西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年3月17日

(令和2年3月17日(火) 9:06~9:25  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。先程の閣議におきまして、新型コロナウイルス感染症対策本部について、新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する事務を担当する国務大臣を副本部長に加える改正が決定されました。今後、担当大臣として、そして対策本部副本部長として引き続き関係大臣と連携しながら、この感染拡大防止に、そして早期終息に向けて全力で取り組んでいきたいと考えているところです。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)まず、2点質問があるんですけれども、1点目が、米国が緊急的に金利を1%下げて、日銀も金融政策決定会合を前倒しして、各国が前例のない金融政策や運用を講じているにもかかわらず、金融市場の混乱が収まりません。特にアメリカの株が過去最大の下落をしたということでこの受止めと、日経平均も本日続落して始まりましたけれども、日本経済への影響についてどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)昨夜、ニューヨークダウは3,000ドル近く下落をすると、世界的にマーケットが大きく変動しているということは承知をしておりますが、金融市場や株価の水準そのものについてのコメントは差し控えたいと思います。
 その上で、新型コロナウイルス感染症が感染拡大をしているということで、そのことに対する不透明感を反映しているんだろうと思います。他方、各国政府及び中央銀行では御指摘のように様々な対応がとられているところであります。昨晩にはG7首脳によるテレビ会議において、経済の影響に力強く対応していくということが確認されました。引き続き感染拡大による世界経済への影響、これを注視しながら各国とも緊密に連携して対応していきたいと思います。
 昨日、私も日本銀行の金融政策決定会合に出席をいたしました。政府、日銀の間で強い危機感を共有し、緊密に連携していくことを確認できたと思っております。引き続きしっかりと連携しながらこの難局に立ち向かっていきたいと考えているところであります。
(問)もう一点なんですけれども、経済対策として消費税減税を求める声や企業の設備に掛かる固定資産税を軽減する案が検討されているとの一部報道もありますけれども、減税策について大臣はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。よろしくお願いします。
(答)まず経済への影響からいうと、感染拡大防止を一日も早く早期に終息させること、これが何より大事であるということでありますので、当面様々な御不便をお掛けしておりますけれども、イベントの自粛などをお願いしているところであります。
 他方、そうしたことに伴う資金繰り、雇用維持、そして生活を守るということを当面最優先に全力でこれは取り組んでいきたいと考えているところであります。既に実質無利子無担保の特別貸付制度が本日からスタートしますけれども、1月29日に遡って適用するということでありますので、こうしたものを活用いただいたり、あるいは返済猶予や条件変更、これも民間金融機関などにお願いしているところでありますので、柔軟に対応していただきたいと思います。
 それから雇用調整助成金、これも1月24日以降に遡って拡充しているところでありますので、これも活用していただいて何とか雇用の維持ができるように支援をしていきたいと思っております。
 それから、併せてフリーランスや非正規の方々など生活維持が厳しくなってきている方々に対して、返済免除要件付の個人向けの緊急小口資金の特例を創設したところであります。2人以上の世帯で言えば最大80万円、それから子供の休校と関係ない単身のお一人の方でも最大55万円を支援するということでありますので、こういったことを活用していただきたいと思いますが、この点については生活をしっかり守っていくということから更なる支援の拡充を、これについて今週中にまとめて、時期を失することなく実施をしていきたいと考えているところであります。
 その上で、影響がどの程度広がるのか、いつ終息するのかということを十分見極めながらでありますけれども、一つは今、仕事が少ない時期、この間に回復した後の備えての投資をしていく。仕事が少ない間にいろいろ工場内を整理して新たな投資をしていくということもできると思いますので、これは補正予算で成立しました3,600億円の中小企業向けの生産性革命補助金、これを通じて支援をしていきたい。少ない時期に次へのステップをじっくり考えていただくということにできれば。
 さらに、もう少し中長期的な回復した以降になると思いますけれども、今回のマスクの8割を中国に依存していた、あるいは汎用品であっても部品が一つ来ないゆえに自動車はじめ生産が止まるといったことがありますので、サプライチェーンの多重化、多層化、これを国内回帰も含めてでありますけれども、より強固なサプライチェーンの体制ができるように支援をしっかりしていきたいと考えているところであります。
 さらに、事態が終息した後に、観光、消費の喚起、これを相当思い切ったことをやっていきたいと考えているところでありますし、また今回の様々な経験でテレワークであるとか、あるいはオンライン教育の必要性、こういったデジタル化、リモート化、これについても応援をしていきたいと考えているところであります。
 いずれにしましても、機動的に必要かつ十分な経済財政政策を実行していきたいと考えているところでありますけれども、前例にとらわれることなく、マクロ経済のインパクトに見合うものを思い切った対応策を考えていきたい。その際には税、財政、規制改革、その全てについて幅広く検討を考えていきたいと思っておりますが、消費税については様々議論がありますけれども、全て社会保障財源に充てております、幼児教育、保育の無償化にも充てておりますので、そういった面から必要であるということを踏まえた上で、税、財政、規制改革、その全てについて幅広く検討していきたいと思いますし、正に前例にとらわれることなく、このインパクトに見合うだけの対策をしっかりと考えていきたいと思っております。
(問)春闘について伺いたいんですけれども、トヨタのベアゼロなど厳しい回答が続き、先週連合が発表した第1回集計でもベアと定昇合わせて7年ぶりに2%を下回る1.91%になりました。厳しい結果となったことの受止めと、今後も政府として経済界に賃上げを呼び掛け続けるのか、今後の対応について伺わせてください。
(答)先週、連合において、この春季の労使交渉に関する第1回の回答集計が公表されたということで承知をしております。
 御指摘のように、現在までに公表されたものでいえば、経済界として賃上げのモメンタムの維持を掲げる中にあって、成長と分配の好循環を実現する観点から賃上げの要請をしてきた私の立場から見ると、力強さに欠けるところもありますが、多くの企業で7年連続でベアを実施するとの回答がなされるなど、個々の経営者としての苦渋の判断をされているのかなという印象を持っております。
 私の立場でいえば、この新型コロナウイルス感染症による影響が相当程度顕在化し、先行きに不透明感がある今だからこそ、この経済の下押しリスクを乗り越えるためにも引き続き賃上げの流れを継続していくことが大事だと考えております。
 政府としては、引き続き賃上げしやすい環境を整えるということで、先程申し上げたように、この終息の時期を見極めつつでありますけれども、このインパクトに見合う思い切った対策を考えていきたいと思いますし、また、先程も申し上げましたけれども、中小企業向けには3,600億円の生産性革命を続けていく、生産性を上げていくための支援もあります。こういったことを継続的に支援していきたいと思いますし、また、梶山大臣と私が中心となって産業界、労働界の代表の皆さんも参加していただく未来を拓くパートナーシップ構築推進会議を設置し、できれば4月にでもと思っておりますが、開催をして、下請企業の取引条件の改善に資する環境の整備に取り組んでいきたいと思っております。
 今後、中小企業を含め幅広い交渉が進んで回答が出されていくと思いますけれども、引き続き労使の建設的な交渉をなされて、その結果には期待をしたいと思っているところです。
(問)2点あるんですけれども、週末のテレビで西村大臣、今回のコロナショック、もしかしたらリーマンよりも大きくなるかもしれないとおっしゃってたと思います。麻生大臣を含め、リーマンとは違うというふうに表現される方が多い中で、特に何を御心配されてそう発言されたのか説明をお願いします。
 二つ目は財政なんですけれども、先週、西村大臣に政策提言された安藤裕先生とか、今回の有事ではプライマリーバランスの目標達成も少し凍結すべきではないかとか、あとは消費減税に合わせて国債発行も実施すべきではないというようなお考えなんですが、西村大臣としてどの程度、どういうところに評価、賛同されているのか、お願いします。
(答)まず、最初のリーマンショックとの比較についてでありますけれども、新型コロナウイルス感染症については、今、世界50か国以上で全国規模の臨時休校が実施をされ、またイタリア、フランスなどで商店の営業が禁止されるなど、WHOが表明したとおり、まさにパンデミックの状態になってきていると、世界経済全体に大きな影響を与えてきております。こうした中で、我が国の経済へも厳しい影響が出てきているところであります。
 以前に御紹介しましたけれども、景気ウォッチャーの2月の調査で、現状判断DI、先行き判断DI共に大幅に低下をして、これは正にリーマンショックのとき並みの水準になっているということであります。
 こうした状況については、そしてマインドについては、もう明らかに新型コロナウイルス感染症の影響によって極めて厳しい状況に急速になってきておりますし、リーマンショック並みのそういうマインドになってきているということであります。
 3月に入ってからも、もう既に公表されている数字で、大手百貨店3社の平均、3月前半の売上げは前年比38%減でありますし、インバウンドは平均で、2社の平均かな、これは94%減ということであります。このコロナウイルス感染症の影響が長引けば、一段と厳しい状況になってくるということを懸念しているところであります。
 そうした中で、先程申し上げたように、機動的に必要かつ十分な経済対策をしっかりと考え、実行していきたいと思っているところでありますし、正にマクロ経済におけるこのインパクトに見合うものをしっかりとやらなきゃいけないと思っているところであります。
 リーマンショックのときと今の状況についての比較については、よく整理をしたいと思っていますけれども、当然状況は違います。当時は金融のショックあり、破綻があり、そこから資金が回らなくなって、そして実体経済に影響を及ぼすということでありました。今回は、金融は非常に緩和した状態でありますし、大企業は内部留保も積み上げております。
 他方、今回はこの感染防止のために実体経済をある程度止めていくという政策を各国とも取っているわけでありまして、実体経済の方から、今度は金融の方に影響が出てくるんではないかという懸念がされているところであります。
 また、当時と比べてサプライチェーンのこの進化というかですね、各国との依存度、この関わりはよく深くなっておりますので、そういった意味で、この実体経済を止めること、当然、感染拡大を止めるには経済の活動を止めていかないと、人が動いている限り感染が拡大していくわけですので、この動きを止めるというのは当然やらなきゃいけないことだと思いますけれども、これに伴って今度は金融の方に資金繰りの方に、資金の方に影響が出ると、実体経済から金融の方に影響が出るということが懸念されているわけであります。
 そうした中で、私は昨日、日銀の決定会合に出ましたけれども、日本銀行で民間金融機関に対する資金の供給、正に我々が、今政府がしっかりやろうとしている中小企業を中心に資金繰りをしっかり支えていこうとやっていることに対して、日本銀行の方で企業金融の円滑化に向けて、そして、さらには金融システムの安定に向けて、金融の安定化に向けて昨日決定されたということでありますので、このことは評価をしておりますし、引き続き日本銀行と政府でしっかりと連携をして、この難局に立ち向かっていきたいと考えているところであります。
 したがって、当然、リーマンショック時の経済の状況と今の状況は違いますけれども、また経路も経済における影響の伝わり方も違いますけれども、しかし、インパクトは景気ウォッチャーを始め様々なところで、今回の株価の変動もそうだと思いますし、ありますし、これは長引けば長引くほどより厳しい影響になってきますので、そうしたことを十分頭に置きながら必要十分な対策を、繰返しになりますが、前例にとらわれることなくしっかりと考えていきたいと思っております。
 先程も申し上げましたけれども、消費税については、全額を社会保障費に充てることになっておりますし、特に幼児教育・保育の無償化ということを全世代型社会保障改革の第一歩として進めているところであります。子育て世代の負担軽減にもつながっておりますので、そういったことを頭に置きながらではありますが、今回これだけの影響は出ておりますので、税、財政、そして規制改革、規制も含めて幅広く、これはもうしっかりと議論をして必要な対策を講じていきたいと思っております。
 そうした中で、今プライマリーバランスをどうするという話を、そういうことを考えるときではなくて、今はとにかく経済をしっかり立て直すために必要なことを全部やるということだと思いますので、そうした議論は今なじまないと思いますし、必要なことをやるとなれば、これは必要な財源はしっかりと財務省において考えていただけると思っております。

(以上)