西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月2日

(令和2年6月2日(火) 15:31~15:49  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

  北九州の学校の状況について、昨日も御質問がありましたので、確認できたことを含めてお話ししたいと思います。
 まず、先月23日以降、北九州において100名以上の感染が確認されています。そのうち、小学校におきまして5名の感染が確認されている状況です。子供達のうち、4名は最初の1名の濃厚接触者とされていますけれども、北九州市によります感染経路は現在まだ調査中でありますので、学校における集団感染が発生したとは、まだ断定できないということであります。
 一方、最初に判明した守恒小学校の児童に関して教育委員会に確認し、報告を受けたところによりますと、5月27日、28日の段階で自宅での検温で熱があったということですが、学校での検温で平熱であったために教室に入れたという報告を受けています。最初の1人です。
 文部科学省からも、もう既に学校における衛生管理マニュアル、あるいは教育活動再開のためのQ&A、それからPTAの団体に対して協力をお願いする文書を発出しているところでありますけれども、その中において、発熱等の風邪の症状がある場合には自宅での休養を徹底するということ、それから、感染拡大に注意を要する地域では、家族に風邪の症状が見られる場合にも同様の扱いとすることとお示ししております。
 あわせて、段階的に教育活動を再開するにあたっては、地域の感染状況に応じて、子供同士の距離を十分空けて教育活動を実施すること、それから、登下校の時間の分散、休み時間においても一定程度距離を保つこと、それから、体が接触するような遊びは行わないこと、健康状態などに問題がある場合には指定の場所に移動し保護者に連絡すること。こういったことを示しておりますので、これらのことを改めて全国の学校関係者の皆様には徹底していただきたいと思います。
 このことは萩生田大臣にも直接私からお願いいたしました。事務的にも文部科学省にお伝えしております。
 学校現場における感染拡大を防ぐために、各自治体におきまして、特に衛生部局と教育委員会との間で、今後とも情報共有や連携をぜひ密にしていただきたいと思います。
 また、子供における新型コロナウイルスの感染に関して専門家の皆さんと意見交換を行いましたところ、様々な知見が明らかになってきているということです。例えば小児については、重症化の例は少なく無症状が多いこと、また、児童・小児患者から他者へ感染が起こる確率は他の年代群よりも高いとする科学的見地はないものの、接触頻度が3倍近く感染を広げる危険性は高いといった知見が蓄積されているということであります。
 テレビなどでも再開した様子、距離をとってやっている学校の様子もよく報道されていますけれども、マスクはしていますけれども、やっぱり遊ぶときに顔と顔がとても近い距離で遊んでいたり、あるいは、これは放課後児童クラブだったかと思いますけれども、報道を見ますと、マスクをせずに近い空間でかくれんぼをして、狭い所に一緒にいたりすることが見受けられました。
 やはり近い距離で接触があると感染が拡大しますので、こういったさまざまわかってきた知見も踏まえながら、また文部科学省からもこうしたマニュアルをお示ししておりますので、ぜひ、それぞれの学校において注意していただければありがたいと思います。また、お子さんをお持ちの家庭でも、ぜひ、御協力をいただければと。学校で全てを把握できるわけでもないと思いますので、御家庭の御協力もお願いしたいと思いますし、また、繰り返しになりますけれども、衛生部局と教育委員会の間での情報共有や連携もしっかりとお願いしたいと思います。
 北九州のような事例はどこでも起こり得ますので、感染リスクはどこにでもあることを頭に置きながら感染防止策を徹底していただいて、そして学校を再開し、子供達の学びをしっかりと保障していくことも大事ですし、経済活動を広げていくことも大事ですので、その両立をやっていくことを、ぜひお願いしたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お願いします。1点目、東京都は今日は新たに30人以上の感染が確認されたという報道がありました。中でもガイドラインを待たずに夜の繁華街での感染が多いという指摘もあります。足下の感染状況について、大臣の御認識をお願いします。
 それからもう1点、昨日になりますが、1-3月期の法人企業統計が発表されました。経常利益の落ち込みがリーマン・ショック後以来の大きさになりました。企業業績の悪化を示すものですが、大臣の受けとめをお願いします。
(答)東京都から今日、私どもが事務的にお伺いしているのは新規感染者が34名で、リンクが判明しているのが22名、そのうち13名が武蔵野中央病院ということであります。
 リンクがわからない人が現時点で12名ということですが、これは話を聞けばわかってくる面もありますので、現時点で12名ということで、ある程度追えているということだと思います。感染経路が判明しているということだと思います。
 その上で、引き続き東京都はいわゆる接待を伴う飲食店については休業要請を行われていると理解しています。小池知事ともお話ししましたけれども、ちょうど今日から、こうしたナイトクラブなど接待を伴う飲食店の業界の方々と専門家の皆さんが検討会をスタートします。そうした中で、感染防止策をしっかり講じていただくことが大事でありますので、それを議論していただいて、検討していただいて、そして業界のガイドラインを作っていくことになります。
 その上で、それに必要な経費については持続化補助金を活用して最大200万円まで支援していきますので、仮にアクリル板でつい立てを作るということ、あるいは消毒液、あるいはフェイスシールド、様々なアイデアがあると思いますけれども、そういった支援策を行いながら感染防止策を講じていただいて、事業が継続していけるように支援していきたいと思います。ぜひ、感染防止策を講じていただいて、事業を再開していただければと思います。
 繰り返しになりますけれども、リスクはどこにでもありますし、東京都の場合は特に、小池知事の言葉を借りれば、昨日の時点で4割、私がいただいたデータによれば3分の1以上ということでありますので、かなりの割合がこうした接待を伴うような飲食店ということであります。これは専門家の皆さんも非常にリスクの高い業種、非常に濃厚接触する業種ということでありますので、感染防止策をしっかり講じていただくことが大事だと思います。
 引き続き専門家の皆さんと中身をよく分析しながら、評価をいただきながら対応したいと思いますし、いずれにしても、接待と伴う飲食店等、それからライブハウスについては、今日から業界の皆さんも入っていただいて検討会議を始めますので、その中で感染防止策をしっかり講じていただく、そうした方策を考えていければと思います。
 法人季報の質問がありました。今回、感染症の影響もあるのだと思いますが、回収率が低下しておりますので、今回は速報値の位置づけだと聞いております。
正式な確報値は少し先の見込だと、7月末ぐらいまでかかるのではないかということで、正式にはまた追って公表されると思います。
 そうした中で、当然、特に3月に入って厳しい状況だと思います。経常利益については、かなりの減少となっております。特に自動車販売、あるいは化学、これは自動車向けの部材、それから飲食、宿泊などのサービス業、それから旅客が減っているという運輸関係といったところも大変厳しい状況あると聞いております。
 しっかりと、一次補正の予算を1日も早く苦しい状況にある皆さんにお届けするということと、あわせて二次補正予算を早期に提出して、こうした中で資金繰り対策も一次、二次合わせて約140兆円カバーしてきておりますし、既に資金繰りも31日時点で52万件で、10兆円近い資金繰り支援を行ってきておりますし、持続化給付金についても、約100万件で、1兆3,400億円の支給が行われているということでありますので、こうした予算も活用していただきながら、何とか踏ん張っていただきたいと思います。二次補正の中では様々な事態を想定しながら、直ちに必要になるということではありませんけれども、資本性ローンとか出資も含めて、これは中堅企業、大企業も含めて万全の枠組みを組んでおりますので、日本経済をしっかりと守っていきたいと思いますし、何より事業・雇用・生活を守り抜いていく決意で対応していきたいと考えています。
 設備投資は高い水準で横ばいとなっています。医療機器の関係の生産能力増強とか、あるいは駅前の再開発など、計画にのっとって進んでいるものもあります。
 それから、今はまさにこうした時期に対応しようということで、最近では当然、マスクとか空気清浄機とか体温計とか、こういった医療関係の、あるいは新しい生活様式に対応したような間仕切りの壁とか、こういったものの生産能力増強などが見受けられます。また、紫外線で消毒する機器とか消毒液、あるいは自動噴霧器といったものの投資も進んできているようであります。また、テレワークなどに対応するサーバーの入れ替え、パソコン、あるいはキャッシュレス機能付きのタブレットとか、あるいはロボット、こういったものの投資も見受けられますし、また、オフィスの移転の問い合わせなども増えているようでありますので、テレワークに対応して、あるいは新しい生活様式に対応した新たなオフィスのありかたの模索も始まっているかと思います。こういった新しい取り組みは、ぜひ応援していきたいと思います。
 感染防止については、持続化補助金が使えますし、ものづくり補助金、あるいはIT補助金などもありますので、こういったものを活用していただきながら、特に中小・小規模事業者は、前向きな取り組みをするところは、ぜひ応援していきたいと考えています。
 ただ、設備投資も高いレベルで横ばいでありますけれども、収益環境は現在は非常に見通しもまだなかなか立たないところだと思います。先行きについては、慎重に見極めていきたいと考えています。
 以上です。
(問)先ほどの葛西事務局長とのテレビ会議の中で、大臣のほうからベトナム、豪州、ニュージーランド、台湾といった国名も挙げてお話しされていましたけれども、何か日本でも参考になるような知見を得られたのかどうか、どういった会話をされたのか。
 また、経済を回復させていくためには国境をまたぐ移動も当然必要になってくると思うんですけれども、そういったところで「免疫パスポート」というお話も大臣はされていましたが、その辺りで、大臣として今後何か考えていらっしゃることがあればお願いします。
(答)取り組みがうまくいっている国として、葛西事務局長からは、ベトナム、かなり早い段階で強い措置をとったようであります。それから、シンガポール、台湾、香港、こういったところの国が挙げられています。タイは葛西さんのカバーするエリアではないのですけれども、タイも比較的うまくいっているのではないかということで、直接多くの情報を持っているわけではないとおっしゃっていましたけれども。それから、ニュージーランド、豪州。豪州は、1日当たりの発生者数からいうと日本と同じようなレベルなのかなと。24時間で8例と言っていましたから、人口規模が多分5、6倍ですので、日本と同じぐらいのレベルかなと思います。そういった、状況が同じレベルの国同士のお互いの行き来をスタートするような議論が今、始まりつつあるという状況の説明がございました。リスクが同じ同士であれば行き来ができるということですね。そういったお話がございました。
 それから、各国、やはりどういう形で入国者をコントロール、感染リスクをコントロールするかというところにそれぞれ頭を悩ませているというか、いろいろ今、議論を進めているというような御紹介がありました。
 何日か前にPCR検査をやってもらって、また来る前にやって、また着いてからやるのか。様々な取り組み、アイデアが今、そういったことを組み合わせながら、いろいろな議論が進んでいるというような紹介がありましたので、参考にしていきたいと思います。
 私も、相手国がある話ですけれども、TPPの3カ国でありますニュージーランド、オーストラリア、ベトナム、こういった国々とは今後の自由貿易のあり方も含めて意見交換を始めたいと思っておりますので、日程を調整しているところです。
 ありがとうございました。

(以上)