西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年7月7日

(令和2年7月7日(火) 17:27~18:07  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

特になし

2.質疑応答

(問)幹事社から2問伺います。1つは経済の統計のことなのですけれども、今日、家計調査や景気動向指数の発表がありました。5月の数字ということで、極めて厳しい数字が、記録的な数字が出たわけですけれども、改めまして日本経済の現状、それから今後の先行きについてどう見ていらっしゃるか、大臣の御所見を教えてください。これが1問目で、まずお願いいたします。
(答)まず、御質問のありました家計調査についてですが、本日公表されました5月の家計調査、実質の消費支出は2人以上の世帯で前年比16.2%減ということで、大幅減になったことは承知しております。
 ある意味で、4月、5月と緊急事態宣言を発出しておりましたので、外出自粛であったり、休業要請を行っている中で、まさに国民の皆様がそうした中でそれぞれのお立場で努力されて、協力していただいたあらわれかと思っております。
 ただ、4月と5月を比べてみますと、季節調整済みの前月比、つまり4月からですけれども、0.1%減ということでありますので、ほぼ横ばいであります。さらに、今回、週次のデータも公表されています。これで見ますと、月末にかけて徐々に減少幅が縮小しているということで、緊急事態宣言を解除するにつれて、段階的に経済活動が再開されている様子が伺えるわけであります。
 他方、所得でありますけれども、確かに今日、毎月勤労統計、毎勤が出ています。これによりますと、所定外の給与が労働時間の減少によって前年比マイナスとなっておりますけれども、他方、所定内は前年比プラス0.2%ということで、若干プラスですが横ばい。さらに、家計調査においては、実質の勤労世帯収入が前年比9.8%増ということで、大きく増加しております。これは、特別定額給付金のお1人10万円の給付が始まっていましたので、そうした効果も出ているかなと見ております。
 したがって、4月、5月、緊急事態宣言のもとで大変厳しい状況でありましたけれども、補正予算のそうした支出によって政策による下支え効果もあらわれていると思っております。
 その後、6月の消費動向は、販売側の統計で、新車販売台数のマイナス幅が縮小していることや家電販売が5月に続いて前年比プラスになっていること、百貨店売り上げも減少幅が縮小していることなど、経済活動の段階的引き上げに沿って、徐々に消費も戻ってきているものと思っております。
 特別定額給付金が7月3日時点で約8割の世帯、そして約10兆円の給付が行われました。今後、7月以降もこうしたことが下支えをしていくものと思いますし、雇用調整助成金や持続化給付金の給付も進んでおりますので、こうしたこと。さらには、春闘においても連合の調査が発表されましたけれども、賃上げ率1.9%ということで第6回と同等の数字でありまして、コロナという非常に厳しい中ではありますけれども、真摯な交渉が労使の間で行われて、そうした中で企業側も厳しい中にも踏ん張っていただいているのかなと思っております。
 この賃上げ、それから雇用についても、休業という形で雇用を守っていただいている企業の皆様方、事業者の皆様方のこうした取り組みに感謝したいと思いますし、そうしたことから今後も消費は徐々に持ち直してくるものと期待したいと思います。
 ボーナスも、昨年から比べると減少となっていますけれども、日経新聞の調査で80万円前後、経団連の集計で90万円前後ということで、引き続き高水準を維持していますので、そうしたことも含めて消費の持ち直しを期待したいと思います。
 足下の東京で感染者の数が増えていることには注意が、警戒が必要ですけれども、しかし、感染防止策をしっかり講じていただきながら経済活動を再開、そして継続、拡大していくということで、この両立を図っていかなければいけませんので、そうした中で内需主導で4月、5月を底としながら経済成長が、景気回復が成長軌道に戻っていくことを、ぜひ図っていきたいと思います。
 いずれにしても、補正予算の執行を急いで、迅速に必要とする方に資金が届くように、事業・雇用・生活を全力で守っていきたいと考えています。
(問)2問目は、今言及のあったコロナのことを伺いたいのですが、足下で、都内で非常に感染が増えているということなのですけれども、1日から7日まで、今日も100人を超える感染者が都内はあったそうで、累計で言いますと10万人あたり5人という、4月の緊急事態宣言時の基準を超えるような水準まで感染者が増えています。改めて、これだけ感染者が増えていることについての受けとめと、緊急事態宣言について、医療提供体制は逼迫しないということですけれども、再宣言に向けて何か基準を示すような考えはないかとか、分科会でどういった議論をしていきたいか、改めて教えていただけないでしょうか。
(答)本日も106名ですかね、東京都から発表されていますが、まだ今日は内訳を聞いておりませんので、詳細はこの後また分析したいと思います。
昨日のデータも102名ということで、20代、30代が71%、それからバー、クラブなど接待を伴う飲食店関係が35名ですから約3分の1ということであります。リンクなしが42名ということですから4割ぐらいということで、いわゆるクラスターとして、バー、クラブなど接待を伴う飲食店で発生している。
 また、これまでの数字にも、連日積極的にPCR検査に応じていただいている方も、協力していただいている方もおられますので、そういう意味で、ある程度感染源、そして人数の内訳がわかっていると。経路が追えているという意味で、数字は増えていますけれども、この点について数字だけで、感染者の数だけで判断する以前の状況とは違うということを、ぜひ御理解いただきたいと思っています。
 ただ、感染経路不明の割合が一定割合ありますし、昨日の議論でも、中高年の方も少ないわけですけれども、徐々に増えてきている傾向もあります。家庭内感染であったり、そうしたところから高齢者に届いていってしまうことを何としても防がなければいけませんから、まずは市中に感染が広がっていないのかどうか、それから、ほかに感染源があるのかどうか、このことの分析を急いでいるところであります。
 そのためにも、保健所の機能、保健所の負担を軽減する支援をしながら、保健所の持っているデータを、感染者の情報をしっかりと共有して、そして分析を急ぎたいと思います。
 他方、今回の多くの部分がバー、クラブなど接待を伴う飲食業関係でありますので、そこの対策を引き続き東京都と、そして新宿区、あるいは豊島区、あるいはそれ以外の区とも連携して、取り組みを強化していきたいと考えています。
 感染が広がって、高齢者などリスクの高い方に及ぶことがないようにしなければいけませんので、ここを抑えることが何より肝だと思っています。そのために、埼玉でも取り組みを検討しているということで、今日、知事からも連絡がありましたけれども、ガイドラインをしっかり徹底している。取り組んでいる店舗にステッカーなり取り組みなりを。これは東京都もやっていることです。そして、それ以外のところには、できれば控えるようにという呼びかけを考えているということで、もう既に発出されているかもしれません。朝、知事と話をさせていただきました。
 東京都も同様に、ガイドラインに沿って感染防止策をしっかりやっているお店はステッカーで表示しているということでありますので、ぜひ、そうしたことも参照していただきながら、お一人お一人も感染防止策を徹底していただきたいと思います。
 そして他方、医療提供体制については、もう既に何度もお話がありますけれども、東京都は入院患者の数も300人強だと思います。そして今、1,000床は確保していますけれども、3,000床に向けて取り組みを進められています。重症者の数も、最新の今日の数字を確認していませんが、昨日段階で8人になったのではないかと思いますが、重症化向けに100床用意している中で、これも400床に広げようとしておられますから、そういう意味で病床はかなり余裕があります。
 ですので、現時点で緊急事態宣言を出すような、つまり4月7日時点、その前の状況とはかなり異なるということで、昨日も専門家の皆さんに御確認いただいたところであります。
 しかしながら、これはやはり警戒しなければいけない状況であることは間違いありませんので、感染がこれ以上広がっていかないようにしっかりと分析を進めるとともに、バー、クラブなどの接待を伴う飲食業の対策ですね。リスクのある業種ではありますので、従業員の皆さんも、お一人お一人の健康を守るためにPCR検査を受けていただく、あるいは調子が悪ければ出勤しない。お店のほうでも、消毒、換気、マスクといったことを徹底していただくことを、ぜひ、お願いしたいと思います。事業を継続していくためにも、こうした取り組みを、ぜひ、お願いしたいと思います。
(問)今日、官房長官の会見でも出たのですが、小池知事が不要不急の移動の自粛を呼びかけていることについて、大臣のほうからお話しされるという話が出ましたけれども、具体的にどのようなお話をされて、小池知事からはどのようなリアクションがあったのか。あと、今日お話しされたということでよろしいのかどうかもお願いします。
(答)昨夜、小池知事にお電話しまして、そしてお話しさせていただきました。
 都知事のほうから、「東京都から外へ出ることは遠慮していただくように」かな、そういった言い方で発言されたことについて、私から分科会での様子なども紹介しながら、市中感染が広がっているわけではありませんので、評価がですね、広がっていないのかどうかしっかりと分析しなければいけませんけれども、そして、ある程度感染源がわかっているわけでありますので、そういった中で、国の方針としては、これまでどおり県と県との間の移動は自由にできると。ただし、熱があるとか、何らかの違和感がある方は、これはそもそも外出を控えていただくということですし、県をまたぐ移動も控えていただくということで、これは基本的対処方針なり通知なり、ああいう表でもお示ししていますので、そのことについて、ぜひ、御理解いただきたいということでお話しさせていただいて。都知事のほうからは、わかりましたということで理解を示されましたので、また何らかの発信があるのではないかと思いますけれども、理解はしていただいたものと思います。
(問)大臣は、このコロナ対策の最重点というのは東京とごらんになっていますか。それとも、東京プラス首都圏、4都県と。どういう面で御理解いただいているのか。それで、この4都県と政府の見解がばらばらというのは、やはりまずいと思います。なおかつ、昨日の分科会に、この首都圏、4都県の代表というのでしょうか、私が名簿を見る限りはそこが入っていないように思うのですが、やはり4都県と政府が同じ枠組みで動けるような枠組みが必要なのではないかと思ったのですが、それをどうごらんになりますか。
(答)このコロナウイルスはどこに潜んでいるかわかりませんから、東京が悪いとか、東京が問題だとかということは言うつもりはありません。突然、ずっとゼロであったのに、鹿児島でも1つのお店から関係者を入れると80人を超える陽性者が出ています。ですから、これはどこにでも潜んでいる、どこにでも発生する、そういうことをぜひ理解していただいて。
しかし、そのことを恐れれば、全く一歩も家を出て行くこともできなくなる。経済活動、社会活動が全くできなくなってしまいます。きちんとマスクをしたり、消毒をしたり、人と人との距離をとる、あるいは大声を出さない、あるいは換気をよくする、そうした様々な対策をとれば、これは経済活動との、社会活動との両立ができる、そういうウイルスであります。
ですから、そのことを、ぜひ正しく理解していただいて、正しく恐れていただくというか。これから感染防止策と経済社会活動との両立を図っていかなければいけませんので、これは我々が経験してきた大きな流行を抑えてきたことを踏まえて、ぜひ、両立できるように取り組んでいければと思います。
しかし、そうした中で、やはり感染症の基本は人と人との接触で起こるわけでありますから、当然、接触機会の多い大都会、都市部はリスクが高くなります。満員電車は、じっと黙っていて、換気をよくしていれば、そんなに感染リスクは高いものではないと専門家の皆さんもごらんになっていますけれども、やはり人口が集中して密集してしまう、これは当然感染リスクは高まります。それに比べて地方部は、田舎は、そもそも人が減っている中で人と人との接触は限られていますから、当然リスクは低いものと思います。もちろん、それでもいろいろな地域で、愛媛でも、北九州でも、鹿児島でも突然起こりますから、これはぜひ、田舎だから大丈夫ということではなくて、常にそうした感染防止策をとっていただくことが大事だと思っています。
その上で、やはり東京でこれだけの人数が出ていますし、東京都の通勤・通学、様々な社会活動、経済活動、その中で首都圏の3県でも陽性者の数が増えています。以前から申し上げているとおり、やはり経済圏、生活圏、これは1都3県、首都圏は一体として見ていかなければいけないと思っています。
 したがって、当然、感染者数の最も多い東京都知事とは緊密に連絡をとっていますし、昨日も周辺の首都圏の3知事とも連携をとらせていただきました。引き続き、やはり数で言うと、この首都圏が7割、8割を全国のウエートを占めていると思いますので、やはり緊密に連携して対応していかなければいけないと考えています。
 昨日の分科会においては、知事会の代表として、これは知事会の判断で鳥取県の平井知事が出席されました。諮問委員会のほうは、神奈川の黒岩知事が出席されていました。いずれにしても、代表として来られていますので、全国の知事会の代表として、当然、首都圏の知事も含めた代表として議論があったことについては、知事会の中で共有していただきたいと思いますし、知事会の様々な意見、特に首都圏のそうした4知事の意見も含めて、代表として意見を述べていただきたいと思っています。
 さらに言えば、経済界、労働界、こうした方々の代表も入っていただいていますので、経済的なウエート、あるいは労働者のウエートも当然、首都圏も多いですから、そうした代表として、この首都圏の問題についても、課題についても、ぜひ、分科会のメンバーの皆さんから率直な意見をいただいて、そしてまた、感染症の専門家、経済学者など、それぞれの専門家の御意見をいただきながら適切に対応していければと考えています。
 とにかくどこでも起こり得ますから、東京が悪いわけでもありません。新宿が悪いわけでもなくて、どこにでも起こり得るということを前提に、本当に全ての皆さんに感染防止策をぜひお願いしたいと。岩手の皆さんも、しっかりと感染防止策を講じてきたからこそ、まだ感染者が出ていないわけでありますけれども、いつ出てもおかしくないウイルスであるということも、今日、当然、皆さん理解されています。岩手県の代表の方が、県連の方が来られていろいろ意見交換をさせていただきましたけれども、地方のどこでも起こり得ると。しかし、都市部のほうが、やはり人と人との接触の機会が多いのでリスクが高いということ。さらに言えば、そうであっても、感染防止策をしっかり講じていれば感染はしない、防げるわけでありますので、感染防止と経済社会活動の両立を、ぜひ、図っていければ思います。
 命を守ることと暮らしを守る、その両方を、私は与えられた任務として全力で両立を図っていければと思います。
(問)先ほど、昨夜、電話会談で小池知事が、県をまたぐ移動についての国の方針を理解されたとおっしゃいましたけれども、これをもって政府と東京都の県をまたぐ移動の方針については、足並みがそろったということでよろしいでしょうか。
(答)小池知事は理解をされたというふうに、私自身そう受け止めております。
(問)先ほどから大臣からも御説明があるとおり、東京で連日100人を超える感染者が確認され、その多くが20代、30代の若い人であり、無症状者も多いとのことですが、そうであれば市中にはかなり多くの無症状患者がいて、都道府県をまたいで移動している現実があるかと思います。大臣も尾身会長も会見で、リアルタイムの感染状況データの把握が重要であるとおっしゃっていますが、そうであれば早急に、希望者全員に公費で安価な検査を実施すべきではないかと考えますが、お考えをお聞かせください。
(答)抗原検査の場合は症状が出てから9日までということですから、無症状の人にはなかなか難しい面がありますけれども、しかしこれを組み合わせてやれれば、今は13万件ぐらいの能力がありますので、これをさらに拡充していかなきゃいけないと思っていますが、その能力を生かしながら、戦略的にどうPCR検査、抗原検査も含めて検査をやっていくのかということを昨日、尾身先生からも問題提起され、我々も日々、厚労省も交えて議論を進めています。
 昨日の繰り返しになりますから簡潔に言いますけれども、症状のある方は当然、医師の指導に従ってできるだけ迅速に受けられるようにする。これが大きな波のときは、3月、4月は1週間かかった、10日かかったという事例が私のところにも届きました。これはスムーズにすぐに受けられる、この万全の体制を作らなきゃいけないと思います。
 そして無症状の方については、その中でもリスクの高い職種、リスクの高いエリアというものがありますから、これは今でいえばバー、クラブなどの接待を伴う飲食業です。当然、近い距離で会話をするそういう職種ですから、リスクがあって、感染者が出れば広がってしまう。あるいは大きな声で騒ぐこともあり得る業態ということで、こういった方々には感染者が出ていなくとも、今、新宿区で取り組んでいるように積極的に受けてもらって、勧奨して受けてくれています。その結果、連日数十人、検査を受けられる方が来られて、そしてそのうちの20人とか30人という方が出ているケースがあります。
 したがって、ここはその方々がわかればそこから先、二次感染が防げますので、そういう意味で予防的に二次感染を防いでいくために、積極的にPCR検査を活用しているということで、私はこれは意味がある取り組みだと思っています。件数が増えていますけれども、本来なら無症状で入ってこなければ、おっしゃるようにひょっとしたら、他の人にうつしていたかもしれないということでありますから、ここは私は意味のある取り組みを新宿区、そして豊島区でも進めておられると考えています。
 さらに院内感染とか高齢者施設の施設内感染を防ぐために、ここは高齢者でありますし、疾患を持った方もおられますから、リスクが高い人がたくさんおられます。ですので、こういったところで入院される方、入所される方、こういった方に検査をしていくのも1つの考え方であります。もう既に病院では手術前とか入院される前に検査を進められています。ここも院内感染を防ぐために意味のある有効な手段として、PCR検査を行っています。
 それからさらには無症状でリスクが低い分類に入ると思うんですけれども、プロ野球とかJリーグとかで1人2人出ると、どうしても事業全体に影響を与える。これは世界全体に与える影響も大きいです。ですから症状はないけれども、自分たちの費用で検査を定期的に受けていこうと。これも1つの考え方だと思います。それに類するものとして、ドラマの制作とか映画の制作とか、近い距離でマスクなしで会話をしますからリスクがあります。こうしたところもそうした考え方をとることができるんだろうと思います。
 それから今後ビジネスマンは、海外との行き来が活発になってきますと、PCR検査の陰性証明を求められることもありますから、当然そうした検査は必要になってきます。あるいは入ってきた人、入国した外国人に対してPCR検査をやるということで、空港での検疫、これも数を増やしていかなければいけません。そうした意味で様々な必要とされる方、そしてリスクの高い方に予防的に防止するためにやっていくという面もありますので、戦略的に広げていこうとしているわけであります。
 しかし無症状でリスクの低い方々に全てやる必要があるかどうかというところについては、様々な議論があります。昨日、尾身先生も解説されていましたけれども、偽陰性というのが3割出るということです。本来感染しているにもかかわらず、3割の人は陰性と出るわけです。これはPCR検査の限界です。ですから陰性になったといって喜んでいろんな人と接触されると、感染を広げてしまうことになりかねません。そうした限界もあります。
 それから今日受けて陰性だと喜んでも、本当に陰性だった、かかっていなかったとしても、その日の夜に、あるいは明日どこかで感染してしまえば陽性になります。すぐに症状が出なくとも、陰性だといって安心すると、また広げてしまうことになります。つまり安心のためには毎日毎日やんなきゃいけないんです。それも世の中全員が一遍にできるのは物理的に無理ですから、当然マスクをしなきゃいけませんし、距離はとらなきゃいけないと。したがって何人か毎日やったとしても、これは本当の安心にはつながっていかないわけであります。ですので、国民の皆さんの本当の安心につながっていくために、どの範囲でどういう形で戦略的にやっていくのがいいのか、これはもう少し議論をしていかなきゃいけないと思っています。
 ただ、何よりの安心は、自分が感染したかもしれないと思うときに、症状が出たりとかしたときに、スムーズに受けられるというこの安心は絶対に必要ですから、そのためのPCR検査、抗原検査の体制は万全を期さなきゃいけないと思っていますし、今行っている、まさにわかっているリスクが高いところ、いわゆるバー、クラブなどの接待を伴う飲食業、この方々には前広に幅広く受けてもらうということは、ぜひ進めていきたいと考えています。もちろん同じことで1回受けて陰性であっても、またかかっているかもしれませんから、また定期的に受けなきゃいけない面がありますけれども、このあたりをしっかりとやることによって、二次感染を防いでいければと思っています。
 既に北九州でも前広に濃厚接触者について、症状がない人も含めてかなりの数をやられることによって検知をして、今では北九州もほとんどゼロということで、封じ込むことができているものと思います。鹿児島で80人同じ店から出ていますけれども、ここも積極的にPCR検査をやることによって、何とか封じ込めていければと考えているところであります。鹿児島県ともよく連携をして対応しなきゃいけないと思っています。いずれにしても国民の皆さんの本当の安心につながるようなPCR検査の体制、抗原検査の体制、これを戦略的に拡大していければと考えています。
(問)先ほど本日の家計調査を受けて、4月、5月を底に今後は内需主導で成長軌道に戻していくということだったんですけれども、民間の調査では定額給付金の使い道として、例えば貯蓄に回すという回答が多かったりですとか、あるいはエコノミストの中では年後半にかけて解雇される方が増えていったりですとか、一部の業種で所得が減少したりですとか、そういったことの影響で消費がなかなか戻りにくいというような予測をされている方もいらっしゃるんですけれども、今後改めてどのように消費ですとか内需を回復していくとお考えでしょうか。よろしくお願いします。
(答)まず何より1次2次の補正予算、この執行に全力を挙げたいと思います。定額給付金については先ほど申し上げたように、8割の世帯に、正確に言いますと、予算額の81%の10.3兆円を超える給付を行っています。世帯数で4,651万世帯ですので、全世帯の約80%、8割の世帯に給付が行き届いてきています。そして持続化給付金も212万件で2.8兆円の給付が行われています。雇用調整助成金も申請の36万件に対して約24万件、約3分の2の助成が行われてきています。経済状況は厳しい状況にあるわけですけれども、こうしたことによって何とか事業、雇用を守っていけるように、そして生活を守っていけるように、さらにこれを迅速に給付していくことが大事だと思っています。
 そして一方で企業のほうも、私は今ぎりぎりのところで踏ん張ってくれていると思うんです。休業させることによって雇い止めなり解雇なりということも何人かはもちろん出ています。出ていますけれども、企業はまだ数百万人休業という形で。これは前月、5月の調査ですけれども、5月までそういう形で進めています。雇用調整助成金でしっかりと、休業の補償を国が支えていかなきゃいけないと思っています。春闘も最終で1.9%ということで、この厳しい中でも2%近い。これは本当に労使が真摯に議論されたと思いますので、ぜひこうした企業の前向きな何とか踏ん張っている取り組みを支えていかなきゃいけないと考えています。
 そうした中で資金繰りについては、民間金融機関、地銀、信金信組による無利子・無担保の融資も着実に進められていますし、そして内需も消費も少しずつ上向いてきています。外需が、国際環境がなかなか不透明であります。アメリカで感染が広がっている状況もありますし、中南米、南アジア、まだ中東、アフリカはなかなかわからないところもあります。こうした中で外需は非常に不透明ですけれども、しかし中国での自動車生産なり経済活動が回復してきている状況。あるいはヨーロッパも全体として落ちついて、人の行き来を域内で始める。あるいは域外からも入国を認める動きが出てきています。
 そうした中でまだまだ海外は不透明ですけれども、少しずつ海外経済も上向いてくるものと期待をしているところですが、ただ、やっぱり輸出主導の製造業、自動車であったり様々な製造業はまだまだ厳しい面もあると思っています。そうしたところを資金繰りであったり、大企業であっても政投銀をはじめとする資金繰り、それから今はまだそういう事態は想定していませんけれども、万が一の時のいわゆる長い劣後ローンであったり、あるいは出資であったり、そんなことも含めて万全の枠組みを、そうした出資や劣後ローンなども含めて12兆円の枠を用意しています。ここで何があっても日本経済を支えていく万全の構えを、枠組みを整えておりますので、しっかりと企業活動を支えていきたいと思いますし、さらに新しい動きも出てきています。
 もうハンコはやめよう、電子証明でやろうじゃないか。あるいは郵送で請求書を送るのをやめよう。ネットでやろう。我々政府も、もっと加速してデジタル化を進めていかなきゃいけないと思いますけれども、したがってIT関係も伸びています。あるいはネットショッピング、ネット販売も増えている中で、物流関係も伸びています。物流施設などの設備投資も底堅いものがあります。こういったところをしっかりと後押ししながら、つまり規制改革など、あるいは慣行の、慣例の改革、あるいは様々なガイドラインをつくること、Q&Aを作ること、こういったことを通じて商慣行も改革をしながら、ぜひ新しい社会に向かっていくところも応援をしていければと思います。
 先ほど出資、劣後ローンと申しましたけれども、実は中小企業向けの6兆円はいわゆるベンチャー企業にも使える枠でありますので、この機会にロボットであるとか非接触のいろんな新しい企業、あるいはオンライン、ネットで取り組むベンチャーへの支援もぜひ強化していきたいと思っています。そうしたこと全体を通じて、何とか内需主導で4月、5月を底に、回復軌道に乗せていければと思っています。
 ただ、もう1点いえば、雇用は後から少し遅れて来ますので、これは万全を期していかなきゃいけないと思っています。既に雇い止めなどで職を失われた方がおられます。これはマッチングを早く進めなきゃいけないと思っています。今申し上げたような幾つかの業種は、人手が足りないということで募集も増えています。あるいは構造的に医療・福祉の分野も人が足りないというのがあります。そうしたところの業種へのマッチング。今日は連合の皆さんとも意見交換をしましたけれども、連合もUAゼンセンがそうしたマッチングを進めているというお話の紹介もありました。また、それぞれの地域の経産局と労働局が中心になってマッチングを進めたりもしています。
 副大臣会議でこうした具体的な取り組みを今進めてもらっていますけれども、ぜひマッチング、それからそのための一定の訓練が必要なときに、雇用調整助成金も使えます。休業補償だけじゃなくてそうしたことにも使えます。訓練にも使えますので、雇用調整助成金の活用。あるいは様々な職業訓練のメニューもありますから、そうしたものも活用していただきながら、何とか雇用を守るという、これが大きな課題だと思いますので、遅れて来る雇用の課題について、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。

(以上)