西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年2月25日

(令和2年2月25日(火) 8:35~8:50  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、出張に行ってまいりましたので、簡潔にそのことについて御報告を致します。
 2月22日に、新潟県見附市の取組を視察をさせていただきました。
 見附市は、住んでいるだけで健やかで幸せに暮らせるまち「スマートウェルネスシティ」づくりを推進しており、その取組の主要施設である「ウェルネスタウンみつけ」、「ネーブルみつけ」を訪問いたしました。
 これは、昨年末取りまとめた全世代型社会保障検討会議の中間報告でも、社会全体で予防・健康づくりへの支援を強化する必要性を指摘しております。今回の視察では、その先行的な取組を行っている現場の声を聞かせていただきました。
 見附市は、歩くことをまちづくりの基本に掲げて、何度でも足を運びたくなる施設をまちの中心部に作り、施設へは車を頼らなくて行けるように公共交通を整備するなど、自然と歩き、人との交流が生まれるような工夫を行ってきております。
 その成果と言えるんだと思いますが、後期高齢者医療費が新潟県内で最も低く、また、国民健康保険の法定外繰入れも7年間行っていない。また、介護保険の要介護認定率の低さも、ここ数年にわたって新潟県内で1、2位をという水準、認定率が非常に低いということであり、取組の成果を上げているわけであります。
 政府としても、来年度予算に保険者努力支援制度、介護インセンティブ交付金の大幅な増額を盛り込んでいるところであります。予防・健康づくりの取組を支援をしていきたいと思います。
 それから、昨日は福島県を訪問いたしまして、台風19号で決壊した谷田川の復旧状況、会津若松市で会津大学とスマートシティAiCT(アイクト)を視察を致しました。また、「ふくしま学びのネットワーク」の前川事務局長との人材育成、学びについての懇談、それから、福島の経済団体と意見交換を行ってまいりました。
 谷田川については、昨年の台風で大きな被害が出たところであります。堤防の決壊によって多くの住宅と事業所に浸水被害が発生をし、当面の応急復旧の工事は完了しておりますけれども、今後、阿武隈川本流に加えて、この支流も含めて、また改良復旧ということで、これまでよりも、より災害に強くなるよう河道の掘削あるいは堤防強化などの事業を進めていきたいということであります。
 それから、会津大学は、日本最大規模のデータサイエンティストを、1学年240人ということですが、育成する大学であります。大学発ベンチャーも公立大学では最も多い33社輩出しております。ICTの人材育成、産学官の連携の取組など意見交換をしてまいりました。
 また、スマートシティAiCT(アイクト)、これは会津若松市のスマートシティの取組についての意見交換を行ってきましたけれども、同意を得た市民からデータをもらって分析をし、また、それについてマクロのデータでアドバイスをしていくということで、例えばエネルギーのデータですね、これを提供した方には、その使い方を指導するということで、全体として27%の省エネ、エネルギー削減に成功するといった成果、データを活用した成果が上げられております。そして、このモデルを全国への横展開を目指しているということでありました。
 ふくしま学びのネットワークでは、東日本大震災を機に、福島で学習セミナーや地域実践学習に取り組んでおられて、地方における人材育成について意見交換をしたところであります。
 それから、福島の経済団体との意見交換ですけれども、新型コロナウイルス感染症の観光や経済への影響を懸念する声がございました。また、昨年の自然災害も含めて国土強靱化の継続の要望、それから、社会保険料の事業主負担など中小・小規模事業者への負担増加への支援、外国人観光客の誘客、インバウンド観光客の誘客強化への支援のお話、要望がございました。
 また、3月に開所する水素エネルギー研究フィールド、春に全面開所するロボットテストフィールドなど福島イノベーション・コースト構想への支援の要請あるいは期待感が表明されました。
 また、3月26日のJヴィレッジでの聖火リレーのスタート、朝の連続テレビ小説が福島出身の作曲家、古関裕而さんをモデルということで、福島に注目が集まる機会を捉えて復興をPRしていきたいというお話がございました。
 ちなみに、古関裕而さんは「六甲おろし」とか「栄冠は君に輝く」ですかね、甲子園には縁のある、私も非常になじみのある曲でありますので、そういったことの通じた福島の復興PRをしていきたいというお話がございました。
 いずれにしましても、様々な観点からそれぞれのお立場で御意見を頂きましたので、こうした声をしっかり受け止めながら、今後の政策運営に生かしてまいりたいというふうに考えております。
 また、今週末3月1日日曜日は、茨城県を訪問する予定にしております。
 具体的には、まず、医療機関ですけれども、統合・再編を経て地域の急性期医療を支えている医療機関を訪問する予定にしております。それから、同じく台風19号により被災し操業停止中の店舗、被災地を訪問いたします。そして、経済団体との意見交換を行う予定であります。
 新型コロナウイルス等の地域経済への影響、あるいは災害からの復興状況など、引き続き、時間の許す限り地方の現場へお伺いしながら、いろんな声をお聞きをしたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)私の方から2問ほどお願いします。
 まず1問目が春闘なんですが、大臣、先日の会見で、消費の先行きを占う上では、賃上げの流れの継続を一段と加速することが大きな鍵となると発言されてます。ただ、今年の春闘を見ますと、企業側の方の業績悪化への懸念が強いほか、成果重視を反映した賃金体系を探る交渉を進めるのであれば、賃上げ、賃金の底上げは期待できそうにない状況です。賃上げのモメンタムの持続、これはほんとに可能な状況なのか、大臣の所見を聞かせてください。
(答)正に今懸念が高まっております新型コロナウイルス感染症の流行でありますけれども、そうしたことを含めて先行き不透明感はありますけれども、賃上げについては、既に1月21日に経済界から大きな方針が示されております。いわゆる経労委報告でありますけれども、そこでは、モメンタムの維持に向け前向きに検討していくことを基本とすると。各社一律ではなく、自社の事情に応じてということでありますけれども、基本は、モメンタム維持に向け前向きに検討していくことを基本とするということが示されておりますし、また、諮問会議におきましても、中西経団連会長からですね、民間議員の中西議員から、「賃金引上げのモメンタムの維持が大前提」と御発言を頂いております。賃上げについて前向きに検討を頂いているものというふうに交渉を進めておられるというものであると承知をしております。
 経済の下振れリスクはありますので、それを乗り越えて持続的な経済成長を実現していくためには、下振れリスクはありますけれども、それを乗り越えて持続的な経済成長を実現していくためには、消費の拡大がやはり重要であります。そのためには、賃上げの流れの継続が今正に大きな鍵となっております。月例経済報告の場でも、この問題意識を私から申し上げました。不確実性が高まっている状況の中で、政府としては一歩前に踏み出す形で先般の経済対策に基づく賃上げしやすい環境整備に取り組んでいることとしたところでありますし、民間におかれても先行き不透明感はありますけれども、今年の春闘で是非前に踏み出していただいて、賃上げの流れが一層力強いものになることを大いに期待をしたいと思います。
(問)2問目です。週明けの24日のニューヨーク株式市場は、新型肺炎の感染拡大の懸念もあり、ダウが一時1,000ドルも超える急落をしました。日本の株式市場への波及も懸念されておりますが、大臣の受け止めを伺わせてください。
(答)海外の株価や日経平均の先物が大幅に下落をしていることは承知を致しております。金融市場や株価の水準そのものについてのコメントは差し控えたいと思いますけれども、その上で、一般論としては、新型コロナウイルス感染症は世界的に拡大をしていることから、金融資本市場への影響も含めて、その影響に十分注意する必要があると考えております。
 昨日の福島県での経済団体との意見交換でも、先程申し上げましたように、この新型コロナ感染症に対する経済、観光への影響を懸念する声が聞かれました。
 私からは、その場でも申し上げたんですけれども、まずは、中小企業・観光庁において、相談窓口を設置をし、きめ細かい相談を行っていること、特に資金繰りについては、緊急融資保証枠5,000億円を確保していること、それから、やむを得ず休業する場合に、雇用調整助成金というもので、中小企業の場合は休業手当を3分の2助成をする仕組みもあること、こういった政府の対応について御説明をしたところであります。
 やはりまずは感染防止、感染拡大の防止、これに全力を挙げることが重要であると思います。
 先般まとめました予備費103億円を含む緊急対応策を速やかに実行することが大事だと思いますし、観光業を始めとする経済への影響、これは十分注視をしながら、どの程度の影響が出てくるのか、こういったことを十分注視し分析をしながら、緊急度に応じて必要な施策を臨機応変に講じていきたいと考えております。
 併せて、これも繰り返し述べておりますけれども、補正予算が成立を致しましたので、これを迅速に着実に実行すること、これが中小企業対策もありますし、地域の経済対策も入っておりますので、地方経済を下支えすることになると思いますので、速やかに実行していきたいと考えておりますし、各省にお願いをしているところであります。
 併せて、今審議中の当初予算につきましても、予算案につきましても、早期の成立、大事だと思いますので、しっかりとそれに向けて努力をしていきたいと考えております。
(問)二つございます。
 週末の各社調査で、内閣の支持率ですね、支持率と不支持率、拮抗したり逆転したりしている例がありますけれども、御所見をお願いいたします。
 それから、米国の報道で、トランプ大統領が、日本から米国に帰国したチャーター機に乗ってた方に感染者が含まれてたことで激怒されたというような報道ありますけれども、これ、何かお聞きになっていることがあったり、その御所見があればお願いいたします。
(答)内閣の支持率につきましては、一定期間ごとに各社で調査をされ、報道されていると思います。それについては、一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、やはり支持率の方は高い方が有り難いわけですし、うれしいわけですし、また、その中身も政府の対応、特に私の場合は、経済政策への対応がどう評価されているのかというのは、当然評価をしていただいた方が有り難いわけでありますけれども、いずれにしても、今申し上げたように、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、現在、全力を挙げて取り組んでいるところでありますし、繰り返しになりますけれども、これまでこうした生きた施策、それから補正予算の実行、これを迅速に、着実に進めていくことによって、国民の皆様から信頼していただけるように経済運営には万全を期していきたいと考えております。
 それから、トランプ大統領がそのように発言をされたというような報道は接しております、承知しておりますけれども、実際にどう言われたのかは承知をしておりませんし、米国政府と日本政府のこの件に関するやり取りは私は承知をしておりませんので、コメントは控えたいと思います。

(以上)