西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月28日

(令和2年5月28日(木) 18:03~18:28  於:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 お疲れさまです。
 今月の月例経済報告について御説明します。
 資料は皆さん持っているのですかね。
 景気の現状についての総括判断でありますが、25日に全都道府県で緊急事態宣言を解除するに至りましたけれども、それまでの間、国民の皆さんに不要不急の外出自粛などを要請する中で、経済活動が大きく抑制された状況が続きました。このため、先月と同様に我が国の経済は極めて厳しい状況にあります。
 従いまして、総括判断は、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にある」としているところです。
 先行きについては、「感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくが、当面、極めて厳しい状況が続くと見込まれる。金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」としております。
 詳細は事務方より説明させます。
 それから、新型コロナウイルス感染症の状況ですけれども、報道にありますとおり、福岡県の北九州市におきまして、5月23日から27日にかけて22名の感染者が確認されたとの報告を受けております。
 そのうち5名は感染経路が確認されておりますけれども、残りの17名については感染経路がいまだ不明ということで、昨日よりクラスター対策班を派遣し、地元の専門家と連携して調査を進めているところであります。
 また、東京都におきましても、現在までに小金井市内の病院において職員4名の感染が確認されています。こちらも東京都から厚生労働省に対してクラスター対策班の派遣を要請されているという報告を受けております。
 これまでも何度も申し上げていますけれども、このウイルスはどこに潜んでいるかわからないということで、ゼロにするのは難しいわけであります。こういったことは起こり得るということです。愛媛でも同様に二十数名の院内感染がありました。
 これを小さな波で押さえ込んでいく、クラスター対策をしっかりやって押さえ込んでいくことが大事であります。油断すると大きな波になってしまいますので、くれぐれも感染防止策をしっかり講じていただきながら経済活動を広げていくことが大事ですので、3密を回避する、あるいはマスクは当然ですし、人と人との距離をとることを含めて、引き続きお願いしたいと思っています。
 油断すると韓国のように、27日に40名、そして28日には79名の感染が報告されています。これも、最初のナイトクラブで感染した方と、その後、物流センターで集団感染が起こりましたけれども、そこの方とのパーティーか何かで接点があったと報道がなされています。油断するとそういうことが起こり、感染が広がっていくわけでありますので、ぜひ、注意していいただきたいと思います。韓国は、今日から6月14日まで外出自粛が再び出されたと聞いております。
 繰り返しになりますけれども、段階的に経済活動は引き上げていきます。新しい生活様式、スマートライフ。オンラインでできるものはオンラインで、テレワークができるのであればテレワークで、引き続き時差出勤が可能であれば時差出勤で、できる会社はぜひこれまでの取り組みを継続していただけるとありがたいと思います。
 それぞれの業界でガイドラインも作られています。アクリル板を置いて防止するとか、あるいはテーブルとテーブルを空ける、席を空ける、消毒液、換気、様々な取り組みが行われていますので、そうしたことを実践していただきながら、その中で経済活動を広げていくということであります。
 引き続き、こうした小さな流行は起こり得ますので、それをクラスター対策、自治体と連携しながら、大きな波にならないように対応していきたいと考えております。
 それから、昨日、デジタル・プラットフォームの透明化法が可決・成立いたしました。これは、昨年9月に設置されました「デジタル市場競争本部」において議論してきたものであります。
 大規模なオンラインモールやアプリストアを当面の対象として、国が大きな方針を示しながら、プラットフォーム事業者が透明性や公正性の確保に向けて自主的に取り組んでいくという新しい枠組みであります。今後、経済産業省において政省令の整備など、公布から1年以内での施行に向けて具体的な準備に取り組んでいくことになります。
 以前から申し上げていますとおり、技術革新のスピードは非常に速いですから、イノベーションということと取引の定期制化という両立を図っていくことが大事だと考えています。運用も含めて、具体的な詳細の制度設計を進めていただきたいと思っております。
 今回のコロナを契機として、社会全体でデジタル化、オンライン化が急速に進んできているところです。今後、このデジタル市場における透明性、公正性についての重要性がますます高まってくると思います。引き続き、デジタル市場のルール整備にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告なのですが、今回3カ月ぶりに景気判断を維持されました。一方で、全国で緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に再開してきています。しばらく下降局面が続くのか、それとも最悪期からは脱しつつあるのか、大臣の景気認識を改めて教えてください。
(答)繰り返しになりますけれども、4月から5月にかけて緊急事態宣言を発出いたしましたので、外出自粛、あるいは8割の接触削減などを国民の皆様にお願いしてきました。いわば経済活動を抑制することをお願いしてきたわけであります。
 その結果、本当に厳しい状況にある方もたくさんおられるわけで、しっかりと支援していきたいと考えていますけれども、まさに過去に例をみない厳しい状況が続いてきているのだろうと思います。
 海外も同様に、欧米向けの輸出などが落ち込んでいます。そうした中で、全体として我が国を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあるというのが現状であります。したがって、先月同様に非常に厳しいということで、下向きの景気判断を維持しているところです。
 先行きについても、当面極めて厳しい状況が続くとの見方は変えていません。ただ、経済活動を段階的に引き上げているフェーズに入ってきているのも事実であります。感染拡大の防止策を講じつつ、経済活動を段階的に引き上げていくということでありますので、こうした中でいろいろな新しい動きも出てくると思いますけれども、第2波、第3波もやはり念頭に置きながら、注意しながら、リスクを認識しながらやっていかなければいけませんから、慎重にみていく必要があるということも変わりはありません。
 いずれにしても、雇用・事業・生活を守り抜いていくということで、一次補正を一日も早く皆さんにお届けするということでありますし、二次補正を一日も早く国会に提出して、早期成立を図っていくということであります。そうした中で経済を下支えし、経済の回復につなげていきたいと考えています。
 できる限りこの厳しい状況を短くしたいと考えています。慎重に感染防止策をしっかりやりながら経済活動は引き上げていけますので、常にリスクはあるということは頭に置きながらも、しかし、対策をきちんと講じればできますから、経済活動を引き上げる中で、そして、一方で厳しい状況にある皆さんへの下支えをしっかり行いながら経済の回復につないでいければと考えています。
(問)雇用情勢なのですが、3カ月連続で下方修正ということで、景気の反映に少し時間がかかる指標だと思うのですが、この先の懸念というのは、大臣は雇用についてどのようにお考えでしょうか。
(答)今日の月例経済報告でも私からも説明いたしましたけれども、有効求人数は確かにかなり減ってきています。労働時間も短くなってきている、あるいは休業者の数も増加しているなど、さまざま雇用にも影響が出てきています。こうした状況が続けば、当然景気の下振れ要因になってきます。
 そうした雇用をしっかりと守るという観点から、様々な施策を講じているところでありまして、雇用調整助成金の上限額の引き上げであったり、期間の延長であったり、手続の簡素化であったり、それから労働者、従業員の方が自ら申請ができる仕組みを構築するとか、そういった取り組みをしてきています。
 あわせて、万が一止むを得ず職を失った場合に、もちろんお一人当たり10万円の現金給付、定額給付金はいきますけれども、さらに緊急の小口資金の特例、これは最大80万円まであります。もう既に25万世帯で500億円程度の支給がなされていると聞いています。こうしたものや、住居確保給付金といったもの、それから、あわせて最近の動きとして、雇用調整助成金も27日現在で3万件近く決定しておりまして、申請に対して半数以上支給がなされています。
 当初、5月の最初のころは1割や2割だったものが、かなり事務作業が進んできています。当初は1週間で2,500件ぐらいだったのが、今は1週間で1万件以上の事務作業ができるようになってきておりますので、このあたりも迅速にやっていきたいと思いますし、何としても雇用は、この雇用調整助成金を中心に守っていきたいと考えています。
 リーマン・ショックのときも、延べですので何回も使われているところがありますけれども、200万社が使って延べ約4,000万人の雇用を守ってきました。今回、慣れておられない飲食とかサービス業の方でありますけれども、実際の支給額も2人とか3人とか、アルバイトさんの分も含めて、まだ小規模な事業所が多いですけれども、それでも厳しい思いをしておられる中でしっかりと雇用を守っていく思いで取り組んでいきたいと思っております。
 他方、求人が増えている業種もあります。IT、通信関係は民間の転職市場で言えば7.9倍の求人倍率です。物流、それからエンジニアなどIT関係の技術者、こうした部分も2.7倍、小売りでも1.2倍ということであります。あるいは、物流に加えてオンライン教育での塾の講師なども求人がかなり増えています。
 こういった増えているところもありますので、マッチングをうまくできれば、万が一職を失われた方もスムーズに次の職に移れるように、こういう様々な取り組みを今回も紹介していますけれども、民間企業において、あるいは労働組合においても、そういったマッチングの取り組みが行われています。
 雇用調整助成金は、休業手当の補償だけではなくて、出向したりするときに研修を受ける費用も出ますので、ぜひうまく活用していただいて、我々としてもマッチングをぜひ進めていきたいと考えています。雇用を何としても守るという思いで取り組んでいきたいと考えています。
(問)中国経済についてお尋ねします。先月から引き続き「持ち直しの動きも見られる」という御認識を示されました。日本企業へのインパクトも含めて今後の展望をお聞かせ願いたいと思います。
 あわせまして、本日、中国全人代で香港に対して国家安全法制を適用する方針が決まりました。一国二制度の実情の形骸化になるのではないかといった指摘もありますし、香港における経済活動にどういった支障が出るのかといった懸念もあるかと思います。この点につきましても、日本経済へのインパクトも含めてどのように考えているのか御所見をお願いしたいと思います。
(答)まず、中国経済でありますけれども、今日、私も説明いたしましたけれども、中国向けの輸出、例えば自動車関連はまだかなり落ち込んでいますけれども、電子部品は輸出が上向いて、かなり増えてきています。そうしたこともあって、我が国の電子部品の生産も上向いてきているところであります。
 中国向け輸出が全体として底を打った感じがしておりますので、中国経済が回復基調にあることは日本経済にとってもプラスであると考えていますし、各自動車メーカーも現地での生産を再開しているようでありますので、ぜひ中国の景気回復、経済回復を期待したいと思っています。
 その上で、香港情勢については詳細は私は直接の担当ではありませんので聞いておりませんので、曖昧なことは言えませんけれども、報道を見る限り、大変憂慮している状況です。ぜひ人権、それから一国二制度、香港の金融市場を含めて、開かれた市場は世界経済にとっても非常に大事なものであると認識しています。
(問)北九州市の感染状況に関してなのですけれども、今の状況をご覧になって、福岡県は感染状況に応じた3区分のうちの感染拡大注意都道府県には現時点では該当しなという理解でよろしいでしょうか。
 また、北九州市長が抗原検査キットの配備を国に求めているのですが、優先的な配備が可能かどうか見解をお聞かせください。
(答)まず、繰り返しになりますけれども、今の時点でまだ全容がわかっていませんので判断はできかねます。
 ただし、繰り返しになりますけれども、小さな流行というのは起こり得るものですから、今回の愛媛のように、愛媛は30人ぐらいになったのかな、20人、30人ということは起こり得ますので、起こったときにしっかりとクラスター対策を講じていくことが大事です。ですので、小さな流行に抑えていく努力をしていきたいと思っています。
 抗原キットについては、ちょっと北九州市がどのような形で求められているか承知しておりませんが、医療機関などでも抗原キットは保有していますので対応できる部分があるかと思いますし、もし必要とあれば、厚生労働省と相談して調整していきたいと思います。
(問)北九州市の件なのですが、政府は、先行して緊急事態宣言が解除された県境をまたぐ移動の自粛について、6月1日を目安として解除することを示していますけれども、この北九州市の状況を勘案して、福岡県とその周辺の自治体の移動については6月1日以降も続けるべきと考えるのかどうか、お考えをお願いします。
(答)繰り返しになりますけれども、現時点でまだ全容はわかりませんけれども、こうした小さな流行は起こり得ますから、こういったことはあるという前提でさまざまな感染防止策をやっていただきながら対応していくことになります。
 したがって、6月以降、あるいは7月以降、8月にかけて、経済活動を段階的に引き上げていきますが、全て感染防止策をしっかりやるという前提ですから、やっていけば必ずそれは小さな流行で抑えていけます。油断して、やらないと大きな流行になります。韓国のようになります。ですから、基本的にこうした流行は起こり得るものと我々は考えていますし、専門家の皆さんもそう考えています。
 ですので、全容がちょっとわかりませんから、クラスター班が昨日から行って対応していますので、全容を見て判断していかなければいけませんけれども、基本的な考え方は、こうしたことは起こり得るということを前提として感染防止策をしっかりやって、そして経済活動を引き上げていく。そして県と県とをまたぐ移動も当然認められるし、経済活動をやるにつれてそれは必要になってきますので、そうした考えでいます。
(問)昨日の二次補正に関してなのですが、今おっしゃったように、これから経済活動を段階的に引き上げていくときにも、経済対策で下を支えていくのは大事だと思うのですが、一方で、執行のスピードがなかなか遅い、手元に届かないという指摘があります。大臣がおっしゃっているように、持続化給付金のように予算成立からすぐに届いたものもあれば、なかなか雇用調整助成金のようにボトルネックがあるものもあるかと思います。今後、執行のスピードを上げていくには何が大事だと考えるのか教えていただけないでしょうか。
(答)雇用調整助成金については、先ほど申し上げたように書類の簡素化もかなり進んできて、対応のスピードは上がってきているものと思います。さらに対応する人員の強化を図っていくようですから、さらにスピードアップしてもらえればありがたいと。これは厚生労働省で対応してくれています。
 残念ながら、オンラインでの申請にちょっと不具合があって、まだ戻っていないと聞いていますけれども、様々な取り組みの中で加速化していくことを期待しています。
 特別定額給付金については、全ての自治体でオンライン、または郵送での受け付け開始が始まって、もう9割以上の自治体で、1,603の自治体で給付を開始しています。1,741のうちの1,603ということです。ですから、これは市町村の皆さんの様々な御協力のもとで進んでいますけれども、いろいろな条件が違いますから一概に言えませんけれども、早いところは議会も早くやり、郵送も早くやり、見込みで議会をやるとか、専決処分でやったりとか、様々な工夫をしてもらいながら努力してくれていると思います。
 残念ながら、マイナンバーカードについては、法律の枠組みで口座とのひもづけができていなかったわけですので、これについては法律改正をこの後に進めていくということで、総務大臣が発言されているとおりであります。
 私の立場から言えば、全体としてデジタル化、オンライン化を一日も早く進めていく、手続の簡素化を進めていくことを急いでやらなければいけないと考えています。
 さらに、どうしても高齢者の方とかでこうしたオンラインに対応できない方もおられますから、こういった方々に対しては今、全国で300箇所以上のところで、商工会議所を初めとして、例えば持続化給付金でもそういうところでサポートしています。
 それから、緊急小口資金は全国2,000を超える郵便局で受け付けを代行してくれています。社会福祉協議会も手いっぱいになってきていますので、そういった日本国内の地域隅々にまであるインフラ、郵便局とか、商工会議所とか、商工会とか、あるいは農協、漁協の組織もそうだと思いますし、社会福祉協議会もそうです。こういった皆さんのお力も借りながら、誰もが取り残されずにそうした申請なり相談ができる仕組みも大事だということを改めて今回感じました。
 ですので、デジタル化を進めていく、オンライン化を進めていくことと同時に、こうした日本が持っている様々な組織、インフラを活用して、全ての人がスムーズに申請できるように対応しなければいけないと感じています。
 ありがとうございました。

(以上)