西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年7月21日

(令和2年7月21日(火) 10:58~11:19  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、TPP11についてですけれども、今朝9時から約30分間、カナダのメアリー・イン国際貿易大臣と電話会談をいたしました。今後の世界経済におけるTPP11の意義、そして二国間関係などについて意見交換をいたしました。後ほど貼り出しをいたしますので、見ていただければと思います。
 それから、明日7月22日の午後、新型コロナウイルス感染症分科会を開催いたします。
 今回の分科会では、イベント開催について、8月以降は人数制限を撤廃するという目安を示していたところでありますけれども、この点も含めて足元の感染状況などを分析いただき、御議論いただければと考えています。
 それから、世界でワクチン開発が進んでいることなどを踏まえまして、前回に引き続いて、ワクチンが開発された後を見据えて、ワクチン接種のあり方についても御議論いただく予定にしております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)感染状況についてお尋ねいたします。先ほど小池知事が、今日は都内で230人台ということを明らかにされました。感染者の状況は、20代、30代だけではなくて、ほかの世代へも広がりがあるという指摘もありますけれども、現状についての御認識と今後の対応方針についてお願いいたします。
(答)本日の状況はまだ聞いておりませんので、東京都からまた詳しい状況が入れば分析を進めていきたいと思っております。
 表を出していただけますか。
 重症者の数がちょっと増えていますかね、12かな、直近が。
 では、先に申し上げますと、20代、30代の占める割合が、7月16日から20日までの状況で言いますと、約7割を占めています。60代以上の方が占める割合は7.5%ということで、わずかながら増えてきています。
 以前から申し上げていますとおり、60代以上の方、高齢者がやはり重症化のリスクがありますので、全体の数はもちろんですけれども、高齢者の新規陽性者の数をしっかり見ていかなければいけないと思っておりますし、重症者の方々の数、病床の体制をよく見ていかなければいけないと考えています。
 60代以上の感染者の数の推移を見ますと、7月16日は25人、17日が18人、18日が同じく18人、19日が14人、20日月曜日、昨日は17人と聞いています。それから、重症者の数が昨日現在で13人です。直近で13人となっています。病床は100床用意を、手当てがされていますので、ここは現時点では大丈夫だと思いますけれども。
 それから、病床全体は今、2,800確保しております。その中で、入院者の数が昨日時点で920人まできていますので、まだ3割ぐらいですから余裕はありますけれども、このあたりをよく見ていかなければいけないと思っています。
 それから、宿泊療養施設、ホテルの確保が、東京都のほうで解約されたこともあって心配しておりましたけれども、現時点で371確保されていて、そのうち136名が入っていると、そこで療養されていると聞いています。当然、若い人で軽症の方、無症状の方も多いと思いますので、このホテルの確保を急いでもらっています。厚労省がサポートしながら、月内に1,000室確保すると聞いておりますので、軽症・無症状の方はホテルで療養してもらいながら、また、高齢者を初め、中等症以上の方にしっかりと病床の提供をして、重症化を防ぎ、また、命をお守りするところに万全を期していきたいと考えています。
 最新の数字で、今申し上げたように2,800床確保している中で、920人の方が入院されています。病床も371、ホテルでの療養を確保している中で136人入られています。重症者の数が13人まで増えてきていますので、ここもよく見ていかなければいけないと思っています。
 重症者用の病床も100床確保していますから、直ちにひっ迫するような状況ではありませんけれども、申し上げたように重症者の数、それから高齢者、60歳以上の方の感染者の数をよく見ていかなければいけないと考えています。
 それから、陽性率も6%まできています。これはピーク時に比べると20%台、非常に高いパーセントでありましたし、今の重症者も100人を超えていましたので、そのときの状況に比べると、当然、前も申し上げたように病床も2,000確保している中で1,800人まで入院される方がいましたから、こういった状況から考えると、まだひっ迫している状況とは言えませんけれども、様々な事態を想定して医療提供体制に万全を期すことが大事だと思っています。
 当然、陽性率も、リスクのあるところは幅広くやっていますので、一般の方よりも当然高い数字になってきます。検査の数も当時に比べて今、4000ぐらい。4月は数百件ぐらいしかやれていなかった、5月の終わりもそこまでできていなかった中で、今は前広に、リスクのある人、リスクの高い場所は幅広く検査をやってもらっていますので、陽性率は高くなってきていますけれども、このあたりもよく見ていかなければいけないと考えています。
 それから次のページをお願いします。
 今申し上げた60代以上の感染者の数を週単位で見ていますが、ピーク時、4月は二百数十人から300人近い方、特に高齢者の占める割合も3割あったわけですけれども、今は全体に6、7%、少しずつ上がってきていることは要警戒であります。人数も少し増えてきている、90人台にきていますので、こういった数字をよく見ていかなければいけないと思っています。
 少しずつではありますが高齢者の感染が増えてきていること、危機感を持っています。若い人から家族だったり友達だったりを通じて、今度は高齢者に行きますので、ここをしっかりと見ていかなければいけないと思っています。
 病院では、当然、入院されるとき、あるいは手術前に幅広くPCR検査を行っていますし、また、抗原検査も使われているようであります。しっかりと院内感染を防いでいただければと思いますし、リスクの高い地域、あるいは1人でも感染者が出ている高齢者施設でも幅広くPCR検査を行ってもらえればと思いますので、高齢者に感染が広がらないように全力を挙げていきたいと考えています。
 今の点は以上です。
(問)やるからにはGo Toも成功してほしいと思っております。私は60を過ぎておりますが、60歳を過ぎた人間が、死者・重症者の95%を占めるというのがこの病気だとしたら、Go Toで行く場所にしても、住民が70歳を超えているような自治体については、それを公表して、若い人になるべく行かないほうがいいとか、介護施設と同じですけれども、隔離政策というのでしょうか、あるいはそういう住民の年齢が高いところは自ら条例を作って、逆に自らを守るとか、何かやはりそういうのを考えていくような状況なのではないかと思っているのですが。広い意味での老人の逆隔離ですね。それについて大臣はどうごらんになりますか。
(答)海外の経済学者の提案レポートでも、高齢者がリスクが高いものですから、高齢者を隔離することが死亡率・死亡者を減らすことにつながるという研究や提言もなされています。
 高齢者の方々、あるいは基礎疾患のある方はリスクが高いという、これは事実として出ていますので、もう十分に気をつけて行動していただきたいと思います。
 他方で、日本全体として高齢化が進む中で、全世代型社会保障も進めていかなければいけない。高齢な方であっても、元気で健康な方は、当然、社会で活動されることを望んでおられる方も多いわけですし、ぜひ、活動できる環境を作っていきたいと思います。
 そうした中で、感染が広がらないように、これは昨日も経済3団体にもお願いしましたけれども、テレワークも、当然若い人はそうしたことになじみが深い、やりやすいと思いますけれども、高齢者の方々も、そういったデジタルの環境の中で仕事ができる。こういったことも特に我々としては応援していきたいと思っておりますので、感染が広がらないように、そうしたそれぞれの高齢者の方、あるいは基礎疾患のある方も、社会で活動ができるような環境を、感染防止策と社会活動・経済活動との両立を図っていくこと、これを実現していけるように応援していきたいと考えています。
 旅行も、例えばふだん一緒にいる家族が旅行に行って、移動のときも感染防止に十分注意を払って、そして現地でも3密にならないように家族で過ごす。あるいは、いろいろな施設を訪問しても密な状態にならないように過ごしていけば、これは感染防止と経済活動・社会活動との両立が図っていけるわけであります。
 繰り返し申し上げていますけれども、そうした両立を図っていくという新たな日常を全ての人が、また、全ての事業者がこれに取り組んでいかなければ両立はできません。新たな日常をみんなで作っていくということが大事だと思います。特に高齢の方、基礎疾患のある方はリスクが高いということで、さらに注意を払っていただきながら両立していくことが大事だと思っています。
 油断して昔の日常に戻ってしまえば、大勢で密な場所で飲み会をすれば感染は広がります。事業者も、昔と同じようなやり方で事業をされていると、これは感染が広がります。お一人お一人の御自身の命を守るためにも、また、大切な人の命を、健康を守るためにも、そして何より事業を継続していく、両立を図っていくためにも、それぞれの立場で感染防止策を徹底していただくことが大事だと思っています。
 これができないと両立はできないことになりますので、「新たな日常」、「新たな生活様式」そして「スマートライフ」。テレワークであるとか、時差出勤であるとか、あるいはアクリル板を用いるとか、手洗い、マスク、消毒はもう基本中の基本ですので、そうした中で3密を回避した、3密にならないような事業のやり方を、ぜひ、実践していっていただければと思います。
 そうした取り組みに対して、持続化補助金で最大200万円まで支援も行ってきていますし、また、テレワークの補助金やITの補助金とか、様々な支援策もあります。高齢者の皆さんも、そうしたものも活用していただきながら、感染防止と経済活動・社会活動との両立を図っていけるように政府としても応援していきたいと考えています。
(問)専門家の分科会の中で、これまで検査体制の検討をされてきたと思うのですけれども。昨日、日本商工会議所の三村会頭から、検査数の数値目標やどれぐらいまでにやっていくかというスケジュールをきっちり出したほうがいいというような御提言があったと思いますけれども、大臣は例えば数値目標とか工程表についてどういうふうにお考えになられているかというのが一点です。
 2点目は、海外では、例えば中国とかドイツは、一斉に、ある意味今回区分けしたので言うと2Bみたいなものも含めて、2Aの中に入るのかもしれないですけれど、かなり大規模にやられていて、日本ではそういう大規模な検査というのは今後、行えるのかどうか、その辺をどうお考えかちょっとお聞かせ願えればと思います。
(答)PCR検査については、戦略的に、いわば大幅に拡充していきたいというのが基本的な考え方です。
 この取り組みについては骨太方針でも詳細に書いています。これは分科会の議論も踏まえて閣議決定させていただきました。積極的に、戦略的に拡充していくという方針です。
 その中で、特にリスクの高いところ、リスクの高い業種、リスクの高い人、こういったところについて幾つか分類もなされています。先ほど申し上げたような、接待を伴うバー、クラブなどの飲食店、あるいは、今ですと新宿の地域も非常に、全体ではありませんけれども、繁華街のエリアの方々が受けると陽性率が高くなっているという事実はあります。それから、院内感染や施設内感染を防ぐために積極的にPCR検査を行っていくということ。さらには、水際の、これからビジネスマンの往来が活発化するにつれて陰性証明を求められたりしていくでしょうから、これについてもPCR検査を拡充していく必要があります。こうしたことを、全体を計画的に推進するという方針で臨んでいるところです。
 その上で、分科会の分類の2Bの方、つまり無症状でリスクの低い方、この方々、尾身先生もこの場でおっしゃいましたけれども、皆さん方を初め、無症状でリスクが低いと思われる方々は、繰り返しになりますけれども、今日受けても、昨日感染していればウイルス量は出ませんので陰性になります。今晩感染するかもしれません。あるいは、3割はかかっていても偽陰性が出ます。そういったことを考えると、とにかく無症状の人に数多く検査をすること、その件数の目標を示すことが意味があるとは考えていません。むしろリスクがあるところ、リスクがある人、これは濃厚接触者も症状のあるなしに関わらず今、幅広く受けてもらっています。これによって2次感染を防ぐことができています。
 北九州でも何十人と出ましたけれども、幅広く検査を行うことによってかなりの部分を収束させてきています。鹿児島でも100人を超える、あのお店の関連の感染者が出ましたけれども、その関連をずっと追いかけていって、その方々みんなにPCR検査を行うことによって、かなりの程度そこで抑え込んでいっています。
 こうした取り組みをすることによって、前から申し上げているとおり、小さな波を検知して、その範囲で抑え込んでいくというクラスター対策が、私はそれなりに成果を挙げていると思います。
 ただ、今、数をかなり、新宿区は昨日も恐らく300人ぐらいの方が受けられたのではないかと思います。日によって、150から250人、あるいは300人と申し上げていますけれども、それだけの方が受けられて、これまでの平均で言うと、3割ぐらいの方が陽性ですので、そうすると無症状で検査を受けて、2次感染を防ぐためにそういう取り組みをしているということで、かなりの部分、その範囲で抑え込んでいく努力をしています。
 昨日も新宿区長は、事務政務官、あるいは私どものスタッフも含めて百数十軒歩かれたと思いますけれども、2日で300軒ぐらいのお店を訪問して、感染防止策をきちんととっているかどうか、あるいはそのポイントを説明されたり、あるいはPCR検査を受けることの勧奨をされたり、努力してきています。
 こうしたことによって、当然、検査数も増えますし、その範囲で抑え込んでいける努力をしているということであります。
 繰り返しになりますが、リスクの高いところ、リスクのあるところ、そうしたところは積極的に幅広く受けてもらうということです。無症状の方でリスクの低い人に、みんなに受けもらう、これはそのことの数値目標に意味があるとは考えていません。海外で積極的に検査、アメリカでもヨーロッパでも、とにかく受けようということでやってきて、そうしたことの状況も見て、いろいろな新たな知見が出てきますから、そういったことも踏まえて対応していきたいと思います。無症状の人でも唾液で抗原検査ができること、これは厚労省が承認しましたので、これは30分で結果が出ますので時間も節約できます。これまで症状がある人しか抗原検査は使えないということでありましたけれども、これでまた、かなり広がってくると思います。
 ですから、PCR検査、抗原検査、さらに、簡易な抗原検査キット、こういったものを組み合わせながら、リスクの高いところ、あるところ、濃厚接触者、あるいは院内感染や施設内感染を防ぐというところに重点を置いて、積極的に拡充していきたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)