西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月26日

(令和2年6月26日(金) 10:53~11:16  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 昨日か一昨日ですけれども御質問いただいた、医療物資が間に合っているかという点について正確な数字をお答えしませんでしたので、お知らせしておきたいと思います。
 医療機関に対する医療物資の配布につきましては、都道府県を通じて配分しているもの、それから、GMISという全国の医療機関を結んだ厚生労働省のネットワークシステムにおいて、そのウェブ調査の中で、1週間以内に備蓄が尽きる見通しになっているような医療機関から厚労省に対して連絡がきますので、そうした医療機関に対して緊急的な配布を行っています。
 最新の数字は、実は今日の夕方に厚労省から発表されますけれども、先週、15日の週の分については、通常分として、サージカルマスク約2,900万枚、それから、アイソレーションガウンも約600万枚送付しているところでありますけれども、さらに緊急分として連絡があったものは、例えばN95、KN95のマスクについては、1機関から要請がありまして200枚、それから、アイソレーションガウンは4機関から要請があって1,600枚、フェースシールドについては2機関から要請があって200枚配布していることで承知しています。
 通常、県から送る分でかなりの部分は行き届いているのだと思います。こうして幾つかの機関から、どうしても緊急に必要だということで要請があったものについて、厚労省から別途の形で配分している、送付しているということでありますので、現状は患者さんの数が減ってくる中で医療物資も行き届いているものと思っていますし、いざというときに備えてこの仕組みが動きますので、しっかり対応していきたいと思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)新型コロナウイルス感染症の「接触確認アプリ」についてお伺いします。最新の配布状況と感染拡大防止の観点から見た配布状況の評価、それから、一部アプリに不具合が生じているという話もありますが、改善の目処が立っていたら教えてください。
(答)先週19日にリリースしました接触確認アプリでありますけれども、25日木曜日、昨日17時の時点で434万ダウンロードとなっています。多くの方に利用していただいていまして、感謝申し上げたいと思います。
 これは政府としては、ぜひ、今後小さな波が起こったときにクラスター対策、保健所を中心としたクラスター班が濃厚接触者を追いかけていくわけですけれども、それをより効果的に、効率的に行うためにこの接触確認アプリが有効だと思いますので、引き続きお願いしたいと思いますし、できるだけ早くリリースして多くの方にダウンロード、インストールしてもらおうということで、19日に試行版としてリリースしたということであります。
 その19日に不具合がわかりましたので、19日の時点で厚生労働省のサイトにおいて、そのことについて告知しておりますけれども。陽性者が保健所からもらう「処理番号」、自分が感染したとわかったときに保健所から連絡があって、「処理番号」を受け取るわけですけれども、それを入力して送れば、その人の近くにいた、1メートル以内で15分以上いた人のスマホに連絡がいくという仕組みですけれども、その処理番号が正しい数字でなくとも「完了しました」という表示が出るということでありまして、これをできるだけ早期に修正版の更新を行うべく今、取り組んでいると聞いております。
 ただ、陽性でない方が誤った番号を打ち込んで送っても、それは登録されることはありませんし、それから、現在保健所は処理番号の発行を見合わせているわけです。いろいろな不具合が今あるということで、陽性者に対して処理番号の通知を行っていないのですが、その間も接触記録自体は問題なく蓄積されていますので、必ずこれが将来生きてきますので、ぜひ、引き続きダウンロード、インストールをお願いしたいと思っています。
 そして、そのアップデート版、修正版のアプリについて、アップル、グーグルの審査を受けているところであります。一定の時間がかかってしまいますので、このことについては本当に申し訳なく思っておりますけれども、その審査が終われば、基本的にアップデートされれば解消されるものでありますので、引き続き、ぜひ、インストールしていただいて、御利用いただければと思っています。
(問)政府は新型コロナウイルス対策専門家会議の廃止を決定し、法的位置付けを明確にするため閣僚会議の下に新設する分科会へ移行することを決定されました。この点について専門家会議のメンバーは、これまでに政府側から求められる文言を修正したり駆除したりしたケースがあったということですが、そもそも、そういった問題を迅速に検知して是正するためにきちんとした議事録作成が望まれており、また、議事録は国民が選挙の際に判断の基準とする公共財的な性格もあると考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
(答)まず、専門家会議の位置づけについては、先日申し上げたとおりです。いわゆる法的枠組みができる前に設置されたものでありまして、新型インフルエンザ等対策特別措置法に、この新型コロナウイルス感染症が対象になるという法律改正をする前からの話でありまして、法律改正し、政府の本部を立ち上げた、正式にいろいろな法的な枠組みが動き出した後は、政府としてはいろいろな物事を決めていくのは、基本的対処方針等諮問委員会に諮問して、御意見をいただいて緊急事態宣言を発出するとか対処方針を決めていくことなどを行ってきました。
 もちろん、その間も専門家の皆さんのそれぞれの考えを発信したいと、考えを整理したいと、提言を行いたいということから、ある意味二頭立てで行ってきたわけでありますけれども。そうした中で、専門家の皆さんの中で様々なこれまでの取り組みに対して、御自身の中での様々なこれまでの評価をされて、ある意味前のめりでやり過ぎた面ということも、自分たちの中で反省もされているようであります。
 そうした中で、専門家の皆さんみずからが、感染症の専門家の集まりである専門家会議でありますけれども、そこだけで決められない問題も今、出てきているわけです。ワクチン接種のことが今後出てきます。そういったことを感染症の専門家だけで決めることはできません。地方自治体の代表に入っていただいたり、あるいは経営者の方々、あるいは経済学者や、あるいはコミュニケーションの専門家であったり、こうした方々も入ってもらうべきだという御意見も、こういった趣旨のお話も専門家の皆さんがおっしゃっていることであります。
 そうした状況を踏まえて、法的な位置づけをしっかりした形で分科会を設置して、そこに感染症の専門家の皆さんに加えて、今、専門家の皆さんもおっしゃっているような地方自治体の代表とか、経営者の方とか、コミュニケーションの専門家などに入っていただいて、今後、様々な議論をしていただこうと思っています。
 ただ、私自身は、専門家会議の皆さんは本当にこの間、真摯に昼夜問わず議論され、分析され、そして私も毎日1時間、2時間と議論してきていますので、様々な感染症の専門家の視点からアドバイスしていただいてきました。本当に心から感謝していますし、敬意を表している次第であります。そうした提言を踏まえて、最終的には政府がどういった対策をとるのかということを決めてきたわけでありますが、そうした新たなフェーズに入ってきていますので、分科会を設置して、専門家会議は廃止することを決めさせていただいたわけであります。
 昨日か一昨日の質問でもありましたけれども、尾身先生が記者会見のときに、「それは知りません」と答えて、今日どこかの新聞にも出ていましたけれど、私はまだ直接そのことについて尾身先生と話ができていないのですが、事務方がそれを確認しますと、要は私が会見をやっていることは知りませんという趣旨で、そういう意味で答えられたと言っておられたそうです。いろいろと、もちろんこの間、意思疎通をしっかりと図って、今後の体制などについても当然相談しながら、専門家の皆さんの意見をしっかりと聞きながら我々は取り組んできているところでありますし、今申し上げたような法的な位置付け、それからフェーズが変わってきた、典型例がワクチンの接種のことについて決めていかなければいけないわけですけれども、そういったことを決めていく上で感染症の専門家以外の方にも入っていただくといった視点で、新たな枠組みとしたいと思っているところであります。
 さらに言いますと、尾身先生と私の間では、聞いていただいてもいいですけれども、毎日意見交換し、議論し、方向性を考えてきていますので、しっかりとした信頼関係のもとで進めてきています。その上で、こういった判断をしているということであります。
 さらに言えば、記録についてはできるだけ丁寧に残していきたいと思っています。繰り返しになりますけれども、専門家会議の皆さん方は、これは一昨日の、専門家の構成員として出されたペーパーに入っていると思いますけれども、最終的にどういう文言になっているか私は見ていませんけれども、専門家の皆さんが専門家会議の最初のときに、我々として自由に率直に御意見をいただきたいということを申し上げ、その了解のもとで議論が進められてきましたので、当然、自由にいろいろな意見が出ています。その中には、個別の地名が出てきたり、個別の業種が出てきたり、個別の属性が出てくる、感染された方の中のですね。要は感染したことについて深く議論がなされていますので、そういった議論の中で自由に率直に発言させてもらっているから、これまでの議論については、それはやはり名前と発言内容とは特定されない形での議事概要という形がいいということで、専門家の皆さんの中でも整理がなされているということであります。
 今後の議論については、名前と発言内容を特定する形でということで、専門家会議の皆さんもそうおっしゃっていますし、基本的にはその考え方で、今度できるワーキンググループも発言者と発言内容を特定した形で進めていきたいと考えています。当然、第1回目の時にお諮りしたいと思っていますけれども、そういう方向で進めたいと思っています。
 そして、速記録が残っています。残っていない回が2回ぐらいあるんですけれども、これも録音などをベースにして、しっかりと起こして、そして御本人に確認していただきながら、速記録はきちんと残したいと思っています。これは、今すぐ開示すると、専門家の皆さんが個別の事例についてかなり突っ込んだ発言をされていますので、これは場合によっては訴訟のリスクも含めて、風評被害などのことも含めて、それぞれの専門家の皆さんがリスクを負うことでありますので、直ちに公開することはできませんけれども、時間が経てばそうしたリスクも減ると思いますので、記録はしっかりと残して、速記録を残して、そして将来の検証にしっかりと資するようにしていきたいと考えています。基本的には、一定期間を経て国立公文書館に移管されて、そこで公開されることになります。
 そういったことで、いずれにしても必要な資料や記録といったものは、しっかりと残していきたいと考えています。
(問)専門家会議が24日に発表した政府への提案に、危機対応時のリスクコミュニケーションのあり方や体制を早急に見直すようにと求める項目があったのですが、連日記者会見で情報発信を続けていらっしゃるお立場から、政府のリスクコミュニケーションには何が不可欠だとお考えなのか聞かせてください。
(答)私自身は毎日情報発信なり、政府が考えていることをできるだけ国民の皆さんに理解していただきたいと思って、本当に何も包み隠さず、質問も時間のある限り全てお受けして対応してきております。
 そうした中で、私自身の至らなかったところも多分あるのだと思いますし、今回はいわゆるリスクコミュニケーションの専門家の方にもこのワーキンググループに入っていただこうと思っていますし、我々として、もう少し専門家の意見を聞きながら、発信するやり方なども考えなければいけないかと考えています。
 私としては、画面を使ったり、できるだけ数字をしっかりと皆さんに御理解いただけるように提示しながら進めてきておりますけれども、残念ながら国民の皆さんにも十分にお伝えできなかった面も、私自身も反省する面もありますので、よりよい発信の仕方を考えていきたいと思っています。
 SNS上、私たちのコロナ室のホームページ上も、日々、意見箱に意見もいただいておりますし、また、いわゆる感染症を初めとする医療界の皆さんからも様々な研究テーマなどの提案もいただいています。あるいは、チャットボットにもいろいろな相談、心配事も来ていますので、一定の成果を挙げているのだろうと思いますけれども、もっとより分かりやすく、より国民の皆さんに理解していただけるように改善、進化させていきたいと考えています。
(問)専門家会議にも問題があったと思いますが、やはりこの間、大変なお仕事されたと思って、私は分科会というのは専門家会議を発展的に継承して、その機能を強化するものというのを期待していたのですが、どうも廃止になってしまって。要するに、政府が経済学者やいろいろな学者を入れて、それに首輪をかぶせるとは言いませんが、そういうふうに見ている人も多いと思うのですが。尾身さんたちがやったあの仕事を発展的に継承する組織に分科会がなることが、やはり第2波に備えることの基本だと私は思うのですが、発展的に継承する部分というのはどんなふうにごらんになっているのでしょうか。
(答)当然、これまでの政府がとってきたこと、あるいは専門家会議の皆さんが提言してきた内容とのいわゆる連続性、承継性みたいなものは当然考えなければいけないと思いますので、専門家の皆さんの人選をするときに、そういったことも配慮して考えていかなければいけないと思っています。御指摘のように、今までの専門家会議がだめだから廃止するということではなくて、法的な位置付けをしっかりする、それとあわせてこれからの新たな課題に対応していくために、より幅広い人選をしていくという観点で、今回、ワーキンググループに移行するということであります。
 ですので、これまでとの連続性も大事ですし、それからこれまでの対策をとられてくる中では、この専門家会議の皆さん方の様々な提言、知見を生かして対策を我々も提言を受けて考え、そしてとってきましたので、これまでの対策の効果について検証する際には、当然、先般も押谷先生に入っていただいてAIの研究者の皆さんと意見交換をしてもらいましたけれども、当然、どういう考えでどういうものをとってきたのか、そして、どういうデータがあって、そうしたものについてぜひ分析したいと思っていますので、そうした視点でこれまでの専門家の皆さんにも引き続き、対策の効果の分析、そしてどういう対策がいいのか。
 それから、繰り返しになりますけれども、SIRモデルという西浦先生のモデル、世界的にあれが一応オーソライズされたというか、一応権威のあるモデルということで我々も使ったわけですけれども、あれしかないというのも、これも我々としては、もう一度あのモデルも検証というか、あのモデルを使ってとってきた対策の効果について、ぜひ検証もしなければいけないと思っています。そういう意味で、これまでの専門家の皆さんと、そして新たな対策を考える上で、AI、スパコンのそうした研究者の皆さんとの意見交換も重ねながら、そして、第2波に備えていくということ。
 繰り返しになりますけれども、大きな第2波にしないように努力していくんですけれども、これはあり得ると思ってそのときに備える。そのための対策、そのときにどういう対策をとればいいのか。第1波、大きな波を経験した上で、その対策についてより進化させていきたいと思っておりますので、その面で、引き続きこれまでの専門家の皆さんにも、当然、そういった意味で関わりは持っていくということになります。
 さらには、あとは、もともとは厚労省がアドバイザリーボード的に専門家会議を最初立ち上げて意見をもらったわけです。例のクルーズ船の頃からだと思います。ということで、厚労省は厚労省でいろいろ考えがあるのではないかと思いますので、連携しながら、いずれにしてもこれまでの専門家の皆さんには本当に敬意を表しながら、提言をまとめるときだけではなくて、私は日々、毎日、毎日議論させていただいていますので、土日も含めてお時間をずっといただいてきたことに改めて感謝したいと思っています。
 ありがとうございました。

(以上)