西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月9日

(令和2年6月9日(火) 18:57~19:26  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から1点御報告いたします。
 新型コロナウイルス感染症に係る対策について、国民の皆様に必要な情報によりアクセスしやすくすることが大事だと思っています。このため、内閣官房のコロナ特設サイト、corona.go.jpに、新たに厚生労働大臣指定法人の「いのち支える自殺対策推進センター」の御協力を得まして、支援情報ナビを実装いたしました。
 新たに支援情報ナビを創設しまして、このページのここをクリックしていただくと次の画面にいきます。そして、様々な困った内容に応じて対応していくわけですけれども、ここに「こころのストレス度チェック」が出てきます。ここをクリックすると、様々なテストがあるんですけれども、それによってチェック結果が出てきて、そして、非常に高いと考えられる場合に、こういういろいろな相談窓口が出てきます。例えばこころの健康相談ということで、この番号をそのままクリックして連絡をとれるということになります。そして、ストレスの解消のために様々な取り組みも紹介しております。
 まさに何か悩んでいる方とか困っている方に対して支援が届くようにしていきたいという、その一環でこうしたサイトを設けておりますので、何か悩んだ方は、ぜひ見ていただけるとありがたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2問お伺いします。
 1問目、厚生労働省が9日発表した4月の毎月勤労統計で、残業代などを示す所定外給与が前年同月比12.2%減でした。賃金の減少は個人消費に影響を与える可能性があると思いますが、経済再生担当大臣としての御所感をお願いします。
 2問目、足下のコロナの感染状況についてお伺いします。東京は新たに12人の感染者を確認しました。現在の感染状況について改めて評価をお願いします。
(答)1点目の毎月勤労統計調査についてでありますけれども、現金給与総額の前年比でマイナス0.6%ということです。この内訳を見ますと、正規社員と言っていいと思いますけれども、一般労働者がマイナス0.5、そしてパートタイム労働者がマイナス0.4ということで、大きく減少しています。後でその要因を分析しますけれども。
 他方、パートタイム労働者の比率が減っていますので、全部の加重平均ですから、相対的に賃金の低いパートタイムの方が減る。今、パート・アルバイトの方が減っていますので、それによって平均をすると、全体としては金額はプラスに寄与するということで、比率の増減によってこういうことになっていますけれども、これを合計してマイナス0.6となっています。
 その内訳を分析してみますと、このようになります。
 青が労働時間が減ったことによるマイナス分。そして、赤が現金給与総額を労働時間で割った分で寄与している分です。これを見ていただいたらわかりますけれども、4月は緊急事態宣言を発出しておりましたので、宿泊・飲食・サービス業、ここで大幅に時間が減っています。これが寄与度の大きなところです。それから、生活関連サービス・娯楽も当然減っていますので、総労働時間がこの2つの業種で減っていることが大きな要因となっています。
 ちなみに、ウエイトが、宿泊・飲食・サービス業が全体の8.9%、そして生活関連・娯楽業が全体の3.3%ということで、12%ぐらいのところで大きな影響が出ています。
 その上で、この赤の部分は、要は労働時間分の給与総額ですから、労働時間が減った分、ある程度の給与がもらえていれば、これはプラスに出ます。寄与度は大きく出ます。これは、休業補償など、企業が、労働時間が減っているけれども一定程度所得を保障しているということですので、そういう意味で先般、労働力調査で出ましたけれども、約650万人の方が休業していることを裏打ちするものでもありますし、それを政府としては今回、雇用調整助成金で上限も1万5,000円まで引き上げますので、これでしっかりとここを支援していきたいと思っています。
 ちなみに、時間があんまり減っていないところ、卸・小売り・スーパーなどは、夜間営業をやめたりしているところがあると思います。それから、運輸業においても、ネットのことを含めて物流がかなり活発に動いていますので、そんなに大きな減り方ではありません。むしろ、情報・通信はIT関係ということで時間が増えています。業種ごとにかなり差がありますけれども、それぞれの業種に応じて支援策をしっかりやっていかなければいけないということと、何より休業している塾や学校関係といったところも大きく出ていますし、サービス業も大きく出ています。
 こういったところの休業補償を企業が今、休業で、そして休業補償をして失業にならずに踏ん張ってくれていますので、これを雇用調整助成金でしっかりと支えていくことが大事だと思っています。
 雇用調整助成金の実績ですけれども、5月の最初から申請件数が青、5月の1日時点で5,100件あったけれども、支給決定が522ということで、約1割しかできていなかったわけです。10%であります。
 これが徐々に徐々にパーセントが上がっていっています。直近では、6月7日に11万9,000件の申請がありますけれども、6万5,000件まで、55%近くまで支給できるようになってきていますので、かなりスピードが上がっています。1週間で対応できるのが2,500件だったものが、1万件、1万5,000件、これは1週間ごとですので、直近では週に2万4,000件対応できるようにまでなっていますから、かなりの部分、人員の増強なども行って対応してきています。
 本来なら、オンライン申請もできればもう少し改善できたのかもしれませんけれども、残念ながら今、不具合で止まっている状況で大変残念なんですけれども、他方、こういった形でかなり処理能力、処理スピードが上がってきていますので、企業が今踏ん張ってくれていますから、それをしかり雇用調整助成金で支えていきたいと思います。
 今回の補正予算で1.3兆円手当をしていますので、しっかりと枠は確保しています。リーマン・ショックのときは3年間で1.2兆円で、延べ200万社が利用して、延べ4,000万人の雇用を守っています。日本のこの雇用調整助成金の、いわば雇用維持助成金なんですけど、ちょっと言葉が調整というとマイナスのイメージがありますけれども、しっかりと雇用を守っていきたいと考えています。
 したがって、4月、5月は当然、緊急事態宣言で経済の活動をとめてきましたので休業も多く出ていますし、労働時間は減っています。その分、全体としては給与総額は減っていますけれども、その分を休業補償、雇用調整助成金でしっかりとカバーして、そして5月25日以降は解除されて経済活動が徐々に徐々に広がってきていますので、それに応じて労働時間も増えてくるものと思いますし、基本的に今年の春の春闘も、労働組合、連合の調査でプラス1.9%ということでありますので、そういう意味では、雇用所得環境をもう一度いい形で回復しながら消費も徐々に徐々に回復することを期待したいと思っています。
 それから、感染状況についてでありますけれども、今日の数字は東京が12件で、あと福岡、北九州で3件と聞いております。北九州はいつももうちょっと遅く最終の発表がありますので、まだちょっと増えるかもしれません。
 ということで、東京も20件を超え、30件を超えてきたところから少し落ちついているのかと思いますけれども、気を緩めることなく、緊張感を持って分析を続けていきたいと思っています。
 いわゆるバーやクラブなどの接待を伴う飲食業についても、ガイドラインの最終調整を今行っていますので、今週中にもこれを策定して、そして19日以降再開できるように、基本的にはそれぞれの都道府県の知事の判断でありますけれども、そうした感染防止策をしっかり講じていただいて、事業再開、継続していけるように持続化補助金などで支援していきたいと考えているところです。
(問)先ほど、格付け大手のスタンダート・アンド・プアーズが日本国債格付けのアウトルックをポジティブから安定的に、要は下方修正すると発表しました。その理由として、財政パフォーマンスの悪化から今後1、2年間に債務残高対GDP比率が安定化するかについて不透明感が強まったとしています。大臣としての受けとめと、今後、財政の回復にどのように取り組んでいくのか、お考えを聞かせてください。
(答)S&Pですね、日本の長期国債の格付けをAプラスということで据え置く一方で、見通しを安定的に変更したという報道は承知していますが、まだ詳細な中身を見ておりませんのでコメントは控えたいと思います。
 これまでも繰り返し言ってきましたけれども、今は税制のことを気にする場面ではありませんので、1次補正、2次補正を早く成立させて、とにかくこの間厳しい状況に置かれていた事業者の皆さん、そして家計・雇用・生活をしっかり守っていく。無理矢理経済をとめて、そして感染を抑えてきましたので、感染拡大を防いできましたので、その間の苦しい思いをしておられる皆さんをしっかりと支えてくために、今回の2次補正も国債を発行して、今審議が始まったところです。1日も早く成立させていただいて、事業・生活・雇用を守っていくことに全力を挙げていきたいと思っています。
 その上で、経済は徐々に段階的に回復基調になってくるものを期待しています。現実に、経済活動をどんどん引き上げていく段階になっていますから、当然、感染防止をしっかりやるという前提でありますけれども、感染拡大防止のための措置をしっかり講じながらということでありますけれども、経済活動は引き上げられていく中で、徐々に経済活動が活発化し、成長軌道にもう一度乗せていきたいと考えているところであります。
 他方、経済・財政一体改革の工程表もメリハリをつけて考えていかなければいけないと思います。医療などについては、今回のことを経験に、もう一度どういうふうにしていくのか考えなければいけないと思います。
 他方で、今日の国会でも議論がありましたけれども、デジタル・ガバメントですね、政府のIT化、デジタル化。特にオンラインで申請していく、政府の作業、様々な事務処理をより効率化していく。これはもう一丁目一番地で進めなければいけないと思っていますので、そういったこともあわせて実行していきながら、長い目で見て考えていければと考えています。
(問)いのちを守るサイトというのは、非常に大切だと思います。3.11の後、震災関連死、原発関連死、このかなりの部分は自殺者でした。これから多分、いずれ「コロナ関連死」という言葉が生まれてくる可能性があると思うのですが、自殺を含め、あるいは生活苦ですとか、現状、そういうコロナ関連の不幸な件がある程度増えてきている、あるいはそういう件数が増えてきているという認識で今回のサイトを立ち上げたと思うのですが、現状はそれほど多くはないと思うのですが、その辺について政府としての御認識を、コロナ関連死というのがあるかどうかも含めまして伺いたいです。
(答)今日も報道がございました。報道ですし、詳しい内容は承知していませんけれども、高校生が拳銃のようなもので自殺したのではないかということで報道がなされています。あまり詳細を知らずに軽々なことは言えませんけれども、今回のコロナの様々な事象が関係していることもあり得るのではないかと、これは報道でもそういうふうになされています。
 そういう意味で、今回のこのコロナウイルス感染症は、多くの人がこれまでにない様々な経験、そして様々なストレスを感じる場面が多くあったのだろうと思います。
 何より人はやっぱり1人では生きていけませんから、誰かと接して、誰かといろいろなことを一緒にしながら生きていっているわけですけれども、人と人との接触を8割減らすことを皆さんにお願いしてきたわけですので、様々な形で多くの人がストレスを感じてきているのではないかと思います。
 具体的にどれぐらいの方がこのコロナのことで、直接的な影響で命を絶つようなことになっているのか。それはそれぞれのいろいろな事情があるので詳細はわかりませんけれども、少し前にはトンカツ屋さんだったでしょうか、店主さんが命を絶たれたことも報道されていました。いろいろなお悩みがあると思いますので、できる限りそうした悩んでいる方、困っている方に支援の手を差し伸べたい思いであります。
 もちろん、サイトを見られない方もおられると思います。お近くに社会福祉協議会や困った方への支援をする活動をしているNPOなどの支援機関もあります。ぜひ、誰かに相談していただいて、このサイトからは電話がかけられますので、電話で誰かに悩みや困っていることを話していただいて、そして気持ちを立ち直らせる、そんなきっかけをつかんでもらえればという思いです。
(問)西村大臣と小池東京都知事は6月7日に、新たな感染源として懸念されるホストクラブなどの夜の町対策について内閣府で協議し、店の従業員が定期的にPCR検査を受けられる体制作りや相談窓口の設置などで連携する方針を確認されました。
 なぜ全ての希望者全員が即座にPCR検査を受けられる体制がいまだにできないのでしょうか。夜の町で働く従業員の方々が最優先でPCR検査を受けられるようになるということに国民が納得するとお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
(答)日本国民全員がPCR検査を受けることは意味がありません。今日受けても、陰性となっても、明日、今晩遊びに行ってしまえば、感染してしまえば、もうそれは何日かのうちには陽性が出ます。日本国民が同時に毎日毎日検査を受ければ、それは意味がありますけれども、それは現実的なことではありません。
 それと、このコロナの初期の対応のころは、SARS、MARSも経験していない中でPCR検査の体制が十分整っていなかった。そうした中で、重症化するリスクのある人、熱がある人とか高齢者とか、あるいは基礎疾患がある人、こういった方々に集中して、その方々の命を守ることに全力を挙げてきました。日本が普及率の高いCTによって肺炎をチェックすることとあわせて、これが死亡者の数を他の先進国と比べても低い数字に抑えることができたと専門家の皆さんも評価されています。もちろん、亡くなられた方は本当に残念ですし、お悔やみを申し上げたいと思いますけれども。
 ところが、あるところから、そうした必要とする方が受けるのに時間がかかってきたわけであります。スムーズに受けられないということでありました。これは様々な目詰まりがあって、1つは、受けた後、入院する病院が逼迫してきたこともあったと思います。そこで、軽症の方、無症状の方は、2万室を確保してホテルの療養施設に入ってもらうという対応もやったわけであります。そこに入っていただいて、中症、重症の方に療養してもらうことをしたわけであります。
 したがって、そういうことで対応しながら徐々に徐々に必要な方がPCR検査を受けられるような体制を整えてきたわけでありますけど、さらに言えば、1次補正、2次補正、今回も予算を積んでいます。それによってPCRの検査態勢を強化していっているところですし、地域の医師会が非常に協力的で、全国にPCRセンターをもう100箇所以上整備してくれています。スムーズに受けられる体制ができてきています。
 そうした中で、これは専門家の皆さんの御意見でもあるのですけれども、やはりリスクの高いところ、つまり職業柄どうしても近い距離で会話をして濃厚接触になる、あるいは大きな声を出す、こういったところの方々には定期的に。必ずしもPCRには限らないのですが、抗原検査も今もうできるようになっています。さらに言えば、PCR検査も、鼻を拭うのではなくて、唾液でもできるようになってきています。あるいは、抗体検査というのもあります。これは、過去にかかったことがあるかどうかを見るわけですね。そういった様々な手法を使いながら、リスクのある職業の方がそうしたものも活用していくことも一案ではないかと。
 特に、調子の悪い方、熱のある方や喉に異変を感じているか、あるいは最近よく言われる味覚や嗅覚が何かおかしくなったと感じる方、こういった方々が相談できる窓口を、これはプライバシー守りながら、そういった仕組みを作れないかということで今、検討を進めているところであります。
 アプリを今月中旬には導入したいと思って、今、最終の調整を行っていますけれども、アプリによって、自分が濃厚接触したかもしれないという方も通知が来るわけですね。もう繰り返しませんけど、近くにいたスマホの所有者が陽性になったということで、そのスマホから自分のスマホに通知が来ます。個人情報は一切とりません。電話番号も位置情報もとりません。誰と誰が接触したかも、我々はわかりません、知りません、とりません。そうした中で通知が来ますので、濃厚接触したかもしれない、感染したリスクがあるという方にもスムーズにPCR検査なり抗原検査なりが受けられるようにしたいとも考えています。
 そういう意味で、日本国民全員が同時に受けないと、誰でも彼でもみんな受けることはあまり意味がないということを冒頭に申し上げましたけれども、やはり基本はリスクのある人に、つまり熱が出ているとか疾患を持っている人とか、そういう方に優先して受けていただくことになります。
 それから、今後、国と国が行き来を始めるときに、当然、相手国からそういうことを求められることになるでしょうし、あるいは、日本としても、ちゃんと感染していない人でないと入ってこられたら困るわけですから、そういう意味で、そういった方々にもPCR検査などを受けてもらうことにもなりますので、体制が整ってきていますから、必要な方に受けていただくように広げていくということでありますので、国民の皆さんには、ぜひ、理解していただきたいと思います。
 もう1点言えば、専門家の皆さんが一番おっしゃっているのは、とにかく、バー、クラブなど接待を伴う飲食業で、やはりこれまでもクラスターが発生していますし、繰り返しになりますけれども、どうしても近くで会話したりする、あるいは大声を出したりする、ライブハウスもそうですけれども、そういう感染のリスクがある業態ということで、感染防止策も今週中には、ぜひガイドラインをつくれればと思っていますけれども、その上でここを抑えればかなり感染を広げるのを食いとめることができるという専門家の皆さんのアドバイスでもあります。
 ですから、小池知事とは何も2人で話しているわけではなくて、専門家の皆さんにも入っていただいて、専門家の皆さんのアドバイスをいただいた上でそうした体制を作っていくことが大事じゃないかということで、連携していくことを確認したということです。
 ぜひ、御理解いただければと思います。
(問)先ほどのS&Pの質問の話の流れで、経済財政一体改革のところで、コロナ対応を受けて医療についても考えていかないといけないと先ほど大臣はおっしゃったかと思うのですが。医療費抑制の流れと感染症病床の確保といったような課題等はあるとは思うのですが、この関係での現時点の課題認識と今後の方向性についての大臣のお考えをもう少し御紹介いただければ。お願いします。
(答)今回の新型コロナウイルス感染症の経験で、特に東京においては医療が非常に逼迫した状況になりました。この場でもお話ししたかと思いますけれども、2,000床が確保されている中で、1,800人を超える患者さんがおられて、これは専門家のメンバーのお一人から、今日3人退院したと思ったら、また新たな患者さんが3人入ってこられたと、あるいは、2人退院したら、今度は4人入ってこられたと、本当に厳しい状況が連日続いていたというお話を伺いました。このことは、尾身座長もたしかこの場で、医療が本当に厳しい状況にあったということを言われたと思います。
 そういう意味で、こうした感染症というのは、またよりウイルスが進化して我々に対峙してくることが考えられます。そういったことも頭に置きながら、国民の皆さんの健康と生命をしっかり守っていく観点から、今回の経験を生かして、今後どういった医療提供体制を作っていくのか、しっかりと議論していきたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)