西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月18日

(令和2年5月18日(月) 18:44~18:58  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 先ほど、第1回の「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」をテレビ会議で開催いたしました。
 本会議の趣旨、取り組みにつきましては、先ほどの会議冒頭で梶山大臣と私から発言しましたので割愛しますけれども、サプライチェーン全体の取引の適正化、そして大企業、中小企業を含めた、まさにサプライチェーン全体のIT実装の推進ということであります。
 今回の取り組みの一番大事な点ですが、個別企業、個社による「パートナーシップ構築宣言」の作成・公表につきましては、経団連や連合からも賛同の言葉をいただきました。また、関係企業、団体を通じた検討・対応の要請、周知徹底を行っていただける旨の発言もいただいたところであります。さらに、業所管の大臣、副大臣から、業界団体への働きかけを通じて着実に取り組んでいく旨の発言がありました。
 今後、政労使で一体となって、一丸となってこうした取り組みを広く普及させていきたいと考えております。これによって、感染症克服後の日本経済を持続的な成長軌道に戻していく、経済の成長の好循環の実現につなげていくということでありますし、また、「新しい生活様式」に今後移行していく中で、将来の感染症のリスクにも強靱な経済構図を作り上げていくということであります。
 一点、私から会議の場で御紹介したのですが、当然、政府も中小企業の負担軽減に取り組んでいかなければなりません。社会保険システムにつきまして、電子申請の仕組みを進めているところであります。新しいシステムが4月1日から開始されておりまして、要は窓口に行かなくても済む、あるいは、はんこを押さなくても済むということであります。
 従業員100人程度の事業所で、年間約300件もの手続があります。採用や退職、住所変更など、こういった手続を100人規模の事業所で年間300件もの手続があるということですが、4月1日からこのシステムが利用可能になっておりますので、窓口に提出しに行く必要がなくなっております。
 既に約2万8,000の事業所で、このプログラムをダウンロードして活用が行われているということであります。政府としても従来から申し上げているとおり、デジタル化、オンライン化の手続を進めていくこと、できる限りワンストップ、ワンスオンリーで済むように進めていきたいと思いますが、その一例として社会保険システムの電子化が進んでおりますので御紹介申し上げます。
 それから、これも以前から申し上げていることでありますけれども、地域経済活性化支援機構、REVICについてであります。先日来、地域の中核企業、中堅企業の経営基盤を支援するために、このREVICの活用を考えていることを申し上げてきました。
 既存の復興支援ファンド、昨年の豪雨災害などで作ったファンドの規約の変更を行って、新型コロナウイルス感染症の影響に対応できるように進めているところでありますし、また、既存ファンドがカバーできていない地域についても、地銀と共同で新しいファンドを設立する準備も進めているところであります。
 以前にも申し上げましたけれども、機構は直接支援を行う。これまで84件支援を行ってきておりますし、ファンドは48件作ってきております。そして、ファンドの実績として、これは3月末の実績でありますけれども、287件、733億円の投資を実行してきているところであります。
 こうした支援、事業再生のノウハウ、実績が豊富であることから、まさに今後、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業の支援、事業再生にさまざまなツールが、手段がありますので、ぜひ進めていただきたいと考えているところであります。
 こうした中で本日、機構においてこうした影響を受けた、支援が必要な事業者を対象として、今申し上げた2つの枠組み、1つは中堅・中小企業を対象とするファンドによる支援、2つ目に地域の中核となる企業を中心とした事業再生の支援、こういったことに関して、全国の事業者等からの相談受け付けを開始した旨の発表を行いました。
 今後、それぞれの地方銀行とともに規約の変更などを進めていく、あるいは新しいファンド設立を進めていくわけですけれども、それに先立って相談は今日から受け付けるということでありますので、いわゆる中小・小規模事業者、個人事業主で200万円、100万円の支援とか、さまざまな支援を行ってきておりますけれども、そうしたものではカバーできない、やや中堅の企業、店舗数を20店舗、30店舗持っているような企業、そういった企業を中心に、中堅・中小企業の方々にしっかりと支援の手が届くようにREVIC、そしてそのREVICが地銀と作ってきているファンドをぜひ活用していきたいと考えておりますので、お気軽に相談していただければと思います。
 私からは以上です。
 ちなみに、新規感染者の数が昨日は28件ということで、今日も一部、東京は10件、それから大阪が1件と聞いていますけれども、非常に新規感染者の数が減ってきておりますが、この傾向が続くのかどうか、しっかりと見極めていきたいと考えています。

2.質疑応答

(問)「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」なのですが、これは政労使を含めて非常に大きな枠組みでの会議ですけれども、最終的なゴールとして、例えば最低賃金の引き上げですとか、どういったところを目指してやっていこうとされているのか、改めて教えていただけないでしょうか。あと、時期的なものも含めて教えていただければと思います。
(答)本会議の狙いでありますけれども、まさにこの感染症を克服していくという、今、大きな課題に直面しているわけであります。そうした中で、こうしたリスクを乗り越えていくために、大企業だけでも駄目ですし、中小企業だけでも駄目、両方がサプライチェーン全体で取引関係にあるところ全体がこのリスクを乗り越えるために様々な取り組みを協調してやらなければいけないと。
 例えばこれまで申し上げてきましたけれども、せっかくテレワークを進めていても、一部のところでテレワークが進んでいなければ、それに合わせなければいけない場面も出てくるでしょう。あるいは、はんこを押しに行かなければいけないとか、請求書が郵送されてくる、あるいはファックスで送られてくるとなると、そのためにそれを見に行かなければいけないし、それから、振り込みをしないといけないというような、そのために会社に行かなければいけないというようなことになります。例えばデジタル化、あるいはオンラインでの様々なやり取りをサプライチェーン全体で進めることができれば、自宅でテレワークで様々な処理もできるのだと思いますので、全体としてこれを進めていくという、今回の感染症のこの事態を契機として、感染リスクに対してより強靱な構造を作っていく、あるいはより生産性の高い、より効率的なシステムを作っていくことが大きく1つ求められます。
 あわせて、まさに克服後のこともにらみながら経済の好循環をつくっていくということでありますので、基本的には最低賃金を引き上げていくことは、私は重要な点だと思っております。ただ、今こういう状況ですから、全ての大企業も中小企業も非常に疲弊した状況だと思いますので、そうした面は配慮しないといけないと考えています。
 いずれにしても、中長期的に見ていけば、賃上げしやすい環境をつくっていくことは大事でありますので、先ほど申し上げた、効率的な、生産性を上げていくという取り組みも大事でありますし、また、昨年の補正予算で3,600億円の中小企業の生産性向上支援の予算を確保しております。この中でIT実装などの支援も行っていきますので、この機にしっかりと生産性を上げていく。そのためのデジタル化、IT化を進めていく支援をしっかり行っていきたいと思っておりますし、政府の側でも先ほど申し上げたような様々な手続を簡素化していく、あるいはオンラインでできるような仕組みを考えていきたいと、それを実行してきたいと考えています。
 さらに言えば、中小企業への取引条件のしわ寄せが行かないようにです。今、みんな苦しい状況の中で、大企業が苦しいからといって、そのしわ寄せが中小企業に行かないようにということも大事な視点でありますし、今申し上げた、全体としてIT化を進めていくことも大事な点だと思っています。
 その意味で、それぞれの企業がこのパートナーシップ構築について宣言してもらうというのは大事な取り組みだと思っておりますので、見える化していくわけです。ですので、より多くの企業が参加してもらえるように、関係省庁を通じて働きかけをしていきたいと思いますし、今日は経団連からも前向きな御発言がございましたの、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに、促していきたいと考えているところであります。
 一つは8月頃に向けて、これは下期、10月からの取引価格をその頃に決めていくということでありますので、ぜひ8月に向けてこのパートナーシップ構築宣言の作成、公表の協力について、しっかりと業所管省庁を通じて要請をその時に向けて、その時までにできるように促していきたいと考えています。その上で、本年秋以降にそうした宣言の作成状況などのフォローアップも兼ねて開催することを考えていきたいと思っています。
(問)先ほどおっしゃったREVICの件ですけれども、大臣の御説明があったような使い方で実際に資本注入ができるようになるのはいつ頃からなのでしょうか。
(答)これは規約の改定を急いでいますし、新しい所の、要はカバーできていないエリアがまだありますので、このエリアでの地銀とのファンド設立を急いでおりますので。今日からもう相談を始めますから、実際にはいろいろなことを相談しながら進めていくことになりますので、実際の何らかの形の劣後ローンであったり、資本注入であったり、いろいろなことするには少しまだ時間がかかると思いますけれども、できるだけ早く体制は整えたいと思っております。
 また、政府保証枠1兆円が今あるのですが、これを何があっても万全な体制にするために、この枠を拡充することも検討していきたいと考えています。
(問)繰り返しで恐縮ですけれども、規約の改正のほうも、まだタイミングは明確ではないのでしょうか。
(答)今ずっと進めていますので、地方銀行のほうでREVIC側からも投げかけていっていますので、あるいはファンドの設立もですので、この調整を急ぎたいと思っています。

(以上)