西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年4月24日

(令和2年4月24日(金) 10:32~10:49  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 去る20日に緊急経済対策を決定したことを受けまして、「経済効果試算」について必要な改定を行った上で、本日発表することにいたしました。
 個人向け給付金の予算額が4兆円から12.9兆円に増額されたことにより、緊急経済対策による「GDPの下支え・押上げ効果」は前回公表時より0.6ポイント上方修正をしまして、実質GDP換算で4.4%程度となります。
 政府としては、この緊急経済対策に含まれる施策は、支援を必要とされる国民の皆様に1日も早くお届けできるように補正予算を提出し、早期に成立することに全力を挙げていきたいと思います。
 この試算の詳細につきましては、後ほど事務方から説明させます。
 それから、地域経済活性化支援機構、REVICでありますが、これを通じまして、新たな中堅企業支援策について申し上げます。
 引き続き官民の金融機関で中小企業・小規模事業者の事業継続支援策に全力を挙げているところでありますが、規模の大きな中堅企業、特に売り上げが大きく落ち込んでいる地域の中堅飲食店や旅館等の経営基盤を支援するため、このREVICを活用することの検討を進めています。
 詳細については今後詰めていきますけれども、既存の復興支援ファンド、去年、あるいは昨年の災害から、支援するファンドを地域の金融機関とつくってきております。全国のファンドも含めて今、9ファンド、約350億円のファンドが合計でございます。これを新型コロナ対応に活用することとともに、カバーできていない地域については、地域の金融機関と共同で新たなファンドを構築すること、設置することなども考えております。
 支援を必要とする方にしっかりと支援が行き届くように、引き続ききめ細かく対応していきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭に2問お願いします。
 まず1点目なのですが、昨日発表されました月例経済報告でリーマン・ショック以来の悪化判断となりましたが、5月6日までの緊急事態宣言が延長された場合、さらなる状況の悪化も予想されます。現時点での宣言解除の見通しと、景気の先行きについて、改めて御所見をお願いします。
(答)緊急事態宣言の期限は5月6日であります。その後の緊急事態宣言のあり方についてでありますが、4月7日の緊急事態宣言からの外出自粛の徹底等の取り組みによる効果の分析・評価・検証、それから、来週には4月16日に対象を全国に拡大してから2週間が経ちますので、その取り組みの効果の分析と検証を専門家の皆さんに行っていただくことになります。
 また、地域ごとの感染状況や地域の医療体制の状況を踏まえながら、また、北海道のように一旦収束した、これは2週間の自粛の後に収束したわけですが、その後、また拡大しているケースもあります。こういったことを踏まえながら、基本的対処方針等諮問委員会を開きまして、専門家の意見を聞いて総合的に判断することになります。
 5月7日以降どうするかについては、混乱が生じないように適切なタイミングで諮問委員会を開いて判断していきたいと考えています。
 いずれにしても、5月6日まで国民の皆様には御不便をおかけしますけれども、8割の接触削減の徹底をお願いしていきたいと思いますし、地方自治体、都道府県知事の皆さん、経済界と連携しながら取り組みを徹底していきたいと思います。
(問)もう1問お願いします。先ほど発表されました緊急経済対策の経済効果についてですが、前回発表分との差分の0.6%が10万円給付の効果に当たるのだと思うのですけれども、これは12兆円のうち、どの程度消費に回ってこれだけの効果があると判断されたのか。また、労働者の消費性向が67%とありますが、かなり高いように見受けられるのですが、こういった部分の根拠も含めてお願いします。
(答)もう御案内のとおり、今回の特別定額給付金でありますけれども、消費喚起とか経済効果を狙ったものではありません。国民お一人お一人がそれぞれの持ち場、持ち場で、立場、立場でこのウイルス感染症に取り組んでいる中で、連帯して取り組んでいくということ、まさに一致団結してこれを克服していくというためのものであります。そうした皆様の生活を支え、不安に応え、また、気持ちをお支えしていくという趣旨のものであります。
 その上で、前回試算においては、30万円のときの給付の対象の考え方は、より厳しい方に重点的にということでありましたので、まさに厳しい状況にある方ですから、消費性向が1、つまり必要な支出に充てられるであろうということで、最大の効果をお示ししたところであります。
 一方、今回は全ての方に一律にお配りすることに変更いたしましたので、それぞれの方で生活や収入への影響は異なってまいります。消費性向がどれぐらいあるかというのを見積るのはなかなか難しいのですけれども、一般の働いておられる方、あるいは15歳未満の年少者については、通常の消費に基づく平均の消費性向が0.67でありますので、その数値を用いさせていただいております。
 それから、年金などでお暮らしの、いわゆる非労働者と言われる方々については0.3、これは2009年の定額給付金のときに3割消費に回ったということで計算させていただいております。
 いずれにしても、これを全部使ってくれという趣旨のものではありませんので、必要な方はもちろん支出に充てていただいて生活をお支えするということでありますし、さまざまな形で、それぞれのお立場でこの感染症と闘っておられますので、そういう意味で気持ち、生活をお支えしていく趣旨のものであることを御理解いただければと思います。
 いずれにしても、詳細は事務方から説明させます。
(問)現在、与野党で進んでいる賃料の支援について伺いたいのですが、自民党は岸田政調会長を中心にテナントを直接支援するお考えで、野党側は賃料を政府系機関が立て替えるというような方針です。具体的な対象の線引きや予算措置など課題も多いと思いますが、政府としては足並みをそろえていくお考えなのか、それとも当面は小口融資や持続化給付金、納税猶予などでフォローしていくようなお考えなのでしょうか。よろしくお願いします。
(答)今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、さまざまな事業体の方が本当に大きな影響を受けておられます。特に飲食店の皆さんは非常に厳しい状況にあるということは連日報道されておりますし、私も飲食の関係の方からさまざまな御提案もいただいておりますし、切実な声を伺っているところであります。家賃の支払いにも苦労されているということで、本当に切実な思いをしておられると思います。政府としても、これは大きな課題だと認識しているところであります。
 与野党で、それぞれさまざまな検討が進められていると承知しております。岸田政調会長とは昨日もお会いしましたし、しっかりと意思疎通を図っているところでありますけれども、与野党の協議については、現時点ではコメントは差し控えたいと思います。
 政府としては、切実な課題であるということを認識した上で、テナントに入っておられる飲食店の方々に対しては持続化給付金200万円、100万円、これは5月の連休明けにも、できるだけ早いタイミングで支給できるようにしたいと思っておりますし、実質無利子・無担保の融資制度、あるいは公共料金や納税の延納といったこと、それから、従業員の方々に対しては、パート・アルバイトの方も含めて雇用調整助成金を拡充してきております。あわせて、家主の方に対して家賃の支払い猶予等の対応を国土交通省からも要請させていただいているところであります。
 他方、家主の方も売り上げの減少などで困っておられる方もおられると思います。家主の方に対しても、この持続化給付金の対象になりますので、賃料などで売り上げが落ちた場合には、200万円、100万円の対象にもなります。
 また、固定資産税について、今年度はお支払いしていただく必要はありません。今年度分の支払い猶予、来年になるわけですけれども、来年度分について、収入が落ちた場合に減免がございます。2分の1、あるいはゼロになるということでありますので、そういった制度。あるいは、欠損金、赤字が出た場合に、去年お支払いいただいた税金の還付、それから、家賃の支払免除等によって生じた損失の損金算入などございます。当然、公共料金、納税の延納もありますし、金融機関に対する既存の債務の返済猶予も強く要請してきているところであります。
 家主の方の収入が落ちた場合に、こういった制度も活用できますので、ぜひ、活用していただいて、何とか苦しんでおられる方々に対して、金融機関、そして家主の皆さんを含めて、しっかりと支援しながら対応していきたいと思っております。それでも切実な声があることは承知しておりますので、しっかりと与党とも意思疎通を図りながら対応してきたいと考えております。
 小さなお店であれば、この持続化給付金でかなりの部分対応できるのではないかと思うのですが、支給が5月になることもありますので、その間のつなぎ融資などは金融機関にしっかりとお願いしたいと思いますけれども、より規模の大きな、10店舗、20店舗を持っておられるような企業もあると思います。こうした企業に対して、先ほど申し上げた地域経済活性化支援機構、REVICのファンド、あるいは中小機構、日本政策投資銀行もファンドを持っておりますので、こういったところを活用しながらしっかりと支援を行っていきたいと考えているところであります。
(問)REVICによる支援の部分で、基本的なところの確認になるのですけれども。現状では中堅企業への支援ができない枠組みになっていると思うのですが、どこをどうすればこれが可能になっていくのかというところと、これは当然、家賃を支払わなければいけない事業者に対する家賃の融資のようなことも念頭に置かれての枠組みになるのでしょうか。そのあたりのイメージがありましたらお願いします。
(答)REVICは、金融機関との調整、いわゆる事業再生も行うことができます。債権買い取りや支出融資など、個別の事業体に対してハンズオンでさまざまな支援もできます。これも過去84件、これまでに実績がございます。
 他方、地域の金融機関と協力してファンドをつくってきております。先ほど申し上げたように、現在9つのファンドがございます。このファドは幾つか種類があるのですが、主として去年、一昨年のいろいろな災害に対して災害復興を行っていくためのファンドでありますので、その規約の改定を行っていただいて、そして今回の新型コロナウイルス感染症の対応にも使えることにしていく必要があります。
 このことについて今、それぞれのファンドを一緒に作っている各地域の金融機関と調整して、規約の改定を進めているところであります。
 ちなみに、さまざまなファンドがありますけれども、過去の実績で言いますと、投資実行は733億円ありまして、300件近い企業にこれまで投資を実行してきております。こういったファンドを通じて、これは地域の金融機関と協調してやっておりますので、それぞれの地域の実情を見ながら、中堅企業に対してしっかりと支援していければと思っております。
 また、日本全国を見渡して、こういったファンドがない地域もありますので、これは地域の金融機関と急ぎファンドを設立すべく、全国をカバーできるように行っていきたいと思っております。
(問)今のREVICの件で教えていただきたいのですが、現行の法体系ではREVICの支援出資決定期限は2021年3月末になっていると思いますが、この期限は延長されるお考えでよろしいでしょうか。
(答)そこまでまだ議論しておりませんが、まずはこれまでの規約を変更して、あるいはないところはファンドを設立し、新型コロナウイルス感染症で影響を受けている中堅企業、地域の企業にしっかりと支援が行えるようにしていきたいと思っております。

(以上)