西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月22日

(令和2年5月22日(金) 18:29~18:50  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 お疲れさまです。
 本日、第7回の全世代型社会保障検討会議を行いました。
 本日は、フリーランスの政策の方向性、それから新型コロナウイルス感染症の事態を踏まえた社会保障の新たな課題について議論いたしました。
 今回はフリーランスの政策の方向性を議論するという関係で、公正取引委員会の杉本委員長にも御出席いただきました。また、テレビ会議による開催であります。
 主な議論は以下のとおりです。
 第一に、フリーランスにつきましては、内閣官房におきまして、関係省庁と連携して一元的に実態を把握するための調査を行い、その調査結果をもとに政策の方向性について議論いたしました。
 フリーランスは、その適正な拡大が不可欠であるわけで、ルールの整備が今、最も重要になってきています。契約書面の交付、取引条件の一方的変更の防止といった事項について、実効性のあるガイドラインなど、制度の整備を行っていく必要があると思っています。
 総理からは私に対して、7月に向けて関係大臣の協力を得て具体的に検討を進めるよう御指示がありました。
 2点目、社会保障の新たな課題についてでありますけれども、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、運動や社会的交流の機会が減少していることを踏まえまして、様々なプログラムの支援などを進めていく。また、オンライン面会や運動アプリなどの非接触サービスの利用を促進するために、介護施設におけるタブレットやWi-Fiの導入を進めていく。さらに、高齢者のテレワークの支援とともに、子供の見守り体制の強化や、電話やSNSの活用を通じた心の相談体制の強化など、セーフティーネットとしての重要性が増していることに留意して、社会保障改革の議論を進めていきたいと考えております。
 最後に、本日の検討会議は2月以来の開催となりましたけれども、総理からは、この感染症の感染拡大に伴い医療などの議論があるため、検討会議の最終報告は本年末に延期して、7月に2回目の中間報告を行うとの御指示がございました。この御指示を踏まえまして、今後、7月の中間報告に向けて議論しっかりと行っていきたいと考えております。
 それから、本日朝、東京都の小池知事と面会いたしました。それから飯泉会長を始め、全国知事会と意見交換をテレビ会議で行いました。
 まず、小池知事との面会では、感染防止と経済社会活動の両立を図るための休業要請の段階的な緩和などを示す「東京ロードマップ」などについての御説明をいただきました。また、第2波への対応を見据えて、東京都と国が緊密に連携して取り組むことについて確認いたしました。
 次に、知事会の皆様との意見交換では、まず私から、昨日の緊急事態宣言の区域変更の考え方や緊急事態宣言の今後の見通し、第二次補正予算の動向等、また、今回の区域変更は知事会からの要望に沿って、県域の一体性にも配慮して行ったことなどについて御説明を行いました。
 飯泉会長からは、全国で緊急事態宣言が解除される時期を見据えて、今後の経済活動の回復に向けた見通しと戦略を早急に示すことなどについて御提言いただきました。
 このことについては、段階的な社会・経済の活動レベルを引き上げていくということでありますけれども、私から、大規模イベントなどの開催自粛の段階的な緩和の考え方や、都道府県をまたぐ人の移動の取り扱い、それから外出自粛の要請、休業要請等の考え方などについても、解除が全てなされれば、その際、基本的対処方針で具体的にお示ししたいと申し上げました。
 また、この後、首都圏の1都3県の知事から、次の感染の波に備えた水際対策の徹底強化に関する要望をいただく予定でありますが、代表して小池知事と電話会談で行いたいと考えております。
 いずれにしましても、コロナ対策は息の長い取り組みが必要であります。全国の知事の皆さんと引き続き緊密な連携を図って、一体となって取り組んでいきたいと考えています。
 さらに、経済3団体とテレビ会議を行いました。私からは、緊急事態宣言の対象地域について、近畿地方の2府1県を除外したこと、第二次補正予算の編成を進めていることなどを説明すると同時に、今後の経済活動の段階的な引き上げに当たっては、この危機を社会変革の契機と捉えて、日本の経済・社会の変革を一気に進めて、その新しい姿を「成長戦略」、「骨太方針」でお示ししたいと申し上げました。
 これに対して、緊急事態宣言の解除について経済界の皆様から御理解を示していただくと同時に、今後の経済活動の段階的引き上げについては、この危機を社会変革の契機と捉えることについて、経済界の皆さんと意見が一致したところであります。
 経済界の皆様とも引き続き意見交換を密にしながら、今後の我が国の経済回復に向けて、また、持続的成長に向けて、ともに連携しながら実現に向けて努力していきたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)緊急事態宣言についてお伺いします。週明けに改めて御判断されると思うのですけれども、改めて現状についての分析をお願いします。また、関西2府1県の除外を受けて、緩みはあったかについても御見解をお願いします。
(答)まだ状況については詳細なデータを見ておりません。本日、東京3件というのは報告を受けておりますが、神奈川も、昨日の夕方時点で申し上げた数字よりも昨日は増えておりますので。今日の時点で6件と報告を受けています。まだこれも確たるものではないと思いますので、まだ何とも申し上げられないのですけれども、着実に減少傾向にあると思いますが、ぎりぎりのデータで判断していただきたいと思っております。
 それから関西のデータについても、人の流れ等の詳細をまだ聞いておりませんので、コメントは控えたいと思います。
 いずれにしても、繰り返し申し上げているとおり、このウイルスはどこに潜んでいるかわかりませんので、いつどこで出てくるかわからないということですし、感染防止策をしっかりとっていただきながら経済活動レベルを引き上げていくということであります。解除されたからといって、直ちに昔のように自由にできるわけではないということは、もうよくおわかりだと思います。
 当然、解除されましたから、様々な活動を広げていくわけでありますけれども、その際に感染防止策はしっかりとっていただくことは大事だと、御自身の命を守るためにも、親しい方の命を守るためにも大事なことだと思っています。
 そうした新しい生活様式、そして、これまで行ってきたテレビ会議やテレワーク、これはできるならぜひ継続していただきたいと思っています。
(問)今朝、総務省が発表した4月の消費者物価指数が3年4カ月ぶりのマイナスになりましたが、これについて大臣の受けとめをお願いします。それと、コロナの感染拡大に端を発して、デフレへの懸念を大臣は何度かおっしゃっていますけれども、改めてデフレ懸念に対する大臣の認識と政府が今後取り得る対策について教えてください。
(答)まず、本日発表されました4月の消費者物価指数でありますけれども、いわゆる生鮮食品を除いたコアの前年比がマイナス0.2%ということで、3年4カ月ぶりのマイナスということであります。
 これには原油価格の下落に伴うガソリン価格がかなり下落しておりますし、また、高等教育の実質無償化がこの4月から始まっておりますので、それによる影響も大きいかと思います。
 生鮮食品及びエネルギーを除く、いわゆるコアコアで見ますと、4月はプラス0.2%でありますので、この物価の動向については、新型コロナウイルス感染症の影響がどの程度出てくるのか、これをしっかりよく分析したいと思いますし、また、注視していかなければいけないと思っています。
 当然、宿泊料とか、外国パック旅行とか、こういったものはマイナスになっておりますので、影響をしっかり見ていきたいと思っています。
 前にも申し上げましたけれども、絶対にデフレには戻さないという決意で臨んでおりますので、政府と日本銀行がしっかりと連携して、このデフレ脱却、そして共同声明にありますように、緩やかなインフレ、物価上昇目標に向けて、ともに取り組んでいければと思っております。
 日本銀行の決定会合に3月、4月と2回続けて出席いたしました。この今の状況に対する強い危機感を日本銀行とも共有しておりますし、日本銀行として今日も決定されたようでありますけれども、私どもの民間金融機関を通じた無利子・無担保の融資をしっかりと日銀の立場から支えていただけるものと思っておりますし、引き続き連携してやっていきたいと思っております。
 政府のほうでは、二次補正予算の編成を急ぎたいと思っておりますし、一次補正で成立した予算については、迅速に執行することによって、様々な活動のブレーキをかけていることについての切実な声を聞いておりますので、下支えをしっかりしていきたいと思っております。
(問)1点ほど御質問いたします。内閣府が5月18日に発表した2020年1月から3月期のGDP速報値について質問します。
 速報値の実質成長率前期比0.9%減、年率換算で3.4%減とのことでした。これは緊急事態宣言が発令される前の数値ですから、コロナによる不況が事態をさらに深刻にすることは明らかです。新型コロナウイルス感染症対策大臣と、経済再生担当大臣を兼務されているお立場から、国民への行動自粛要請と早期の経済活動の再開という、相反する課題への取り組みについて、今後、どのようなビジョンをお持ちなのか。先ほどの冒頭の話でもありましたけれども、改めて大臣のお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
(答)1月から3月期のGDP速報では、御指摘のようにマイナス0.9%ということでありますが、1月の上旬は消費税増税の影響が薄らいできた雰囲気がございました。ところが、春節の頃から中国で感染拡大ということで、2月から3月にかけて大きい影響が出てきております。さらに、4月、5月は御案内のように緊急事態宣言を発出いたしておりますので、経済にブレーキをかけてきたわけであります。
 これは国民の皆さんにも御理解いただいて、感染の拡大を防ぐには経済をとめていくしかないと、人と人との接触を8割減らしていくしかないということであります。そうした中で、御理解いただいて今、かなりの数、新規感染者が減ってきております。東京も今、3人というところまできています。一時期は200人というレベルでありましたから、本当に皆さんの御努力の、御協力のおかげだと思っています。
 早期に収束させることが経済回復にもプラスであるということです。長引けば長引くほど、ずっと止めていなければいけなくなりますので、早くこの大きな波を収束させることが大事だということであります。そして、その経済にブレーキをかけている間、多くの事業者の皆さんが切実な思いをしておられる、それをしっかりと政府の側でさせていくということであります。
 持続化給付金の給付も進んでおります。30万件の皆さんに給付が行われてきております。1人10万円の定額給付金のほうも、ほとんどの自治体でもう申請の受け付けが始まり、そして、半分ぐらいのところでもう給付が始まってきております。これも急いで対応していきたいと思いますし、民間の金融機関も活用した、地銀、信金、信組でもこの5月から無利子・無担保の融資を始めて、もう既に6万5,000件程度の無利子・無担保の融資が行われてきています。
 やはり身近なところで、これまで取引があった金融機関であれば、非常に早くスピード感をもって対応してくれております。こうしたことでしっかりとお支えしながら、そして、早期に収束させるということであります。
 何とかこの5月中には収束させて、そして、その後、段階的に経済活動を引き上げていくという大きな方針をお示ししていきたいと思います。今はまだ県と県をまたぐ移動は自粛してもらっていますけれども、段階的な引き上げの中で、どこかでタイミングがくれば、例えば県内の観光振興を応援できないか、あるいは、もう既に飲食店はテイクアウトやデリバリーの取り組みを進めています。そういったことへの支援ができないか。あるいは、いわば前売り券的に、将来その飲食店を使うという食事券を発行する形で今、何とか資金をつなごうと、これをクラウドファンディングで応援しているような枠組みも出てきています。
 こういったことも我々として何か応援できないのかと。こういったことを通じて段階的にやっていく中で、適切なタイミングで、適切な支援策を講じていきたいと。
 繰り返しになりますが、今、一気に何でも自由にやっていいわけではありませんので、「どうぞ日本中を行き来して」という段階ではありません。今、徐々に徐々に感染防止策をしっかりやりながら、新しい生活様式を定着させながら、スマートライフも、これまでやってきたテレワークやオンライン会議、テレビ会議はこれからも継続してもらうと、そういったことをやりながら経済活動を広げていくわけであります。
 そうした中で、今申し上げたようなことをやりながら、あるタイミングがくれば、県内のそうしたキャンペーン、移動、観光振興のキャンペーンも応援できないか。そしてさらにタイミングがくれば、今度は日本全国でそうした応援の、いわゆる「GO TOキャンペーン」が本格的にできないか。
 もちろん、それも何でもかんでも自由でありませんので、感染防止策をやっていただきながら、いろいろな施設も入場制限などを行っていただきながらになりますけれども、そうしたことを多くの事業者の皆さんが期待されていると思いますので、そうしたタイミングを見ながら、ぜひ、経済活動を引き上げて日本経済を、いわば新しい繁栄の姿をお示ししていきたいと考えています。
(問)大臣が昨日もおっしゃった基本的対処方針の中で、大規模イベントや外出に関する指針というか基準なのですが、既に新しい生活様式や業態別のガイドラインなども出ていますが、具体的にどのようなイメージになるのかを改めて教えていただけますでしょうか。
(答)今、まだなお専門家の皆さんと協議いたしておりますけれども、皆さんの御意見をいただきながら、我々として考え方を今、整理をしているところであります。
 もう既に緊急事態宣言の対象から外れている県においては、例えば私どもの基本的対処方針、あるいは通知の中で収容人員の半分以下で、100人程度のイベントであれば開催してもいいのではないかというようなことをお示ししております。
 どのぐらいの規模のイベントをいつ頃からどういう形でやれるのかといったようなこともお示しできないかと思いますし、今申し上げたように、県内の移動は、除外された県同士であっても今月いっぱいは控えていただくようにお願いしています。
 先般関西圏が解除され、今度は首都圏、北海道がどうなるかということでありますので、そういった県と県をまたぐ移動をどういうふうに考えていくのか、そして、先ほど申し上げたような県内の観光キャンペーンは、どのタイミングで、どういうやり方ならいいのか、さらに、全国的なそうしたキャンペーンをやるタイミングはどういうふうに考えていけばいいのかといったことについて、ぜひ、基本的な考え方、方針をお示ししたいと思っております。
 連日、専門家の皆さんとも意見交換しているところであります。
 ありがとうございました。

(以上)