西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年4月20日

(令和2年4月20日(月) 17:36~17:55  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 まず、本日、今月7日に決定いたしました新型コロナウイルス感染症緊急経済対策につきまして、16日の安倍総理のご指示を踏まえまして一部変更し、改めて閣議決定いたしました。
 具体的には、緊急事態宣言のもと外出を自粛し、人と人との接触を最大限削減する必要がある中で、人々が連帯して一致団結し、見えざる敵との戦いという国難を克服しなければならないことから、これまで生活に困っている世帯に対して30万円の給付を行うとしていたものを、一律に一人当たり10万円の給付を行うと改めたところであります。
 これに伴いまして、対策の規模についても9兆円近く増加し、財政支出は39.5兆円から48.4兆円、事業規模は108.2兆円から117.1兆円となりました。
 今回の変更の対象ではありませんけれども、メニューについては後ほど御説明いたします。
 いずれにしましても、国民の皆様に必要な支援が一刻も早く届くよう補正予算を編成し、国会に提出、そして早期の成立を期したいと思っております。
 それから先ほど、事業環境改善のための関係府省庁連絡会議を開催いたしました。
 現在、「世界で一番企業が活動しやすい国」の実現に向けて、2020年までに世界銀行の事業環境ランキングにおいて先進国3位以内を目指すというKPIを掲げています。
 日本の順位は、2013年に先進国15位でありましたけれども、16年に26位まで下落し、19年に18位まで向上したものの、新たな目標とさらなる取り組みが必要であります。このため、新たなKPIとして、2030年のG20の国の間で1位、G20内で1位という目標を掲げて、KPIを掲げて改革を断行することといたしました。
 ポイントだけを申し上げますと、第一に、テレワークの壁ははんこと言われておりますけれども、はんこのない会社が設立できるように、実印である会社代表者印の登録を不要とする改正商業登記法を来年2月目途で施行しますので、これによって、はんこを当たり前とする我が国の商慣行を変える契機としていきたいと考えております。
 第二に、法曹界、企業の法務部門を対面・書面というルールで縛りつけている民事訴訟を変えていきます。現在、民事訴訟法改正に向けた検討が進められているところでありますが、法廷に当事者が出頭しない非対面の裁判を、早ければ2023年度に実現し、2025年度にはオンラインでの訴訟提起などを実現することを目指します。
 第三に、不動産登記取引のオンライン化、ペーパーレス化に取り組んでいきます。不動産取引における書面交付、対面、記名、押印に関する今後の取り組み方針はしっかりと検討していきたいと考えております。
 それから、東北経済連合会、仙台経済同友会とのテレビ会議でありますが、本日私からは、もう御案内だと思いますが、一番下のところがそれぞれ宣言前の1月末から2月までの平均で、休日でありましたので休日と比べていますが、東北でまだ4割、5割、仙台では67%削減ということで、一層の人出を減らす御努力をお願いしたいということ。
 それからもう一つ、次の資料ですけれども、娯楽関連施設や公共交通機関はもう減っているのですが、公園につきまして、これは公園なのですが、4月11日でまだ全国の宣言の前ですけれども、東北はもう真っ赤になっていまして。おそらくちょうど桜の季節だったのではないかと思いますけれども、このような状態が続きますと、都市部から東北への人の移動、あるいはそれぞれの県内での人の移動によって、観光地に人が殺到して、そこで感染が広がる恐れもありますので、そのお願いをさせていただきました。そして同時に、テレワークなど出勤者を7割減らす御努力も改めてお願いしました。
 それと同時に、医療マスクのN95と同等のDS2のマスク、あるいは医療用のガウンと同等の規格のガウンが産業界にもあるということで、地域の経済界の皆様にも、そうしたものの提供をお願いしていただけるようにお願いしたところであります。
 海輪会長からは、東北地方のまさに震災があり、そして去年の台風がありという中での今回の事情ですので、財政支援について、あるいは雇用調整助成金の手続をより早くして欲しいと、早急な支給について、それから大山会長からは、マスクを増産されるというお話、そして県内の会員企業の様子、ホテルや旅館などの様子、状況についてお話を伺いました。
 いずれにしても、政府・自治体・産業界が一体となって、そして国民お一人お一人の努力の積み重ねで、全体として8割削減を実施し、収束に向けた道筋をぜひつけていきたいと考えておりますので、さらなる御努力をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大臣からお話がありました、30万から10万に変更したという10万の給付なのですが、報道等では手挙げになるのかどうなのか。どういう仕組みで、どういう人に、どういった手続で支給されるのかがまだはっきりしないのと、実際に時期はいつぐらいが目処なのか、この点も改めてお願いできますでしょうか。
(答)手挙げ方式というのは何を指すのか不明なところがありますけれども、今から申し上げることを御理解いただければ、いわゆる手挙げ方式ではありません。このことを申し上げたいと思います。
 実務につきましては、総務省を中心に今検討を進めているところでありますけれども、まず、全国統一の基準日を決めます。その日の住民基本台帳にある方。全国統一で決めないと移動がありますので、ある日を決めて、そこに記載されている方について申請書を郵送することになります。したがって、市町村から送られてくるというのが最初の手続であります。ですので、最初に手を挙げていただくということではありません。
 そして、その上で、その申請書に口座番号を書いて送り返していただければ、それに基づいて確認した上で口座に振り込まれるということになります。
 ですので、まずは市町村から皆さん、これは重複があってはいけませんし、それから漏れがあってもいけませんので、住民基本台帳でしっかりと確認させていただいて、市町村の側から国民の皆様に通知が行きます。申請書が届けられます。そこで、それに基づいて口座番号を書いて返送していただくという手続になります。
 したがいまして、自分は要らないという人は、その段階で口座番号を書かなければ、書いて送付することをしなければ、振り込まれることはありません。そういう手続を想定して今、総務省を中心に制度設計を急いでいるところであります。
 あわせて、マイナンバーカードもお持ちの方には、マイナポータルからオンラインでのそうした申請もできるようにすることも今、考えております。
 もちろん、いろんな事情があると思いますので、個別に市町村の窓口に来られる方も、もちろんいろんなケースがあると思いますので、そこはそういったことも考えていきたいと思いますけれども、皆さんが窓口に殺到されるとかえって時間がかかってしまいますし、それから感染拡大にもつながってしまいますので、基本的には郵送で、あるいはオンライン申請でということで今、調整を、制度設計を急いでいるところであります。
 その上で、まずは補正予算をしっかりと組んで、これを国会に提出し、そして野党に協議していただきながら、協力も得ながら何とか早期成立を目指して、我々としては全力で取り組んでいきたいと思います。
 その上で、市町村を通じての給付となりますので、市町村議会を開く必要が出てくるかと思います。市町村長によっては専決処分でやると言われている市町村長もおられるようでありますし、そうするとしても市町村議会の協力を得ると思いますので、市町村議会の協力を得られるように、市町村の協力を得られるように、我々は最大限の工夫をしながら、市町村会と調整もしながら、できるだけスムーズに手続が行われるようにしていきたいと思います。何とか5月中に支給が開始できるように、できるだけ多くの人に届いていくようにしていきたいと思いますので、急ぎ制度設計し、市町村会との調整も併せて急いでいきたいと考えております。
(問)現金給付についてなのですが、対象を絞った30万円の給付を一律10万円に変更したことで、感染症拡大の防止や生活の観点からどういった効果の増大が期待できるのか、御見解をお願いします。
 あと、もう1点なのですけれども、先日、経済対策の効果でGDPを最大3.8%程度押し上げるという試算を出していますが、これは今回の増額で上振れる可能性があるのか、御見解をお願いします。
(答)1点目につきましては、当初から給付については様々な議論を総理、あるいは関係省庁ともしてまいりました。当初にも一律に給付した方がいいのではないかという声もございました。しかしながら、我々政治家もそうですし、公務員には給付する必要がないのではないかと、収入が減っていないではないかという議論もありました。そうした中で、より厳しい人により多く重点的に給付しようということで30万円の案を作らせていただいて、それで提示させていただいたのですが、しかしながら、やっぱり要件を決めるものですから、収入がかなり減少していても対象にならない人も出てきます。そういう世帯も出てきます。そうした中で、やはり不公平ではないかという御批判も、声もいただいてまいりました。
 他方、全国で感染が広がる中で、先ほど申し上げた公務員の方にしても、それぞれの市町村で感染拡大を防止するために必死で奮闘しておられる、あるいは家計の支援、中小企業者の支援に奮闘しておられる方もたくさんおられます。また、本当に感染リスクを負いながら、医療の現場で1人でも多くの命を救おうと頑張っておられる医療従事者の皆さんや、まさに我々の日ごろの日常生活を支えてくれているスーパーの従業員の方や物流を支えてくれているトラックの運転手さんや、様々な方がそれぞれの立場、持ち場、持ち場で必死でこのウイルスと戦っているわけでありまして。そういう観点から、もう国民全てに、そしてもらえる人、もらえない人が出る、そういう分断を招くのではなくて、もう全ての人がこのウイルスと戦っている、まさに国民が連帯して、一致団結してこの国難を克服しなければいけないという中で、安倍総理が全ての方にお一人10万円という給付にしようという御判断、決断をされたものと思いますし、私はこの判断を、指示を受けましたので、私もこれは賛成して直ちに制度設計をしますと、組みかえますということで今、作業を急いで経済対策になっているわけであります。
 そういう意味で、より多くの人に、戦っておられるそれぞれの人の安心につながっていくと思いますし、そうした大変な御尽力をいただいているその御苦労にも報いることにもなると思います。
 世帯がお二人、3人いれば20万、30万ということになりますので、これまでとあまり変わらないことになります。お一人で30万円を期待されていた方には少し減ってしまいますけれども、本当に厳しい方には、今日から住居確保給付金という形で、都内であればお一人で5万円強だと思います。御家族であれば6万円とか、そういった支給もできる仕組みもあります。緊急小口資金という20万円の資金もありますので、様々なお一人お一人のそうした御相談に応じながら対応していければと思っています。
 そして、それに伴って予算が増額に、財政支出も増額になりますので、当然効果は大きくなるものと思いますけれども、これにつきまして改めて試算を今行って精査しておりますので、できるだけ早くお示ししたいと思っています。
(問)軽症者向けのホテルについて1点お伺いしたいのですが、昨日、大臣は軽症者向けに全国でホテルを21万室確保されて、このうち6,000室は契約が整ったとおっしゃっていたと思うのですが、この確保と契約の違いや、もう少し詳しい調整状況を教えていただけますでしょうか。
(答)全国でホテルを提供してもいいとおっしゃっていただいている事業者の方々の部屋数を合計すると、昨日の時点で21万室を超えるとなっています。これは借り上げることになりますので契約をしていかなければいけません。そうした条件が整っていること。それから、そこに入られた後にお世話をする方もいます。食事を提供していただいたり、それから医師、看護師といった方。必ずしも、軽症の方ですと無症状の方が多いですので、医師が常駐する必要があるかどうかも含めて、そこはありますけれども、看護師さんにはいていただくことになると思いますので、そういった体制が整っているかどうか、こういったものも。それから、そもそも県によっては、まだそこまでのニーズがない県もあります。ですので、そういった状況を一つ一つ確認していきますと、今、6,000ぐらいの部屋が入れる状態、提供できる状態になっているということであります。
 これは毎日、各県とホテルの間を我々はつないでおりますし、軽症者については自宅にいていただくこともあり得るのですが、自宅だと家族への感染リスクもあります。それから、お一人暮らしであれば、スーパーに行くのもやはり感染を拡大するリスクもありますので、部屋にいていただかなければなりませんので、生活していくにも不便もあると思いますので、ホテルに入っていただくということで。
 東京都、今日は小池知事ともお話ししましたけれども、まずホテルに入っていただくことを原則としながら進めていきたいということで、私はそうしていただいて結構ですということを申し上げております。
自宅にいることによって、家族や、また、周辺の人に感染リスクが広がることがありますので、無症状・軽症者の方にはホテルに行っていただくということで、しっかりと部屋数、そして条件を整えて提供していけるようにしていきたいと思います。
 そうした費用については、感染症の包括支援交付金で対応していくことになっておりますので、しっかりと財政面でも各都道府県の対応を応援していきたいと思っております。

(以上)