西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月8日

(令和2年6月8日(月) 10:01~10:22  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私から2点申し上げます。
 まず、1-3月期の2次QEについてでありますが、事務的にもうお聞きになっていると思いますが、本日公表されました1-3月期のGDPの2次速報で、実質成長率が前期比マイナス0.6%、年率換算でマイナス2.2%と、1次速報の時点から上方改定されました。名目成長率は前期比マイナス0.5%、年率換算でマイナス1.9%ということであります。
 今回の結果では、先日公表されました法人企業統計の速報を踏まえまして、設備投資が前期比マイナス0.5%だったものから、プラス1.9%に上方改定されました。
 法人企業統計の速報は、感染症の影響もありまして、通常より回収率が低いことがあり予断は許しませんけれども、そうだとしても、感染症の影響が出始めた1-3月期におきまして、再開発や町づくりなど従前の計画に基づく投資のほか、倉庫などの物流関係、さらにはソフトウエア投資などが底堅く、設備投資がプラスになったということでありますので、心強いものと思っております。
 足下の企業の収益環境は引き続き依然として厳しいものがあります。また、将来の不確実性もまだ高いということから、設備投資の先行きにつきましては慎重に見極めていく必要があると思っていますけれども、他方、4月以降、御案内のとおりテレワークが広がっていく中、また、それに対応した働き方に関わる投資の動きも見られてきています。
 政府としても、規制改革やIT補助金といった様々な形で、このような前向きな投資をしっかりと応援していきたいと考えています。
 ちなみに、法人企業統計の確報値が7月末目途と財務省から聞いておりますが、これが公表され次第、反映できるタイミングでまたこのQEに反映したいと考えています。
 そして、2019年度の成長率でありますけれども、1次速報のマイナス0.1%からプラス0.0%に上方改定されました。ゼロ近傍の成長率であることは変わりませんが、昨年10月の消費税率の引上げ、それから大型台風など災害の影響、そして年明けからの新型コロナウイルス感染症の影響がある中でこの水準を維持できたことは、我が国経済の地力には底堅いものがあると考えています。また、このコロナを契機として、進めるべき社会変革といったものに向けて対応していく基礎はしっかりできていると認識したいと思います。
 政府としては、引き続き感染防止に徹底して取り組みながら、経済活動のレベルを引き上げていくわけですけれども、将来のポストコロナの世界も見据えながら、新しい日常の構築を始めとして、社会変革を一気に進めていく考えであります。
 そうした中で、取り残される人がないように、格差が広がらないように、包摂的で、また、国民一人一人が豊かさを実感できる、そうした質の高い経済成長を実現していきたいと考えています。
 今年の7月に策定する予定の「骨太方針」の中で、そうした新しい社会・経済の姿の大きな方向性をぜひお示ししたいと考えているところであります。
 それからもう1点。地域経済活性化支援機構、REVICの業務の期限延長、出資の決定の期限を5年間延長するという改正法案を本日の臨時閣議で閣議決定いたしました。予算関連の法案として、できるだけ早期に成立を目指したいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日の朝の東京株式市場で、日経平均株価が続伸して、2月21日以来、約3カ月ぶりの2万3,000円台に乗せています。今回のGDPの結果というのもあるのですが、実体経済との乖離というのも言われていますが、大臣としてはどのように考えられていますでしょうか。
(答)株価の水準について、その時々の状況をコメントすることは控えたいと思いますけれども、緊急事態宣言が4月から5月にかけて発出され、それが解除されて、段階的に経済活動が引き上げられていっています。
 そうした中で、今申し上げたように厳しい環境の中でも前向きな投資が引き続き底堅く計画もありますし、行われてきている中で、やっぱり新しい社会変革、新しい経済、社会そうしたものを構築していく動きが各企業で出てくるものと思います。
 足下は依然厳しい状況がありますから、また、先行きも国内では大きな第2波にならないように、小さな流行にとどめるように全力を挙げていきたいと思いますし、内需主導で経済回復、成長軌道に乗っていくように全力を挙げていきたいと思います。そのために2次補正予算を早期に成立させていただいて、しっかりとこの厳しい状況にある事業・雇用・生活をお支えしながら、そして、他方で感染防止策について持続化補助金なども使ってもらいながら、そうした感染防止策を講じつつ経済活動を広げていくと、両立を図っていくことをぜひ進めて、経済回復につなげていきたいと思います。タイミングが来れば消費の喚起、観光の支援といったものをしっかりと行って、当然、感染防止策は徹底しなければいけないのですが、あわせてそうした経済活動がさらに広がっていくように全力を挙げていきたいと思っています。
 ただ、世界経済、まだ感染拡大している地域、中南米、中東、アフリカ、それから、イランでは第2波のほうが今、大きくなってきているようであります。韓国でも第2波とも言うべき感染があるという中で、他方、アメリカ、ヨーロッパで経済活動が再開されていく。ヨーロッパは域内の行き来も広げていく方向と報道されていますし、同じ感染レベルであれば移動しても感染状況は変わりませんから、そういった状況になってきているのだろうと思います。かなり感染が抑えられてきているという状況だと思います。
 そういった意味で、いい方向性と、それからまだ予断を許さない面、これは両方ありますので、そういった面にも注視していかなければいけませんけれども、いずれにしても日本経済は感染拡大を防ぎながら経済回復、景気を元に戻していけるように全力を挙げていきたいと考えています。
(問)19年の7-9月期のGDP、また今日改定されて下方修正されて、さっきのレクの中だとプラス0.004という、横ばいというか、本当に横ばいぎりぎりというところだと思うのですが、その10月には消費税増税がありました。こういう経済状況の中での消費税増税は、結局判断として正しかったのでしょうか。それから、大臣は先ほど、これから消費の喚起もしていかなければいけないという中で、消費税の減税や引下げに関して与党内からも要望する声がありますが、その必要性については今、どうお考えでしょうか。
(答)今回、10月に消費税の引上げに際しては、前回の反省に立って、需要をできるだけ平準化していこうということで、様々な対応をしてきました。
 10月以降もキャッシュレスのポイント還元であったり、様々な施策をとる中で、また、消費税については幼児教育・保育の無償化という、全世代型社会保障に向けての大きな1歩を踏み出す財源にも活用するわけでもあります。
 そういう意味で、あのタイミングでの消費税率引上げは、私は正しい判断であったと今でも思っておりますし、10-12月期も台風の影響などもあって、あるいは暖冬の影響などもありましたから、我々が想定したよりも大きな落ち込みになっていますけれども、1月に入っての1月上旬の人の往来、航空・鉄道を含めて、あるいは、消費の動向を見ても、消費税の税率引上げの影響が薄らいできたという判断をしていたところに今回のコロナショックがありましたので、あのタイミングで行ったことは、私は間違いではなかったと思っています。今申し上げたように、全世代型社会保障改革という大きなテーマの中で、全額社会保障に使い、そして特に幼児教育・保育の無償化に充てていっていますし、この4月からは高等教育の無償化にも使いますので、そういう意味で大事な財源であるという認識に変わりはありません。
 他方、1人一律10万円の給付も今、着実に進んできているものと思いますけれども、これも約13兆円の給付になります。これは消費税で言いますと、いわゆる5%分を還元しているのと同等の金額であります。ですので、いわば消費税を5%下げたと同等の給付を行っているということであります。所得の高い人はより消費をしますからより支払いをしていると思いますが、所得の低い方は消費の額が少ないとすれば、それ以上に還元されているという見方もできる中で、私自身は、生活を守っていく、その下支えの大きな役割を果たしてくれているものと思います。
 それに限らず、事業維持のための持続化給付金であったり、あるいは雇用調整助成金も今回1万5,000円まで引き上げて、650万人もの方が休業している、その雇用をしっかりと守っていく、それに万全を挙げていきたいと考えていますので、そういう意味で1次補正、2次補正で生活をお支えしていくという中で、消費の様々な負担の軽減につながっていっているものと思っています。
(問)大臣は冒頭に、法人企業統計の設備投資について、回収率の低さから予断を許さないという発言をされました。これは実力値から見ると、実際には設備投資はかなり高目に出ているという御認識なのでしょうかということが1点。それから、民間のエコノミストからは4-6月期について、やはり年率換算で20%前後の落ち込みになるのではないかという話が出ています。今、お話があったように様々な下支え策をされていきますけれども、経済のV字回復に向けて今、どういった情勢にあるのか改めて教えていただけないでしょうか。
(答)法人企業統計の回収率が今回62.3%と聞いています。昨年の10-12月期が72.7%ですので、約10%低いということです。
 この10%低い分がなぜなのかというところは、正直わかりません。わかりませんが、コロナの対応で大変な中で、こうした作業ができなかったのか、あるいは企業業績を見極める中で設備投資についての整理がまだ十分できていないのか、様々な理由があると思いますので、これはよく見ていかなければいけないと思っています。そういう意味で予断を許さないと申し上げたのですが。
 ただ、先ほど申し上げたように、既に計画のあった町づくりとか再開発とか、あるいはオンラインショッピングなどを通じて広がってきている物流の投資であったり、あるいはIT関係のソフトウエアの投資であったりというところは底堅く来ていますので、そういう意味で、私はそういう前向きなところをぜひ評価して、政府としては引き続き様々な補助金、あるいは規制改革といったもので、こうした前向きな投資を応援していきたいと考えています。
 その上で、4-6月期も、まだ6月もかなりありますし、予断を許さないわけですけれども、4月7日から5月25日まで緊急事態宣言が発出されていましたので、この間には国民の皆様に様々なお願いをしてきています。その裏返し、その証とも言えるのが家計調査で、11%の消費減になっている。これは本当に国民の皆さんが自粛をされて、ステイホーム、自宅にいていただいたその成果とも言えるものでありますので、このことに私は本当に感謝したいと思いますし、その間の苦しい部分をこの1次補正、2次補正で、しっかりと迅速に必要な資金を届けていかないといけないと考えています。
 その意味で、緊急事態宣言が終わりましたので、5月後半、そして6月に入って段階的に経済活動を引き上げて行く段階になりますので、当然人の流れも多くなってきています。活動が広がってきています。もちろん、引き続きテレワークやテレビ会議ができるところはしていただきたいと思いますけれども、それを含めても経済活動は広がってきていますので、ぜひそうした流れを、感染防止策を講じながら経済活動の拡大との両立をしっかりと図っていけるように取り組んでいきたいと考えています。
 内需の面で言えば、この4月、5月が底となるように、ぜひ下支えをしながら、また、タイミングが来れば「GO TOキャンペーン」などの消費喚起、あるいは観光の支援といったことを進めていきたいと考えています。
 ただ、当然世界経済の動向はまだ、先ほど申し上げたように見通しがなかなか立たない部分もあります。中国経済は復活しつつありますので、自動車の生産なども中国では再開されてきていますし、ぜひ自動車も6月以降、牽引役となってほしいという期待感を持っていますけれども、世界経済がまだ見通しが立たない中で予断を許しませんけれども、内需中心に徐々に回復していく、そしてそれをある段階からは消費喚起や観光支援も行いながら、感染防止と両立させていきながら、ぜひ、回復基調に乗せていきたいと考えています。
(問)まさに2次補正の審議が国会で始まりますけれども、やはり10兆円の予備費等を巡って、野党との間ではまだ考え方に大きな隔たりがあるように思います。予備費は財政民主主義の例外と一般には言われますけれども、やはり早期成立を図られるのであれば、政府側としても何らかの歩み寄りは必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)1つに、与野党間で様々な協議が行われて、与党からは予備費の使い方について一定の考え方を示されたと聞いています。それも受けながら、政府として予備費の考え方については、国会の審議の中で野党の皆さんの疑念に答えていくということだと思います。
 他方、知事会からも増額について要望がございましたし、長期戦になることも頭に置きながら、臨機応変に様々なコロナ対策に必要な経費を使っていくことも大事だと思っています。
 様々な給付について、万が一足りなくなるようなこともあるかもしれませんし、また、いろいろな事態が何かの拍子で生じるかもしれません。このコロナウイルスはどこに潜んでいるかわからないという中で、北九州で突然増えたり、愛媛で増えたり、そういったことが突然起こり得るウイルスでありますから、そうした様々な事態に備える意味でも予備費をしっかり確保して、臨機応変に対応できることが大事なことだと私は考えていますが、国会の審議の中でできるだけ丁寧に御説明して、理解を得られるように努力していきたいと思います。
 ありがとうございました。

(以上)