西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年3月10日

(令和2年3月10日(火) 8:48~9:02  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案」を閣議決定いたしました。
 この法律案は、新型コロナウイルス感染症の発生及びそのまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えることが懸念される状況に鑑みて、新型コロナウイルス感染症を暫定的に、新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定する新型インフルエンザ等とみなし、同法に基づく措置を講ずるものであります。
 今が正にこの感染症を終息させる上で大変大事な時期であります。新型インフルエンザ感染症による国民生活や経済に及ぼす影響を最小化すると、最小限になるように本法案の早期成立を期してまいりたいと思います。
 この法案で緊急事態宣言など出せる、そして様々な措置が取れることになっておりますけれども、いざというとき、万が一に備えてこうしたことを準備するものであります。
 私としては、そういう事態にならないことを望んでおります。正に伝家の宝刀であり続けてほしいなと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)新型コロナウイルス感染症拡大の影響への懸念が広がって、日米を始め世界で記録的な株価の下落が起きています。円高も進行しています。こうした急速な景況感の悪化をどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
 あともう一点が、昨日発表したGDPの2次速報では、もう既に2019年の7-9月期からかなり弱い動きになっているということが確認されました。2月の景気ウォッチャーでも、新型コロナの影響が地域経済に及ぼしている影響も確認されました。日本の景気は、現時点でも緩やかに回復しているという認識に変わりはないのか、よろしくお願いします。
(答)まず、マーケットの状況ですけれども、昨夜ですね、日本時間で、ニューヨークダウが2,013ドル下落したということを始めとして世界的にマーケットに非常に大きな変動が起こってるということは承知を致しておりますが、こうした市場の日々の動きについてはコメントは差し控えたいと思います。
 その上ででありますが、最近の金融資本市場の変動の背景には、当然この新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が市場参加者の心理に大きな影響を及ぼしているということだと思います。こうした変動が実体経済に与える影響について、これは緊張感を持って見ていきたいと考えております。
 それから、GDPの7-9月期と、それから景気ウォッチャーの話もございました。
 まず、7-9月期の実質GDP成長率が2次QEによってプラス0.1%から0%になりました。これは、10-12月期の法人企業統計の公表によって、過去の系列も含めて季節調整を掛け直すという、ある意味、技術的な改訂でありますけれども、それによって数値が更新されたことによります。
 7-9月期については、設備投資がプラス0.5からプラス0.2ですね、下方改定等したことによります。
 なお、消費については、これを見ていただきますと前期比0.5%と、1次QEと同じ数字であります。これまで言い続けてきておりますけれども、前回の消費税率引上げのときほどではないけれども、一定の駆け込み需要があったと見ております。
 その上で、先程のマーケットもそうですけれども、足元では新型コロナウイルス感染症の世界的な感染の拡大が日本の経済にも相当大きな影響をもたらしてきていると認識をしてます。
 景気ウォッチャーの調査も、正にその消費税率が引き上げられた10月に9.7ポイント低下をしたわけですけども、その後11月、12月、そして1月と徐々に消費税率引上げの影響が薄らいできて改善が見られてきた中で、こうしたコロナウイルス感染症の発症があって、感染拡大があって、2月の調査では、現状判断DI、先行き判断DI共に大幅に低下をしております。
 もう御案内のとおり、飲食、小売、サービス等から厳しい状況が伝えられております。そうしたコメントが寄せられております。
 また、こうしたことを踏まえて、3月の地域経済動向では、1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の影響が生じてきておりますので、足元では消費や生産に弱さが見られるということで、全ての地域で下方修正をしたところであります。
 こうした状況で、新型コロナウイルス感染症の影響によって景況感が急速に厳しい状況になってきていると認識をしております。こうした状況が長引けば、先行きは一段と厳しいものになるということが懸念されるわけであります。
 本日、緊急対応策第2弾を決定いたしますけれども、今後もこの内外経済への影響をしっかりと見極めて、必要かつ十分な経済財政政策、これを躊躇なく行っていきたいと考えているところです。
(問)先程決定されました新型インフルエンザ等対策特別措置法についてお尋ねします。法案にある緊急事態宣言によって私権が制限されるということで、これ、与野党双方からこの点懸念が出てるんですけれども、審議を通じて、大臣、こういった懸念にどう答えていかれるおつもりでしょうか。
(答)御指摘の緊急事態宣言でありますけれども、現行の新型インフル特措法と呼びますけれども、ここでは二つの要件が書かれてまして、一つは、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある新型インフルエンザ等が国内で発生し、そして、その全国的かつ急速なまん延によって国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある事態が発生したと認めるときに、緊急事態宣言を発出することになっております。
 他方、法第5条で、これは法律全体に係わる条文でありますけれども、国民の自由と権利を尊重する観点から、私権の制限は、新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならないとする配慮規定がございます。これ、大変大事な規定だと思っております。
 こうしたことから、先程申し上げた緊急事態宣言の要件に該当するかどうかの判断に際しては、専門家の御意見を伺うということも含めて、私権等の制限を十分配慮して適切に判断が行われるようにしていきたいと考えております。
 先程も申し上げましたけれども、その大前提として、感染が拡大しない、これを防げることが何よりでありますので、いざというときに備えてのこうした今回の法律改正をお願いするわけですけれども、私としては伝家の宝刀であってほしいなと、終息に向けて進んでいくことを期待したいと思いますし、そのために全力を挙げていきたいと考えております。
(問)終息に向けて期待されていくというのはそのとおりだと思うんですけれども、昨日はプロ野球の開幕の延期とかもあって、あと、WHOの方で、パンデミックの可能性を否定できないというような声明も出ております。
 その東京五輪・パラリンピックについても、NHKなどの世論調査で、45%ぐらいの方ができないかもしれないと心配されているという現実があると思います。仮に延期・中止の場合、そこは政府としてどういう対応、あと、経済的にはどういう対応をしてくださるのか、ちょっとその今お話しできる範囲でお願いします。
(答)まず、東京オリンピック・パラリンピックが中止とか延期とかということは、現時点で全く考えておりませんので、そうなった場合とかということを何か検討している事実は全くありません。私のところで何かそんなことを検討していることは一切ありません。
 他方、ヨーロッパでも感染者が拡大しておりますし、アメリカでも増えていることを認識をしております。各国はそれぞれ全力を挙げて感染拡大の防止に取り組んでいるところだと思いますけれども、これは外務省なり厚労省なりで現場で対応してくれていると思いますが、各国連携をしながら、この封じ込めに十分意思疎通、情報共有しながら進めていければと思います。
 様々なイベント自粛を国民の皆様にお願いをしておりまして、本当に大きな不自由、不便をお掛けしていると思いますし、様々な影響も出てると思います。これは何とか早期に終息させるためということで是非御理解を頂いて、この生じている影響については、本日決定をする第2弾の緊急対応策の中でもしっかりと盛り込んでおりますし、今後も状況をしっかり見極めつつ、必要な政策はしっかりと対応していきたいと考えているところです。
(問)緊急事態宣言に関してお伺いします。先程のお話からそうだと思うんですけども、まず、大臣の認識として、足元の状況で、緊急事態宣言を出す状況にはまだないというお考えでしょうか。
 また、具体的にどのような状況になったら、実際に出すことが検討されるステージになるとお考えでしょうか。
(答)まず、日々いろんな状況は変わっておりますので、この状況に当たるかどうかということは、先程申し上げたように、私権の制約を伴う措置を講ずる可能性がありますので、そういう意味で、専門家の意見を聞いて適切に判断していくということを申し上げましたけれども、正に専門家の御意見をしっかりとお聞きをして判断をしていくということになると思います。
 先程申し上げた要件がありますので、これを、昨日も答弁しましたけど、なかなか定量的に示すのは難しいんですけれども、様々な感染の状況を含めて、いろんなデータは見て総合的に判断をしていくということになると思います。
 いずれにしても、専門家の見解をしっかりと聞いて適切に判断していくということになります。

(以上)