西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年7月1日

(令和2年7月1日(水) 9:49~10:51  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

(翁座長)それでは、選択する未来2.0の中間報告について御説明申し上げます。
 私の名前が書いてありますレジュメをおめくりいただきまして、また、適宜、大きな中間概要案というA3のものもございますので。これも使用いたしますけれども、それでお話をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページをおめくりいただきまして、選択する未来1.0。これは三村日本商工会議所会頭のもとでまとめられたもので、2014年から15年にかけてまとまったものでございます。これについては、2020年代の初めまでにジャンプスタートすると、特に生産性の向上を図っていくということで政府に提言がございました。
 しかし、残念ながら、図表1をおめくりいただきたいと思いますが、ちょうど真ん中、潜在成長率の推移というのがございます。そこでご覧いただきますと、全要素生産性の上昇率というのはおおむね横ばいという状況となっておりまして、残念ながらそのジャンプスタートはできなかったという状況となっております。
 また、選択する未来1.0につきましては、人口ということにかなり重きを置いて、出生率を増加させていくということについての提言をしているわけでございますが、その左側をご覧いただきますと、合計特殊出生率は低くなっておりますし、また、もう一つの柱でございます東京への一極集中を何とか食いとめるというところに関しましても、右のグラフをご覧いただきますと、相変わらずその傾向は続いているという状況となっております。
 これについては、参考資料でもかなりいろいろな政策評価を行っておりますけれども、残念ながらこのジャンプスタートは実現できていない状況があるということが評価の結果でございます。
 ただ、この選択する未来1.0が掲げました三つの目標の重要性というのは全く変わっていない、むしろ非常に重要になってきているということかと思います。そこの2ページの2のところにございますように、少子化の流れを変えていく重要性というのは、一層重要になってきております。これは、政府、企業、社会全体として取り組む必要があると考えております。
 また、経済の面では、付加価値生産性の向上、これは経済の最重要課題と考えております。特に今回、これからお話しますが、デジタル化の遅れというのが非常に各国と比べても大きな問題として顕在化しております。この遅れを取り戻すということが、非常に重要だと思っております。
 また、もう一つ、東京一極集中ということに関しては、東京一極集中を防ぐというか、それよりも何よりも、各地域が稼げる豊かな地域に転換していくことが非常に重要ではないかということが書いてございます。
 1枚おめくりいただきますと、私ども3月にスタートしたわけでございますが、ちょうど新型コロナウイルスの感染症が広がった時期でございました。ですので、最初は対面でやっておりましたけれども、ずっとその後オンラインも活用し全10回の会議を開催して、そして今に至っているわけでございますが、この感染症による危機、これを社会変革の契機と捉えて、日本社会を10年分前進させる改革を一気に進めるべきだというのが、この提言の骨子の一つでございます。大変私どもはこれ重要だと思っております。
 私の資料の図表の2のところをご覧いただきますと、既に内閣府のアンケートについては御紹介したとおりでございますが、価値観が大きく変わってきているということがわかります。特に今日取り上げておりますのは、テレワークの経験者が仕事と生活の両立を図りたいという認識が高まっているということ、それから若い人で地方移住の希望が出てきているということ、それから下のほうは、家族と過ごす時間が大事だと考える人が増えていること、そしてその右側は、子育ての工夫を夫と妻がいろいろするようになっていて、そして特にテレワークをしているということで、よりこの役割分担を工夫することを継続していきたいと、そういう流れが出てきているということがわかります。
 3ページにお戻りいただきますが、まさにこういった人々の価値観の変化が出てきているこの時期こそ変革の契機である、今こそ選択の時期であると考えております。そして、次の機会はもうないと考えるべきだと思っております。
 特にこの数年で進めるべき課題として、四つそこに掲げております。この大きな中間概要ではブルーのところになりますが、特に集中的に必要な取り組みとして、この四つを掲げております。
 企業、社会の仕組みや慣行の変革、そして教育の変革ということでございます。これは、特に今、テレワークなどで進んだ働き方改革、企業での労務管理とか硬直的な人事制度、家事分担などの家族での様々な慣行、そういったものを今こそこの契機に変えていくべきだということであります。
 そして、教育につきましても、こういった変化が大きくある、いろいろなことがあるという時代になってきていますので、課題解決力、創造力ということに重きを置いた教育が必要であるということを提言しております。
 それから、2番目がデジタル化の推進でございます。これについては、私のつけました最後のところに、左側にございますが、特に行政のデジタル化、テレワークの拡大というのが喫緊の課題であると書いてございます。
 行政のデジタル化につきましては、言うまでもなく日本は非常にオンラインの利用率が諸外国に比べて低いということがわかっております。これはセーフティーネットの発動という意味でも非常に遅れてしまった。こういったことをとにかく最優先でオンライン化、デジタル化を進めていただきたい。
 それから、その下、テレワークの導入ということで書いてございますけれども、企業のほうでも努力する必要ございますし、また、日本の押印文化の見直しとか、そういった慣行も見直していただきたいと思っております。
 3ページのところでは、特に政府のデジタル化のことを今お話しましたし、テレワークのこともお話しいたしましたが、オンライン教育、またオンライン医療について、こういった規制改革、それからデジタルの教育、こういったことも一気に進めていただきたいと考えております。
 3点目、人的投資を初めとする無形資産への投資の拡大。今、非常に企業は厳しい状況でございますが、私どもの懇談会は、「人」ということにすごく着目して、人材こそ日本にとって非常に重要な経営資源である、人材に投資をしていくことを継続していくことが大事であると考えています。
 そのほかにもR&Dとか、高度成長期とは違いまして、現在はソフトウエアやいろいろな創造性のあるノウハウ、そういったことが重要になる時代でございます。ですので、人的投資、R&D、こういった無形資産、経済能力、こういったものを高めていくことが企業にとっては非常に重要だということを書いております。無形資産の比率も日本は諸外国に比べても低い状況となっております。
 そして4点目、包括的な支援で格差の拡大を防止する。今、影響を受けていらっしゃる非正規の方、フリーランスの方、女性、こういった方にしわが寄っている状況でございます。これを全体としてインクルーシブな世界にしていくという意味で、公助でのセーフティーネットをきちんと拡充すると同時に、共助では社会的な連帯で様々な取り組みをしていくことが大事ではないかということで、4点を挙げております。
 変革というのは、何ができないということで躊躇するのではなく、まず変革を進めることを決定して、その過程で生じる様々な課題に適切に対処していくということが大事ではないか。例えばオンライン診療などでもそうだと思います。ぜひ適切に進めていただくということをお願いしたいと思っております。
 そして、選択すべき未来としては、このオレンジのところに、私どもがニューノーマルというところでどんなところが望ましいのかということを書いております。
 いろいろ書いておりますが、キーワードとしては多様性ということでございます。多様性にこそ価値がある。多様性のある人たちが一緒にいろいろ働くことによって、イノベーション、変化への対応力を高めるということではないかと思っています。
 そして、働き方も多様でいい。多様な働き方、生き方を尊重する。そして、そういったことを阻害する硬直的な制度とか慣行を変えていくということが大事ではないかというのが、選択すべき未来の非常に重要な私どもが考えている未来像ということになります。
そして、次のページをおめくりいただいて、これは各論でございます。この概要の下の部分にいろいろ書いてございます。
 特に懇談会として強調したいことということで書いてございますが、一番上の二つというのが、個々人、私たち一人一人、人に着目したもの、次の二つは経済のところに着目したもの、それから3番目は地方、地域ということに着目したものでございます。
 一番最初の若者の自信、安心をということでございますが、日本の社会というのは年功序列で来ております。そういった正規社員は優遇されておりますけれども、不本意の非正規の方が多い。これは若者に限ったことではございませんけれども、こういった人たちを何としても少なくしていこう、ゼロに近づけていこう。そして、そういう人たちにリカレント教育をして、しっかり人的に投資をしていく。そして、再チャレンジが可能な社会にしていくことが大事ではないかということで、この左の下のほうにございますけれども、様々な施策を提言しております。
 それから、ミドル層につきましても、特に大企業に入られているミドル層というのは、潜在的に能力があるのに生かされていないんじゃないか、むしろ副業や兼業、または起業などをできるようにして、潜在能力を発揮してもらいたいということを書いてございます。
 特にその意味では、40歳を視野に棚卸しをして、企業から自立できるような、そういった個人になっていくことが大事ではないかということを強調しております。
 二つ目、男女が共にワーク・ライフ・バランスを両立できる社会に改革。少子化の問題というのは、私は重く受けとめております。少子化の原因というのは、様々な要素がございますので、一つのものを変えることで全部を変えられるわけではございません。ただ、男女が共にワーク・ライフ・バランスを両立できる社会に変えていくということが、とても大事ではないかと思っております。
 そして、最後のページの表の右側のところに、女性の働き方の選択肢の拡大と性別役割分担意識の改革をというのがございます。女性の就業率と正規雇用率の上側の表は、M字カーブはだんだん減ってきたけれども、それはほとんどパートの人たち、非正規の人は非常に多いという状況になっている、この正規化をしていくということがとても大事ではないかということを提言しております。
 そして、この下でございますが、週間労働時間の分布を見ていただきますと、女性は、特に左側を見ていただきますと、短い短時間の人と長時間の人にすごく分かれるという状況になっています。つまり二者択一を迫られているということなんです。
 ですので、まずはこのL字カーブ、女性が必死になって長時間働くか、それとも非正規でパートになってしまうか、その二者択一を迫られると、子供もなかなか産みやすい状況にはなっていないということで、このあたり、ぜひワーク・ライフ・バランスを男女共に両立できる社会に変革していただきたいというのが、重要な提言です。
 特にそこで、男性の育児休暇、全員取得を目指すということを提言しております。これを起爆剤にして、社会を変えていただくということをお願いしたいと思っています。
 また、L字カーブについても、女性社員の正規化ということをぜひお願いしたいと思っております。
 それから、三つ目のポツ、人材教育、人材育成の重要性、これは先ほど申し上げたとおり、初等教育から大学教育まで、創造力、課題解決力、デジタル化の社会でございますので、そこに対する対応、未来を開拓できるような若者を育てていく、そういった教育に変えていくことが大事ではないかと提言しています。そして、多様性という意味では、個性を生かした教育を実現していくことが大事だと思っています。
 それから、経済の面では、女性や様々な能力のある人を生かせる企業経営に変えていく。そして、日本のデジタル化、遅れております。ですので、企業のデジタル化、デジタルトランスフォメーションの流れにしっかりとついていって、付加価値生産性を上げていくということで、ぜひ企業のほうにも奮起していただくということをお願いしたいと思います。
 中小企業についても、様々な支援の項目を書いてございますし、また、コーポレートガバナンス改革とか女性のキャリアアップ支援、高度人材の活躍をぜひ推進していただきたいと提言しております。
 最後、地域でございますが、これは、今、本当にチャンスと思っております。健康志向とか環境への配慮ということで、今回のコロナということが大きな契機になって地方に目が向いている、この機を逃すことは絶対できないと思っております。ですので、これを推進できるチャンスと思っております。
 そして、多核連携、分散型の魅力的な地域へと書いてございます。環境に配慮したまちづくりとかデジタル化、スマート化、そういうことをどんどん進めていただき、それぞれが豊かな地域になっていくということが大事かと思っております。
 中間報告の中には、ドイツの高齢者がまちで歩いている写真とか出ておりますが、それぞれが工夫したまちづくりというのも、今まさにやっていくことが大事ではないか。リモートワークができるようになりましたので、東京と地方という二極分断ではなく、両方に住んだり、両方で仕事をするということも可能になる、そういった社会になっていくと思います。
 それから、地方からイノベーションをと書いておりますが、特にAIということでは、日本は遅れていると言われていますが、ものづくりは非常に日本はまだまだ魅力的な、いろいろな潜在ポテンシャルがあると思っています。そのAIかけるものづくりということで、まさにこれは松尾先生も御紹介されているわけですけれども、地方の有力な製造業とAIの知識というのをうまく掛け合わせていくということで、地方からイノベーションを起こしていく。高専の方の起業も紹介されていますが、大学との連携などをして、まさにこういった新しいものづくりを、デジタル社会の進展と掛け合わせてやっていく。ミドル層なんかも、まさにこういったところで活躍していただくというようなことを考えております。
 今申し上げましたように、この(2)にございますが、付加価値生産性を上げて暮らしを豊かにしていくということ、それから多核連携で地方を豊かにし、地方を活性化していくということ、そして希望出生率を実現し、さらに上昇させていくということ、これらは今まさに非常に関連した動きになってきていると思っております。
 働き方改革が実現すれば、地方に住むこともできる、そして子育てを十分に時間をかけてやることもできて、付加価値生産性も上げていくことができるのではないか。付加価値生産性が上がっていけば、それに見合った収入が得られ、希望出生率が上がっていく、結婚をしようという人たちも増えていく。そういった一体的な取り組みをしていただくということが、とても大事ではないかと思っております。
 そして、今回の特徴としましては、先ほど御紹介いたしましたこういった参考資料で、非常に多くのデータで検証をしております。まさにデータでいろいろな政策を検証して、エビデンスベースで政策を実施していく、そしてPDCAを回して修正していく、そういった体制を作って実現していっていただきたいということを考えております。
 特に今回の特徴としては、コロナでいろいろ私たちは大きな変化を経験し、そこで変化の兆しがある、これを後戻りさせないで、ぜひ実現をしていただきたいと思っております。
 大臣には、ぜひこういった内容を実行していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 
(西村大臣)翁座長、ありがとうございました。この間10回にわたって、テレビ会議で非常に効率的にできたと思っています。朝早い時間、7時半とかそんな時間からこれだけのメンバーに集まっていただいたり、あるいはゲストスピーカーも何人かお願いをしてお話をいただきました。3月から始めて4カ月間ほど、これだけ多くの忙しい方々に集まっていただいてできたというのは、このテレビ会議のシステムのおかげだと思っております。精力的な議論に、本当に感謝したいと思います。
 そして、「選択する未来」委員会の最初のときから少しだけ振り返りながら、今、翁さんからお話があったことと若干重なりますが、簡潔に私のほうから、今のお話を受けとめて、今後どうしていくかというお話も含めてしたいと思います。
 実は、2014年11月に「選択する未来」委員会ということで、商工会議所の三村会頭に会長をお願いして、諮問会議のもとで議論をしました。私は当時副大臣だったんですけれども、そしてそのときの提言が大きく三つありまして、一つが、これはよく話題になりましたが、人口1億人規模程度を維持するという人口目標。このためには出生率を2023年に1.81、そして2030年に2.07にできれば大体1億人を維持できるということで、これを目指そう、少子化対策をしっかりやろうということで一つの提言が出されました。残念ながら、今もお話がありましたが、2019年昨年の出生率が1.36ということで、これが現時点では実現できていないということであります。
 そして、二つ目のそのときの提言が、生産性を上げるんだということで、日本の生産性は非常に低かったものですから、世界トップレベルの成長をしていくためには、2020年代初頭にかけてジャンプスタート、この間改革を集中的に行って、ジャンプスタートをさせて生産性を上げなきゃいけない、集中的な改革期間だということで、これが二つ目の提言でした。
 ところが、残念ながら、2000年代に入ってから10年程度は0.9%の全要素生産性、TFPですが、これが13年以降は0.6に落ちたということで、2020年代初頭にかけてジャンプスタートするというのは、これも少し停滞をしたわけであります。
 そして、その生産性上昇要因を分解してみますと、この色分けで、労働時間がこのグレーの時間で、かつてはすごく時間働いたわけですけれども、働き方改革等やる中で時間が短くなる中で、資本装備、資本も非常に資本投資がなされていたわけですけれども、これも小さくなっている。
 それから、労働の質というものも、この黄色、黄土色というか、この部分ですが、これも非常に小さくなっている。それからTFP、生産性も、かつて高度成長したときは非常に高かったわけですけれども、高度成長期は資本もありましたし、労働時間もありましたけれども、むしろこの生産性が非常に上がったということだったわけですが、最近では非常に低い。少しここで直近では持ち直しているんですけれども、全体として労働の質とかTFPとか、こういったところが非常に低いものとなって、ジャンプスタートできていないということであります。
 そして、その二つを掛け合わせると、生産性も上がり、そして人口も安定すると。2050年以降にかけてこれだけの成長率を維持できるはずだと、2%前後の実質成長率。これが生産性も停滞し人口も減少するとマイナス成長になりかねないと、2040年以降ですね。こういった方向性も示されたわけであります。
 2017年度の実質成長率が1.9%、18年度は0.3%で、昨年は0.0%ということになっていますけれども、この2%成長が一番いいケース、仮に人口が減っても生産性が上がれば1から1.5は成長できるわけで、一番いいケースシナリオを目指そうということで提案がなされたわけであります。あわせて一極集中是正への提言ということで、三つの大きな柱で提案がなされました。
 今回、翁さんに座長をお願いして、2.0ということで次のステージに入ったわけでありますが、これは実は三村会頭からも、我々がやった6年前の提言がどうなっているのか、それを検証してほしいというお話をいただきました。それも踏まえて、今回新たなメンバーで、翁さんに座長になっていただいて、諮問会議との関係もありますので柳川さんに座長代行、そして松本大さんほか、比較的若い世代、そして現場で研究の最前線、あるいは企業の最前線で活躍しておられる皆様方に入っていただいて、検証を行うとともに、途中でコロナのことが非常に大きく影響が出ましたので、それについてのことも含めて検討を行っていただいたということであります。
 そして、ちょっとごちゃごちゃしているんですけれども、今、翁さんからお話しいただいたことを私なりに整理をすると、以前に説明させていただいたテレワークの実施率というのが、全国で3分の1以上、首都圏23区では6割近い方がテレワークを経験して、その間いろいろな意識の変化があったわけです。
 一つは、家族と過ごす時間が増えた人が7割いた。そして、その増加を保ちたい、そのまま家族と過ごす時間を長くいたいという人が8割もいるわけであります。家族の価値というもの、家族の大切さ、これを再認識された方が多いわけであります。
 そして、家事、育児の分担も、夫の役割が増えた、26%。男性が育児、家事手伝った。一方で、妻の役割が増えた、妻の負担が増えたというのもありますので、ここも注意しなきゃいけないんですけれども、こうした意識や行動の変化を、今お話のあった、後戻りさせちゃいけないということだと思います。少子化対策、ワーク・ライフ・バランスを進めていく。そして、今回御提言いただいた女性の活躍、そして仕事の両立というところです。
 まさに今、資料にございました。いわゆるM字カーブは解消してきました。女性の活躍、女性が仕事につかれる方が多くなりました。しかし、非正規が増えているんですね。正規雇用が結婚、出産とともにずっと減ってきている。M字カーブは解消したけれども、このL字カーブ、新たなカーブ、これは絶対に解消しなきゃいけないと。
 今回も、コロナのショックで女性にしわ寄せが行って、職を離れる人が70万人もいた。特に子育て世代が、どうしても職を離れざるを得ないということになっています。しっかりとした立場で活躍していただく、これが大事だと思っています。
 そして、今もお話がございましたけれども、就業者、そして管理職に占める女性の割合ですが、残念ながら多くの国と比べて日本は非常に低い立場にあって、女性の能力を生かし切れていない、もっと活躍してもらえるはずだということであります。
 ということで、今のL字カーブの解消、女性の正規化、そしてこの後出てきます男女の賃金格差、全体として労働時間短縮、それから待機児童解消、これは当然のことでありますが、これも本文に入っていますけれども、柴田准教授の分析も出ています。労働時間が減ること、そして待機児童を減らすこと、これは何より少子化には効果があるというデータに基づいた分析も行われています。
 そして男性が、こういう育児を経験した、その気持ちをそのまま全員が育児休暇を取れるような環境を作っていかなきゃならない。それから、女性の正規社員の割合など、それぞれの企業でどのぐらい女性が活躍しているか、その取り組み実績の開示内容、これをさらに拡充していければということで、大きな一つの柱は、やはり女性活躍とワーク・ライフ・バランス、これを実行していくことだと思います。
 そして、今お話しましたけれども、男性、女性の年齢別の雇用形態別の収入ですが、男性の一つの特徴は、正規の方は年功序列の中でそれなりに増えていきますが、非正規の方がずっと300万円で頭打ち、300万円の壁と言ってもいいと思いますが、これが大きな課題になっています。御自身の人生設計においても、それから結婚、子育てということにおいても、この300万円の壁を何とか打破しなきゃいけない、何としても打破しなきゃいけないということだと思います。
 そして女性も、これを見ていただいたら明らかで、女性の非正規雇用がこういうふうに反対のL字カーブで非正規が増えていくわけです。結婚、出産と同時にこう上がっていくわけですけれども、賃金も、非正規の方も240万円強ということで、やはり男性との差がありますし、正規社員の方も差があります。やはり女性の活躍と、男女の賃金格差も解消しなきゃいけないということだと思います。
 そして、若者のほうにいきますと、今回のこのテレワークの経験などで将来の仕事を考える人が、収入を考える人が20代で50%、40代でも3割います。副業を検討する人も20代で2割近く、40代でも10%、1割近い方が検討しています。
 先ほど申し上げたように、この300万円の壁、不本意で非正規な人をゼロにしていく。自分は非正規のままで、いろいろやりたいことがあるから一時的にこれだけやりたいという人はいいですけれども、正規になりたいけれどもなれないという人をなくしていくということで、ジョブ型正社員などの多様な働き方、今日のキーワードの一つとおっしゃられました。多様な働き方の選択肢を拡大していくと。
 それから、お話がございましたリカレント教育、もう一度何か教育、いろいろな訓練を受ける、それをキャリアアップ助成金などで支援をしていければと思います。
 通勤時間も減少した。23区では6割近い方が減少して、7割の方がそのまま通勤時間を減らしたいと。地方でも、3割近い方が通勤時間減っています。そして7割の方がそのまま減らしたいということで、働き方、柔軟な働き方をぜひ実現していかなきゃいけないと思います。
 ここで一つの大きな議論になったのが、40歳、ミドル層というお話です。40歳を視野にキャリアを一度棚卸しして、自分の人生設計を考えるタイミングをつくってはどうかと。しかし、40歳になって、いきなりこの後どうしますかと言われても、何も新しいアイデアは出てこない、あるいはそういう相談、コンサルティングを受けても何か新しいことが出てくるか。そのためにも20代、30代から、兼業や副業、あるいはNPO、こういった経験を積むことによって、様々な経験を積むことによって、40歳で一度自分の人生を考えてみるという時期が必要なんじゃないか。それが場合によっては地方の中堅企業、中小企業との人材マッチングで、より自分が生きがいを感じながらやりがいを感じてやれる場があるのではないか、そういうマッチングをやらなきゃいけない。そして、様々なそうした支援についてキャリアアップ助成金が使えるのではないかということであります。
 そしてデジタル化、一丁目一番地と言っていますけれども、オンラインの利用は、OECDでも非常に低い水準になっています。今回、いろいろなことが明らかになりました。これは徹底的に進めなきゃいけないということだと思います。
 これがデジタルガバメント、これは多くは言いませんけれども、ワンストップ、ワンスオンリーで手続ができるようにしないと、本当に待ったなしの話です。そして中小企業もデジタル化、RPA、ロボットなどをコンピューターを使ってやっていく。他方で、地方であったり、零細小規模事業者がなかなかデジタル化対応できない場合に、様々な商工会や商工会議所、あるいは農協や漁協、こういった地域にあるインフラを使いながら支援をしていくことも大事だと。誰も取り残さないということも大事だと思います。
 そして、教育について、今回、オンライン教育、自宅で教育を受けるということを多くの人が経験しています。このアプリを使ったのと、通常の授業を受けたブルーとを比べてみると、3カ月後にはアプリを使ったグループは学力がぐっと右に寄っています。上がっています。これはまさに個別最適化で、わからなかった子供たちが個別にいろいろ指導を受けてそれがわかるようになった。あるいはできる子は、もっと自分はこんなことやってみたい、あんなことやってみたいという中でよりできるようになっている。ぐっと右にこれが寄っていっています。まさに個別最適化ということは、オンライン教育は非常に意味があると思います。
 もちろん対面でやる部分もあるでしょうから、それを組み合わせていくことが大事だと思いますが、いざというときはオンラインで教育を受ける仕組みは非常に大事だと思っています。
 しかしながら、小中学校のオンライン教育を23区では7割の子供が受けていますが、地方では3割しか受けられていませんでした。こういったことも改善していかないといけないということであります。
 次お願いします。
 そして、公立大学の卒業生の都道府県内就職率を見てみると、全体ではこういう感じで40数%ですが、理系の女性に限って見ると、15年ぐらいまでは5割ぐらい県内で就職していたのが、ぐっと落ちてきています。つまり理系の女性の就職する場がなかなか地方に無いということでありますし、男性で見ても、15年は上がったのが17年度ではかなり落ちてきています。
 これは一例ですが、香川の高専の女子学生が、東大の松尾先生の教室と連携してAIを使って、ものづくりとAIを掛け合わせて、こういう車のあおり運転検知の方法、高専の学生がこういったビジネスモデルを開発して起業しています。
 高専工業高校、農業高校、現場で何かやっている、それとAIを組み合わせれば、さらにいろいろなものができるわけでありまして、そういったことを地方でもできるわけであります。オンライン教育で東京のいろいろな先生の指導も受けられるようにしていけば変わっていくわけでありますので、そういったことを進めていきたいと思います。
 次お願いします。
 そして最後、まちづくり、今も翁さんからありましたけれども、10万人のエアランゲンというまち、これは広井教授からの提出資料ですが、車を排除して歩いて回るまちづくり。何がいいかというと、健康づくりになるわけですね。歩いて回る。車で移動しない。それから、商店街、お店もこうやって開けていく。人口10万人でもこのぐらいのことができる。もちろん今は感染症がありますから、昔と同じように対面で全てができるというわけじゃありませんけれども、マスクをしたり、距離を取ったりいろいろ工夫はしながらですが、大きな方向性としては、歩いて楽しめるまちづくり、車でなく健康づくり、高齢者も楽しめる、商店街も潤うということです。
 同じくドイツのフーズムという人口2万人の都市でも、こうしたまち中の車を排除することによって、これは露店をたくさん出して高齢者も、ドイツも日本と同様に非常に高齢化率高いですけれども、こういった工夫をしながら健康づくりをやり、そして小さなお店も潤うということであります。
 ということで、20代の地方移住への関心が、今回、23区で3分の1以上の人が高まっています。東京圏全体で見ても3割近い方の関心が高まる中で、歩いて暮らせるまちづくり、多様なまちづくり、キーワードの一つだと思います。そして、地方において理系女子、そしてシステム人材を育成して、この人たちが地方でそういった役割を果たしてもらえる。そのためにも、全国でさまざまなデジタル技術を活用したスマートシティーを100ぐらいつくって、全国の県庁所在地だけに限らず、もう一つ、二つ、中核都市なども含めて、そうしたものを核とした多核連携の地域づくりをやっていけばいいんじゃないかということであります。
 そして、まさに担っていく人材は多様な人材を育てていく、画一的な解き方、横並びでやるのではなくて、課題を自分みずから見つけ出して設定し、解決し、創造力を発揮するような人材、デジタルによる個別最適化。それから外部人材、いろいろな人材を教育の現場に入れていくこと。経験ある人、企業人材、あるいは大学の先生、松尾先生なんかもこうして高専に指導することによって高専の子供たちが活性化をしていっています。
 それから、博士号取得者が日本は非常に少ない。これをもっと大学、地域で活躍してもらう。そうした場面をつくっていくことが大事じゃないか、こういった提言をいただいております。
 それを全体で私なりに整理をすると、誰もが豊かさを実感でき、誰も取り残さない温かい成長、もちろん効率性も求めて、デジタル化で効率性を求めてやっていく。しかし、ロボットの世界じゃないんですから、やっぱり人と人との関係があって誰も取り残さない。しかも、多様な働き方、多様な人材がそれぞれの立場で豊かさを実感できる、そういう成長を実現しなきゃいけないと思います。
 よく見ると、こういった事柄は、「選択する未来」委員会の三村会長のもとでやったことも含めて、長年我々が指摘をされてきた、いわば宿題返しであります。そしてコロナを経験して、それをさらに進化をさせていく、そういう局面にあると思います。
 今、翁座長が言われたように、科学的根拠、データに基づいて政策立案をし、そしてそれをPDCAを回しながら実行していく。実際どういう成果が上がったのか、上がってなければ別のやり方をしなきゃいけない。この繰り返しをしながら、着実に実行していくことが大事だと思います。
 これ全て連携しているんですね。やはり効率良くデジタル化によって仕事をしないと、両立もなかなかしにくいです。そして、地方への移住ということも含めて考えれば、もっと余裕が出ます。そして、若者の所得が上がることによって、当然、結婚、出産ということもより広く課題が自分の中で意識されると思いますし、今回、結婚を意識するといった若者もふえています。そうした中で、女性が結婚しても活躍できる、そうした社会にしていかなきゃいけませんし、それを男性も、家事は妻任せ、奥さん任せということではなくて、育児も含めて育児休業を取れる仕組みの中で手伝っていく、そういう社会にして初めて仕事と子育ても両立できます。
 御自身の生きがいという観点からは、結婚している、していないは別ですが、20代、30代で様々な経験をする中でキャリアを積んで、40歳、次のステップに上がっていく、そうしたミドル層の活躍も期待をしたいと思いますし、そうしたことをリカレント教育やキャリアアップ助成金などでしっかりと支援をしていくということだと思います。
 企業も横並びで画一的な商品を出すのではなくて、多様な人材、多彩な新しいサービスや新しい商品を生み出していく、あるいはベンチャー企業をつくり出していく、そういった人材も必要です。
 とにかく画一的横並びはもうやめなきゃいけない。教育も企業行動も含めてやめなきゃいけない。もちろんデジタル化でワンストップ、ワンスオンリーできる。これは機械的な仕事はそういう形でやってもらえばいいようにして、むしろ創造的な仕事ができる人材、これを育てていきながら、そして仕事と家庭の両立とか全体としての豊かさを全ての人が実感できる、そして誰も取り残さない、そういう温かい成長を実現していければと思います。
 全てが連関していますので、ごちゃっと一枚に書いていますけれども、これまで言われてきた課題、宿題を一遍に返して、そして今回のコロナを機に、さらに進化をさせていくということに取り組まなきゃいけないと思っております。
 非常に熱心な御議論いただいて細かい提案もいただきましたので、一つ一つ着実に実行していければと思います。いわば三村会長のときの「選択する未来」委員会の1.0のときからの宿題だと。私自身も副大臣で関わってきたことでありますから、これを実行していかなきゃいけないと強く感じているところであります。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)今月から担当者が変わりますので、よろしくお願いいたします。
 大臣と翁さんにそれぞれ伺いたいんですけれども、大臣に、今非常に幅広い御説明をいただきましたけれども、今後これをどう実現していくかということが大事になると思います。提言の中でも、現在の実行計画をつくって、通常国会に必要な法改正を出すというような意思を示されていますけれども、それぞれの政策の実行に移し、その実現性をどう担保していくのかということを1つ伺いたいのと。あと、非常にメニューが多彩ですけれども、そのあたり、あえて大臣として特に何に優先順位をつけてやっていかなければいけないと考えているか、教えていただきたいです。
 翁さんには、最終報告をまた年内にまとめるということですけれども、積み残した議論ですとか、これからやっていかなければいけないと考えていることについて、教えていただけないでしょうか。
(答)では、私から、今回こうしたきめ細かい、そして大きな方向性のある提言をまとめて、中間報告をまとめていただきましたので、これを経済財政諮問会議に報告することになっておりますので、報告をした上で、骨太方針を今月中に策定することになっておりますけれども、その議論に反映をさせていきたいと考えています。
 そこで、さらに諮問会議で様々な、これは関係省庁も入って議論を重ねて、大きな方向性をお示しできればと、さらに大きな方向性を示していければと思っております。
 当然、同時に未来投資戦略も策定をしていきますし、規制改革も行いますし、全世代型社会保障改革の2回目の中間報告も同じタイミングで行っていきますので、そうしたもの全体を含めて、その全体の一番大きな柱は骨太方針になるわけでありますので、そこでしっかりと方向性を出して、その上で今後の予算要求なり、様々な制度改正につなげていければと思います。
 さらにその後、このポストコロナのビジョンを検討する会議を行うことになっておりますので、そういった場でも様々な議論が行われると思いますけれども、まずは私の今の感じで、もう最低限の、これまでいわれてきたことの宿題を返す、そしてそれをさらに一歩進めるための今回提言だと思っています。そういう意味で、これから骨太方針、あるいはその後の議論も始まりますけれども、その前提として第一歩として、これが中間報告として提言されたと、そういう理解でいます。
 したがいまして、今後骨太方針を策定していく中で、関係省庁ともしっかりと議論をして、ここに盛り込まれた政策を一つ一つ実行していければと考えています。
 そうした中で、もう何が大事かと、今申し上げたとおり全部連携していますので、どこがというのはなかなか難しいんですけれども、もうデジタル化の話はもうこれまで私も何度も言ってきました。やっぱり人材・人だと思います。その中で特にやっぱり女性の活躍と、このワーク・ライフ・バランス、これをしなければいけないというのが、ものすごく私は大事なことだと思います。
 そうした中で、当然そのためにも、若者の所得を上げていかないと、なかなか結婚に踏み切れないということもありますし、そのためにも子どもの頃からも含めて、人材も教育を横並びで画一的な教育ではなくて、もうこれだけIT技術もあるわけですから、一人一人の個性を生かす。そして個別最適化で、それぞれに合った教育ができるようになってきていますから、そういった意味で多彩な、多様な人材を育てて、そして若者も女性も活躍できる、そういった環境、これは何より急がれると思います。
 これは、そう簡単なことじゃないと思うんですね。政府も率先してやらなければいけませんし、企業、男性の意識も大きく変わらなければいけません。でも、今回いろんなことを経験して、やらなければいけないということですから、喉元過ぎればではありませんし、形状記憶合金でもありませんから、もう先に進めるということをぜひやっていきたいと思います。何より人が大事だと、人を育てていくということが大事だと思います。

(翁座長)最終報告に向けては、特にグローバルな課題について考えていかなければならないと思っております。ここに少し記載がございますけれども、今、大きくいろいろなグローバルな変化がございます。国際協力のあり方とか、またはSDGsについても、様々な今環境問題への関心というのは、長期的に見ても非常に重要な課題でございますが、まだ議論がし尽くせていないという部分もございます。ですので、特に様々なグローバルな課題にどう対処していくのかということについて、さらに議論が深められればと思います。
 あとまた、民間企業自体が公共的な役割を担うというようなことも、これから非常に重要になってくると思います。こういったことで、民間は何ができるのか、民間が担う公共の役割とはどんなものなのか、こういったところについても、議論を深めていきたいというふうに思っております。
(問)西村大臣に伺います。
 いろいろ御説明ありがとうございました。よくわかりました。
 ちょっと1点伺いたいのですが、これから11時に行われるアドバイザリー・ボードについて伺いたいんですけれども。今日行われるのが第1回目で、この後何回、いつ頃まで行う予定なのか。あとは、効果分析をする、中心にするとおっしゃっていますけれども、大臣が唱えた、新しい提言というのもする予定でしょうか。
(答)この後、黒川委員長のもとで、4人の皆さんに山中先生も入っていただいて、第1回の会議を開きます。
 もう間もなく公募を開始しますけれども、人工知能やスパコンを使って、これまでの大きな流行を収束させてきた、その対策、これについてどの対策、どういったことが効果があったのか、そういった効果の分析ですね。これを全国のそうした研究者の皆さんと、それから当然今回の対策に関わってこられた専門家、感染症の専門家の皆さんとで、様々なデータに基づいて分析をしてもらおうと思っています。
 そして、その分析の前提となった、いわゆるSIRモデルという、世界で確立したものはこのぐらいしかないということで、これしかないということで、西浦先生のモデルを中心に議論をしてきたわけですけれども、このモデルについても検証してもらおうと思っております。
 そうしたこと全体を、これまでの対策についてのデータに基づく分析を行っていただいて、その上で、いわば第三者的な見地から、大所高所から、もう重鎮であります黒川先生や山中先生、永井先生、安西先生、こうした方々から評価をいただいて、そしてその上で、次の大きな流行が万が一来た場合に備えていきたいということです。
 したがって、公募をやり、研究成果が出てきますので、それを見ていただくのに、やはり普通に考えれば、研究を1カ月か1カ月半か2カ月かやっぱりやっていただかないと、すぐに結果が出るというものではありませんので。イメージとしては、今日開いて、こうした方向について先生方からも御意見をいただいた上で公募を行い、そして研究テーマ、研究者、これが決まっていくわけでありますけれども、そしてその中で、研究の成果が出てくるわけですから、その段階で見ていただいて、大所高所からの第三者的な評価をいただこうと思っています。
 ですので、タイミングとしては7月、今日第1回目をやった上で、公募を行った後、今月中にもう一度開いて、そして成果が出てくるであろう8月下旬頃ですかね。これはもう全くの目算、今のところの考えですけれども、この夏のうちに一定の評価をしていただいて、9月のしかるべきタイミングには、一定の評価をいただいて、次なる波に備えていきたいと考えています。
 やはり、インフルエンザと一緒に来た場合などを考えると、この夏から秋の初めにかけては、一定の次なる対策を練って、今のうちに準備をし、練っていかなければいけないと思いますので、そういう意味で、そのぐらいのタイミングで考えています。
 もちろん医療体制とかPCRとか、こういったことは今のうちに、落ちついている間に体制を整えていくわけですけれども、タイムスケジュールとしては大まかに、そんなイメージを考えています。
(問)すみません、新しい提言もしますか。
 新しい感染症対策をこの会議で出したりとかは。
(答)いえ、どういう形で取りまとめをするのか、まだそこは4人の先生方と相談しようと思っています。何より大事なのは、対策の評価、分析ですので、分析評価ですので。そういう意味で、まずは、様々なデータを使って人口知能やスパコン、最先端の技術を使って感染症の専門家の皆さんと一緒になってやってもらった、その成果を、その結果を大所高所から見てもらおうと思っておりますので。いずれにしても、それを踏まえて我々としては、次なる波に備えての対策をより進化させていきたいと。今のやってきた対策を検証、いわば分析、評価した上で、次の対策に向けて進化させていきたいと、そういうことですね。
(問)2点お伺いします。
 1点目は、まず翁座長にお伺いしたいんですけれども、2020年の初頭までに、ジャンプスタートができなかったという検証になっていますけれども、それができなかった一番の要因は、先生、どういう点にあるかというふうにお考えになっていらっしゃいますかということをお伺いしたいと思います。
 2点目は、大臣にお伺いしたいんですけれども、エビデンスに基づいてPDCAサイクルを回していくということが提言の中にありますけれども、提言の中には5年までにこういう、遅くとも5年までにいこうというものがありまして。かなり長期の中でPDCAを回していくとなると、検証して、その政策を修正していくという、それを実行していく受け皿というか、その組織というものが必要になってくるんじゃないかなと思うんですが、このあたりのPDCAをどう回していくのか、大臣として具体的なイメージがあれば教えてください。
(答)(翁座長)まず、生産性がうまくジャンプスタートできなかったという観点につきましては、やはりこの間、進んだデジタル化に、やはり企業も政府も全く遅れてしまったということが非常に大きいのではないかと思っております。
 それは、企業のほうにも責任があるかもしれませんが、一方でやっぱり規制改革とか、政府自身がデジタル化をうまく進められなかったとか、そういった点が大きかったんじゃないかなと思います。
 デジタルの投資金額というのは、先進国と比べても見劣りはしないんですけれども、ビジネスモデルの改革に使われるようなデジタル化というのが、ほかの国と比べると見劣りして、維持のためのデジタル化になっているんですね。
 ですから、やっぱりビジネスモデルの改革に合った形でのIT投資というのが進まなかったというようなこと。あと無形資産投資、この辺がやはり少なかったということが大きいと思っています。
 少子化については、もちろんいろいろな取り組みがあったわけなんですけれども、やはりまだ待機児童が残っておりますし、それから今まさに御説明しましたように、社会が変わっていないということだと思います。やっぱり男女がともにワーク・ライフ・バランス、ともに育児も仕事もやる、そういう世界に変えていくということが、まだまだできていなかったということで、やっぱりもう少し幅広く社会全体を変えていく必要があるんじゃないかと思っております。

(西村大臣)今回の提言で書かれている内容は、ほぼこれまでもいろんなところで提言されていたり、当然1.0の委員会でも提言されていることでもあります。政府として当然取り組んでいかなければいけなかったことが十分できていなかった。
 しかし、それも今回三村会頭から検証してほしいということで、分析してほしいということでお話をいただいて、私も確かにそうだなということで、この会を始めたわけですけれども。我々の政府のやり方として、やはり一定期間ごとに、もちろんデータが出てくるまでには、少し時間がかかることがありますから、直ちに修正というのは無理なんですけれども、一定期間を見ながら、当然それを、データを分析して、次なる、先ほどのコロナ対策とよく似ていますけれども、一定期間後には、それを検証して、より進化をさせていくと。PDCAを回すというのは、何より大事なことで、ここが十分にできていなかったということだと思います。
 デジタル化にしても、工程表も作ってやってきましたけれども、それが遅かった。かつ成果として出てきていなかったというところをやはり検証しながら進んでいかなければいけないんだと思いますので。これは今後骨太方針に反映させていく中で、また各省にもそうした取り組みを実行してもらうことが大事だと思います。一つの例が9ページに出ていますけれども、柴田准教授が資料をプレゼンもしてくれたんですけれども、三つのことをやれば少子化は変わると。これはいろんなデータ分析からそういえるということで、労働時間、高等教育の軽減、教育費の軽減、そして待機児童解消という、この三つ、取り組んできてはいます。待機児童もかなり減らしてきています。保育所をかなり整備してきました。
 しかし、今、翁座長が言われたように、これら全て解消しているわけではなく、もちろん需要を生み出すという部分もありますので、これはうれしい悲鳴のような部分もありますから、お子さんが増えれば、当然もっとニーズが増えてきますので、それに取り組んでいかなければいけないわけですけれども、高等教育の無償化も実行していますので、これがどういう成果を持ってくるのか、それから働き方改革もスタートしましたから、労働時間の短縮はどういうふうに出てくるのか、こういったところもしっかりと分析をしながら、そして多くの研究者のやはり知恵を、知見をかりて。もちろん内閣府にも官庁エコノミストはいます。そうした方々の、そしてスタッフの分析もやりながら、または研究者同士意見も交わしてもらいながら、あるいは国際的ないろんな議論もあります。そういったことを、知見を積み重ねながらPDCAを回していくと。
 本当にコロナとよく似ています。新しい知見がどんどん出てきますので、それを生かして次なる対策、進化をさせていくことが大事であります。進化をさせる前に、まずやらなければいけないので、これを各省にもお願いして、ここでは半年で工程表ということでいわれています。私もそれぐらいのスピードでやらなければいけないと思います。もう既にこれまで言われてきたことはたくさんありますので、既にある工程表をもう一度見直して、前倒しでやるということだと思いますので、そういった取り組みを私の立場から後押しをしていきたいと思います。
(問)この半年間で工程表ということなんですけれども、これは政府としてどの場所の、どの会議で作っていかれるおつもりなんでしょうか。
(答)いえ、まさに今日御提言もいただきましたので、御提案もいただきましたので、私としてこれからいろんな場面で、そうしたことを含めて発言をし、主張して反映をさせていきたいと思っています。
 政府の会議体は様々ありますので、どういった場でこの内容を実現していくのがいいのか、それぞれいろんな会議体もありますから、それぞれの各省、持ち場、持ち場でやってもらいつつ、全体としてそれをマネージしていくというか、フォローしていくことも大事だと思いますので、これも今後の議論の中でよく考えていきたいと思います。

(以上)