西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年7月22日

(令和2年7月22日(水) 18:49~20:08  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

本日、第3回新型コロナウイルス感染症の分科会、それからその後、新型コロナウイルスの政府対策本部が開催されました。その内容について、御報告申し上げます。
 分科会では3点について御議論いただきました。1点目は、首都圏や近畿圏を初めとした最近の感染状況について、細かく分析をいただきました。後ほど、尾身先生のほうから詳しくお話しいただきますけれども、特に発症日別のデータがかなりそろってきましたので、それに基づいて御議論をいただきました。
 現段階でいわゆる3密、もう最初から言っているこの3密といわれるような場所とか状況で多く発生している、感染しているということ。それから、爆発的な感染拡大には至っていないですけれども、感染が徐々に拡大しているという状況について御評価をいただきました。詳しくは尾身先生からお話しいただきます。
 その上で、医療、公衆衛生、経済の観点から見て、許容可能なレベルに感染を抑制し、重症者、死亡者を最小限にしていくということを目標として、これは基本的対処方針にも書かれていることでありますけれども、そうしたことを目標として、現時点で必要な取り組みについて、対策についての御提言をいただきました。後ほど、お話があると思います。
 2点目に、大規模イベントの開催の在り方について御議論をいただきました。これまで、8月以降は5,000人という上限を撤廃するという目安を示してきたところでありますけれども、改めてどのように考えるべきか御議論をいただきました。足元の感染状況を踏まえて、慎重に考えるべきとの御意見をいただいたところであります。そうしたことを踏まえまして、当面8月末まで現在の制限を継続することとした上で、この間の感染状況を見ながら判断することとしたいと思います。
 ちょっと画面を出していただいていいでしょうか。
 このところですけれども、今7月10日から50%以内、5,000人となっているものを、8月以降、本来でしたら50%以内で上限無しだったんですけれども、これが5,000人のまま維持をされるということになります。上限無しが入っていないですね。次をお願いします。
 リスクについてはもう詳しくは申し上げません。資料をお配りもしております。次の画面をお願いします。
 首都圏でいいますと、日産スタジアム7万2,000人とか、国立競技場8万人とか、東京ドーム4万5,000人、様々なこれだけのスタジアムなりがある中で、いろんなイベントが行われることによって、人の動き、そしてその前後で様々な密になるような状態も想定される中で、今回、制限を維持すべきという御意見をいただいたわけであります。次をお願いします。
 関西でも、甲子園も4万6,000人、京セラドームは5万5,000人、様々なイベントが行われる予定がありますけれども、こうした中でそうした御提案をいただいて、判断をしたところであります。次をお願いします。
 ちなみに海外でも、大体8月いっぱいくらいまでは1,000人以上のイベントは禁止をしている所が多く、日本のものと非常に似ているんですけれども、フランスで7月11日から5,000人以下に限っているというところでありまして、今まだ維持がされています。
 台湾のプロ野球も、本当に感染者数、死者数も少ない台湾でも2,000人以下で維持をされています。収容率40%以下となっています。オーストラリアでも、屋内では4平米に1人という、これはかなり厳しい、2メートル四方に1人しかだめという制限率が置かれています。こういったことを踏まえて御議論いただいた結果、先ほど申し上げたような結論をいただきました。次をお願いします。
 あとは、尾身先生の方から感染状況についてはお話をいただきます。
 後で、地域のことをお話しします。
 2点目に今、申し上げた大規模イベントについて御議論いただいたのですが、3点目に、新型コロナウイルスワクチンについて、予防接種の枠組みの考え方、あるいは接種対象者の優先順位に関する御議論をいただきました。
 メンバーの先生方からは、2009年の新型インフルエンザのワクチン接種の検討の経験などを踏まえて、このときにかなり突っ込んだ議論が行われたようであります。尾身先生もその経験をお持ちであります。ワクチンも様々なタイプのワクチンが今、研究開発されているという中で、その有効性、安全性など、それぞれの特性を区別した上で枠組みを検討する必要があるのではないか。あるいはそうした特性に応じた優先順位の考え方もあるのではないかと。
 いずれにしても、2009年の新型インフルエンザのときの議論がかなりありますので、そのときの議論の成果、論点が整理されていますので、それも踏まえて、具体的な議論を行うべきという御意見をいただいたところであります。次回以降、そうした整理も踏まえて、引き続き御議論いただきたいと考えております。
 それでは尾身先生から、先にお話をいただいてよろしいでしょうか。ごめんなさい、今、出ていた地域のやつだけ。今の地域のを出してもらってもいいですか。
 プロスポーツとかコンサートとか展示会とか、今、申し上げた、8月1日以降も50%、5,000人を維持することになります。
 そして、地域の行事については、知事会の平井知事からも、地域の感染状況に応じてもう少し柔軟に考えていいのではないかという御指摘もいただきまして、実は地域は、もう既に特定の地域のものについては、人数を管理できるというものについては可能になっています。つまり、全国的に移動を伴うものでないもの、地域で完結して人の管理もできる、そうしたものについては特に上限を設けることなくというか、感染防止策を徹底してれば開くことができることになっておりますので、これはそのまま維持をします。
 そして、屋外のものについて、全国的、広域的なものは十分な距離、間隔をとって、できれば2メートルということでいただいておりますが、これはそういう目安を示してありますので、引き続きそういう目安をとっていただくということで理解をしております。
 あと、シミュレーションだけ、ちょっと出してもらえますか。
 このシミュレーションも見ていただきまして、前にも見ていただいた方はいるかと思いますが、スーパーコンピュータ富岳を使って、マスクをしていないとこれだけ、わっと飛沫が飛ぶわけです。かなり広範囲に前列まで飛びます。そして、マスク着用の場合は、自分の周りにちょっと飛びますけれども、換気がよければ上に拡散していくということで、マスクをつけていればかなり狭い範囲でしかありませんから、こうした状況を踏まえて、マスクを着用し換気がよければ、このことについては、50%制限については柔軟に考えられるんじゃないかということが考えられるわけですけれども、この50%制限についても柔軟にできないかという御議論もありましたので、引き続き並行的にきめ細かく検討していきたいと考えています。
 私からはまず冒頭は以上です。そして、尾身先生から感染の状況についてお話をいただければと思います。

(尾身茂会長)どうも、尾身です。よろしくお願いいたします。
 今、大臣がおっしゃったように、今日、実は3時間ほどの分科会の中で最も多くの時間を費やしたのが、今の感染状況をどう評価するかということでした。そういう中で、実は今日、こういう公の会議で初めてだと思うんですけれども、いろんなデータがそろってきましたので。皆さんが毎日、新聞やテレビで報道されている、いわゆる報告日ベース、あるいは確定日ベースの感染者数がいますよね。これがずっと皆さんの毎日報道されているベースになったと思うんですけれども、それとは別に、発症日別のエピカーブというのが今回から議論することになりました。
 もちろん、この感染症対策でこれから何をすべきかというので、最も重要なのは、実は報告日ベースではなくて感染日ベースでやるのが感染症対策の一番の基本なんです。そういうことがだんだんとデータが集まってきたということで、今日はそのことをもとに今の現在の東京、あるいは全国の感染の状況をどう評価するかということが、今日の最大の、最も多く時間を費やしたということで。
 これを見ていただきますと、簡単に言うと、これが確定日とこれが発症日で、随分イメージが。この確定日というのは、報告日と言ってもいいと思いますけれども、スタッフがデータを処理するのにちょっと時間、人が足りなかったり多かったり、あるいは休みということで上下するのが、皆さんがよく見るところですよね。したがって、毎日1日ごとに、わっと上がるときもあれば下がることがあって、多くの人は一体この感染の状況は増加傾向にあるのか、だいたいフラットなのか、減少傾向にあるのか、あるいはものすごく劇的にいってるかという。一番大事で恐らく多くの皆さんも知りたいのは、大きな傾向がどうなのかということですよね。
 ところが報告日ベースだと、毎日の処理の状況、人側の状況ですよね、感染の状況、ということで左右されるということがあるので。発症日ベースをもとに、発症日ベースだけじゃなくて報告日のことも当然考慮しますけれども、発症日ベースのデータというのは極めて基本的なデータということで、こういうことで随分イメージが違うと思う。これはそういうことを申し上げたい。次のスライドにいってくれますか。
 これはちょっとさらっと、参考になるデータ。もう皆さんは多くのことを御存じなので、幾つかポイントで選びましたので。これはずっと、例の緊急事態宣言を出したころと今と比較して、年齢別に。この薄い黄色、緑が20代、赤が40、それからグレーが60、黒っぽいのは、これは絶対数です。これを見るとよくおわかりのように、この緊急事態宣言を出したころは、グレーとかブラックのところが随分多くて、比較的若いところが少ないというのがおわかりですけれども、だんだんと今になるとグリーンと、それからレッドとかもそうですけれども、こういうのがだんだん増えてきて。比較的こちらでは60代、70代の人が多かったのに、ここでは非常に少なくて、むしろ若い年代層のほうがこちらに比べて。これが緊急事態宣言を出したときと今との最も大きな違いの一つです。次のスライドを。
 今のは絶対数ですね、人数。これを百分率、割合で見ると、高齢者の方、80歳以上が黒です。それから、これが60歳ということで、これを見ても、これは4月とかこういうところで、だんだん若い年代の層がものすごく多くなっている。最近は40歳代のここの人が多い。実際に、この白い所というのは60から70というのが、だんだんと、今少しずつ増えていますけれども、率としたらやっぱりグリーンと、それからレッドが非常に多く、今のところなっている。
 もちろんこの年齢分布というのは日々変わっていきますから、これが固定したものじゃなくて、少しずつ皆さん40歳代のほうにいっているということは御存じ。
 大きくこのことが、緊急事態宣言を出したころと今とで、若い人たち、年齢層が、40代も含めて非常に感染が一番多いグループだということは、これで一目瞭然だと思うんです。次のスライドをお願いします。
 さて、これが、実は東京でも毎日、今日は多かった、ちょっと少なくて、多くの人はもう私自身もそうですけど、もちろん一都民として、少なければ安心するし多ければ心配しますよね。そういうことで、一体、全体の傾向はどうなのか。普通、エピカーブというのは小さな小波はあるけれども、大体どんどん拡大していくのか、下がっていくのか、平行になるのかというふうなものなんです。もちろん2層性になることもありますけれども、SARSのときでも、いろんな国でやると大体は山があってだんだんと下がってくる、あるいは2層性。少し台形になるようなこともありますけれども。
 これが実は東京で、これが診断日、報告日です。そうすると非常にアップアンドダウンというか、急に増えたり下がったり、ここのときに見ると安心すると。というようなことで、大きな傾向がなかなかわかりにくいということ。
 実は、ここが緊急事態宣言の発症日のほうです。発症日のほうで見ると、こういうふうに2つの。このグラフとこのグラフを見ると、ちょっと印象が違うと思うので、これからこの発症日というのが非常に重要になって、これからも発症日をもとにいろんなことを議論していきたいと思っています。
 さて、次のスライドですけれども、もうちょっと東京都のほうを少し詳しく見てみましょう。これが実は発症日ごとの、保健所ということですが、報告日ごとのことです。これが保健所受理報告です。こちらが発症日で。こう見るとやっぱり下がったり上がったり、かなり波が。今、木曜日が多いとか、そういう話が今、新聞紙上で出ていますけれども。
 そういうことで、実はこれ、皆さん、この前のここでの記者会見でも申し上げましたけれども、クルーズ船のことがありましたよね。クルーズ船のほぼ1カ月、乗客の方がおられて、最後のほうになって毎日にように、今日もすごい数が報告されたということで、印象としてはあたかもその報告された日に感染がどんどん起きているというような印象があったと思いますが、実はかなりの部分はもう前に感染していたということで、報告日と発症日というのは随分違う、ずれがありますから。今は6日とか5日ぐらい、場合によって違いますけれどもの差があるので。
 これが報告日で、これがいわゆる東京都の公式な発症日ごとのエピカーブです。ここで点線というのがここに書いてある。これが大体6日ぐらいだと思いますけれども、この点線が何を意味するかと言うと、この点線よりも左側は、ある程度もう発症日が確定しているので、このカーブの増減があまりない。もちろん発症日いうのは、皆さん御承知のように、必ずしも全員にわかっているわけではないので、そういう部分では100パーセントこれが正確かというとそうではないんですけれども、ここから前、左のほうはもう確定日がほとんど確定して、ほとんど移動がないというふうに考えてください。これが線。
 実は右のほう、これを発症日別にするとがんっと下がっているように、東京はもう下がったとうれしくなりますよね。ところが、それはちょっと早いので、実はまだ、ここより右のほうは発症日が確定するのにだんだん出てきますから、確定するのに時間がかかる、積み上がりが乗っていくんです。だから、これでもって急に下がっているとは言えない。
 つまり、もう一度申し上げますと、この点線より左側はある程度確定して、どういうことが言えるかというと、感染が上がっていて、ここで少しフラットになっている。だけれども、じゃあこのままフラットになるかというとそうでもなくて、積み上がってきますから、これがどうなるかというのはしっかりと分析をしていかなければいけないということで、そういうことでこの違いがよろしいでしょうか。
 さて、次にこれがきょうの会議で、国立感染研の疫学のセンター長の鈴木先生という方にきょう発表してもらったデータ。鈴木先生が推定してくれたんですけれども、
 私自身はこれをやっているわけじゃなくて、鈴木先生たちが専門ですから、このSIRモデルというのがあって、これは比較的単純で、実は今、7月9日の実効再生産数、その時点のは大体1.17ぐらいなんです。これは推定によって、大体7月9日ぐらいは1.17ぐらいが。これも推定です。
 ところが今回は、それよりもやや慎重にということで、実効再生産数1.3というのを仮定しました。そうすると、これがだんだんを積み上がっていくのをある程度これは推定するんです。こういう方法論があって、詳しい方法論について、もし聞きたかったら鈴木先生に聞いていただければと思いますけれども。先ほど申し上げましたけれども、7月9日では1.17というように推定をされていましたけれども、やや慎重に1.3というふうに仮定すると、恐らくこれは推定ですから、東京都はこのカーブは、ここまでは一緒。これが少しずつ上がっているんじゃないのかというのが、今回のこの発症日別のエピカーブをもとに推定した、これが今日一番議論をしたところです。
 したがって、結論から先に申し上げますと、今の東京の現在の状況をどう我々分科会が判断したかというと、東京都の場合は下がっていることはまずないです。残念ながら下がっていることはない。平行に移動しているというよりは、やっぱり少しずつ増加しているというふうに考えてまず間違いないんではないかというのが。もちろん神様ではありませんので100パーセントの正確さはありませんけれども、いろんなことを判断すると、大体、今の東京の状況は、いわゆる二、三カ月前に言いましたが、オーバーシュートの軌道で感染数が爆発的に増加しているという状況ではないと思います。それよりもむしろ緩やかな増加傾向にあるものと考えるのが、今、一番妥当だというのが我々の今回の分科会のコンセンサスであります。次のスライドにいってください。
 そういう中で、今日、こういう分析をした後に、最後にこれからどうするべきかというのを政府に提案があって、その提案についても今日かなり議論をして、我々分科会からの提案としてはこれで固まって、これを政府に、一応固まったものを今日大臣を通してお渡ししたという、今そういう状況で。これから少し5分ぐらいで、なぜそうなのかということも含めて、我々の政府への提案をしたもののファイナル。これはもう一回言いますと、我々の提案です。ファイナルの提案で、これを政府がどう判断されるかというのはまた別。
 今のことで、こういうことで増加ということで県ごとにあって、感染経路が特定できないのも、もうこれは皆さん。
 ここで、東京都ではいろんな感染がありましたが、やっぱり基本的にはいわゆる接客を伴う飲食店、友人との飲み会、若年層を中心とした感染者が増加して、その他の感染者も、その他の。これはもうほぼ間違いないんだろうと思います。こういうことを中心に。それから入院の患者さんの動向も、入院患者さんは増加していて、受け入れ可能病床に対する割合も増加しているということで、これはパーセントが書いてある。
 それから重要なことは、重症者患者は現時点では少ないけれども、少しずつ増えているということは、これは少し心配材料ですよね。
 あと、検査体制は着実に前よりも拡充していることはたしかで、それから検査体制に対する陽性者の割合というのも比較的低いところで止まっていますけれども、ただ少しずつこの陽性率も増加しているということで、これも少し懸念する。
 あとは発症から重症化に至るというのも、今かなり4月の一番大変なときに比べたら少なくなっています。少なくなっているところで大体止まっているというような状況、かなり減ってきましたけれども、そういう状況です。そういうことがまずあります。
 それから次のスライドは、あとは今もう皆さんいろんなところで御承知だから、今日は詳しくは申し上げない。保健所がひっ迫しているというのはもういいですよね。それから入院患者、おくれて増加すること。これ死亡者というのは避けたいですけれども、重症者というのはおくれてきますよね。皆さん御存じだと思う。
 大事なことの一つはここが現時点では重症者数は少なくて、直ちに医療をひっ迫する状況ではないけれども、今申し上げたように、若い人を中心に軽症者が多いですから、また軽症者がどんどん増えていくと、やっぱりこれは医療を。軽症者の中でもちょっと重い人もいますよね。そういう人がだんだんと病院に行くとなると、もう病院があっという間に埋まるという懸念がありますので、そういう意味では、なるべく軽症な人は宿泊療養。今ホテル等なんかに入っていただくことがあるんだけれども、これがなかなか、いろんな自治体等々も頑張っていただいていますけれども、まだ十分ではないというふうに言います。
 そういう意味では、この入院のベッド数の確保というのはもう皆さん御承知のとおり一生懸命頑張っておられる。同時にこの宿泊療養施設というのをしっかりと確保する必要があると思います。
 それから次に大事なことは、ここのいろんな接待を伴う飲食店を中心に感染が広がったというのは皆さん御承知ですけれども、この2ポツ目が比較的大事なので。現段階ではいわゆる3密と言われる場所や、家庭内感染、施設内感染が主であり、そういうクラスターからときどき家庭に行き、家庭から病院に行くというようなつながりはあったけれども、基本的な感染対策が行われていれば、近隣のスーパーでの買い物や、いわゆる公共交通機関などで感染が拡大する状況ではない。
 基本的に今までのクラスター感染の状況を分析すると、ほとんどが基本的感染対策を守っていないか、あるいは3密で大声。場所は違うんですね。この前の劇場、小劇場があり、ライブハウスがあり、いろんなところが今まで報道されていますよね。あとは飲食店。だけど場所は違うけれども、感染が起きた状況がほとんどの場合、この3密やら大声ということなんです。あとは接触での接触感染もある。
 そういうことで、この3密の回避、大声やらの環境の回避、接待に関する飛沫防止、換気の徹底など、前から言っていることが実はこれが今でも極めて重要で、これが感染拡大の一つの大きな契機になっているということを、政府に対しては国民の皆さんにぜひそのこともう一度。また同じことを言っているのかという感覚は確かにあるかもしれないけれども、それが感染拡大の一つの大きな契機になっていることは間違いないので、ぜひそのことを政府のほうから一般の市民の方にもう一度、新しい社会経済維持しながらそちらのほうもメリハリをとってやっていただきたいということです。先ほども言いましたね、これは。
 あと、感染者のうち8割ぐらいは2次感染を起こしていない人で。今言ったようにこの3密ということで、実はここのもう一つのアンダーラインしているところが、今日もかなり議論しました。皆さん覚えておられると思いますけれども、北海道で一時感染が広がって、緊急事態宣言の前に北海道の知事が、緊急事態宣言を前にリーダーシップを発揮していただいたのを覚えていますよね。あの雪まつりの。あのときに我々が専門家会議というか、あのときはクラスター班だったかアドバイザリーボードかちょっと忘れましたけれども。あのときに我々が申し上げましたのは、どうもあのとき、若い人が軽症の人が多くて、気がつかないで北海道の都市部を中心に若者だけで余り高齢者に接触する機会がなかった。その人らのうち一部の人がたまたま北海道の都心部というか、離れていって高齢者の人に接触して感染が広がったということがあとでわかってきましたので、いわゆるクラスター。
 それで我々からメッセージとしては、もちろん若い人たちの責任ではないですよね。誰だってうつる。明日だって皆さんもうつるかもしれないので、うつったから誰の責任というわけではないので。ただ気がつかないうちに感染をした可能性があるので、どうか気をつけてくださいというメッセージを出した。
 ところがやっぱり若い人のほうからすると、何で自分たちだけに責任がくるのかということで、多少そういう感じで、我々メッセージを出したほうに対してちょっと不満があったと思う。我々もちょっと言い方をもう少し気をつければよかったというふうに反省しています。
 そういう意味で、今回はぜひこういうことが実際に事実として若者の人が元気ですから、感染しても軽症な人に、改めてこの若年の年齢層にどういうふうにその人たちの、その年齢差の人に共感を得て理解をされる。自分らもわかったと言ってもらいたいですよね。上から目線で。そういう方法に国の方に考えてメッセージを伝えてくださいということです。
 そういう意味では、このもう一つ大事なことは、感染が徐々に拡大しているので、感染者数が増加している地域においては、増加基調を転じず、それと実効性のある取り組みをやってくださいというようなこともここに書いてある。
 次のこれでいきましょうかね。一番大事なここから、あともう1ページで終えますが、実はこのページも随分今日議論をしました。いろんな方が意見を出していただいた後でのコンセンサスです。
 どういうことかというと、これはここに書いてあるのは誰も感染症一般の目標とか基本戦略じゃなくて、東京あるいは日本全国、今日今置かれているこの状況の中で何をしていただいたらいいのか、基本戦略目標というのを書いたので。これは感染症対策一般論じゃないです。感染症対策教科書的なことを言っているんじゃない。今まさにこの状況の中で、国に何をやっていただければいいかという我々の考え、分科会の考えをここにまとめたのがこれです。今もう社会経済と感染対策の両立というのは、これは議論以前の前提になっていますよね。だからこれは今日は前提ということで始まっています。
 そういう中で、社会、経済、この医療もそうだし、社会経済が両立するこの範囲内、これは所要の条件ですよね。こういう範囲内で二つが目標だと。
 一つは十分に制御可能なレベルに感染を制御する。当初は社会が許容できるレベルというんですけれども、ちょっと許容レベルというのはあまり正しくないし、いろんな人に正しいメッセージが伝わらないという意見があって、十分に制御可能なレベルに感染を制御し、死亡者、重症者数を最小化するということが一つの目的で。
 それから今申し上げましたけれども、これは一般論じゃないですから。今我々の判断は東京地区、感染が少しずつ拡大しているというのが我々の評価ですから、それをなるべく早期に減少に転じさせることが今の政府にとって、それを目標にやってくださいというのがこのメッセージです。
 それをやるためには、三つの戦略があって、これ個人、事業者ともに、これはオールジャパンという意味ですよね。ともに感染しにくい社会を作る。それから社会としては、集団感染がこれからも小さなクラスター。ここは残念ながら起きると覚悟しておいたほうがいいですね。これから、明日から小さいクラスターが起きないということは今までの経験から確率的にないと。だから起きた場合には、ともかく検査体制も少しずつ前に比べてよくなっていますから、これは早く封じ込めるということ。あとは1人1人の感染をゼロにすることはできないけれども、やっぱり重症化予防ですね。それから重症者に予防して、感染者が出て死亡者が出てきたらなるべく早く治療等々して、適切なケアをして、重症化を防ぐということ。
 そういうことで、実はそういうことを実際に行うのには幾つか、これは基本的な考え方と目標と戦略で、これはもう少し具体的なアクション。しかもこれは現時点でもう政府に1週間なんかを考えて、そんなんじゃなくてもうあしたから、今でもやっていることもありますが、ともかく早急にやっていただきたいというのが四つで、これはHER-SYSが今一生懸命政府が頑張って少しずつよくなって、疫学情報が重要だというのは前から申し上げていますよね。これを早くやってくださいということ。
 それから早期封じ込め。それから3密回避なんかの感染、それから保健所の業務支援と医療体制、大きな柱が四つあります。それぞれを少しだけ詳しく、これは文章にすると長いですから、エッセンスだけを取り上げたのが次の。
 今、状況は今日の分科会での結論は、この三つ。ここがないことはいいですね。ここはない。これもない。この辺で我々はこの辺のどの辺かということをこの1週間、2週間、ずっとデータを見ていたんですけれども、今日の結論はこれです、間違いなく。この平坦でもないし、微減でもない。この少しずつ漸増。これが今の議論の出発点ですから、これを何とか早く下にやっていただきたいというのが。四つのアクションをとっていただきたいということです。
 次のスライド、これが最後だと思いますけれども。こういうことで合理的な、これは特に感染症対策のリスクの評価。これは国でもやるけれども、やっぱり自治体がそれぞれの地域に応じてできないと駄目なので、これは今都知事、各都道府県の知事にリーダーシップを発揮して、あと市町村やっていただければと思います。これは優先順位をつけるということが非常に重要ですよね。
 それから徹底した、今までのクラスターの院内感染とかいろんなことで分析しますと、まだサイエンティビックな、それほど論文に書けるようなデータではないのかもしれないけれども、感染が起きます。院内感染。どんなふうに起きるかというと、主には夜の接待を伴う店か何かに行って、その人がたまたま家族に行く、家族に感染する、家族が病院に行ってということがありました。これはいろんなところでは認められている感染伝播の方式ですけれども。そういう意味では院内とかそういう施設内、高齢者施設も含めて、感染が起き得ますから、こうなったらすぐに早期発見。この前の検査の思案を出しましたよね、我々のほうで。検査これが1、2A、2Bと。あのときももう、こういうのは1Aでも出たらすぐやってくださいということになっていますから、ともかく早くやれば早く収まるということがわかっていますから、これを徹底して。これは一緒ですよね。
 それから今接待を伴う飲食店、いろんな関係した周辺地域、これは地域によってある特定の地域じゃなくて、東京都でも多少広がっていますから、今そこはもう各自治体が現状分析して素早くやってほしい。
 ただ、今日かなりここが議論が出ました。場合により、そういうことで、今は都知事と区長が、新宿とか豊島区とか練馬区もそうでしょうかね。そういう場所の従業員とか、それから事業主さん、それから自治体の人とそれから国の人も集まって、いわゆる上から目線じゃなくて、一緒になってそのまちを感染に強いまち、またみんなで楽しめるようなまちにしていこうという動きがありますよね。
 そういうことで我々もそれがうまくいく、そういうことで。ただ、どうも今日の話では、もう少しうまくそれでいけばいいけれども、必ずしもうまくいかないことだってあり得るし、場合によってはもう少し積極的な介入、単に一緒になってやる。これはこれからも続けるんです。これは誤解のないように。今までの一緒になってともに従業員の人たちとやるという方法は、これからも非常に重要なんだと私たちは思っています。分科会の人はみんなそう思っている。
 ただしそれとは別というか、並行してこういうもう少し場合によってはという言葉、積極的な介入。例えば営業時間の短縮とか、休業の要請なんかも場合によってはやらないと、例の感染を下方に行くというのが目的ですからそれができない。その辺についてはしっかりと政府のほうで検討して、必要だったらやっていただきたいというのが、これ随分今日議論が出ました。
 それから、次のことですけれども、この基本的感染予防、先ほど申しましたけれども、いろんな場所、違う場所で感染が起きて、クラスター感染が起きましたけれども、感染の契機はどこでも共通ですから。ここは何度も政府のほうから国民の方に発言を、メッセージを出していただきたいというのは。そういう中で3密回避、これ「等」って書いてありますから大声とかもういいですよね。同じこと繰り返さない。
 ガイドラインというのも作ったんだけれども、現場のほうからはガイドラインももう少し見直してほしいという部分もあるんですね。だから見直して、その上で遵守。しかしさっきのほうのこちらの場合により、ここと一緒ですね。遵守が不十分な場合には、少し協力も考慮したらどうですかというのが専門家会議、今日の分科会での意見が出ました。
 それからここの個人のほうは、さっき3密回避を遵守して新しい生活の徹底に向けてということで、ここが先ほど若年層、若い世代の方にどのようにリスク、コミュニケーションするか。なかなか難しいと思いますけれども、若年層と言ったって実は全員じゃないですよね。行動変容が感染リスクの高い行動をとっている人たちに向けた効果的な情報発信をしていく。そういう中で一つ、今日コンセンサスというか、みんながいいなと、分科会のメンバーが例えばこういうメッセージを国が出していただいたらというのが、実は感染拡大防止の主役として、若い人が、あなたたちが主役で高齢者のみんなが自分自身の命を守ることにつながるんだと、こういうメッセージなら若い人たちも受け入れてくれるんじゃないかと、そういうことを随分議論しました。
 それからあとは、保健所の業務を、これはよろしいですよね。保健所の部下も何だ。それからやっぱり先ほども言った軽症者が出たときに、今のままでは病院は早晩パンクしますから、そういう意味でパンクという言葉は悪いんですけれども、大体ひっ迫してきますから、早いうちから国や都道府県、公共のいわゆるパブリックのこのいろんな施設がありますよね。そういうことも含めて今から準備をしておいてくださいということはかなり意見が出ました。これですね。入院患者さんというのは、医療界でやっている。最後は、これ水際というのは必要だから書きましたけれども、今日は前も議論しているので、一応項目。
 最後になりますが、ここが大事だと思うんです。先ほどのスライドをもう1個戻ってくれますか。これですね。これが今こうなって、このぐぐーっと行ってくれればいいですけれども、少しずつ増えてから必ずじわじわと効いてきますから。しかも万が一これがスピード上がってこちらの軌道に行くなんていうことになると大変ですよね。だから、もう1回戻ってください。今こういうことを現時点で政府には全力でやっていただく。しかしこのことで、今申し上げたこの5つのことを中心にやって、感染がある程度短期間で下方方向に行ってくれればいいですよね。ところがなかなかその効果が出ない、あるいは持続した、まあ少しずつということになると、じわじわと医療を圧迫しますから。我々は今の段階で、もう明日からこの言ってみれば感染が継続したとき、こういう爆発や継続したとき、あるいはこの爆発的な感染拡大もあり得る。これは危機管理の要諦は最悪なことも前もって想定しておくことですから、そういうことに備えて、どんな状況になったらどういう指標、これは指標というのは感染の数だけじゃなくて医療体制がどういうことになった、あるいは検査の体制どうなった、重症者がどうなった、そういうようなことをここまできたら少し危ないですということをあらかじめ、なるべく早くそういうことを国のほうで考えていただいて。そうなった場合には一体今と違う何をやるのか、やらないのかということを時を待たずして、既に可及的速やかに検討をお願いしますということを、今日申し上げました。
 以上、簡単というか長かったかも知れませんけれども、感染状況と政府への提言を残し、ありがとうございました。

(西村大臣)1点だけ、私のほうから。地域のやつをちょっと出していただいていいですか。
 ちょっと説明がわかりにくかったと思います。この8月1日からは、4月10日から今まで、5,000人で50%。これを屋内の様々なイベント、あるいは大規模なプロスポーツなどのイベント、これについては50%だけの上限になる予定だったのが、引き続きこれを維持するということであります。
 それで地域については先ほど申し上げたように、既に限定的なもの、大規模ではないもの、全国から集まるようなイベントでなければ、特定の地域からということで人数の管理とか、名簿の管理などもできますので、そういったものについては可能となっています。
 このことを改めて、今日知事会の代表の平井知事とも確認をいたしましたので、この点についても通知を出したいと思っています。
 そして、先ほどちょっと説明が不十分だったかと思いますけれども、全国的、広域的なイベントは今は控えてもらっています。そして本来なら8月1日から三角ということで、2メートル以上の十分な間隔をとってやっていただければ、三角ということで示していたんですけれども。今回このことについて大きな議論があったわけではありませんが、引き続き4月10日からの状況を維持するということでありますので、全国的な広域的な屋外のイベントについて、お祭りとか大規模な花火大会とかそういったものについては、引き続き控えていただくということで理解をいたしておりますので。このことについて、改めて今申し上げた7月10日からのこのレベルに維持をするということで、各都道府県にも通知を出したいと考えています。
 地域で小さな盆踊りなどもあると思います。集落で顔もわかって人もわかって、そして感染防止策をしっかり講じていただければ、そうしたものは開催は可能だということですけれども、それが大きな移動に伴う全国から人が動くようなものについては、控えていただくということですので、このレベルを維持するということで理解をしておりますので、そのことについて通知をしたいと考えています。

2.質疑応答

(問)大臣と尾身先生にそれぞれお聞きしたいと思います。
 大臣には5,000人、50%の部分なんですけれども、これまでの政府の考え方としては、5,000人、50%は継続して、まず5,000人を撤廃して50%が残っていくということですけれども。先ほど大臣がおっしゃった50%を柔軟にというのは、5,000人の上限を撤廃した後、その後残った50%をまた段階的にというか、あるいは施設をより細分化してというか、そういうイメージでよろしいのか、その点を確認させてください。
 それから尾身先生、最後に御提案がありました、判断にかかわる指標、検査体制とか医療とか重症度とか、先ほどちょっと挙げられていましたけれども、この点、指標として想定し得るものが現時点でありましたら、そこを教えていただければと思います。
(答)まず私に対する質問として、50%の緩和と5,000人の緩和との関係ですけれども、並行的に引き続き議論を行っていきたいと思っています。当然、感染状況がどうなるか、この後、尾身先生からまたお話があるかと思いますけれども、今日御提言いただいたように、少しずつ増えている状況でありますので、何とか早く減少になるように、今日御提言いただいた対策について、都道府県知事とも連携をしながら迅速に対策を行って、今行っていることの強化も含めてやることによって、何とか減少傾向に早くしたいと考えています。
 その上で50%のほうは「富岳」によるシミュレーションも出てきました。先ほど申し上げたように、マスクをして換気がよければ、かなりの部分で緩和ができるのではないかということがあります。他方、最近感染が発生している状況を見ますと、大声を出している場面があります。したがって同じ屋内のイベントでも、クラシックコンサートのように静かに聞くものもあれば、歌舞伎もどちらかというと静かに聞くんでしょうけれども、よくかけ声をかけるのがあります。今はこれを控えるようにということで、歌舞伎の演舞場などではそういったことが推奨されているようでありますけれども、そうしたものとロックコンサートなどのように、みんなが立ち上がって大声を出すような場面とはちょっと違うんだと思います。
 それからスポーツも今は5,000人以下ということで、スタンドを見ていますとかなり間隔があいた中でありますけれども、今日実はお話もありましたけれども、間隔があいているから大声を出しても大丈夫ですけれども、実際に2分の1の中で5,000人を取っ払った場合に、かなり近い距離でスポーツは声援が行われる。このことについてどう考えるかというのもありますので、この2分の1上限をどう考えるかということと、それから上限の5,000人をどう考えるかということは、業態というかイベントの中身によっても考えなきゃいけないのかなとも思いますので、このあたりは並行的に専門家の皆さんにもお聞きしながら、議論を進めたいと思います。感染状況が特に東京で漸増、少しずつ増えている状況を何としても早く減少に転じさせるように、対策を強化していきたいと考えています。

(尾身茂会長)どんな指標かということですが、基本的に前から言っているこういうことは総合的な判断ですから、当然のことながら感染者の数です。それから医療体制といっても単にベッドだけじゃなくて、先ほど申し上げたように宿泊施設、これが極めて重要だと思います。
 それからもちろん検査体制ですけれども、恐らくどういうことが起きるかというと、もちろん感染が本当に急激に、いわゆる爆発的な感染の兆候があるということはもちろんあり得ます。
 だけど今の段階で最も考えられる最悪の状況は、じわじわとあっという間に医療がひっ迫するということが、意外に早く来てしまう可能性がある。だからそういう意味ではベッド、特に重症の人たちをどうするのかということが、極めて重要な指標の1つになります。ほかのことももちろんですけれども、爆発的な感染拡大というよりも、早いうちに医療がひっ迫しないような指標を考えることが大事だと思います。
(問)感染状況の評価について2点、尾身先生にお伺いさせていただきたいと思います。
 現在の東京のエピカーブは爆発的な拡大には至らないという判断をしていることについて、爆発的ではないものの増加していることに不安を抱いている都民が多いと思います。3密の回避など、今回政府に提案した4つのアクションですが、従来推奨してきた対策とそう違わないように見えるんですけれども、これらが確実に実施されれば感染者は減少すると考えているということでしょうか、ということが1点目。
 2点目なんですけれども、現在の東京の感染状況は「漸増している」というのが分科会のコンセンサスという御紹介がありましたけれども、今後漸増していった場合、どの程度の感染者、特に重症者を許容するという前提に立っていらっしゃるのかということ。この2点をお伺いできればと思います。
(答)(尾身茂会長)2点目の質問は先ほどの方がされたんですが、どういう指標になったら今よりもレベルを上げなきゃいけないということで、早急に明日から考えて、なるべく早く我々としての結論を出して政府に提案したいと思います。
 それと1番目の質問です。3密みたいなことをずっと言っているのですが、感染の拡大防止に効果があるのかという御質問ですよね。実は感染拡大防止という観点だけを考えれば、前と同じようにかなり強力なステイホームとか自粛とか8割削減とか、ああいうことをすれば、今の方法よりも短期間で感染が下に行くことはほぼ間違いないと思います。先ほどから私たちが申し上げているように、社会経済と感染防止の両立という大命題が今はあるわけです。これがあるという前提の中で今はやっているので、そういう意味では、明日から本当はもっと強い対策、自粛、外出禁止、休業要請というようなことをやれば、感染は今の方法よりも間違いなく早く下に行くと思います。
 しかし、さっき言った前提があるわけです。そういう中で、私どもはいろんなクラスターの解析をしています。そうすると、いわゆる接待を伴うお店だとかそれに近いお店、あるいは普通の食堂、飲食店など、それが実は感染拡大の1つの重要な因子であることは、ほぼ間違いないと。
 ただ、それはどういうことかというと、緊急事態宣言が解除されて、みんなやっとほっとしたという気持ちがありますよね。人によって違うかもしれないけれども、今はみんが仕事が大変だし、国民全員が一定程度ストレスを感じている中で、そういうところでちょっとお酒を飲みたいという、そういう部分がありますよね。そういうところで、さっきから大臣もおっしゃっている、大声の問題だとか3密の問題だとかが起きているので、まずは前と一緒のような強力なことをやる前に、はっきりわかっているそのことをみんなでもう一度思い出して、それをやる。
 だけど、それをやっても全然効果がない可能性がありますよね。そのことに最初からある程度備えて、最初から国民に、これがうまくいかなかったら、次に行く必要がどんどん出てくるということを知ってもらうというのを、ぜひ政府に。
 もちろん誰もが嫌です。しかし感染のリスクが高いところはわかっているんです。ですのでみんなで知恵を絞って、社会生活を維持しながらやるという方向に。
 緊急事態宣言ではある程度短期間に国民みんなが努力し、かなり大がかりに広範にやったわけです。今はもう少しメリハリをつけた。メリハリというのは簡単に言えば、基本的感染対策と3密、大声。なるべく普段の生活をしながら、そこだけはメリハリをきかせて守っていただければありがたいというメッセージを、国から出していただきたいということです。

(西村大臣)ちょっと補足をします。幾つかの指標について、今日お示しした例示というか例えばということです。今日は詳しい議論をしていただく時間はなかったんですけれども、これからまさに尾身先生が言われたように、明日から専門家の皆さんにも御議論いただいて、政府としてどういった目安で次のステップを講じるのか、様々な判断をするときの目安、指標の目安、これを考えていかなきゃいけないと思います。
 知事会の皆さんと議論をしていても、次のステップに行くとき、より厳しい措置を取るとき、あるいは緩和をするとき、どういった指標を見ながらやるのか。これはずっと知事会とも議論をしてきているところですけれども。例えば感染者の数だけ見ると当然増えているんです。検査数も増えて、そして無症状の人も含めてかなり前広に、積極的にPCR検査を受けてもらっていますから、これはすごく数は増えています。
 このことだけを見ると、緊急事態宣言のときの状況、あるいはそれ以上になっている部分もありますので、これだけでは判断できないわけで、当然、新規感染者の数も見ますけれども、それ以外に前から見ている経路不明の割合とか、あるいはむしろ今は尾身先生が言われたように、重症化するリスクのある方々、あるいは命を守る、その視点でいうと、60歳以上の感染者の数とか、それから病床の占有率。これは東京も大阪もまだ余裕がありますが、しかし次に備えてホテルの療養施設、これも増やしていかなければいけない。それから重症者用のベッドがどれくらいを占めているのか。それからホテルの療養者は、確保しているうちどのくらいを占めているか。今は例えばこういった指標を政府は見ています。
 これを見ながら、私はそれぞれの知事と毎日お話をしています。今日は吉村知事とも話しました。病床はしっかりありますということで言っておられましたけれども。こういったところ、あるいは陽性率とかを見ながら、それから基点をどこにするかで倍化の時間は変わりますけれども、実行再生産数も先ほど尾身先生からあったように、3月の末は1.73だったということでありますが、7月9日の時点で1.17。こういった指標を今は見ていますが、この指標でいいのかどうか。それ以外にもないのか。あるいはそのときにどういった水準で判断していけばいいのか。このことを専門家の皆さんに急ぎ議論をしていただき、また、そうしたことで随時意見交換をしていければと考えています。
 それから尾身先生からありました、3密のことについてです。一番最初のときから3密回避ということで言っていますが、もう小学生も知っていることであります。これも皆さんにも何度も見ていただきました。手洗い、マスク、消毒、換気。換気は3密の中の1つとも言えますけれども、先ほど申し上げたように劇場でも換気がよければ、かなりの部分で感染リスクは減ります。しかし新宿の小劇場であったように、換気が悪ければ当然感染が広がるということで、3密の回避と、最近ではカラオケとか大声。これはショーパブなんかもそうです。大声で発生しているということがあります。
 こういったことをもちろん全ての人に引き続きお願いしたいんですけれども、メリハリという観点からいうと、バー、クラブなど接待を伴う飲食業と、それからもう一つは飲み会です。やっぱり飲み会、会食、コンパ。学生のコンパとか飲み会、あるいはビジネスマンも含めて会食。ここでの感染がかなり出てきています。今日も吉村知事と「120件は多いですね」という話をしました。もちろんバー、クラブなど接待を伴う飲食業の関係、あるいはその濃厚接触者もありますけれども、さらにやっぱり飲み会で出てきているということでありますので、こういうアクリル板を店で置いてもらうとか、換気をよくするとか距離を取るとか、こういったところ。
 3密もそういう現場で起きていますし、小劇場も密閉された中で密接な関係、ハグをしたり握手をしたりということも言われています。そういったところでメリハリをつけて、対策を強化していきたいと思います。
 繰り返しになりますが、持続化補助金でこういった感染防止策には支援をしていますので、ぜひ身近な商工会議所や商工会の支部を通じて、さかのぼって既に用意したものにも我々は支援できますので、ぜひこういったことで支援をしていきながら、対策を強化していきたいと考えています。
(問)西村大臣に1点あります。
 本日イベントの緩和の件で、適時、専門家に伺って判断するということで、今は8月末まで当面は様子を見るということですが、これが例えば先ほどおっしゃったように、感染が目に見えて減ってくるとか、あるいはまた増えてくる、こういったときに8月末とされた目安、今日発表されたものを前倒しされたり、あるいは後ろ倒しするようなことは可能性としてあり得るんでしょうか。
(答)当然感染状況に応じて、専門家の皆さんの御意見もいただきながら判断をしていきたいと思っています。まずは少しずつ増えているこの状況を減少傾向にするというところに、全力を挙げていきたいと考えています。そして先ほどお示ししたような例えばの例示ですけれども、ああいった指標を見ながら状況を専門家の皆さんに分析していただいて、減少傾向が明らかになってきているようであれば、御相談をしながら緩和ということも当然あり得ると考えています。
 一方で今は少しずつ増えている状況で、何とかおさまっていますけれども、これが爆発的な感染に行くようであれば、対策を強化しなきゃいけないということで。今日も御提言の中でいろんな事態に備えて、対策は早目に検討するようにということでありますので、そうした事態に備えて当然対策を強化していくこと、あるいは次なる対策も考えていかなきゃいけませんけれども、当然そうした状況になれば、さらにこうした制限を強化するということもあり得るわけであります。そうした状況を的確に分析していただきながら、判断をしていきたいと考えています。
(問)2点お伺いします。
 1点目は西村大臣にお伺いします。7月の感染者数が4月を超えまして、漸増状態というお話も尾身先生からありましたが、これはいわゆる第2波と捉えていないんでしょうか。まずそこからお伺いします。
 もう1問は、先ほどお話がありましたが、さらに感染が増えれば宣言強化もというお話がありましたけれども、例えば緊急事態宣言を再度出すとか外出自粛、休業要請の部分を強化するとか、もう少し具体的に検討状況をお伺いできますでしょうか。
(答)何を第2波と呼ぶか、これは尾身先生にむしろ聞いていただいたほうがいいかもしれませんけれども。これまで繰り返し申し上げてきたのは、大きな流行を経験して緊急事態宣言を発出して、国民の皆さんに御協力、自粛をしていただいて、その結果としてかなり収束させることができたわけであります。
 しかしながらその後もあちこちで小さな流行が起きました。北九州であったり愛媛であったり、二、三十人の感染がいろんなところで起きました。それはクラスター対策によって、そして今はPCR検査の検査あるいは抗原検査もありますので、かなり検査体制も整ってくる中で検知をして抑え込むことができています。
 そして今回はその波が小さな波から、まさに警戒すべき大きな波になりつつあると。新規陽性者の数だけいえば、緊急事態宣言のころと変わらない、あるいは増えている部分もあります。
 しかし先ほど尾身先生から分析いただいたように、発症日別でしっかりと分析していくと、4月の状況とはかなり違うということで、今日専門家の皆さんに分析をいただきました。したがって今日の分析の結果を踏まえて、4月のときのような大きな波とは見ていないと。これは専門家の皆さんの御指摘でもあります。
 ただ、これだけの数の感染者が出ていますので、当然警戒をしなきゃいけませんし、感染経路不明の割合も増えています。それから高齢者の感染者もまだパーセントは低いとはいえ、少しずつ増えてきていますので、医療、病床の体制に当然影響を与えますので、この部分の対策は急がなきゃいけないと思っています。若い人では無症状や軽症で陽性が確認されていますので、そういった方々にホテルで療養してもらうための、ホテルの確保も急がなきゃいけません。東京都は近々、2,000室まで確保するということで報告を受けています。
 今日も御指摘をいただきましたけれども、こうしたホテルの確保、それから国の保有している公共施設、これもいつでも使えるように準備をしていきたいと考えていますし、さらに病床の確保もしっかりと各都道府県で行っていただけるように、厚労省のほうからしっかりとサポートしながら、3兆円の予算もうまく活用しながら、いわゆる空床、あいているベッドを確保しなきゃいけませんので、こういったことも含めてしっかりと応援をしてもらいながら、病床の確保を急ぎたいと思います。
 そして私のほうの対策としては、先ほど御指摘があったようにメリハリが大事であります。今、協力的に行ってくれている事業者がたくさんいます。新宿区長も先頭に立って歩かれて、約300店舗に呼びかけをされ、感染防止策も1店1店確認されながら歩かれたと聞いていますので、そういった協力関係のもとで進めていく対策と、それからそれに応じてくれない事業者や、あるいは感染防止策をしっかり講じていない事業者、こうしたところに対してはメリハリをきかせながら、遵守してもらうように要請をし、また、そうした店には行かないように国民の皆さんには呼びかけをし、さらには休業要請や、今日も「営業時間の短縮などをしてはどうか」という御指摘もいただいていますので、こういったことについて早急に議論を進めていきたいと考えています。
 さらに繰り返し申し上げていますけれども、感染症法や建築物衛生法など現行の法令の中で、何かとれる対策はないのか。これも急ぎ検討を進めているところであります。また、特措法についても先般、解釈の通知を行いまして、法制局とも整理をして、24条の9項でも個別店舗への要請ができるということを確認しましたので、こうした特措法の活用によって何かさらにできることがないのか、これも今の現行法令の中でぜひ急ぎ検討をしていきたいと思います。その上で特措法全体の法体系は先般から申し上げていますとおり、非常に緩やかな法体系になっておりますので、この中でより強い措置をどう位置付けるかについては、法体系全体を見直すとすれば時間がかかると思いますけれども、何か工夫はできないのか、法制局とも急ぎ議論を進めたいと考えています。

(尾身茂会長)緊急事態宣言とも関係あると思いますが、今は第2波なのか、あるいは第2波というのは何なのかということですけれども。やっぱり今と緊急事態宣言を出したときではいろんな状況が違います。したがって、我々にとって最悪の状況をなるべく避けたいというのは、単に感染者の数だけではなくて、先ほど基本戦略のところでも申し上げましたけれども、一番大事なことの1つは、重症化を予防し、死亡者の数をなるべく低く維持することです。そういう意味では感染者の数ももちろんモニターしていくんですけれども、やっぱり一番大事なのは重症化の防止であり、死亡者の最少化である。そのためにはしっかりした医療の体制ができなくてはいけないです。
 感染が増えると医療がひっ迫しますから、そういう意味で先ほど大臣がすでに試案というか、こういうことを議論していくということで、重症化だとか高齢者。やっぱり第2波というのは単に数だけじゃなくて、今言ったような死亡者等々というのが増えてくる、あるいは医療がひっ迫するような状況の予兆があれば第2波ということで、今はそういうことにならないように、これが非常に重要です。単に感染拡大じゃなくて、どんどん医療がひっ迫し、重症がどんどん出てきて、そうなれば国民みんなに影響しますよね。そういうことが起きるような状況が少しでもあれば、第2波に近づきやすくなる。それを何とか今の方法でやる。最大限頑張る。しかしそれでもできなかったら次のレベルに行く、ということだと私は思います。

(以上)