西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月29日

(令和2年5月29日(金) 10:38~10:55  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、福岡県における集団感染の状況について申し上げます。
 御案内のとおり、北九州市におきまして、5月23日から昨日にかけて計43名の感染者が確認されています。その旨報告を受けております。
 そのうち約半数は感染経路が確認されておりますけれども、残り半数について感染経路がいまだ不明でありますので、現在、厚生労働省のクラスター対策班が派遣されております。現地と連携して調査を行ってきているところであります。
 昨晩と今朝、小川福岡県知事と電話で話をしております。対応を協議しているところであります。特に休業要請等について知事から相談を受けているところでありまして、今、対応を協議しているところであります。
 昨日の21名の感染者のうち17名については、リンク、感染経路が判明しています。既に陽性と判明された方の御家族であったり、医療スタッフということでありますので、濃厚接触者ということです。他方、4名の方の経路がまだわかっておりません。今、クラスター対策班が調査を行っているところであります。医療スタッフの方もおられれば、自営業、それから中学生の方もおられます。
 いずれにしても、福岡県において今、既に調査を行っておりますし、対応を検討しておられるということであります。
 いずれにしても、こういうことは起こり得ますので、もう何度も申し上げていますけれども、小さな流行は起こります。どこに潜んでいるかわからないウイルスであります。感染がゼロになることはありませんので、その上で、この小さな流行をクラスター対策でしっかりと封じ込めていくことをやっていかなければいけないわけでありますので、大きな波にしない、大きな流行にしない努力をしていくわけであります。
 感染リスクはどこにでもあるということですので、引き続き3密を回避していただいたり、人と人との距離を置く、あるいは可能であれば引き続きテレワークであったりテレビ会議など、ぜひ、これまで継続してきたこと、やれることを引き続き継続していただきたいと思いますし、当然、マスクをしたり、人と人との距離をとることに注意していただきたいと思います。
 それぞれの事業者におかれては、ガイドラインを作られています。アクリル板で隣との遮蔽をするとか距離をとるとか、様々な工夫をなされています。消毒も念入りにやっていただくとか、そういったことをガイドラインに沿って対応していただきながら、事業活動を、経済活動のレベルを引き上げていくということですので、ぜひ、そうした対応を引き続きお願いしたいと思います。
 本日午後、専門家会議が開催されますので、今日のこの福岡県の報告はしたいと思っていますが、今後、小さな波が発生することはあり得ることを頭に置きながら、サーベイランスの体制の強化、あるいは検査態勢の強化、さらにはいざというときの医療提供体制などを御議論いただいて、御提言をいただく予定になっております。

2.質疑応答

(問)冒頭の話から変わり恐縮ですけれども、本日、4月の経済統計が出そろいまして、鉱工業生産は前月9%の大幅な低下で、有効求人倍率も悪化しました。景気の現状について、経済再生担当大臣としての御所感を改めてお聞かせください。
(答)昨日公表しました月例経済報告で、景気についてはまさにこの新型コロナウイルス感染症の影響によって急速な悪化が続いていると、極めて厳しい状況にあるという判断をお示ししたところであります。
 今日の数字について幾つがコメントを申し上げますと、鉱工業生産指数は前月比でマイナス9.1%ということで厳しい状況にありますが、5月の予測がマイナス4.1%、そして6月は3.9%ということで、先行きについても示されています。
 今月低下した大きなウエートがあるのは自動車産業であり、また、鉄鋼、それから航空機用の部品ということであります。そういう意味では、自動車産業を初め製造業も厳しい状況にありますけれども、中国で既に生産再開がなされておりますし、欧米においても順次再開がなされていくものと思っています。
 今月の数字でも、半導体製造装置などはプラスになっています。電子部品やデバイスの中国向けの輸出も増えてきているところであります。そういった中で、今申し上げたように5月は引き続きマイナス4.1でありますけれども、6月はプラス3.9ということで、これは自動車産業などが牽引してくれることを背景と見込んでいるということだと思いますが、引き続き感染拡大を防止しながら、生産活動の再開、あるいは稼働率上昇を期待したいと思います。
 それから、労働力調査が出ています。有効求人倍率も発表されていますが、雇用もよく見ていかなければいけないのですけれども、増えている業種もあります。情報通信業、運輸関係、それから医療・福祉関係が増えてきております。もちろん、厳しい状況にある宿泊、飲食、サービス、それから製造業もマイナスになっていますけれども、そうした増えている業種もありますので、昨日も申し上げましたけど、マッチングをしっかりしていかなければいけないと考えています。
 その上で、実は就業者が107万人減っています。他方、完全失業者は6万人の増加にとどまっていますので、非労働力人口は94万人増えています。これは、就業を一旦やめて非労働力になられている方々です。よく分析しなければいけませんが、直感的に申し上げると、高齢の方が感染リスクを感じられて、一旦仕事をやめられている方がおられるのかなと。この間、高齢者、それから女性が経済活動、労働力を支えてくれていたわけですけれども、その高齢者がそういうリスクを感じておられるのかなという点。それから、女性について言えば、子供が学校休校等で家にいることもあって、一旦離職されている方がおられるのかなとも感じています。
 このあたりはよく分析していきたいと思いますが、経済活動が再開され、引き上げられていくにつれて、再び支え手の側に回っていただければと思いますし、そのことをしっかりと支援していかなければいけないと。特に高齢者にリスクのない形で、働く意欲のある方が働ける環境を作っていかなければいけないと考えています。
 ちなみに、高市大臣から休業者の数が597万人と発表があったところですけれども、それは原数値でありまして、季節調整をこちらでかけますと652万人ということで、かなり多くの方が休業されています。
 昨年1年間で、毎月大体170万人から180万人前後の休業されている方がおられますけれども、ここにきて休業者が652万人ということで、かなり増えてきています。この休業されている方、当然4月ですので緊急事態宣言が発出された後のことも影響が大きいと思いますけれども、雇用調整助成金、あるいは学校休校の対応助成金といったことでしっかりと応援しながら、また、経済活動が活発化する中で現場復帰、復職してもらえればと期待しているところであります。
 それから、商業動態統計も発表されていますが、4月、これは全体で13.7%マイナスということで、百貨店が71.5%マイナス、非常に大きな影響が出ています。コンビニも10.7%のマイナスということで、これはチケット販売が大幅に減少していること、あるいは都心で在宅勤務、テレワークなどが進められていますので、都心部で、大都市部でそういった影響もあるのかなと思います。
 他方、スーパーは3.6%の上昇。ドラッグストアも10.4%、ホームセンターも4.0%の伸びということで、日常生活を支えていただいている皆さん方、そうした必需品を提供してくれているものと思いますし、改めて感謝も申し上げたいと思います。
 以上です。
(問)先日の知事会のテレビ会議で、地方創生臨時交付金について、全てでリーマン・ショック時を上回るように調整したいというお考えを示されていましたけれども、その後、配分に関する調整状況はいかがでしょうか。
(答)昨日も知事会の皆さんに申し上げましたとおり、都道府県への配分については、本当に感染症対策で最前線で知事の皆さんがリーダーシップを発揮して頑張っておられます。その成果もあって、ここまで新規感染者の数が減少してきていますので、そういった意味で、配分額がリーマン・ショック時を上回るようにしたいということで申し上げました。このことは北村大臣にもお願いして、北村大臣も同様の意識を持ってくれております。
 他方、細かい話ですけれども、市町村の半分については現在、北村大臣のもとで配分を調整しておられると、検討していると聞いております。いずれにしましても、地方創生担当の北村大臣のもとでしっかりと検討がなされていくと思っております。
(問)新型コロナの政府の専門家会議で、政府が議事録を残していないということが一部報道で報じられていますけれども、これが事実ならば、歴史的事態と認定する中で大きな問題ではないかと思うのですが、大臣の御見解をお願いします。
(答)専門家会議については、構成員の専門家の皆さんに、まさに自由に率直に議論していただく観点から、発言者が特定されない形ですけれども、議事概要を作成することにしております。
 これは、ルールに従って、既に一定期間までのものについては公表しているところであります。3月9日開催のものまで既に公表しているところであります。
 「行政文書の管理に関するガイドライン」がありますけれども、これに当てはめますと、「政策の決定又は了解を行わない会議等」に該当しますので、ガイドラインに従って残す記録は、活動期間、活動場所、構成員、その時々の活動の進捗状況、それから、確認事項を記載した文書、配布資料等とされておりますので、議事概要を残しているということであります。
 いずれにしても、まさに歴史的な事態でありますので、しっかりとこのガイドラインに従って記録を残して、そして後々検証する際の資料として活用されるようにしたいと思っていますし、私自身も、今回のいろいろな、私は3月6日からこの立場になりましたけれども、それ以前のものも含めてしっかりと検証して、今後のよりよい取り組みが行えるように、ぜひ、していきたいと考えています。
(問)関連してなのですが、後日検証する際にも発言者が特定された形のほうが望ましいのではないかという見方もあると思うのですけれども、今後の専門家会議の議事録の対応を変える考えはありますでしょうか。
(答)専門家会議の記録の残し方につきましては、今も申し上げましたとおり、本当に専門家のお立場で自由に率直な議論をいただくことが大事であります。そうした観点からの議事概要を残すということについては、1回目の会議でまさに発言者を特定しない形で議事概要を作成する旨を説明し、御理解もいただいております。
 専門家会議の議論、提言を踏まえて政府で決定することについては、まさにその決定のことがきちんと検証できるように、「行政文書の管理に関するガイドライン」に沿って残していきたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)