、これは国として出していただくときには、日本全国のことを視野に入れなくてはいけないですよね。そういうときに、都道府県ごとに何か指標のようなものを出すというよりは、今日の議論を踏まえると、私たちの、少なくとも私個人の頭の中では、やはりこれは東京の都心部というものと、感染がまだ比較的少ない地方部とは少し差は分けて考える必要が。それはどうするかというのはこれから数日間の頭の知恵を絞って。みんなでそれこそ県の知事なんかも、今日も平井知事なんか一緒にやっていただけるという強い言葉があったので、そういう知事、あるいは他の人たちと連携して、そういう都心部と分けてきめの細かい配慮は私は必要だと思う。それはやれればいいなと思っています。

(西村大臣)ごらんのとおり、地方は感染者の数が少なくとも、急に増えると今度は医療体制が十分でないところがありますので、当然大都市部は感染者、陽性者の数が非常に多くなってきているわけですが、病床はまだ確保できていると思うのが、これも増え続けると厳しくなるわけですので。ここは要注意、要警戒で対応しなければいけないんですけれども、若干そうした違いがありますので、その辺りを専門家の皆様に御分析をしていただきながら対応していきたいと。
 ただあんまり細かい幾つもの数値が出てきてもあれですので、基本的には全国での目安として、場合によっては少し幅がある都市部と地方部で少し差があるということはあり得るのかなというふうに思いますが、今後、今おっしゃったように、議論を深めていただいてと考えています。
(問)現在地域をまたいで感染が見つかる例というのも結構あるんですけれども、地域をまたいた移動については何か対策をしていくのでしょうか。
 あと、差別偏見に対するワーキング・グループを立ち上げるということですけれども、いつごろ立ち上げてどういう形で結果を取りまとめることになるんでしょうか。
(答)地域のところについては尾身会長からもお話いただければと思いますが、対策には当然段階に応じて考えていかなければいけないと思っておりますので、こうした数値の今後お示しになる資料なども参考にしながら、判断をしていただければと思います。イベントなども、今8月いっぱいは5,000人までということでお願いをしていますが、これが緩和できるのか、それともまたより厳しくしなければいけないのか、こういったことも感染状況に応じてまたお示しいただけるであろう指標などを見ながら、専門家の皆さんの御判断を仰ぎながら、判断していきたいと考えています。
 それからワーキング・グループについては、近々に立ち上げて、ワークももちろん、指標の話、対策の話も大変重要な分科会のテーマ、最終論のテーマでありますけれども、平行的にできればワーキングチームを立ち上げて議論していただき、それを分科会のほうに報告をしていただくような、そういったこともあり得るというふうに思っておりますので。また進め方も分科会のメンバーの皆さんと御相談をしながら進めたいと思います。

(尾身茂会長)移動の話ですね。移動の話は、私はこの前国会でも申し上げたんですけれども、幾つか原則があって、段階にもよりますけれども、感染がかなりふえているところと、それ以外のところはやっぱり感染が増えているところから外に出るということは控えていただければと思いますし、そこの感染が少ないところから増えているところに行くということも控えていただければといいなということを国に提案しております。
 それから感染が低いところ、最初の段階のような地域。県だけじゃなくて地域については、それほど旅行を控える必要は私はないと思います。
 いずれにしても大事なことは、やっぱり旅行をすること自体というより旅行することで3密状況になることがあり得るわけですよね。それが夜の宴会だったり、若者はやっぱり、我々も若いときそうですけれども、旅行に出ればリラックスしたいということで、夜になればお酒を飲んだりという機会もあるし。そういうことはなるべく控えていただきたい。それから高齢者の人が団体旅行なんか行った場合には、やっぱり万が一であると、高齢者の場合には皆さん、リスクが高いということがあるので、そういう中で。あとは夜の宴会なんかが今ここで感染が起きる。食事というよりお酒が関与している状況というのがやっぱり感染がしやすいというのがわかっていますから、そういうのはどこの県でも、今感染が日本中にあると思ってやったほうがいいですよね。そういう意味ではそれも。
 ただし、家族の旅行なんかで注意深くやればいいということもあるし、今日の議論なんかで出たのはお盆をどうするかというような話も。今日は結論はあまり出ませんでしたけれども、お盆はみんな行くのかというようなことも議論が出て、そういうことで県をまたいだというときにはそういうことが原則なので、その原則を踏まえた上で、皆さん考えて工夫をしてやっていただくということが一番大事じゃないかということを政府に申し上げているところであります。
(問)尾身先生に伺いたいんですが、尾身先生は当初から死者、重症者を減らすということで一貫されておられます。現在フランスの場合は2人に1人、スペインの場合は3人に2人は介護施設で亡くなっているというような事実がございます。
 欧州の場合は、亡くなった方の2人に1人は介護施設、スペインも2人に1人以上が介護施設で亡くなっていると言われているんですけれども、私の質問じゃないんですが、東京のお医者さんから尾身先生に聞いてくれって言われたんですが、今限られたPCRをどこに来るかと。これだけある程度市中感染が起こってきたら、やはり老人介護施設などで働いておられるエッセンシャルワーカーの方に定期的にPCRを行ったりして、やはりそういう弱いところに、1人でも早く大変なことになるわけですけれども、この中にはあまりそういう介護施設を守ることが医療崩壊を防ぐことであり、死者を減らすことだということは当然あると思うんですけれども、その辺のことを、ぜひ尾身先生に御意見を伺ってくれと。そういうお医者さんもおられることを伺いたいです。
(答)(尾身茂会長)ありがとうございます。その前に先ほどちょっと私がどなたかの緊急事態宣言の効果について。それで私がごめんなさい、人口再生算数が最初に0.82と0.5を8と言ってしまいましたよね。済みません。
 それで、今のお話ですけれども、実は皆さんこの前、ここで前の会議で検査の体制について合意ができて、分科会、そういう制度で。あのときの例も「GoToキャンペーン」のとき知っちゃって、ほとんど新聞社のほうでもあまり書かれていなかったと思うんですけれども。実はあそこにかなり3つのグループに分けて、有症者と無症者なんだけれどもリスクが高い人と、無症状の人でリスクが比較的、検査前、そういうことで考えをお示しして、今の御質問の介護施設とか、そういうところは2つ目のカテゴリーで、リスクが高いところにはかなり集中的にしっかりと検査をしていただきたいということがはっきり書かれています。そもそも、今日の中でも議論も出ましたけれども、我々の政府への提案は、あの紙には結局検査が、今またちょっといわゆる目詰まりということが出てきているようで、その有症者にとおして、こっちのほうの2番目の介護施設があったらすぐにそこの全員とか、高齢者ということを絶対に必要ですよね。だから早くそのためのニーズがどのぐらいあるのか。現場のほうから吸い上げてニーズを早くある程度正確にはあれですけれども、それを把握してそれに向けてしっかりと検査体制を拡充していく。しかもこれは今PCRだけじゃなくて、抗原検査なんかもやり方もいろいろ。本当に行政検査だけに行くのか、一部臨床検査を含めるのかということで今政府にいろいろ提案を申し上げているので。
 私どもは必要な、さっき言ったような、今までは有症者を中心にやっていましたけれども、無症状者の中でもそのリスクが感染が広がって、おっしゃるようなところはこれはやらないと感染対策になりませんから、それが経済にも影響しますから、それについてはしっかりとこれからも。今、少しずつ拡充はされていますけれども、もう少し勢いのいいスピードでいろんな方法でキャパシティを増やしていただければと思っています。

(以上)