西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月12日

(令和2年6月12日(金) 15:07~15:36  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 お疲れ様です。
 まず、私から3点申し上げます。
 本日、令和2年度の第2次補正予算が成立いたしました。1次補正予算を含む緊急経済対策を強化し、これまで足りなかった部分をしっかりと補強する、強化する予算であります。どんな事態が生じようとも日本経済を守り、そして雇用・生活・事業を守り抜いていく構えが、枠組みができたものと思います。
 大事なのは、やはりスピードであります。様々な御指摘もいただいておりますけれども、第1次補正の予算をしっかりと執行していくこと、あわせてこの2次補正についても支援を必要とする方に1日も早くお届けできるように全力を挙げていきたいと考えています。
 それから2点目であります。
 本日、私の担当する地域経済活性化支援機構、REVIC法について、業務期間を5年間延長する改正法案が成立いたしました。これによってREVICはファンドによる支援、あるいは事業再生の支援、地域の中堅・中小企業を対象に、来年4月以降も継続できることになります。
 そして、政府保証枠を1兆円から2兆円に拡充しておりますので、まさにこの新型コロナウイルス感染症が今、地域で本当に厳しい影響を与えている中で、さらにこれがどこまで続くのか予断を許さない中で、どういう状況になっても地域の中堅・中小企業を支えていくための枠組みが整ったものと思います。
 その上で、このファンドを通じた支援についてでありますけれども、既存の復興ファンドの規約を変更し、新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者に対しても、出融資などさまざまな支援を行えるようにするということで、既存のファンドについて今月末までに規約の変更を行いたいと思っております。
 それから、既存の復興ファンドがない地域においても7月末を目指して、ファンド新設に向けて地域の金融機関と調整を進めているところであります。
 その上で、企業のニーズにできる限り応えていく観点から、既に相談を始めております。5月18日から相談受け付けを開始しておりまして、6月10日現在ですけれども、既に96件相談をいただいておるところでございます。
 REVICがこれまで支援を行ってきた様々なノウハウを生かして、地域の中堅・中小企業をしっかりと支えていきたいと思っております。特に多店舗を展開する店や、これは今回の1次補正でも2次補正でも一定の支援策、持続化給付金や家賃支援がありますけれども、それでは足りないと、十分ではないといった声もいただいています。過去にREVICは例えば60店舗を展開する飲食店などの支援も行ってきておりますし、それから医療法人や介護施設、あるいは漁業協同組合といったところの支援も手がけてきておりますので、要は幅広い業種、幅広い対象に幅広いメニューで支援していけるわけであります。資金も2兆円確保しておりますので、地域金融機関と連携しながら地域のニーズに応えていきたいと。
 インバウンドも、しばらくはなかなか回復が難しい中で、段階を追って県内観光から国内の移動も徐々に徐々にではありますけれども広げていく中で、これまでインバウンドを中心にターゲットをしていた、そして地域も今度は国内に向けていろいろな対応をしていかなければいけないでしょうし、前向きな取り組みも含めて地域のニーズにしっかりと応えていけるように対応していきたいと考えております。
 それから3点目であります。
 人工知能を使ったシミュレーションについてであります。今回の2次補正予算において14.4億円の予算を確保いたしております。
 これは今、さまざまな策定されているガイドラインがありますけれども、人工知能、AIによる気流シミュレーションを初めとして、飛沫の拡散の状況把握にこれをまず活用していきたいと考えております。
 既に公表されていますけれども、理化学研究所において、理研の坪倉教授をチームリーダーとして、神戸にありますスパコンの富岳を使って、飛沫経路のシミュレーションを行ってきております。咳をした際に口から出る約5万の飛沫がどういうふうに飛んでいくかという様子がよくわかります。
 パーテーションが無いと、こういうふうに飛沫が広がっていくわけです。対面で仕事なり食事なりをしているとこうなっていくわけです。それで、パーテーションを置いた場合、大体顔の高さと同じぐらいになると、かなりの部分がカバーできます。こういう感じになるわけですね。マスクもしていれば、さらに有力な防止策になっていきます。こうしたAIを使っての研究が行われていますので、こういったことを活用していきたいと思っています。
 現在、私ども新型コロナウイルス感染症対策推進室とIT総合戦略室、それから、前にもお話ししました全国でAIの研究を行っている学者・研究者の皆さんのネットワークがあります。AI研究開発ネットワーク、そして大学研究所、民間事業者も含めて、そうしたシーズを持っている、いろいろな手法を持っている、AIのツールを、研究を行っている側と、それから必要とする側。これは医療とか介護とか流通とか様々な分野でニーズがありますので、こういった分野双方のヒアリングを行いながら、テーマの選定を行いつつあるところであります。
 例えば2つ申し上げます。
 今の飛沫経路シミュレーションでありますけれども、これを応用しながら、例えば劇場での様々なコンサートや演劇をやる場合に、どういうふうに飛沫感染があるのか、そしてまた観客同士も含めてどういう形であるのかということをシミュレーションを行って、今後の感染防止策につなげていきたいということ。それからもう1つは、疫学情報に基づく今後の感染拡大のシミュレーション、それから、これまでとられてきた対策の検証といったことができないのかなど、具体的なテーマを選定していきたいと思っております。
 いずれにしても私どもとしては、小さな流行は起こり得るということでありますが、今回の北九州のようにそれを大きな流行にならないように封じ込めていくわけですけれども、万が一大きな波になる可能性もあります。韓国やあるいはイラン、あるいはアメリカでも地域によっては少し感染拡大がまた広がっているようでありますけれども、そういったいわゆる大きな第2波に対する備えとして、感染防止策と社会経済活動の両立を図っていくために、ぜひ迅速にテーマを選定して成果を挙げていきたいと考えています。
 こうした中で、今も申し上げましたけれども、イベントの開催について、8月からは基本的に定員の50%以下で開催していただくということで人数制限もあまり考えていないのですけれども、劇場なり、あるいは演じ手の側、歌舞伎やこういったところから50%、2分の1ではなかなか採算が難しいというお話もいただいています。
 もちろん支援策も、文部科学省の支援策、あるいは2月以降に延期されたものに対しては最大5,000万円、2分の1までの支援策もありますけれども、今後、この2分の1がずっと続けられるとなかなか厳しいというお声もいただいておりますので、具体的にどう取り扱うのかについて、AIのシミュレーションも活用しながら専門家の皆さんとイベント企画、あるいは施設管理の関係者による検討会を始めたいと考えています。専門家の中には、これまで私どもが毎日議論している感染症の専門家と同時に、施設に関する流体工学といった工学管理、工学分野の専門家にも入っていただきたいと考えています。
 それからもう1点ありました。
 2次QEの改定値についてであります。財務省から令和2年の1-3月期の法人企業統計調査の確報を7月27日月曜日に公表する旨の発表がなされました。これを受けて、この確報を取り込んだ2020年1-3月期の四半期別GDP速報の2次速報の改定値を8月3日月曜日に公表することといたしました。
 詳細については事務方にお問い合わせいただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日、自民党政調が政府に求める経済成長戦略の提言骨子をまとめました。骨太方針は現行の作業プロセスを見直すべきとの話も出ています。大臣も過去に骨太方針は絞り込むとお話しされていましたが、改めて策定の方向性についてお伺いします。
(答)もう既に、御指摘のように、今回のコロナの事象を受けて日本の経済・社会の様々な課題が明らかになってきていますし、また、国民お一人お一人がそれぞれに様々な経験をしていろいろな意識の変化もあるのだと思います。
 それを元に戻すだけではなくて、この機会にこれまでできなかった改革を一気に進めていく、そうした大きな社会・経済の変革の方向性をこの夏の骨太方針ではお示ししたいということであります。
 まさにそういったものに重点を置いたものにするということで、例えばこれまで確かに骨太方針はいろいろな各省から、あるいは与党の議論の中ですごく膨らんでいく、様々な項目が入っていくわけですけれども、それはそれでまた、例えばですけれども別冊にするとか、そういったことも含めてちょっと工夫をしながら、やはり今回は今後の日本社会・経済の大きな方向性を示すものにしていきたいと考えています。
 したがって、岸田政調会長の御発言の詳細は聞いておりませんけれども、これは私がこれまで言ってきたこと、あるいは政府内で考えていることと違和感はないと考えています。いずれにしても政府内でしっかりと検討を進めたいと思いますし、与党でも議論を進めていただいて、連携して大きな方向性を示す骨太方針としてきたいと考えています。
(問)来週、日銀の決定会合が開かれるのですが、大臣は出席される予定なのかどうか、あと、日銀に今期待する施策についてお願いします。
(答)日本銀行とは、私も2度出席いたしまして、まさに今回のコロナ危機の対応について強い危機感を共有しながら、また、私も政府の取り組みを説明してきましたし、それを日銀の立場でしっかりと支えていただける、そうした政策を打ち出していただいているものと思います。
 金融政策については、日本銀行で適切に判断されて対応されると思いますし、国会中でありますので私の日程はまだ決めておりません。いずれにしても、引き続き政府と日銀はしっかりと連携をとりながら、今回のこの厳しい経済状況に対して連携して、万全の構えで対応していければと考えています。
(問)西村大臣がコロナ担当になられたのは3月6日でした。そのスタートから見ると、今日はどういう日かという感じはありますか。今日は、実は100日目なのです。100日ということを考えると、私は1,000日分ぐらい働いたのではないかというか、この100日をどういうふうに御自身は思われるか。正直言って、ゴールデンウィークはありましたけれども、休めた日があったのか。東大時代、たしか昔、成績は7勝2敗だったと。やはりそういう体力が物を言ったと思うのか。この100日を振り返って、これからが大事なのだと思いますけれども、やはり節目だと思うので、どうお考えになるのか。予算も通ったし、その辺を伺えたらと思います。
(答)全然そんな100日を意識してきたわけではありませんので、今、御指摘を受けて初めて認識しましたけれども、あっという間の100日でした。
 3月6日から、まずは新型インフルエンザ等対策特別措置法があって、それから今日のREVIC法まで3本の法律を担当して、質疑に対応しながら成立できたこと。それから、補正予算も1次、2次と2回の補正予算でGDPの4割にも及ぶ大きな予算。そして、この間に様々な、私自身は、とにかく基本的には毎日何らかの形で会見をしたり、ぶら下がりをしながら、政府が考えていること、あるいは取り組んでいること、国民の皆さんにお願いしたいことをとにかく発信しなければいけないという思いでやってまいりました。
 もちろん、総理も節目節目で会見されますし、長官も毎日2回会見されていますので、そうしたことをいわば補強する形で、私の立場で必要なことをぜひ国民の皆さんに理解していただきたいということでやってまいりましたけれども。なかなか十分に伝わらなかったり、これは私の本当に不徳のいたすところでありますし、もっともっと言葉遣いも含めて対応しなければいけないと改めて感じていますけれども、他方で、いわば憎まれ役でもあります。私はとにかく発信してしゃべらなければいけませんので、怒られようとも、批判されようとも、やはり私は政府の考えていること、あるいは今後どういったことに気をつけなければいけないのか、何が起こるのか、どういった支援策があるのかといったことを含めて、これはもう怒られようとも、いわば憎まれ役としてしっかりと発信しなければいけないという気持ちを強く持ってきたところであります。
 ボクシングの大学時代の成績は9勝2敗でありますけれども、本当にボクシングの経験でまさに心身共にタフにしてもらったと思っています。ですので、様々な御批判もいただきましたし、いろいろな御指摘、国会でも厳しい御指摘をいただいてきましたけれども、いわば打たれ強さが私の信条でありますので、この任にある限りは引き続きしっかりと皆さんに発信しながら、そしてまた、皆さんの切実な声をしっかりと受けとめながら、必要な対策、政策、あるいは丁寧な説明、これはSNSや、最近では、そんなにうまくないのですが英語で発信も増やしています。できる限り多くの人に理解していただけるように引き続き頑張っていきたいと考えています。
(問)大臣は昨日の会見でもバーや接待を伴う飲食店、ライブハウスなどの感染防止策を今週中にもまとめるとおっしゃっていましたけれども、今日は金曜日なので、今週中ということですので進捗があれば教えてください。
(答)専門家の皆さんと、バーやクラブなどの接待を伴う飲食店、それからライブハウスの業界の方々と精力的に議論を行ってきています。今はもう最終の調整のところですので、近々に発表できると思いますので、これを発表させていただいて、そしてしっかりと感染防止策を講じていただいた上で、事業再開、あるいは継続していただけるようにしっかりと支援も行っていきたいと考えています。
(問)冒頭におっしゃいましたイベントの検討会の件なのですけれども、これは結論はいつ頃というようなイメージはあるのでしょうか。あと、確認なのですが、要はAIとか知見を使って50%という規制をある種緩和していくような方策を探るということでよろしいのでしょうか。
(答)業界の皆さんからは、50%は厳し過ぎると、なかなか採算が合わないと。当面はいろいろな支援策をこちらも用意して、この2次補正にも入れていますので、それで支援をしながらですけれども。これが継続されると、なかなか事業として継続が難しくなってくるという御指摘もいただいております。シミュレーションもAIを使ってやりますから、1日でできるとか2日でできるというものでもありませんのでちょっと時間がかかりますけれども、それと並行的に劇場側、あるいはそうしたイベント事業者の側でも様々な工夫を考えておられるようですので、これをぜひ近々にスタートさせて、専門家の皆さんの御意見もいただきながら、何か方策はないのかをぜひ探っていきたいと考えているところです。
(問)先ほど内閣府で発表があった、2020年の1-3月のGDPギャップが2.4%のマイナスで、これが2011年の東日本大震災以来のマイナス幅ということなのですが、受けとめと対策についてお伺いできます。
(答)ごめんなさい、ギャップ、まだ聞いていないな。ごめんなさい。まだ詳細を聞いていないので。ずっと国会に行っていましたから、すみません、また改めてお答えします。
(問)2次補正が先ほど成立して、大臣は先ほど、大事なのはスピードだとおっしゃいましたけれども、この間、政府に対する信頼の諸々の課題も出てきたと思うのですけれども、それが政策の執行や決定に対して影響も幾分あったかと思うのですけれども、これまでのやり方とは違ったやり方があったんじゃないかというような指摘もありますが、大臣としてはこの間の政府の信頼性にかかわる問題についてはどういうふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。
(答)まず、今回1次補正が成立した後、遅いということを言われているわけですけれども、かなりのスピードで、様々な工夫をそれぞれの省庁でしながら対応がなされてきたと思います。
 持続化給付金にしても、5月1日、1次補正が成立した翌日から申請を始めて、8日、1週間後には給付が始まっています。私が知る限り、役所にもいましたけれども、これだけのスピードでこの金額、そして件数が多い中で、これはこれで1歩は前へ進めたのだろうなと思っています。
 それから、定額給付金のほうも、当初は3カ月かかるという説明を我々も受けていましたけれども、その後のシステムのさまざまな整備が行われてきたこと、そしてまた、事前に準備をして。これは総務省において対応してくれました。4月27日時点で住民票を確定しようと。通常であれば予算成立後に確定するんですけれども、それも何日かでも早めてやってくれましたし、その時点で、もう様式を確定して、それを使ってやることも含めて、様々な工夫、努力はあったものと思います。
 しかしながら、実際にはスムーズに届けていられないことがあちこちで起こってきています。これはもう真摯に反省して、1日に申請したのにまだ届かないという方、昨日梶山大臣が5,000件ほどだと答弁されていましたけれども、一部に書類に不備があった方と聞いていますので、やりとりをしていると聞いています。もう1カ月以上たって本当に申し訳ない、私の立場からも本当に申し訳ない思いですけれども、そういった改善しなければいけない事柄がたくさんあったと思います。
 この間、実は私のところにも何人かの方から、5月1日に申請したのにもう1カ月何の連絡もないという連絡、メールなどもいただいてきました。私なりに気づいた点を各省庁に話をしたり、あるいは私の立場でサポートできる点はサポートしたり、さまざま、私なりに応援し、努力もしてきましたけれども、いずれにしても政府としてまだまだ改善しなければいけない余地はたくさんあると思っています。
 それは1つには、やはりデジタル化がおくれてきた。これはまずは中央政府、我々ですけれども、オンライン化で、1回申請すればそれで済む、1カ所に送ればそれで済むというワンストップ、ワンスオンリーですね。せっかく法人番号という制度もあるわけですから、いわゆるマイナンバーの法人版があるわけですから、これをもっと活用してうまくできないのか。経済産業省で4月からこのデータ基盤を共有する、共通にする実証も始まっていると聞いていますけれども、まずはこのデジタル・ガバメント、手続をオンラインでデジタルで進めていくこと、これを何よりも早く進めていきたいと。
 私は今後、骨太方針でも議論していきますし、年末に向けて改革工程表を改定していくわけですけれども、それはもう一丁目一番地だということを今回強く感じています。その上でさらに申し上げれば、様々なやり方について国会でも御指摘をいただいていますし、様々な御批判、御指摘をいただいておりますので、これについては各省庁で国民の皆さんにしっかりと理解していただけるように、丁寧に説明することが大事だと思っています。
 ありがとうございました。

(以上)