西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月8日

(令和2年5月8日(金) 10:42~11:10  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 昨日の感染者の増加が全国で93名ということで、3月30日以来の低い数字になってきています。東京都も23名ということで、これも同じく3月30以来の数字になっています。北海道で14名、埼玉で13名、それから神奈川も13名ということで、特定警戒都道府県を中心に、まだ一定の感染者の数があるわけでありますが、かなり減少してきております。本当に皆さん方の努力のおかげだと思っております。
 ただ、連休中の数字でありますので、まだこれが確たる傾向をしているのかどうかをしっかりと見ていかなければいけませんので、引き続き特定警戒の13都道府県の皆さんにおかれては、不便をかけますけれども、さまざまな活動の自粛をお願いしたいと思っているところであります。
 人流のデータを見ても、昨日、今日と連休が明けてかなりの数の移動が見られます。当然、経済社会活動を維持していくわけでありますから出勤もなされるわけでありますけれども、引き続き13都道府県においては、できれば7割の出勤者の数の減少、削減、そして、まさにテレワークとか時差出勤とか交代で出勤するとか、あるいは、出勤されても距離をとる、それからテレビ会議、こうしたものを活用しながら、人と人との接触を引き続き8割削減を目指してお願いしたいと思っております。
 それから、退院者の数が760名と非常に高い数字になっています。これは昨日1日ではなくて、過去に退院したことがわかった人の数も入っていますので少し高い数になっております。このあたりもよく精査していきたいと思っているところであります。
 それから、緊急事態宣言の期間が延長されたことに伴いまして、特定警戒の13都道府県以外の34の特定都道府県、それぞれの都道府県におきます措置の実施状況について御報告したいと思います。
 基本的対処方針においては、この34の特定都道府県においては、「地域の感染状況や医療提供体制の確保状況等を踏まえながら、段階的に社会経済の活動レベルを上げていくこと」とされています。国としてこうした大きな方針を示したところでありますが、それぞれの都道府県において、それぞれの感染状況などに応じて、休業要請などを行うのか、継続するのか、あるいは解除するのか、これは都道府県知事の判断で行っていただくことになります。昨日来、申し上げていることでもあります。
 これを踏まえて、昨日時点で34特定都道府県のうち、まず外出の自粛については、7団体はこれまでどおり外出の自粛を継続して行うことにされています。それから、いわゆる不要不急の帰省、旅行など、都道府県をまたいだ人の移動、それから繁華街の接待を伴う飲食店等への外出の自粛、それから、現にクラスターが多数発生してきているような場所、ライブハウス、カラオケ、スポーツジムといったところでありますけれども、それから、「三つの密」がある場所への外出自粛、これについては引き続き行う。つまり逆にいえば、これに限定した要請について27団体が実施していくということであります。そのうちの24は昨日から実施、3団体は今後実施ということで、いずれにしても27団体は引き続きこうした外出自粛は継続するということであります。
 それから、イベントの開催制限についてでありますけれども、感染防止策を講じた上で、最大でも50人程度という少人数のイベントの開催制限の要請を解除することを20団体が5月7日から、1団体が今後実施する予定とされています。大規模イベントについては、全国で引き続き自粛をお願いしているところであります。少人数のものについて、幾つかの団体で要請を解除するということであります。
 それから、3つ目でありますけれども、施設の使用制限。これについては、5月6日以前で施設の使用制限の要請を実施していた32県ありますけれども、このうち、これまでどおり継続するのは5団体あります。そして、詳細がもし必要であれば事務方に聞いてほしいのですけれども、基本的対処方針に従って、それに沿って遊興施設、あるいは運動・遊戯施設などの現にクラスターが多数発生している施設、スポーツジム、ライブハウス、あるいはカラオケといった施設、「三つの密」がある施設については、これまでどおり施設の使用制限等を要請している団体があります。他方、博物館、美術館、図書館などの使用制限については、緩和、解除している団体も見受けられます。
 数字を申し上げてもいいのですが、非常に細かくなるのでわかりにくいので、もし必要だったら事務方に聞いていただければと思います。
 ざっくり言いますと、全ての施設への要請等の解除を行うのが、既に実施しているところ、今後実施も含めて11団体、それから、一部の施設への要請解除を行うのが16団体ということであります。詳細は、もし必要であれば聞いていただければと思います。
 引き続き、これまでクラスターが発生してきたライブハウス、カラオケ、スポーツジム、これは非常に注意していただきたいと思います。
 いずれにしても、営業を再開される場合も、消毒であったり、換気であったり、人と人との接触をとることであったり、感染防止策はしっかりと講じていただくことが必要になります。
 感染者の数は全国的にかなり減ってきてはいますけれども、繰り返しになりますが、この新型コロナウイルス感染症は無症状のまま持ち続ける方もおられますし、発症する前、無症状のまま感染させてしまうということがありますので、いつどこで増えてくるかわかりませんから、ぜひ、感染防止策はしっかりと講じていただいた上で経済活動を引き上げていくということであります。
 そして、我々の側、国民の皆さんの側でも、スマートライフということで、マスクであったり、人と人との距離をとることであったり、ぜひ、新しいライフスタイル、スマートライフの中で感染防止をしっかりと行っていただければと思います。
 治療薬の承認も、昨日、レムデシベルの承認が行われましたし、アビガンについても今月中の承認を目指しているということであります。視察させていただきました、ノーベル賞の大村先生のイベルメクチンについても、治験、観察研究などを行っていく予定と聞いております。今後、様々な治療薬が承認に向けて動き出すわけでありますので、皆さんの安心につながると思います。また、ワクチンの開発も世界的に進められております。我々としても、こうしたものを急いで、加速して後押ししていくわけでありますけれども、それまでの間、感染をしない工夫、努力をぜひ国民の皆さんにお願いしていただきたいと思います。
 いずれにしましても、今後、地域の感染状況、そして医療の提供体制などを踏まえながら、それぞれの地域の事情に応じてでありますけれども、段階的に社会経済の活動のレベルを引き上げていくことになります。今行っている措置が、いわばその引き上げの第一段階ということであります。
 新規感染者の数がゼロの県も増えてきております。そうした中で解除も視野に入ってくるわけでありますけれども、引き続き注意しながら、しっかりと感染防止策を講じながら経済活動との両立を図っていくということであります。
 それぞれの都道府県知事の皆さんにおかれては、それぞれの地域の状況に応じて適切に判断していっていただきたいと思いますし、そのことを政府としてもしっかりとサポート、また、近隣との関係などを含めて調整していきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お伺いしまず。1点目が個人消費について。今朝発表された3月の消費支出が物価変動の影響を除いて前年同月比で6%減り、5年ぶりの減少幅になりました。外出自粛の影響が大きいと思いますが、大臣の受けとめをお願いします。
(答)家計調査が本日発表されました。3月の分でありますが、実質の消費支出を2人以上の世帯で見ますと、前年比6%減であります。季節調整済みの数値で見ますと、前月比で4%減ということでありますが、この6%減も、よく見てみますと、まさに外出自粛を継続していただいていますので、そうした中で食事代、飲酒代が、これはマイナス6%の寄与度で見ますと、そのうちの食事代、飲食代でマイナス1.56、それから、交通関係ですね、鉄道の運賃とか定期代とか航空運賃、高速道路の有料道路料、それからガソリン、こういったものでマイナス1.47、それから、宿泊・旅行、こういったものでマイナス1.42ということでありまして、これだけで恐らく全体の8割近くを説明できると思います。外出自粛の影響で支出がこういう形で減ってきている。
 あとは、前年比ですから、幼児教育・保育の無償化も入っていますので、それで1%ぐらいを恐らく説明できると思いますので、明らかに外出自粛の、これは国民の皆様の本当に努力の、協力していただいている結果が数値にあらわれているのだろうと思います。他方、お米とかお肉とか、こういったものの消費のプラスがあります。これもやはり自粛していただいている結果だと思います。
 4月は緊急事態宣言も発出しましたので、さらに厳しい数字になるのではないかと思います。そうした自粛の中でさまざま不便をおかけして、また、厳しい状況になっておられる家計の皆さん、あるいは事業者の皆さんもおられますので、1日も早く1人10万円の給付金と、それから事業者への200万円、100万円の給付金を一刻も早くお手元に届けるように、全力を挙げて、政府を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
(問)もう1点が新型コロナウイルス感染症に関連して、今朝の産経新聞のインタビューで、首相が緊急事態宣言の解除の条件について、感染者数、退院者数の動向、実効再生産数、人工呼吸器の数などを具体的に条件に挙げられていたのですが、これまで大臣が示されてきた条件との整合性、この総理の発言は、大臣の見ているものと一部なのかどうか、そのあたりを御説明いただけますでしょうか。
(答)日々、専門家の皆さんと様々な数値を見ながら、どうした指標で判断していくのがいいのか議論を重ねています。専門家の皆さんの中でも、様々な議論を重ねておられます。そして、そうした状況を総理にも私から報告しているところでありますし、また、感染の状況なども日々、厚生労働省から総理に報告もされているところであります。
 そうした中で、まさに新規感染者の数を最も注目しています。特に、昨日から申し上げているとおり、ゼロになってきている県も多数出てきておりますし、新規感染者の数をやはりしっかり見ていくことが大事だと思っています。それも曜日によって多少のでこぼこはありますので、週単位で見ていくことも大事だと思っております。直近2週間、あるいは週単位での減少傾向はしっかり見ないといけないと思っています。
 それから、実効再生産数は説明をお示ししておりますとおり、4月10日の段階で、もう既に1を切って0.7ということで、その後、新規感染者の数は減っていますから、当然、低い数字になっているものと思います。
 ただ、今後、万が一どこかで急増するような地域が出てきた場合には、その後の状況をしっかりとこの再生産数で見ていかなければいけないと思っていますので、全国の数値も14日ごろに開かれます専門家会議ではしっかりとお示ししたいということで、専門家の皆さんに今、分析をお願いしているところであります。
 それから、人工呼吸器も、私からも御説明したと思いますけれども、ピークからは使われる方の数は減ってきています。そういう意味で、医療機関に対する圧迫というか、医療の提供体制の逼迫感はやや弱まっていると思いますけれども、しかし、いざというときに重症者の方をしっかりとお守りすることは大事であります。人工呼吸器、あるいはECMOの数などもしっかりと見ていきたいと思っています。
 他方、人工呼吸器、ECMOなどは、近隣で逼迫しているところにお貸ししたり、あるいは、また余裕が出てきたら戻してもらうとか、そういう融通をかなりしている部分もあります。それから、特にECMOですけれども、私も視察させてもらいましたけれども、1つ使うのに7人ぐらいの専門の方が、そこで経験のある人が使わなければいけないというのがあります。したがって、台数があっても、その人数はしっかり確保しているかなど、全体で見なければいけませんし、人工呼吸器があっても、例えばICUの施設がちゃんと確保されているかということもあると思います。そういったことを全体的に判断していかなければいけませんので、どういった指標で見ていくのがいいのか、これも専門家の皆さん、そして厚生労働省において今、検討を進めてもらっています。総理はその一例を挙げられたと理解しています。
 いずれにしても大事なことは、それぞれの地域の感染の状況をどういった指標で見ていくのか、それから、医療の提供体制が、いざ数が増えたときも大丈夫か、しっかりと命を守れる体制ができているのかというところをしっかりと見ていきたいと思っております。
(問)岡本さんが亡くなられましたが、大変残念ですが、何か御感想があれば。あわせて、今現在、PCR検査が少ないことが海外メディアでやり玉に上がっています。我が国が感染実態を隠して、第二派、第三波の感染源になるのではないかというようなことを言われることは、ビジネス上でも大変なマイナスと思います。例えば岡本さんのような方を含めまして、大臣の下に海外広報向けのスポークスマンのような人が必要なのではないでしょうか。その辺を含めて伺いたいです。
(答)まず、岡本行夫さん、私も昨夜、亡くなられたという報道に接しまして本当に驚きました。まだ70代半ばではないかと思いますけれども、私も何度かいろいろなディスカッション、セミナーなどで御一緒しましたし、ときどきいろいろな御意見も伺っておりました。様々な御経験がある中で、本当に残念な思いであります。これからもいろいろな場面でいろいろアドバイスをいただけるかなと思っておりましたので、本当に残念であります。本当に心から御冥福をお祈りしたいと思います。
 PCRについては、これまで当初の段階でPCR、様々、もう専門家から御指摘をいただいています。MERS、SARSの経験がなかったからPCRをあまり重視せずにきたのではないかという専門家の御指摘もございます。
 また、当初、初期の頃は、命をお守りすることに重点を置く中で、必要とする方にしっかりとPCR検査をするという、そういうもとでPCR検査を進めてきたわけであります。
 数字を見ていただくと、死亡者の数が世界的に見ても圧倒的に少ない状況で、これは日本の医療体制がしっかり対応していただいたこと、また、他方で、CTの配備が各地がしっかりとなされていたことによって、肺炎を見逃すことなく対応できたことなどを含めて、私は医療の皆さんのおかげでこうした死亡者、亡くなる方を少なくできてきているのだろうなと。もちろん亡くなられた方は本当に残念でありますけれども、国際的に見て、対応できてきている面があると思います。
 他方、ここまで感染が広がってきている中でありますし、これまでも専門家会議でもさまざまな御指摘をいただいてきた保健所の体制であったり、相談センターへの電話がつながりにくい面であったり、あるいは防護服が検査の中で足りないのではないかとか、様々な御指摘をいただいてきております。この改善に向けて今、厚生労働省を中心に、特に東京が主として大きな課題だと思いますので、東京都と厚生労働省において今、こうした課題を克服すべく全力を挙げて取り組んでいると理解しております。
 いわゆるPCR検査を受ける目安といいますか、厚労省がこれまで考えてきた37.5度で4日以上という、あれも必ずしもそれに限定していたわけではないと聞いていますが、承知をしていますけれども、それについても、よりわかりやすい目安をつくるということで今、調整していると聞いておりますので、そういったことを通じて、PCR検査を本当に必要とされる方がしっかりと迅速に受けられて、そしてそれぞれの方の命をお守りする体制をしっかりと作っていかなければいけないと感じています。
 そして、そういうPCR検査体制ができていることというのが、解除に向けての大きな1つの要素になってくると私は思っています。
(問)確認なのですけれども、解除に向けての目安で、地域ごとの医療提供体制がどうなっているかというところなのですが、これは数値的に示すことはなかなか難しいのではないことも思うのですが、そこもしっかり数値で目安を示していかれるというようなお考えでいいのかということ。
 あと、ちょっと話題は変わるのですが、岸田政調会長が昨日、自民党の会合で、週明けから追加の経済対策に向けて議論を始めていくとおっしゃいました。党の動きに伴って、政府の動きもシンクロしていくと思うのですが、今後の追加の経済対策に向けてのスケジュール感や政府としての取り組みの方針について、お考えをお願いします。
(答)御指摘のように、医療提供体制をどう数値化して見るかは非常に難しいところがあります。先ほど申し上げたように、例えば人工呼吸器であったり、集中治療室、ICUの提供体制であったり、どういった数値がとれるのか、あるいはそれが適切に判断できるのかといったことを含めて、これは今、厚生労働省と専門家の間でも議論を重ねてもらっていますので、できる限りわかりやすい基準をお示ししたいと思っております。
 感染者の数のほうは、先ほど申し上げてきたような数値で判断できると思いますし、PCRの体制が整っているというのも、これは感染者の数を見るのも医療の体制の1つとも見られますので、そういった意味では、そういったことも大事だと思っています。
 いずれにしても、専門家の皆さんに御意見を伺いながら、基準として何がいいのか、どういったことができるのか考えていきたいと思います。
 それから、今後の経済対策につきまして党のほうで様々な議論が行われております。総理も家賃、学生支援、あるいは雇用調整助成金の拡充、こういったことについて検討を進めるということも会見でも述べられております。こういったことについては、総理とも相談しながら、また、与党の議論も踏まえながら、与党とも連携しながら、今どういったことが必要なのか、何をやらなければいけないのかというところの検討を急いでいるところであります。
 予備費の1.5兆円もございますし、場合によってはこれは使いますし、また、状況が今後どうなっていくのか、長引いていくのかどうかといった点も含めて、状況を見ながら臨機応変に対応していきたいと考えております。
(問)1点ほど質問です。先日、5月4日の総理会見にて総理は、「感染の第一波は乗り越え、第二派はピークアウトしつつある」とおっしゃいました。同日に、その総理会見の後にあった専門家会議において座長の脇田氏が、「第二派がピークアウトしたかどうかはまだ分析を待つところである」という旨の発言をおっしゃっているのですけれども、総理の発言と脇田さんの発言のギャップについて、大臣のお考えになるところをお聞かせください。以上です。
(答)その脇田座長がどういう発言をされたか、私、詳しく承知していないのですけれども。私の理解は、今大きな波を迎えてきたわけでありますが、これは緊急事態宣言を4月7日に発出することによって、そこからいわゆるオーバーシュートと言われる爆発的な感染拡大になることなく、増えましたけれども、そこから今もう新規感染者の数は減少傾向にあると、これは専門家会議で断言して間違いないと提言を受けております。
 現に日々の新規感染者の数を見ていただいても、全国的にはもう減少傾向にあるのは間違いないということだと思いますので、総理はそういったことも踏まえて御発言されたと私は理解しております。
 脇田座長の発言がどういうことを言っておられるのかはちょっと承知していないので控えたいと思いますけれども、私どもの認識としては減少傾向にあるのは間違いなので、いわば収束の軌道に乗っているわけでありますから、必ず収束させるという思いで今、全力で取り組んでいるところであります。
 ありがとうございました。

(以上)