西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月18日

(令和2年5月18日(月) 9:24~9:49  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日公表いたしました、2020年1-3月期のGDP速報でありますけれども、実質成長率は前期比マイナス0.9%、年率に換算しますとマイナス3.4%と、2期連続のマイナスとなりました。名目成長率は前期比マイナス0.8%、年率に換算しますとマイナス3.1%となりました。
 また、2019年度を通して見ますと、実質成長率は5年ぶりのマイナスでありますが、マイナス0.1%。他方、名目成長率はプラス0.7%となりました。これによりまして、2019年度の名目GDPは552.1兆円となったところであります。これは過去最高の水準ではあります。
 内容につきましては談話を配布させていただいておりますので、詳細な分析は別途、事務方にお尋ねいただければと思います。
 緊急事態宣言発出後の4月、5月、これはさらに厳しい状況となると思います。また、海外におきましても、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済の低迷が続いておりますので、当面、経済は相当程度落ち込むことが想定されます。感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクや金融資本市場への影響にも十分注意する必要があります。
 多くの国民の皆様、あるいは事業者の皆様から切実な声を伺っております。追加的な対応策について、与野党の検討も進められているところであります。
 総理からは、一次補正を強化するためということで、直ちに第二次補正予算案の編制に着手するようとの指示がございました。これまで足りなかった部分も含めて、しっかりと対応していきたいと考えております。
 いずれにしましても、どんな事態が生じても日本経済を守り抜いていくと、事業・雇用・生活を守り抜くための万全の枠組みをつくって、思い切ったものとしていきたいと考えております。具体的な検討・調整を急いで、27日を目途に第二次補正予算案の編成を進め、早期成立を目指していきたいと考えております。
 あわせて、今回のこのコロナ危機を社会変革の契機と捉えて、日本の社会・経済を10年間分ぐらい、ぜひ、一気に前進させていきたいと考えております。そういった改革を行って、質が高くて包摂的な経済・社会を実現していきたいと考えているところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今後の見通しについてお伺いしたいのですが、経済活動の再開が視野に入っております。経済活動を再開してすぐに回復が見込める分野と、例えば住宅や観光のように、なかなか国内の経済活動を再開しても見通しが厳しい分野があると思いますが、その辺のばらつきについて、こういった分野は厳しい、こういった分野は取り急ぎ回復が見込めるというものがありましたらお願いします。
(答)今申し上げたとおり、経済活動を抑制してきているわけでありますので、相当の影響は出てきております。そうした厳しい状況にある皆さん方の活動をしっかりと守っていく観点から、第一次補正予算27.5兆円が成立いたしておりますので、この支出を、この執行を迅速に行っていきたいと考えております。
 この中には持続化給付金の2.3兆円、中小・小規模事業者に200万円、100万円の給付がもう始まっております。13万件で1,600億円の支出がもう行われております。それから、特別定額給付金が12.9兆円あります。お1人10万円の給付でありますが、これも既に1,722団体が申請を開始しておりまして、ほとんどの団体でこの申請がもう行われております。そのうち、半数近くの773団体で給付が開始されています。
 こういった、2.3兆円と特別定額給付金12.9兆円、合わせて15兆円超ありますけれども、こうしたものも含めた一次補正予算を迅速に執行して、事業・雇用・家計をしっかりと守り、下支えをしていきたいと考えているところです。
 それに加えて、第二次補正予算案でこれを早期にまとめて提出し、早期成立を図っていく。家賃であったり学生の支援、これは予備費を活用してきますけれども、雇用調整助成金、これで雇用・生活をしっかり守っていきたいとも考えております。
 いずれにしても、経済的活動は段階的に引き上げていきます。これはそれぞれの事業者がガイドラインをつくり、感染拡大防止をしていただきながら、徐々に徐々に引き上げていきます。そうした中で、全てが満遍なく活動が再開されるわけではありません。おのずからリスクの高い事業においては、より慎重にやっていただきながら再開を、活動レベルを上げていくことになりますし、さまざまな工夫をしていただきながら活動レベルを引き上げていくということであります。
 そういったいろいろな状況を見極めながら、今回の二次補正も、どんな事態があっても事業・雇用・生活を守り抜いていく枠組みをしっかりと作って、万全を期していきたいと考えております。
(問)大きく2点伺いたいと思います。今回の1-3月期のGDPは、消費増税後の景気の回復を占う上ですごく注目された統計でした。今回、コロナがなかったら1-3月はプラス成長だったのか、大臣はどういうふうに見ていらっしゃるでしょうか。
(答)これは何度も申し上げていますが、1月の上旬は消費も含めて非常にいい雰囲気で、消費税増税の影響がもう薄らいできていることを我々は確認しておりました。JRの乗客数であったり、飛行機の乗客数であったり、さまざまな指標がそれを示しておりました。したがって、回復基調に戻ってくると我々は期待を、消費税の影響が薄らいで再び経済が再起動していく、まさにそういった雰囲気がございました。他方、台風の影響とか暖冬の影響とかもありましたけれども、これも徐々に和らいでくるものと思っておりましたので、期待感を持っていたところであります。
 残念ながら中国でのコロナウイルスの発生によって、拡大によって、いわゆる春節の時期以降大きな影響が出てきておりますので、大変厳しい状況になったということであります。
(問)結果として2四半期連続のマイナス成長ということになりました。テクニカルリセッションと言われる基準かと思うのですが、現段階で景気の認識をどう感じていらっしゃるかということ、あわせて、山谷の研究会はいつごろ開かれる御予定なのか教えていただけないでしょうか。
(答)経済は無理して抑制しているところであります。これは感染拡大を防いでいくためでありますので、これはぜひ多くの皆さんに理解していただきたいと思いますし、御協力のおかげでここまで新規感染者の数が減ってきておりますので、本当に国民の皆さんの御協力に感謝したいと思っております。
 したがって、経済は大きな影響を受ける。それを私たちは全力で事業・雇用・生活を支えていくと、守り抜いていくという決意で一次補正を早く執行していくということでありますし、二次補正でお支えしていくということであります。
 厳しい状況がこの4月、そして5月もまだ続いていると思いますけれども、経済を段階的に引き上げていくと、経済活動を段階的に引き上げていくということでありますので、感染拡大防止策をしっかりと講じていただきながら、油断することなく、策を講じながら経済活動を引き上げていくことでお願いしたいと思いますけれども、そうした中で二次補正も提出、成立を急いで、ぜひ下支えをしていきたいと考えております。
 そうした中で、景気の認識については、専門家の皆さんに後からいろいろな指標を見ていただいて判断されるわけでありますが、今のところ、いつ開くかまだ事務的なあれもまだ聞いておりませんので、しかるべきタイミングで開いて判断していただきたいと思っております。
(問)4-6月期についてなのですが、実質GDPで20%を超えるマイナス成長が予想されて、リーマン・ショック時を超えて戦後最悪の落ち込みになるという指摘もあります。大臣も談話の中で、相当程度落ち込むとしていますけれども、具体的にどのような落ち込みになると考えているのか、よろしくお願いします。
(答)4月、5月は緊急事態宣言を発出しておりますので、かなり厳しい状況になると思っております。他方、感染拡大防止策をやりながら経済活動を徐々に引き上げていくということでありますので、そういった状況をしっかり見ていきたいと思っておりますし、そうしたことにも備えて、一次補正の執行をまず急ぐということであります。27.5兆円の補正予算の執行をしっかりすると。多くが給付金、持続化給付金2.3兆円も、それから特別定額給付金の12.9兆円も、先ほど申し上げたようにできるだけ早く支給を行っておりますので、かなりの部分が給付がなされていけばしっかりと経済を下支えしていくことになると思いますし、それ以外の医療関係の予算であるとか、こういったものも着実に今、執行していっていますので、迅速の執行、何よりこれが大事だと思っております。あわせて、二次補正予算案を早期に提出し、そして早期の成立を図っていくことによって経済をしっかりと支えていきたいと、落ち込みも支えていきたいと考えております。
 何より、事業を継続し、そして雇用・生活を守るということ、これに全力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
(問)先行きについて伺います。当面、相当程度落ち込むと大臣はおっしゃられていましたが、事業経営者などからも、当初想定されたV字回復は難しいとの声が上がっています。大臣は回復の軌道をどのようにお考えでしょうか。それと、コロナの拡大前の水準に戻るのにどのぐらいの時間が必要だとお考えでしょうか。お教えください。
(答)先ほどから申し上げているとおり、一次補正予算、そして二次補正案、一次はもう成立しておりますので、しっかりと、そして早くお届けするということ、迅速に執行していきたいと。これによって落ち込みを少しでも支えていくことになると思いますし、それから二次補正予算案も早期に提出し成立を図るということで、これはどんな事態が起きても万全の構えを作って思い切った対応をしていきたいと考えておりますので、この中でさまざまないろいろなことが起きても、しっかりと日本経済を支えていくと、皆さんの生活を守り抜いていくといった思いで、全力で取り組んでいきたいと考えております。
 コロナウイルス感染症がいつ収束するか、これは専門家の皆さんに聞いても誰にもわからないと。もちろん、治療薬が、もう既にレムデシビルは承認されておりますし、アビガンも今月中の承認を目指して今、臨床研究が行われているところであります。ほかにも治療薬は治験に進んでいるものもあれば、これから進むものもあります。そういったさまざまなものを期待しながら、また、ワクチンの製造も世界中が今急いでいるところであります。日本国内でも、幾つかの大学と企業が連携しながら対応しているところでありますので、そういったことをこれもまた全力で応援していきたいと考えています。一補正予算にもそうしたワクチン、治療薬の支援の予算も入っておりますので、これも全力で行っていきたいと考えております。
 そういったことを見ながら、経済がどういうふうに進んでいくのか、その状況を見ながら様々な対応を臨機応変にしていかなければいけないと考えております。
 そうした中で、感染防止策を講じながらではありますけれども、経済活動のレベルを段階的に引き上げていきますので、そうした中で、いろいろな制約の中ではありますけれども、様々な活動ができるようになりますから、そういったこともしっかりと応援していきたいと思っております。
 業界が自主的なガイドラインをつくり、工夫しながら事業活動を再開していくことも、専門家の皆さんの知恵も借りながら応援していきたいと考えているところであります。
 元のような姿に戻るのは、なかなか今の段階では難しいわけでありますので、緊急事態宣言が解除されたからといって元の生活に全て戻してしまうと、また感染が広がります。ですから、油断することなく、防止策をきちんと講じていただきながら様々な活動を徐々に徐々に広げていく、新しい生活様式を定着させていくことをみんなで時間をかけてやりながら、感染拡大しないように注意を払いながら、油断することなく、そして経済活動を広げていくことが何より大事だと考えています。
(問)1-3月期のことなのですが、新型コロナウイルス感染症の影響が一番大きく出た分野は個人消費なのか輸出入なのか、大臣はどのようにお考えかお聞かせください。
(答)細かいところは、また事務方に聞いていただければと思いますけれども。例えば先ほども消費税率引上げの影響がございましたけれども、冷蔵庫とか電子レンジとかは、恐らく1月だと思いますが若干のプラスもございます。10-12月期に落ちた分の反動もあると思いますので、プラスもあります。それから、コロナの関係で言いますと、特に3月ですけれども、ゲーム機とかゲームソフトとかが大きく伸びておりますし、また、食料品の加工品も伸びております。あと、アルコールも家計消費から見ると、買って家に帰って飲まれる方が多いということだと思いますが、ふえておりますし、あとはマスクなどの消耗品も大きく伸びております。
 他方、サービスの外食とか宿泊とか旅客輸送、交通、これが大きく、特に3月は大幅に落ち込んでおりますし、リクリエーションのサービス、スポーツサービスなども3月に大きく落ちております。
 他方、通信・通話料などは3月に大きく上がっておりますので、特にコロナウイルス感染症の影響は3月に大きく出てきているのかなと思いますけれども、2月も今申し上げたようなところはかなり落ちたり増えたりしておりますので、2月から影響が出始めで、1-3月期で見れば3月に大きく影響が出ていると思います。
 詳細は事務方に聞いていただければと思います。
(問)冒頭の発言の末尾の部分で、日本の経済、社会を今後10年ぐらいで、ぜひ一気に前進させたいというお話をしていらっしゃったかと思うのですが、これは具体的にどのような姿を思い描いていらっしゃるのか。また、こうした施策は今回の二次補正には入ってこないかと思うのですが、三次補正を含めてどのように一気に前進させたいと考えていらっしゃるのかについてお願いします。
(答)今回、既にコロナウイルス感染症の事態に対応するために、例えばオンライン診療とかオンライン教育といったものがこれまでの規制が緩和され、進展することになりました。また、テレワークなどの補助金も使っていただきながら、多くの企業でテレワーク、あるいはテレビ会議といったものも日常的に行われるようになってまいりました。
 それから、意識がどういうふうに変わってきているかというのはしっかり見なければいけないと思っているのですが、人出が多い所、人との接触が多い所は今回感染症のリスクが多いということで、例えば地方のほうは今回発生も少ないですし、地方はリスクが低いという新たな価値も見出されてくるのではないかということも期待しています。
 特にこうしたリモートで仕事ができるということになってくれば、大都市部だけではなくて地方にいて、リスクの低い所で仕事が十分にできるような環境が整えば、そういった価値が新たに見出されてくるのではないかと期待しております。
 今回、保健所の皆さんがそれぞれの数値を手書きでファックスで送っていたということでありますが、ようやくオンラインで今、行われるようになってきたと聞いております。様々な行政のシステムがデジタル化できていなかったということであります。
 今回、持続化給付金はオンライン申請を原則としておりますので、予算成立後1週間で給付が始まりました。やればできるんだと思います。これをさらに、例えば海外で見られるようにAIを使って審査していくことが行われれば、もっと早く審査が行われて給付ができるようになると思います。雇用調整助成金の手続も、ようやく今月、オンラインでの申請ができるようになってきます。
 様々な企業がこうしたいろいろな施策を申請するにあたって、同じような書類を何度も送らなければならないこともあるのだと思います。4月からは、経済産業省を中心にデータの共有をしていく基盤・整備の実証が始まってきております。例えば企業情報などは、1回申請したら、それを各省庁共有していればそれで見れば分かると、何度も同じ書類を提出しなくてもいいということであります。そういう意味で、デジタル化、オンライン化で、そして一度送ればいいと、ワンスオンリーでやればいい。しかも、ワンストップで、そこに送れば全て手続が整うといった高度な手続もデジタル化によって迅速に行うことができます。
 それから今回、様々なものを中国に依存していたと、あるいはほかの海外にも依存していた。マスクであったり防護服であったり、アビガンの原料も、実は中国にほとんど依存していたということであります。こういったこと、安全保障面でのことも含めて、サプライチェーンをより強靱なものに、多層化、多重化していくことも大事だと思いますし、必要なものは国内で生産できる体制を作らなければいけないとも思います。
 一方でこういったオンラインでできない人もいるわけでありますので、丁寧に、全ての人を、1人も取り残すことなくこういった手続ができるようにもしなければいけません。新たな格差を生むようなことがあってはならないと思いますので、質が高くて、そして包摂的な経済・社会をこの機会に、今回さまざまな経験をしていますので、そして多くの国民の意識も変わってきていると思いますから、この機会にこうした機運をしっかりと前へ進めていくことに取り組んでいきたいと考えています。
 これは、予算措置を伴うものもあれば、規制改革でもあると思いますし、あるいは制度を変えることによって進むものもあると思います。全て今回の事象をしっかりと見ながら、これを契機に、日本社会がより質が高く、そして包摂的なものになるように取り組んでいきたいと考えています。

(以上)