西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月26日

(令和2年5月26日(火) 11:20~11:52  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、私から接触確認アプリについて、昨日総理も会見で触れられましたけれども、お話ししたいと思います。
 この接触確認アプリについては、Code for Japan等民間企業による開発成果を踏まえた「仕様書」を本日公表いたします。
 併せて、個人情報保護の観点からの懸念を払しょくするために、仕様書について個人情報保護やセキュリティの専門家、日本医師会の代表、保健衛生の専門家など、有識者による評価もいただいておりまして、その評価書についても今日、公表いたします。
 アプリの開発につきましては、Apple・GoogleによるAPI、連携機能が現地時間5月20日に公開されておりまして、本日公表する仕様書を踏まえて、厚生労働省において可及的速やかにリリースできるよう開発を進めていきます。
 Apple・Googleとの詳細の調整がありますので、それ次第ではありますが、6月中旬には皆様が利用できるようにしたいと考えております。私たちと同じような仕組みを考えているドイツ、エストニアも、同時期になるものと承知しております。
 もうご存じだと思いますけれども、厚生労働省のハーシスという情報管理のシステムと接続しますので、基本的に厚労省でこの枠組みは管理してもらうことになりますけれども、サービスに同意してダウンロードします。
 そうするとBluetoothで、1メートル以内、15分以上接触した人について、スマホの情報を暗号化して記録します。電話番号や位置情報などはとりませんし、このデータは2週間後、つまり14日後には消去されていきます。いつでも撤回して消去できるような仕組みになっています。そして、どのスマホとどのスマホが接触しているのかということを我々も知りません、とりません。
 ある人がPCRで陽性になったときに、その番号を、事実を通知することによって、このスマホと2週間以内に近くにいたスマホに連絡されることになります。接触した通知を行います。事実を通知します。これによって、濃厚接触した可能性があるという事実を早く知ることができるわけです。
 そして、昨日の基本的対処方針にも書きましたけれども、PCRなど検査態勢を拡大していく中で、濃厚接触者ができるだけ早く検査を受けられるような体制を整えていくということであります。
 念のために、うその通知をされると困りますので、このハーシスを通じて、それが正しい陽性者からの連絡であったかどうかなどの確認を行っていきます。
 さらには、陽性者が誰であるのかということも含めて、この人にはもちろん通知はいきませんし、個人情報をしっかり保護する形で進めて行く予定です。できるだけ多くの人に入ってもらいたいと思っています。
 これまで各国で行われている接触確認アプリなのですが、それぞれ位置情報、電話番号を取得するケースが多いです。有名なシンガポールも電話番号を取得します。人口で25%の人が入っています。オーストラリアも電話番号を取得し、その他、氏名、郵便番号、年代なども取得するということで、人口の2割です。それから、位置情報、電話番号をとるインドでは、人口の7%ということであります。
 まさにGoogle・AppleのAPIを活用するドイツ、スイス、エストニアは、我々と同様に恐らく6月中旬になると思います。独自のやり方をやるイギリスなどは、同じく6月の中頃になるのではないかと思いますけれども、こういった中で、できるだけ多くの人に入っていただきたいと考えています。
 これも何度も申し上げていますとおり、今回大きな波は収束させていくんですけれども、その後、小さな波は起こりますので、必ず流行はどこかで出てきます。全くリスクがゼロになることはありません。その時に、クラスター班にまた対策をしっかり講じていって小さな波で抑えていくわけですが、このアプリを使うことによって、その作業をより効率的に行えるようになるわけでありますので、クラスター対策とあわせて、小さな波に抑えていく対策として有効であると期待しているところです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お願いします。今、御紹介があった接触確認アプリなのですが、昨日、総理が会見で、国民の6割に普及で効果が見られるという研究結果も御紹介されていたのですが、6割を普及させるにはどのような策をお考えでしょうか。
 あと、「GO Toキャンペーン」について、今回の新型コロナウイルス感染症で航空や鉄道、バス、タクシー、レンタカーなど、輸送関連もかなりの打撃を受けていると思うのですが、そのようなところも助成の対象となるのか、今後のスケジュール感も含めて教えてください。
(答)昨日、総理から紹介があったのは、イギリスのオックスフォード大学の研究成果の一部なのですけれども、これはアプリの普及率が0%から80%までの想定をしながら、ただ、アプリだけでこの対応をやるということではなくて、他の隔離政策とか、幾つかの政策と組み合わせてシナリオを幾つか作っています。必ずしもアプリだけではないんですけれども、仮にイギリスの人口の6割近くが利用すれば、2回目のロックダウンは避けられるというシナリオの1つにそういったシミュレーションがなされています。
 いずれにしても、より有効にするために多くの人に入っていただいた方が、より有効になってくるということですので。
 個人情報をしっかり保護しますから、位置情報もとらないし、電話番号もとりませんし、それから誰が陽性者になったかということも通知いたしません。そうした個人情報保護をしっかりやった形で、いわば民主的な形で行っていきます。
 今回の、まさに日本の国民の皆様の自粛による御努力でこうして成果を挙げられてきていること、強制力を持たずに、まさに民主的に進めてきた日本のやり方で、多くの国民の皆さんの理解を得ながら、このアプリについても御協力いただければありがたいと思っていますし、そうした意識を持っておられる方もたくさんおられるのではないかと思っています。
 自分が濃厚接触した可能性をより早く知ることができる、そしてスムーズにPCR検査を受けられることになれば、これは大きなメリットだと思いますので、ぜひ、多くの皆さんに御理解いただければありがたいと思います。
 それから、「GO Toキャンペーン」についてなのですが、昨日も申し上げましたとおり、経済は段階的に引き上げていきます。徐々に徐々に新しい生活様式を定着させながら、そしてそれぞれの対策を講じながら、感染状況も見ながら段階的に活動の幅を広げていくことになります。
 これは諸外国でもとられているやり方でありますし、専門家の皆さんも、こうしたやり方で社会の変革と同時に経済活動を広げていくということであります。
 「Go Toキャンペーン」なのですが、イベント、観光、飲食とありますけれども、今も飲食業の皆さんは苦しい思いをしておられます。それぞれ工夫しながら、ガイドラインでアクリル板を立てたり、様々な工夫でやっておられます。飲食店で使えるポイント、これはオンラインであったり、窓口での購入も含めてですけれども、最大1回1人当たり1,000円ということで今、考えています。
 そして、テイクアウトやデリバリーも今、いろいろなやり方で進んでいますので、支援の対象に入れていく方針です。それから、プレミアム付食事券で、いわば1万円の食事を2,000円券でできるというようなことを含めて、2,000円分がプレミアム分で補助があるという形でやっていますので、雰囲気としては、やっぱり飲食のほうが早くいろいろな形で工夫をして立ち上がってくると思います。
 それから、イベントは1,000人、5,000人、それから50%という段階に応じてやっていきます。
 観光については、県内から徐々にということで進めていって、そして、やがて県をまたぐ移動、そしてそれも進行していく形になりますが、旅行券の50%分で、1回1人当たり2万円ということで、いわば2万円分のクーポンなり商品券なりが、窓口での商品券なりクーポンなりでもらえます。これは宿泊にも使えるし、地域の産品、飲食などにも使えますし、当然、交通費として使ってもらってもいいわけですので、旅行の支援という形で様々な形で使えるようにできればと思っています。
 ポイントは、今すぐこれを全部始めるということではありませんので、段階をおってそれぞれ始めていくわけですけれども、その準備に入ったということです。オンラインでのやり方、窓口でのやり方、様々、それぞれの担当省庁において、特に旅行、観光、宿泊は国土交通省においてでありますし、イベントは経済産業省とか、飲食は農林水産省も含めて、それぞれの省においてこれを担当してやってもらいますけれども、段階に応じてそれぞれ支援をしていくということ。今すぐこれを全部始めるということではありませんので、感染状況を見ながら段階的に経済活動を引き上げていく中でやっていくということ。
 それからもう1つは、何回でも使えるということです。最大1人当たり1回1,000円ですから、1日に何回も食事をすると思えば、例えば夜に3、4軒行くときに1,000円ずつ3回、4回と使ってもらうこともできるし、一応6ヶ月間としていますので、年末ぐらいまでを考えられます。その期間、8月から始まればもう少し後になるということで、6ヶ月間でできますので、イベントも旅行も何回でもこれは使えます。ぜひ、この間、非常に厳しい状況にあった飲食店、イベント関係、観光、宿泊の皆さんをしっかり応援していきたいと思いますし、感染防止策を講じながらですけれども、一定の需要は消費を喚起していく、そして経済を活性化させていくと。
 特に今、地域経済は非常に厳しい状況にあるわけですので、インバウンドは99%来ない中で、観光振興もしっかりやっていきたいと考えています。
(問)クラスター発生施設に関わる休業要請についてお伺いいたします。
 神奈川県は、27日からカラオケやライブハウスなども含めた全業種について休業要請を解除するとしています。こちらは、政府のほうで昨日示された段階的緩和の目安の考え方とはちょっと違うのかと思うのですが、この点について、大臣のお受けとめ、御懸念や要望などがあれば教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
(答)まず、カラオケ、スポーツジムについては月内を目標としてガイドラインを作ることで行っておりましたけれども、私、今朝の段階で一応できあがったものを見せてもらいました。専門家の皆さんのアドバイスをかなり取り入れた形で、細かいガイドラインができあがっておりますので、それを徹底していただくことを前提に、ぜひ、事業は再開していただきたいと思います。
 その取り組みに必要な様々な、アクリル板を入れたりとか、消毒液を手配したり、いろいろな費用については持続化補助金で上限200万円まで支援していこうということでありますので、ぜひ、そういった形で対応していただけるとありがたいと思っております。
 それから、ライブハウスと接待を伴う飲食業については、よりリスクが高いという専門家の皆さんの御判断もありますし、より密な状態、大きな声を出す、不特定多数の人が入ってくるということで、カラオケ、スポーツジムとはまた、管理が非常にしにくいこともあると思います。
 そういったことで、専門家の皆さんと業界が入って検討会を設けることにしておりますので、そこで議論していただいて、そこから出される対策をしっかり講じていただいて、再開していただけるとありがたいと思っております。
 いずれにしても、休業要請等は最後は知事の御判断ですので、それぞれの地域の状況を見ながら知事に判断していただくことになります。
 いろいろと事務的には私どもの考え、そしてそれぞれの県の状況など意見交換をさせていただいていますので、そうしたことを踏まえてそれぞれの知事に御判断いただくことになると思います。
(問)日本は重症者、死亡者が少ないのは、もうプライドだと思いますが、そういう中で、この人流が戻った場合、どこにウイークポイントがあると大臣はお考えになるのか。
 私は、自分が老人介護というか、老老介護をしているから、やっぱり介護施設というのが一番ウイークポイントじゃないかと。PCR検査は、基本的にはお医者さんが判断してということになっていますが第2波に備えたら、やはり老人施設で老人の体を洗ったり触ったりするような従業員の方には、定期的にPCRなり抗原検査を受けてもらうなりして、逆隔離すべき弱者の施設について、やはりこれは都道府県じゃなくて、国が何がしか方針を示してやっていただくのが一番安心だし、死亡者を減らす一つのポイントだと思うんですが。今回の補正予算も含めまして、弱者の施設の逆隔離というんでしょうか、そういう問題について、どのような議論があって、どういうお考えを持っておられるのか、その辺を伺いたいです。
(答)まさに御指摘のように、院内感染、施設内感染が今大きなクラスターになっています。
 これまでの発生の経緯を見ますと、やはりまず輸入症例、輸入から始まっていますね。中国からの輸入がまず第1波であって、それから3月中心、これはヨーロッパ、それからエジプトのクルーズツアーから帰ってきた人たち、そしてそれが、いわゆる接待を伴うような飲食店など、ライブハウスもありました。そうした4業種を中心として、リスクの高い密な業種で発生があり、それが家庭内感染になり、そして高齢者施設、院内感染になってきていると。まさにこの今回の経験を、それぞれのところで対策を打たなきゃいけないということだと思います。
 ですので、水際対策は強化をする。そして、クラスターが発生した業種についてはしっかりと対策を講じてもらう。そして、今御指摘のあった院内感染、施設内感染、これをしっかりと予防しなきゃいけない。家庭内感染は、感染した人に宿泊施設にできるだけ行っていただくということで対応をこれまでもしてきていますけれども、そういう意味で、院内感染、施設内感染をどう防ぐかということで、これは基本的対処方針でも書いていますけれども、PCR検査ももちろんなんですが、医師の判断でもちろんやってもらうということで、入院される患者さんとか含めて、かなりこれは広がってきております。医師、病院の判断でPCR検査を受けられますので、そういったことで広がってきています。
 あわせて、抗原キットがやはりより簡易に、短い時間で判断できますので、この抗原キットも使ってもらおうということで、院内感染、施設内感染の予防に大いに役に立つものと思っています。厚労省を中心に、それをどうやって広げていくかということを今進めています。まさに今のクラスターで最も大きく出ているのは院内感染、施設内感染ですので、そこをどう防ぐかというのが、この今の期間に体制をしっかり整えるということが大事だと思っています。必要な病院、介護施設を支援する予算は、2次補正予算で必要な額をしっかり確保しようと思っています。
 それとあわせて、やはり高齢者がリスクが高いということでありますので、これは全世代型社会保障検討会議でも議論を始めましたけれども、高齢者の働き方、もちろん元気な方はたくさんおられますので、70歳、75歳、自分は働くんだという人に働ける環境を作っていきたいと思いますけれども、人が密になる場所で働くことはリスクが高いわけですので、テレワークであったりテレビ会議であったり、そうした環境も整えていかなきゃいけないと思っています。ぜひこういった議論も加速をして、そうした環境を作っていきたいというように考えています。
 それから、以前御指摘があった、まさに日本は感染者数、死亡者数の少ないということを対外的にもしっかり発信をしたいと思っています。対外発信のチームを作りましたので、いろんな形でこれからさらに対外的な発信力も強化をしていきたいと思っています。
(問)国内の感染状況が収束する中でも、経済が回復するまで少し時間がかかるのは当然だと思うんですけれども、特に外国の需要が弱い中で、どんなスピードで、どういうふうな形で経済回復を予想しているのでしょうか。お願いいたします。
(答)昨日も申し上げましたけれども、まさに段階的に経済活動を広げていく、引き上げていくということでありますので、緊急事態宣言が解除されたからといって、もう昔のように自由に何でもやっていいということではないわけです。県をまたぐ移動も、しばらく不要不急のものはできるだけ避けていただきたいと思いますし、それから、通勤も、テレワークやテレビ会議などでできるものであれば、それを使っていただきたい。
 やはりこのウイルスはどこに潜んでいるかわからない。そして、人と人との接触によって、これは感染していくわけでありますので、やはり接触機会はできるだけ少ない方がいいわけであります。そして、密な環境の中で大きな声を特に出すことなどが感染につながるわけですので、そういったことに注意しながら、感染防止策をしっかり講じていただきながら経済活動を引き上げていくことになります。
 休業要請も徐々に解除されていくことになりますし、また、先ほどのイベントや観光なども時期を見ながら、タイミングを見ながら拡大をしていくことになります。当然様々な関連の事業は動き出すことになります。その中で、先ほどの「Go Toキャンペーン」を始めとしてイベント支援の予算も昨日紹介しましたけれども、そういったことを通じて、これまでとめてきた、そうした観光であるとかイベントであるとか、こういったことをこれから段階を追って活性化をしていくことになります。いわば内需を中心に動き出していくということだと思います。
 残念ながら、世界経済、これは大きなインパクトで、まだ感染拡大している国もたくさんあります。経済活動再開の様々な指標が示され、そして段階的に他の国でも経済活動が再開されていっています。引き上げられていっていますので、それに応じて、当然世界全体として経済は活性化、徐々に徐々に回復してくるものと思います。しかし、一遍に自動車を始めとして輸出が大幅に増えるような状況にはないと思いますので、やはり当面は内需主導で、厳しい状況にある方にしっかりと支援を行いながら回復を期待をしていきたいと思っています。
 繰り返しになりますけれども、感染予防策をしっかりやるという前提でありますので、そうしたもとで経済活動を広げていくということになります。
 それと、国民の安心につながる、昨日も申し上げましたけれども、ワクチンとか治療薬の開発を急いでいくということだと思います。国民の皆さんが本当に待ち望んでいる、世界が望んでいる。これが承認されてくれば、より安心につながって、まさに本格的な経済活動につながっていくと思いますので、国内でもワクチン開発、そして治療薬の開発・承認、これを急ぎたいと思います。
(問)昨日の総理会見で、安倍総理は、緊急事態宣言の全面解除に当たって「ほぼ収束した」と発言されました。検査数が少なければ、新たな感染者数が少ないのは当然だと思われます。世界と比較して格段に低い検査率で、市中感染の実態を把握できていないままで出された数値を根拠に緊急事態宣言を解除することについて、西村大臣は妥当だとお考えでしょうか。
 また、昨日安倍総理は「経済再生こそが安倍政権の一丁目一番地だ」とおっしゃいましたが、経済の再開が、慎重を期すべき感染防止対策に優先されたということはないでしょうか。
 以上です。よろしくお願いします。
(答)PCRの検査数が低いこと、海外からもさまざまな疑問を受けているところでありますし、私たちもできるだけ、今の段階では迅速に、確実に受けられるように体制を整えていかなければいけないということで考えています。
 ただ、繰り返しになる面はありますけれども、SARSやMERSを経験していない中でPCRの検査体制を拡充してきたわけではありませんので、限られていたPCRの資源を重症化するリスクのある人に集中して使ってきたという中で、死亡者の、亡くなられた方の数、亡くなられた方は本当にお悔やみ申し上げたいと思いますけれども、その数を非常に少なく抑えられた。
 もう一つは、CTの普及率が世界の中で圧倒的に高い。これは肺炎を早く検知して、重症化を防いできたということがあります。こういった面で、亡くなった人の数は非常に低いということから、PCRが少ないから、その数は信用できないということでは私はないと思います。
 もう一点、いわゆる陽性率。PCRの検査と、その中で陽性率ですけれども、仮に今申し上げたように重症化リスクがある人だけにやってきたら、当然陽性率は20%か30%と非常に高くなるわけです。ところが、最近の数字は、退院するときの2回、3回も入っているので正確な陽性率ではありませんけれども、専門家会議から示されている陽性率でも5%台。これは4月の末の段階だったですかね。ちょっと正確に覚えていませんけれども。その後、陽性率はもう各県ともに非常に小さくなっています。日本全国でもかなり低くなっています。ですから、リスクのある人だけに検査しているわけではなくて、幅広く検査をしていることの証でもあると思います。
 ですので、私は、そうしたことを踏まえながら、また全体のそうした中でも傾向、新規感染者の数が東京は200人を超えるような時期がありました。それがもう1桁にもなってきていると。そういったことも含めて、それぞれの地域の事情、そして何より感染者の数だけではなくて、昨日も尾身会長からありましたけれども、医療の逼迫感、これが、東京は2,000床を確保している中で1,800人の患者さんがおられたわけですね。もうぎりぎりのところまで来つつあった中で、それが今やもうかなり減って余裕が出てきています。そういう意味で医療の体制も、そして、今申し上げたPCRも含めて、全体として専門家の皆さんの御判断もいただいて、解除が適切だと私どもは判断したところであります。
 その上で、やはり命を守ることは大事です。国民の皆さんの命を守らなきゃいけないと思います。そして、そのためには緊急事態をもっと長くやるべきだと、解除は早過ぎるという御意見があることも承知をしています。一方で、この緊急事態宣言が発出されてから1カ月半ぐらいたって、この間、様々な活動を自粛する中で、今申し上げた飲食店の皆さんや、観光・イベント関係の皆さん、大変厳しい思いをしておられます。そうした中で、暮らしや経済を守るというのも大事なことであります。その2つのバランスを考えていくことが私の務めだと思っています。
 そういう意味で、専門家の皆さんから解除して大丈夫だという御意見をいただいた上で、そして経済もこれから回復させていくわけですが、段階的に回復させていくということですね。感染防止策をしっかりと徹底させていく、新しい生活様式を定着させていくと。そのための時間も要ります。そして、様子を見ながらやっていかなきゃいけません。一遍にみんなが国内移動を始めたら感染は広がります。どこに潜んでいるかわからないウイルスです。でも、やがて消えていくウイルスでもあります。ずっと持ち続ける人もいれば、多くの人は、感染しても、それが消えていくウイルスでもあるということがわかってきています。この間に様々な知見が蓄積されていますので、そうした知見に基づいて、そして、先ほど御質問があったように、どういう経緯で入ってきて、どういう経緯でこうやって広がってきたかという、そういったことを踏まえて、水際対策は引き続き慎重に対応する。むしろ強化をしていく段階です。さらには、やはりクラスターが発生した業種については、専門家の皆さんも入っていただいて徹底した感染防止策を講じていただいた上で再開していく。そうしたことをやりながら経済活動を広げていく、そして経済とのバランスをとっていくということだと思います。
 しかし、第2波が起こりますので、小さな流行は必ず起こりますから、それを大きな流行にさせちゃいけないということで、先ほどのアプリとかクラスター班対策をしっかりやってもらうということですし、感染防止策はしっかりやってもらわないと、油断すると、それが大きな波になって、また流行を呼んでしまいます。ですから、再指定も、より厳しい目で再指定を行っていきたいと。そうなった場合はですよ。やりたくないですよ。本当はやりたくない。もう本当にやりたくないですけれども、でも、そういう緊張感は常に持ちながら経済活動を広げていく。そしてバランスを図っていく。感染防止策をやりながら、しかし、やはり暮らしや経済を守っていかなければいけませんので、そうしたことを段階的に広げていくということをやっていきたいと考えています。

(以上)