西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年2月20日

(令和2年2月20日(木) 18:12~19:00  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 お疲れさまです。今月の月例経済報告について御説明を致します。
 お手元に資料があると思いますし、また後でパネルも使ってちょっと御説明したいと思いますが、もう御存じのとおり、GDP速報の結果を1ページ目に示しております。昨年四半期の実質GDP成長率がマイナス1.6%と、5四半期ぶりのマイナスとなったわけであります。消費、投資が弱かったわけですけれども、この消費と投資の動向について、あるいは新型コロナウイルスの感染症の経済的影響について、今日は御説明を致します。月例経済報告の閣僚会議でも説明を致しました。
 個人消費について、国会でも議論になったところでありますが、消費税率引上げ時点がこちらでありまして、2014年の第1四半期と第2四半期で、プラス2.0%の駆け込みがあり、その後、4.8%落ち込んでいるわけですが、今回、2019年は、この時点で第3四半期、つまり10月に引き上げたわけですが、駆け込みは0.5%、そして落ち込みは2.9%ということで、この赤のカーブより青いカーブの方が振れの幅が小さいことがお分かりいただけると思います。正に各種政策、軽減税率もありましたし、幼児教育・保育の無償化、それからキャッシュレスのポイント還元など、各種政策の効果もあって、一定の負担軽減につながったということから、今回の駆け込み需要は前回ほどではなかったという見方を変えておりません。この消費の動向でお分かりいただけると思います。
 次に、財だけではなくてサービスも見なくてはならないのですが、財とサービスの両方を含む家計調査の消費支出の動向を月次でみたものであります。個人消費についてでありますけれども、先程も駆け込みの前後の数字を見ていただきましたけれども、やはり消費者の皆さんに消費税の御負担、引上げをお願いしたわけでありますから、一定の負担の増にもちろんなっておりますし、消費者マインドにも影響を与えたのだと思います。
 そのために、家計調査でみますと、9月が9.5%増と非常に大きくなっているのですが、ここは対前年比でありますので、思い出していただけると、去年の9月は北海道の地震災害、近畿の台風被害もありましたので、去年がマイナス1.5%と非常に低い数字でしたので、その分、今年は前年比で高く出るということも御理解いただいた上で、次の10月の落ち込みは5.1%ということなんですが、ここは台風による影響、営業日数がかなり、東京もそうですけども、百貨店、スーパーなども閉めたという影響も加味されております。
 その後、11月は戻ってきたのですが、11月、12月ともに暖冬の影響があって、冬物がなかなか売れないという中で、これも何度かここでも申し上げましたけれども、12月は、休日が2日少なかったわけでありまして、30日のうち2日減るということのパーセントの大きさ、ウエイトの大きさ、それから特に百貨店の皆さんと話をすると、12月23日が天皇誕生日で休日だった、祝日だったことがなくなったということで、このクリスマスのシーズンのこれが休日でなくなったことの影響が大きいという声もございます。そうした中で、12月は少し戻りが悪く、少し落ち込んだわけであります。
 ですので、こうした一時的な要因を除いてみながら、消費の基調をしっかりと見なきゃいけないと思っております。
 次に、幾つかの業態のお話をしますけれども、まず家電については業況の戻っている業態ですけれども、これは御案内のとおり、消費税の駆け込みがみられたわけですが、その後、落ち込みましたけれども、12月から1月に掛けて、このようにマイナス幅を小さくして、1月は12.2%プラスということで、消費税増税の影響が薄らいできているのかなと見ていたところであります。
 スーパーは軽減税率があるものですから、完全に戻りはもう戻ってきております。これは日次のデータをみております。今日はお示しはしませんけれども。
 あと、どうしても財の販売動向に目が行きがちなのですが、消費の5割以上はサービスが占めておりますので、サービスの動向もよくみていかなきゃいけないわけであります。これは外食の売上高ですが、外食ですから、駆け込みと言っていいのかどうか、少し9月に上がったわけですけれども、10月は台風の影響で相当落ちました。しかし、その後、12月、それから1月は推計値ですけども、プラスになってきておりますので、かなり外食は戻ってきている、2か月連続で増加をしてきているということであります。
 それから、旅行の取扱額、サービスの一定のウエイトを占めますけれども、御案内のとおり、昨年は5月の10連休がありましたので、非常に高い数字となった後、夏の長雨の影響で落ち込みました。その後、10月の台風で落ち込みましたけれども、11月、12月と戻ってきていること。それから、これは年末年始の鉄道、航空機、高速道路の利用状況ですけれども、御案内のとおり、正月三が日に加えて、今年は1月の4日、5日が土日でしたので、非常に日並びがいいということで、年末年始は旅行、交通機関の利用など、回復をしてきていたところであります。
 一方で、業種が振るわないものもあります。次は百貨店の売上げですけれども、高額商品を扱うということで、一定の駆け込みがあって、落ち込みもございました。その後、少し戻ってきたわけですけれども、この10月の落ち込みも、ある社のIR情報、投資家なんかにお話になってる情報では、台風の影響で5.4%ぐらいがこのうち影響しているということがありましたし、同じように、先程申し上げたように、休日の影響が3.8%ぐらいあるということで、11月、12月と、本来戻ってきつつあった消費税率引上げの影響が薄らいできていただろうと思います。もちろんマイナスでありますので、その点は含めて、動向をよくみていかなきゃいけないんですけれども、こういう状況です。
 雇用・所得の環境が消費の背景にあるわけですけれども、年末のボーナス、これも申し上げましたけれども、大企業を中心に、経団連、数字は高いんですけれども、非常に伸びもいい。それから、中小企業も入った、2,000組合が入ってたと思いますけれども、連合の平均も非常に伸びが、この3年、今年も伸びているということでありまして、正に賃金の伸び、それから雇用の状況、有効求人倍率とか失業率は、引き締まっておりますので、こうした雇用者数の増加と賃金の伸びと併せて、次の実質総雇用者所得、これは緩やかに増加を、特に昨年しておりますので、こうした背景で個人消費は持ち直してきているとみております。
 ただし、もう御案内のとおり、この回復する基調にあったわけですけれども、新型コロナウイルスの影響ということで、下押しのリスクが生じておりますので、今後、しっかりと状況を見ていきたいと思っております。
 前回の引上げのときに、2四半期連続でGDPがマイナスになった、半年掛かったわけであります。当時のデータでなったわけでありますが、今回、引上げ幅も2%でありましたし、軽減税率や幼児教育・保育の無償化、それからその負担額を超える対策をキャッシュレスのポイント還元等で打ちましたので、対策を講じておりますので、正直申し上げて、10-12月期のマイナスは、覚悟しておりました。この1月からの期で戻ってくることを、本来ならば期待をしていたわけでありますが、自然の台風であったり、暖冬であったり、カレンダーの並びということもあって、10-12月期の落ち込みは、私の想定した以上のものであります。
 1月以降の回復を期待していたということでありますけれども、正に、今、最も注視すべき事柄、最大の懸案は、新型コロナウイルス感染症の影響であります。これについてしっかりと注視をしていきたいと思います。
 併せて、この場でも何度か申し上げましたけれども、消費の大きな流れ、トレンド、中長期的な課題として、みていく課題として、消費全体の構造変化、一つは高齢世帯がやはり増えているということで、若者に比べて消費は小さくなっていきますし、それからネット販売で購入するということで、これがどういう影響があるのか。あるいはシェアリングエコノミーということで、所有するのではなく、シェアをすると。利用するというふうに経済全体が、IT技術の進展によって変わってきている面もあります。
 それから、自動車は百年に一度の大転換期と言われております。電気自動車に大きく転換していく、あるいは、コネクティッド、インターネットにつながる、あるいはシェアリングエコノミー、こういった新しい時代の自動運転もですね。こういった技術が入ってくる中で、若者の車離れであったり、シェアリングの拡大というのもありますので、こういったことを、消費全体を中長期的に考えていくと。こうした課題についてもよく分析をし、対応していきたいと考えているところであります。
 その上で、今後、消費の先行きを考えていく上でも、やはりこの雇用・所得環境の改善ということが非常に大事でありまして、賃上げの流れを継続が大事だと思っております。
 不確実性が高まっている状況ではありますけれども、政府としては、一歩前に踏み出すような形で先般の経済対策に基づく賃上げにしやすい環境整備に取り組んでいくこととしております。民間の方々におかれても、先行き不透明な中ではありますけれども、是非、春闘でもこの賃上げの流れが一層力強いものになること、継続されること、このことを期待したいと思いますし、大きな鍵になってくると考えております。
 続いて、設備投資の動向ですけども、これ月次の数字が実線で、ならして見ているのが点線であります。
 この点線が示していますとおり、構築物の投資、あるいは機械投資も、このところ、ならしてみると弱い動きになっていることから、GDP速報においても、一次速報においても減少ということになっているわけであります。他方で、月々の動きをみてみますと、構築物もこのように増加をしておりますし、機械投資も増加をしているということでありますので、この辺りよくみていきたいと思っております。
 企業収益によっても影響を受けるわけでありますし、今のところ、日銀短観12月の数字は、設備投資は非常に高い数字、5%ぐらいプラスということになっておりますけれども、企業収益の動向を含めてよくみていきたいと思っております。
 一方で、次のソフトウエア投資、これは人手不足の中で、省力化の対応、あるいは新しい時代の第4次産業革命、Society5.0への対応ということもあって、ずっとプラスでかなり高い伸びで推移をしてきております。若干、伸び率は落ちておりますけれども、全体として増加基調維持をしております。これはやっぱり新しい時代への対応、人手不足への対応ということも背景にあるんだろうと思います。
 いずれにしても、繰り返しになりますけれども、製造業を中心に、輸出・生産弱含みが続いておりますので、今後のこの新型コロナウイルス感染症が企業活動に与える影響を、これもよく注視をしていきたいと思っております。
 それから、新型コロナウイルスの影響、 11ページのところにありますけれども、左の表のとおり、これもこれまでも国会で答弁しましたし、こちらでも何回かお答えしたかもしれませんが、中国と我が国、あるいは世界経済、世界との経済的なつながり、これはもう訪日外国人観光客、訪日客、それから輸出額、GDPいずれも、SARSが流行した2003年と比べて格段に強まっているところであります。
 右側の表のとおり、OECD試算、公表されている試算によれば、中国のGDP成長率が低下した場合、我が国はじめ世界各国、世界経済のGDP成長率に一定程度下押しされる、そういう関係にあるわけであります。
 こうした中で、この影響は11ページの囲みの上に書いてありますし、これまでも何度か申し上げました、インバウンドの減少であったり、輸出の減少、あるいはサプライチェーンを通じた影響、それから中国経済の減速は世界経済全体に減速の影響を与えた場合の、さらにそれによって日本への影響と、波及ということであります。
 それから、イベント、外出自粛による影響など、我が国経済を下押しするおそれがありますので、この辺りは十分に注視をしていきたいと思っております。
 その上で、 12ページのところをちょっとみていただきますと、大手百貨店の1月以降の売上げを、これは公表されている数字でまとめておりますが、先程申し上げましたとおり、12月が戻ってきてはいましたけれども、まだマイナスという中で、1月はそのマイナス幅を縮小してきておりました。会社によってはプラスになっているところもあります。土日含めた並びがよかったということも申し上げましたし、そういった影響があったのだろうと思いますが、2月に入って少しまたマイナス幅が大きくなってきております。これは中国人観光客に加えて、日本人のお客さんも、日本人客数も減少傾向にあるということでありますので、この辺りをよくみていかなきゃいけないと思っております。
 以上、個別指標を丁寧に分析を加えまして、景気の現状については13ページにありますけれども、総括判断はそこに書いてありますとおり、「景気は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している。」としておりまして、基調判断を維持しております。
 また、次のページ、先行きでありますけれども、そこにありますとおり、「当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるが、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、通商問題を巡る動向等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響にも留意する必要がある。」としております。
 15ページの政府・政策の基本的態度でありますけれども、ここは、先般求めました緊急対応策を速やかに実行するとともに、経済全体を落ち込ませない観点から、事業規模26兆円に及ぶ総合経済対策を迅速かつ着実に実行することが重要である。さらに今後の影響を注視しながら経済運営に万全を期していきたいと思っております。
 私から説明は以上であります。

2.質疑応答

(問)非常に丁寧に御説明いただいたんで、重複するところもあるのかもしれませんが、先行きのところでですね、今回コロナウイルスについての影響が強調されている一方で、先月入っていた消費増税の影響への言及がなかったんですけれども、これは今、大臣がおっしゃられていたとおり、消費、今回復基調にある中で、よりコロナウイルスの影響の方が大きくなっているという判断ということでよろしいんでしょうか。
(答)足下の経済のやっぱり最大の懸念は新型コロナウイルス感染症の影響であります。これは、まだどの程度拡がりを見せるか、時間が掛かるのか、これはしっかりと見極めていかなきゃいけないと思っております。どの程度、この景気の基調判断に影響を与えるのかというところを、よく細かく分析をしてみていきたいと思っております。最も今注視しないといけない点であります。
 そうした中で、御指摘のとおり、先行きの主文に、明確にこの影響についての旨を、明確に位置づけをしたところであります。
 当然、この先行きのこの影響の中には、消費者マインドが消費税率引上げによって落ちて、その後、回復の途上にありましたけれども、まだ低いということも、十分認識をしております。
 消費税率の引上げのそのマイナスの効果は、徐々に薄らいできていたものというふうに先程の資料でも御理解いただけると思うのですが、そこに今回のこの新型コロナウイルスの感染症の影響が出てきておりますので、その辺りしっかりと見極めていきたいと思っております。いずれにしても、消費者のマインドはよくみていきたいと思っております。
 その関連で、景気ウォッチャーの調査で、全体のDI、これは景気についての現状判断ですけれども、もちろん消費税率の引上げ後、一旦10月に落ちたんですけども、その後回復してきております。
 実は消費税率の引上げに対するコメントのDIはもちろん大きく落ちたんですが、その後かなり戻ってきておりますので、そういう意味で、先程来申し上げているとおり、消費税率引上げの影響は薄らいできているんだろうと、そうなっていたんだろうなというふうに見ているんですけれども、1月の前半の割合、百貨店あるいは旅行、こうした動きを見てると、そうしたことを考えていたわけでありますけれども、残念ながら、このような今状況になっておりますので、いずれにしても、この消費者のマインドもどういうふうに動いていくのか、よく見極めながら対応していきたいと考えております。
(問)今おっしゃった消費者マインドのところで、この月例の中では、持ち直しの動き、足踏みとなっているんですけど、その要因については、大臣、どのように分析されてるんですか。
(答)消費のいろんなこれは影響がありますので、もちろん一つには、消費税率引上げのこの影響がもちろん全く払拭されたわけではありませんので、それがまだ残っていること、それから、我々、今、全世代型の社会保障改革をしっかりと実行していきたいと、これは高齢者の皆さんにも安心していただけるように、あるいは現役世代の皆様にも負担上昇を抑えるような形で持続的な制度になるようにしているところでありますけれども、やはりそうしたことへの不安を感じておられる方もおられると思います。
 節約の一定のモードが消費税率引上げの後もまだ残っていることもあると思いますし、様々な数字で税率の引上げのマイナスの影響はかなり減少してきているものと思いますけれども、いずれにしても、まだその水準自体は低いですし、50を切っているわけでありますので、そういったことを背景に消費者マインド、現状認識をしているところですけども、是非この消費者マインドが上向いてくるように、まずはこの感染症対策に全力を挙げて、政府を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
(問)通常といいますか、これまでの資料ですと、開いて1ページ目に基調判断、つまり結論が書かれていたと思うんですけれども、今回開いてみますと、ずっと説明がありまして、13ページ目にやっと基調判断が出てくるというふうに形式が変わっているんですけれども、これはどうしてなんでしょうか。
(答)今回、GDP1次速報で非常に大きなマイナスとなったこともあり、国会でもかなり細かいところも含めて質問を受けましたし、多くの皆さんが、今、日本経済がどういう状態になっているのかという懸念する声はいろんなところから私のところにも問合せもあります。そういう声が大きく広がっているんだろうと思います。今回もう一度細かくいろんなものを分析しまして、それを丁寧に先程の閣僚会議の場でも説明を致しまして、より多くの方に今の現状を理解をしていただきたいなと、そんな思いで、まずは資料を丁寧に説明して、その全体をみていただいた上で閣僚会議の場でも、こうした全てを見て判断した結果がこういう判断ですということで御説明を申し上げました。そのような形で説明しないと、いきなり持ち直しにあるとかということが出てくると、13ページですかね、正に先程申し上げた、「緩やかに回復している」とか、個人消費が「持ち直している」ということがいきなり出てくると、この間の数字等を含めて、皆さん、「えっ」と思われると思いますので、まずは足下の状況、先程申し上げた細かい1月の状況まで含めて御説明申し上げて、基調がどうなっているのか、それから、一時的要因が何なのか、それから、今回のコロナウイルスでどういったことが懸念されるのかといったことを全体をしっかりと御説明したいと思ってこのような資料の形にさせていただきました。
(問)実際この基調判断として、「緩やかに回復している」という言葉を使うに当たって、なかなかこれは国民の皆さんに理解されづらいかもしれないと大臣御自身も思われたということでしょうか。
(答)そうですね。これは一般の皆さんの消費行動、消費者マインドは上がってきてはいますけど、まだ低い中で、様々な方がそれぞれのお立場で消費の行動をされていると思うんですけれども、先程申し上げたとおり、台風の影響があったり、暖冬で11月、12月、1月は記録的な史上最高の気温ということでありますので、そういったこともある中で、一方で、12月は休みが少なかった、1月は休みが多かった。それぞれいろんな御都合の中で消費活動をされていると思いますので、どんなふうに感じておられるか、それぞれあると思いますけれども、全体の基調としては、消費税率引上げの影響がより小さくなってきていると、影響は少なくなってきているということも御理解していただいた上で、基調判断としては、持ち直しているということなんですけども、繰り返しになりますが、いきなり1ページ目に持ち直していると出てくると、「えっ」と思われる方も多いかと思いますので、やはりなかなか全ての国民の皆様に伝えることは難しいんですけれども、基調判断としては、我々は10月から12月期、消費税率の影響のマイナスももちろんこれはございます。これは私も覚悟しておりましたが、それに加えて自然の様々な状況の中で、こうした状況になっているということを御理解を頂きたいなという思いです。
(問)大きく2点お伺いしたいんですけれども、まず1点目として、GDPがこれだけ大きく落ち込みました。今、足下で新型コロナの感染拡大の影響というのが出てきていて、非常に皆さん今、景気を心配されているわけですけれども、そんな中で、先程の質問にもありましたように、「緩やかに回復している」というのを維持されたということに対して、楽観的な判断ではないかというような見方が市場の方にもあるんですけれども、その楽観的だという見方に対しては、大臣はどのように思われるかというのを1点目お願いします。
(答)これだけの時間を掛けて一つ一つの指標をみていただけると、理解していただける面が大きいんじゃないかと思いますが、理解していただけるようになるんじゃないかと期待をするところですけれども、もちろん楽観視をしているわけじゃなくて、14ページの先行きのところを見ていただいたら、先程も申し上げましたけれども、主文に、「新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある」と、もう今、足下の日本経済の最大の懸案でありますので、そのことをしっかり書かせていただいて、単に能天気に持ち直していると言っているわけではなくて、足下のこの影響の大きさ、これはどうなっていくのかというところを十分注視していかなきゃいけないということをここに書かせていただいたつもりであります。
 是非何とかこの予備費を使い、また、成立した補正予算を迅速に着実に実行して、これは中央経済を支える予算も入っております、公共事業を含め入っておりますので、しっかりと実行して経済の、正に海外発のリスクに対してしっかりと下支えをしていきたいと考えているところです。
(問)それともう一点なんですけれども、消費増税の影響についてなんですけれども、今回、先行きから削除されてしまっています。消費増税の影響というのは、大臣は、駆け込みと反動減は前回より小さかったというふうにおっしゃっていらっしゃるんですけれども、そこよりも、多分今後出てくるであろう、6月以降にキャッシュレスのポイント還元とかがなくなったときに出てくるであろう実質所得の減少というんですかね、そういったところでの消費の弱まり、落ち込みということが第二の崖とも言われて心配されているわけですけれども、そこに対しても政府は心配ないというふうにも、そういった認識でよろしいでしょうか。
(答)まずは、総合経済対策の中で盛り込んだ事項、特に、補正予算はもう成立を致しましたので、これをしっかりと実行していくことで経済の下支えをしていくことができると思っております。併せて、当初予算の中にも、臨時特別の措置の含まれております。御指摘のように、キャッシュレスポイント還元、マイナポイントによる還元、こうしたものも含まれておりますし、公共事業も含まれているところであります。ですので、この26兆円規模の経済対策がしっかりと実行できれば、以前にも御説明しましたけれども、プラス1.4%の押し上げ効果が期待されますので、そういう意味で、これをまず着実に実行することが大事だと思っております。
 そして、この中には、幼児教育・保育の無償化、軽減税率、それから、4月からは、真に必要な若者たちへの大学の無償化、それから私立高校の実質無償化、それから年金生活者への支援給付金、介護保険の保険料の軽減、こういったものは通年で平年度ベースで1年分でやっていきます。加えて、御指摘のキャッシュレスのポイント還元が6月まであり、9月からはマイナポイントによる還元があるということで、7月、8月はオリンピック・パラリンピックも予定されておりますので、そうしたことを含めて、切れ目のない経済運営ができるものと考えているところです。
(問)大きく2点あるんですけれども、一つは、天候要因のところなんですが、消費税の反動減と天候、暖冬や災害というのは、下押し要因としてどのくらいずつ影響しているというふうにそもそもお考えなのかをまず教えてください。
(答)これは、なかなか消費税率引上げの影響による消費者のマインドの冷え込みというか影響ですね、これがどの程度あって、台風や、あるいは暖冬の影響、カレンダーの影響、これ、なかなか分解して寄与度を見るようなことは難しいんですけれども、ある社の資料によればですね、この台風の影響が、これは全体の、百貨店全体の17.5%の数字ですけれども、ある会社の影響度は5.4%ぐらい影響があったと。要は、台風の影響によってその間人が減った分とかですね、お客さんが減った分とか、売上げが減った分をカウントすると5.4%ぐらいの影響があったというふうに言っておられましたし、ある社は休日が減ったこと、特に23日の、12月23日の天皇誕生日が平日になったことが大きいと言っておられましたけれども、3.8%ぐらい休日が減ったことで効いていると言われていましたので、これはある一つの会社ですから、これを全てのあれに引用することは、適用することはできませんけれども、我々も、私も消費税率引上げによるそのマイナスの影響はもちろん覚悟しておりましたし、マイナスになることはですね、想定をしておりましたけれども、その幅が思ったより大きかったというのは、こうしたことが影響しているんだろうと考えています。
(問)先程、1月のところで幅が数字上少なくなったので、消費税率の影響が薄らいできたのではないかというふうにおっしゃったんですけれども、反対にその1月は市場最高の気温だったとおっしゃるのであれば、その暖冬の影響もあると思うので、そこは何か分析していないと消費税率の影響が薄らいだというふうにはなかなか言いにくいのかなと思ったんですけど、その辺りは。
(答)12月はですね、暖冬と休日が減ったことが共にマイナスの方向で効いています。一方で、1月はカレンダー上、1月4日、5日が土日だったので、5日まで年末年始に掛けて休みだったということが、これはプラス方向で祝日が増えていますので、買物に出る方も多いと、行楽に出られる方も多いということで、暖冬のプラス面。
 一方で、暖冬による冬物のコートとか何かが売れないというマイナス面と、これは交錯をしている面があるんだと思いますし、加えて、消費税率引上げのその影響が、何度も申し上げますけれども、百貨店でも10月はどーんと落ちていますけど、11月、12月と戻りつつあった。他の家計調査の数字も申し上げましたけれども、だんだんやっぱり時を追うにつれてこれは薄らいでいくものだと思いますので、1月~3月期はですね、私はプラスで回復することを期待をしていたわけですけれども、残念ながら今のコロナウイルスの影響でどういったことに影響が出てくるのかですね、ここはしっかり見極めたいと思っていますけれども、1月は、前半は数字は悪くなかったんではないかと考えています。
(問)あともう一点なんですけれども、補正予算が成立しましたけれども、実際その補正の効果というのが、その統計上の数字でその押し上げる効果が出てくるのというのはいつぐらいというふうにお考えでしょうか。
(答)これはできるだけ早く執行できるように、各省に私からもお願いをしているところであります。今年度の19年度ですね。3月までの効果は、通常地方議会なんかもありますので、予算を執行していくには公共事業もやっていかなきゃいけませんので、ぎりぎりになってきますから、プラス0.1%の押し上げ効果、そして、2020年度、4月からの20年度はプラス1.1%の押し上げ効果があるとみております。
 そして、21年度に残りがあるわけですけれども、この0.1%は着実に発揮できるように、発現してもらえるようにやっていかなきゃいけませんし、少しでも前倒しをして、20年度に掛かる分も迅速に、早期に執行できればというふうに考えています。
(問)2点お伺いします。
 まず、1点目がですね、今月GDPもありましたけれども、景気動向指数でですね、8月以来の5か月になりますでしょうか、悪化になりました。
 前回の景気後退期を超える長さの悪化が続いていると思うんですが、もちろんその指標の性格の違いは理解した上で、このずれに関してどのように御説明されるか、改めてお考えをお聞かせください。
(答)景気動向指数はですね、限られた指標でそれを機械的に計算をするというものでありますので、これはもちろん一定の景気動向については示すものでありますので、もちろん我々もしっかりこれをみてやらなきゃいけないと思っていますけれども、繰り返しこれはいろんな場で申し上げていますが、やはりGDPという全体をみるもの、それから、生産だけではなくてサービス、物の生産、販売だけではなくて、サービスも含めて見なければいけませんし、そうしたことを含めてですね、全体としての判断はこの月例経済報告で示すということに、これまでもなっております。
 もちろん、一つ一つの数字を、景気動向指数が取り上げている数字も、悪いものについてはよくそれについて分析をしていかなきゃいけませんし、今回いろんな数字を示しましたけれども、いまだ悪いものもございます。百貨店も戻りが鈍かった部分もありますし、あるいは今日はお示ししていませんけど、自動車もまだ低い数字となっておりますので、そういったことを含めて、悪い部分もしっかりとみながらですね、何もいいところばっかりを言うつもりはございませんので、GDPの数字自体が悪いわけですから、その悪さの原因は何なのか、それから基調はどうなのか、一時的な要因は何なのか、こういったことをよく分析をしながらですね、いずれにしてもこれだけ落ちているわけですし、新型コロナウイルスの感染症の影響が懸念されますので、まずは補正予算をしっかりやりたいと思いますし、予備費もしっかりと活用していきたいと考えています。
(問)あと、すみません。2点目なんですけれども、先程来のその指標の御説明で、消費税の反動減なりのその戻りがいいことは分かるんですけれども、改めて、例えばこれは足踏みとかではなくてですね、「景気は緩やかに回復している」、その「回復」というその根拠はどこに見いだされているんでしょうか。
(答)我々は基調をみていましてですね、いろんな数字をお示しを示しましたけれども、消費も一番やっぱり影響あるのは雇用・所得の環境の中で、御案内のとおり雇用環境は引き続き有効求人倍率も非常に高いですし、失業率も低い状況で雇用環境はいい。さらに、失業、これも皆さん御存じですから、もう余り申し上げませんけども、有効求人倍率も1.57ですし、正社員も1.13ということで、1倍を超えて求人があるということでありますし、失業率は非常に低い水準でありますので、こういうこの雇用の環境、それから所得、これも総雇用者所得、国民全体の所得でみますと、ずっとこう上がって、ここのところ上がってきておりますので、そういう意味で、こうした何より消費の背景にはこの雇用・所得の環境がありますから、こうしたことから、かつ消費の動向が上がってきていること、戻ってきていることから、「回復している」という認識を変えていないわけです。
(問)ちょっと重複してしまうんですけれども、その景気動向指数、5か月連続で悪化していて、政府の月例判断とやや違いがある状況なんですけど、これはその経済構造の変化ですとか、若しくは今回大臣御指摘されているその消費構造の変化みたいなものが一段と進んだから、こういう差が生まれてしまっているということ、お考えでしょうか。
(答)景気動向指数ですね、これが取り上げている項目ですけれども、投資の出荷、生産、鉱工業の生産ですね。鉱工業生産指数ですね。それから、耐久消費財の出荷、鉱工業用生産財の出荷とですね、非常にこれが大きなウエイトを占めています。さらに、マイナスの寄与度も実は、耐久消費財の出荷と鉱工業用の生産財の出荷が大きなウエイトを占めています。
 さらに、それに加えて雇用の環境はですね、有効求人倍率と所定外労働時間など入っておりますけれども、あとは商業販売額、小売と卸が入っていると。卸の販売額は、生産にかなり引きずられる部分もありますので、そういった意味でやはり生産なり、物の販売に少しウエイトが高いのかな、と。
 これ以外にも当然、公共事業の下支えがありますし、それから、サービスの部分、先程申し上げた外食とか旅行は戻ってきておりますので、そういったことが入っていないというようなことを含めて、景気動向指数、もちろんこれはこれでしっかりと我々はみていきますけれども、それに加えて経済全体をみる指標、これはやっぱりGDPが一番全ての付加価値、経済活動の付加価値を示しておりますので、やはりこれをみていくということが大事だというふうに思っております。
 で、GDPも含めて全体の判断として今回、先程申し上げたような基調判断をしたということであります。
(問)大臣、繰り返し新型コロナウイルスの影響が、足下の経済の最大の懸念だとおっしゃっております。
 今、国内でも感染が少し広がり始めているという状況で、少しフェーズが変わってきたのかなと思うんですけども、おっしゃっている輸出ですとか、インバウンドの減少ですとか、サプライチェーンを通じた影響ですとか、こういうものがこれからもう少し具体的にどういうリスクが考えられるかということと、対策をどのように政府として打っていくのかということを、お考えをちょっと聞かせていただければと思います。
(答)現時点で、どの程度、拡がっていくのか、あるいは時間的な長さ、これが経済的にどう影響するのか、終息までどのぐらい掛かるのかということを含めてですね、そうしたこと全体を見て、それが景気の基調にどの程度影響を与えるのかということを、これは判断するには少しいろんなデータをみていかなきゃいけないと思っております。
 もちろん、日次、週次のデータも常時みておりますし、月次のデータが出てくるのは少し後になりますので、足下のこともよく、また、いろんなヒアリングもしながらみていきたいと思っておりますので、この影響がどの程度出てくるのかですね、これは十分注視をしていきたいと思っております。
 したがって、まだそれはどういう影響があるのかという判断するにはまだ早い段階だというふうに思いますので、まずは国民の命と健康を守るというですね、この感染拡大を全力で防ぐというのは、これは何よりの経済対策でありますので、これをまず全力を挙げて、政府一丸となってですね、取り組んでいくということだと思っています。
 加えて、正に海外発のリスクに備えるための総合経済対策を打ちましたので、その具体化である補正予算、成立を致しておりますから、これを迅速に、着実に実行していきたいと考えております。

(以上)