西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月16日

(令和2年6月16日(火) 16:12~16:26  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から2点、まず申し上げます。
 本日、未来投資会議を開催いたしまして、これまでの議論の中で残されておりました各論のテーマとして3点、まず1つ目に兼業・副業の促進、2つ目にフィンテック、金融、そして3つ目にデジタル広告市場について議論を行いました。その上で4点目でありますけれども、今後のウィズコロナ、ポストコロナの時代の成長戦略の立案に向けた方向性について議論を行いました。テレビ会議による開催であります。
 議論の結果、主な内容は以下のとおりであります。
 まず第1に、兼業・副業の促進についてでありますが、兼業を希望する労働者は近年増加傾向にあって、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の働き方として、多様な働き方への労働者の期待がさらに高まっているわけであります。これは、今日お示ししたデータにもあらわれています。他方で、実際に認められる人数は横ばい傾向にあって、働く人の目線に立って環境整備を行うことが急務となっています。
 この会議では、兼業先の労働時間の管理が煩雑であるとして、労務管理責任のあり方についてルールを整備すべきであるという意見が出ていたところであります。今般、その兼業先の労働時間の把握について、新たに労働者から自己申告制を設けることとして、本業の企業の責任を明確化することとしたいと思います。また、本業の企業が兼業先の影響を受けないで、労働時間や割増賃金の管理ができるようルール整備を図っていきたいと思います。
 総理からは加藤厚生労働大臣に対して、この会議での議論を踏まえて労働政策審議会の審議を進めて、早期に結論を得るよう指示があったところであります。
 2点目に金融システムについてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、キャッシュレス決済を利用する方がさらに増加しています。これまでキャッシュレスのポイント還元をやることによって増加してきていましたけれども、さらに今回、接触を減らすという観点、あるいは現金を触らずに済むという観点から増えてきております。
 他方で、この振込手数料の高さがキャッシュレス決済の普及の大きな障害となっています。このため、銀行のみが参加を認められている「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」について、キャッシュレス事業者が直接参加できる道を開くとともに、40年以上不変である銀行間手数料について合理的な水準へ引き下げることを図っていきたいと思います。
 総理からは麻生金融担当大臣に対して、具体的な検討を進めるよう指示がありました。
 3点目、デジタル広告市場のあり方についてであります。
 デジタル広告費は、日本の広告費の3割を占めるまでに成長しています。その健全な発展を図るためには、取引内容の公正性の確保、それから透明性の向上が大事であります。
 総理からは、菅官房長官及び私を中心に具体的な対応を検討するよう指示がありました。
 最後に、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の成長戦略について、各委員から主な考え方など整理した紙をお配りしていると思いますけれども、今後の夏以降の検討課題について意見交換を行いました。
 総理からは、本日の議論を踏まえて今後、検討を進めていくというお話がございました。
 それから、先ほど申し上げた点の1つでありますけれども、本日午前に開催されましたデジタル市場競争会議におきまして、デジタル広告市場の競争評価の中間報告及びデジタル市場競争に係る中期展望レポートについて取りまとめを行いましたので、ご報告します。
 まず、デジタル市場の競争評価の中間報告ですけれども、市場が寡占化されているとの懸念、それから、システムが複雑でブラックボックスとなり不透明との懸念、あるいは、急速な成長の一方でサービスの「質」に関する様々な問題を抱えていることなどが指摘されています。
 これを踏まえて、同市場の公正性や透明性を向上させ、消費者や事業者の自由な選択を確保するという視点で、この冬にまとめます最終報告に向けて、様々な関係者と議論しながら具体的なルール設計を進めていきたいと考えています。
 もう1点、デジタル市場競争に係る中間レポートについてでありますが、新型コロナウイルス感染症を契機に世界中でデジタル化が一気に進んでおります。様々な分野でイノベーションが加速していく一方、寡占やプライバシー上の懸念などのリスクも指摘されています。
 こうした中、Society5.0の基盤となるデジタル市場について、我が国としてデータがどのように使われているかの信頼の基盤を再構築し、「「信頼」をベースとして、多様な主体による活発な競争が行われるデジタル市場の実現」を目指していきたいと考えております。
 このため、今回取りまとめました中期展望レポートを踏まえて、今国会で成立いたしましたデジタルプラットフォーム取引透明化法など、ルールの整備、運用のみならず、多様なプレーヤーを生み出すための企業のDX、デジタルトランスフォーメーションの促進、それから、個人や法人が自らのデータをコントロールすることを技術的に可能とする新たな「データガバナンス」、「トラステッド・ウェブ」といった言い方もされますけれども、その実現などについて多角的に取り組むこととしております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)本日の未来投資会議でも議論された銀行間の手数料については、公正取引委員会も引き下げを求めていたと思いますが、大臣として、金融機関にどのような対応を今後期待されますでしょうか。
(答)今申し上げたとおり、振込手数料の高さがキャッシュレス決済の普及の障害ともなっておりますし、様々な場面で負担増、コスト増となっているわけであります。
 先ほど申し上げましたけれども、まさに銀行のみが参加を認められている全銀システムについてでありますが、キャッシュレス事業者が直接参加できる道を開くということ、そして、40年以上不変である銀行間手数料について、合理的な水準への引き下げをぜひ図りたいと考えています。
 まさに新たなフィンテックのベンチャーもどんどん生まれてほしいと思いますし、新たなサービス、ビジネスモデルも提案してほしいと思いますし、もう時代がそういう時代になっておりますので、そうしたことを通じて競争も促進しながら、既存の金融機関もぜひ変わってほしいと、新しいビジネスのモデルを構築していってほしいと考えています。
 これまで、この全銀システムが本当に安定的なしっかりしたものであったがゆえに、我々の様々な事業、生活を支えてくれてきたわけですけれども、時代が大きく変化してきていますので、しっかりし過ぎているゆえに変わりにくい面があったと思いますけれども、そこを思い切って変えていくと。特に、新たなキャッシュレス決済をする事業者、あるいはベンチャー企業、こういった新しいチャレンジを応援していきたいと思いますし、それに刺激を受けて、ぜひ、日本の代表的な企業である金融機関も、このキャッシュレス時代にふさわしい姿に変革を遂げていただきたいと考えています。ぜひ、そうした新しい時代にふさわしい役割を金融機関として果たしていっていただきたいと考えています。
 具体的には金融庁において行われると認識しておりますけれども、ぜひ、早期に議論が行われていくことを期待したいと思いますし、私の立場からも様々なサポートをしていきたいと考えています。
(問)今日の民間議員の先生方の成長戦略の立案ということですけれども、このままだと結構総花なんですけど、やはり民間の委員の先生方が4人とか、3人とか、特に4人が言っているのは、マイナンバーを活用した給付金をさっさと払うということや、リモートにおいて地方分散を進めるなど、やはり民間の先生方が4人とか半数近く言っていることは政府として基本的にやると言うのでしょうか。何かそういう近々の課題や目玉にするようなお考えというのか、民間の議員の先生方の考えをどういうふうにこれから政府は考えていくのか伺いたいです。この2つあたりは、目玉と考えていいのでしょうか。
(答)まず、これまでも何度も指摘されてきたこと、提案されてきたことですね、我々として、課題として認識して、毎年毎年、骨太方針や成長戦略に書かれてきたこと、例えばデジタルガバメント、デジタル化を進めて、そして様々な手続を簡素化して、迅速にいろいろなことが行えるようにするという課題、あるいは、東京一極集中、これもずっと言われてきております。あるいは、少子化ですね。特に女性の活躍、働き方の改革、あるいは非正規の方々の待遇。今回、フリーランスの方々がいざセーフティーネットをやろうと思うと、非常に弱いことも分かってきたわけであります。
 こうした様々な、もう言われてきたけれどもやってこられなかった、やり切れなかった課題、これはもうこの機会に一気に進めるというのがまず大事なことだと思います。
 そして今回、さらにコロナを経験していろいろなことが分かってきていますので、今回の宿題返し、何年間かの宿題返しは一気に進めて、そしてさらにそれを前へ進めていく、新たなデータを活用した新しい技術開発であったり、ベンチャーであったり、あるいは人工知能を使って新たなことを行っていく、様々なことが今、技術開発も進んできたがゆえにできるようになってきています。しかし、これまでやり切れなかったことを、もうこの機会に一気に進めるというのがまず何より。そして、それをさらに進化させて、まさに世界で最先端のデジタルの世界を、政府であり、また自治体であり、我々の生活でより利便性の高い、そうした社会と作っていくことが何より大事だと思います。
 そうした中で、一方で、テレワークしようにもできない方もおられます。現場へ出て我々の生活を支えてくれている、まさにエッセンシャルワーカーと言われる方々もおられますので、そういった立場の方々にも配慮しながら、社会全体として、みんなが豊かさを実感できる、そして誰も取り残さない、そういう社会を作っていくための幾つかのテーマ、デジタル化であったり、それから一極集中是正で地方の創生であったりといったことは、もう何を置いても待ったなしの状況だと思いますので、この機会に一気に進めていければと考えています。
(問)ウィズコロナ・ポストコロナ時代の成長戦略の立案に向けた各民間議員の意見ということで、一番最後の11番に検討体制という項目があるのですが、これは基本的には未来投資会議で議論を進めていくということでよろしいのでしょうか。それとも、この検討体制という項目があるということは、何か別の舞台回しも検討されているということなのでしょうか。
(答)まず、この夏、来月には取りまとめたいと思っていますけれども、骨太の方針、それから成長戦略、未来投資戦略といった中で、今いただいているような御意見を含めて大きな方向性はぜひお示ししたいと思っています。
 その上で、どういう形でさらに議論を深めていくのか、これは今日も様々な御意見をいただいていますので、それを踏まえて考えていきたいと思っています。
 ありがとうございました。

(以上)