西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年1月31日

(令和2年1月31日(金) 9:39~9:49  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議におきまして、令和元年度補正予算の成立を受けて、安倍総理から、補正予算及び経済対策の迅速かつ着実な実行について御指示がございました。
 私からは、本対策は、自然災害からの復旧・復興を加速し、海外発の下方リスクを乗り越え、Society5.0の実現加速を目指すもので、スピード感を持った具体化が重要であること。それから、新型コロナウイルスの影響による経済の下振れリスクに備える観点からも、関係閣僚におかれては、本対策が早期に、かつ最大限に効果を発揮するよう進捗管理いただきたいこと。それから、内閣府としても、複数年にわたって実施する施策のEBPMも含め、進捗状況の取りまとめを行っていくので協力していただきたいという旨について発言を行いました。本対策の早期かつ着実な実行に努めていきたいと思いますし、引き続き、経済財政運営に万全を期していきたいと考えております。
 冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)1点、先程、大臣からも言及を頂きましたけれども、中国を中心に拡大している新型コロナウイルスについて、WHOの方が、一旦見送っていた「緊急事態宣言」を出しております。感染者数が中国国外でも急速に拡大していまして、2003年のSARSを超えたという報道も出ております。改めまして、世界経済と日本経済への影響について現状の御認識をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)新型コロナウイルスに関連した感染症についてでありますけれども、御指摘のように、先週末以降、中国における患者数が急速に増加をしております。また、我が国を含む各国でも感染者が出ているという状況にあります。
 御指摘のように、昨晩、WHOにおいて「緊急事態宣言」が出されたほか、各国航空会社において中国便の運航を停止するような動きが出ているところであります。
 政府としても、昨日、「新型コロナウイルス感染症対策本部」を開催し、政府一丸となってこの感染拡大の防止に全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 経済の影響でありますけれども、まず、我が国経済についてです。中国からの団体ツアーの予約キャンセルが多く発生していると承知をしております。個人旅行も含めてインバウンド消費の下押しが懸念されるところであります。
 昨年、中国人の訪日観光客の割合は、インバウンド全体の約3割を占めておりますし、消費でも約37%を占めるということで、この点については懸念をしております。
 また、中国政府が春節の休暇を2月2日まで延長する措置を講じているほか、地域によっては更に長い期間の休業が求められております。2月の10日以降に事業再開するように指示している省が幾つかございます。こうしたことが中国国内の生産活動・消費活動、さらには、現地の日系企業の活動、そして、そういったことが我が国の輸出や生産、企業収益、こういった点に与える影響について十分注視をしてまいりたいと思っております。
 こうした今回の事態を受けまして、株価の下落が生じていることもございます。金融資本市場の動向もしっかり注視をしていきたいと思っております。
 いずれにしましても、こうしたリスクに対応するためにも、昨日成立しました補正予算の早期執行、これが重要と考えておりますので、まずは着実に実行していきたいと考えております。
(問)春闘についてお尋ねします。経団連は賃上げモメンタム維持と言いつつも、担当の副会長からは、2%は超えるか分からないといった発言も出たりしておりますが、デフレ脱却を目指す政府として、今春闘への期待、思いなどがあればお願いいたします。
(答)経団連会長、それから経団連副会長の御発言については承知をしております。雇用の形態の多様化あるいはそれぞれの企業の置かれた経営環境の変化などを背景に御提示をされた問題意識だと思います。
 他方で、経労委報告の中では、賃金引上げのモメンタムの維持が基本となるということも示されております。
 いずれにしても、大事なことは、中小企業も含めて、この賃上げの流れが継続をしていくということだと思います。
 これまで6年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現をしておりますし、冬のボーナスでも、経団連150社対象でも、昨年にプラス1.77%と2年連続で過去最高となっておりますし、中小企業を含む連合の2,211組合の対象調査でも、昨年比プラス2.02%ということで2年連続で増加をしております。是非こうした流れを継続をしていただければと思っておりますが、そのこうした流れを継続していくために、企業収益を一層改善しつつ賃上げの原資をしっかり確保することが必要だと考えております。
 加えて、大企業と中小企業が共に成長できる取引構造を構築し、中小企業を含めて賃上げや投資に前向きな企業マインドを拡大していくことが必要であります。政府としましても、正に昨日成立しました令和元年度の補正予算、それから、来週にも審議に入ると思いますが、令和2年度の当初予算、これらを通じて生産性向上に向けた支援、あるいは下請企業の取引条件の改善、こういった賃上げしやすい環境整備に取り組んでいきたいと考えております。
 いずれにしましても、春闘においては、今後、より重要となる人材への投資拡大の一環として、是非この賃上げの流れが継続され、また一層力強いものになることを大いに期待をしているところであります。
 海外経済の下方リスクが存在する中で、不透明感も増しております。経営トップの皆さんの判断に躊躇が生じることも理解をしますけれども、是非主要企業の経営トップの方々におかれては、自社の賃上げはもちろん、さらにはサプライチェーン、中小企業との取引条件の改善にも積極的に取り組んでいただいて、是非全国での幅広い賃上げの波、これがデフレ脱却に向けて強い力となることを強く期待をしているところであります。
(問)新型肺炎の関連で質問させていただきます。感染拡大で、日本でも人込みを避けるなどの動きが出てくると思いますけれども、そうすると、日本の消費にも影響してくることが懸念されると思うんですけれども、大臣は、日本の消費への影響というのはどう見ていらっしゃるのか、お願いします。
(答)まずは、この感染拡大に向けて、厚労省を中心に対策本部を設置して、しっかりとこれ取り組んでいくと。何より感染拡大を防止していくということが、この経済にとっても一番プラスになりますし、何より国民の命を守るという観点からも、健康を守るという観点からも、これはもう全力で政府を挙げて取り組んでいかなきゃいけないと思っております。
 その上で、消費マインドが少し上向いてきてはいるものの、海外発のリスク減速傾向があったり、あるいは台風の影響、あるいは暖冬の影響等、消費者のマインド、もちろん消費増税というものもございました。様々な対策を講じているとはいえやはり増税でありますので、消費者マインドに与える影響はあります。そうした中でのこの新型肺炎の感染が広がってきているということでありますので、消費者マインドにも与える影響をよく見ていかなきゃいけないと思っておりますけれども、何よりの対策は、感染拡大を防ぐことということだと思いますので、まずはこれに全力を挙げていきたいと考えております。

(以上)