西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年1月7日

(令和2年1月7日(火) 11:49~12:09  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日1月7日火曜日の午後から11日土曜日まで、中国の北京と重慶に出張をします。
 北京では、私のカウンターパートであります国家発展改革委員会の幹部と、重慶では重慶市の幹部との会談を予定をしております。また、中国のIT・デジタル産業、その現場の視察あるいは日系企業との意見交換などを予定をしております。
 今後の世界経済の先行き、減速傾向にあり、下方リスクがあるわけでありますけれども、そういったことについて、また、世界第二の規模を持つ中国経済であります。その中国経済の見通し、さらには、今後の経済政策の在り方などにつきまして意見交換を行ってまいりたいというふうに思っております。
 また、中国のIT・デジタル産業における先進的な取組、これについても視察を通じて、世界の動きの大きな一つでありますので、しっかりと自分の目で見て、そしてまた、我が国の成長戦略あるいは骨太方針策定への参考にしていきたいというふうに考えているところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)早速なんですが、年明けに、米軍によるイランのソレイマニ司令官の殺害をきっかけに中東情勢が緊迫化してます。今朝は株価も石油も下がったり戻ったりはしているようなんですけど、このことが日本経済へ与える影響について、大臣どのように見てらっしゃるか、よろしくお願いします。
(答)はい。御指摘ありましたように、アメリカ軍がイラン革命防衛隊の司令官を殺害をし、それに対してイランが報復を示唆するなど、アメリカとイランとの間において緊張が高まっているものと承知をしております。今後の推移については、注意深く見ていく必要があると思います。
 昨日、総理も年頭会見で、事態の更なるエスカレーションは避けるべきであるという趣旨で発言をしておられました。正に外交努力を通じて、対話により安定化の方向に向かうように、エスカレーションしないように臨んでいるところであります。
 今回の事態を受けまして、マーケットですね、金融資本市場等に変動が生じたことは承知をしております。金融市場そのものへのコメントは差し控えたいと思いますけれども、本日は少し落ち着いた動きになっていると思いますが、ファンダメンタルズを反映しない急激な変動あるいは過度な投機的な動き、これは好ましくないと思っております。円高の進行あるいは原油価格の高騰、これは我が国経済への悪影響を及ぼすことも考えられますので、十分に注視をしてまいりたいと考えております。
 ちなみに、原油の方は234日分の備蓄もありますので、緊急時にはしっかり必要な対応をとることができると思っております。
 昨年来申し上げてきてましたけども、様々なきっかけで市場が動きます。正に昨年来申し上げているとおり、海外発の下方リスクというものがあるという中において、その中の一つ、中東情勢ということも申し上げてきましたけれども、その中の一つが顕在化をしているということだと思います。万全の対応を図るため総合経済対策をまとめたところでありますので、これを着実に実行して、この効果をしっかりと発現していくように努めてまいりたいと考えております。
(問)大臣が冒頭御発言いただきました中国への御出張の関係なんですけれども、幾つかの狙いを御説明いただいたと思うんですが、マクロ経済の環境などでもう少し詳しく、大臣の中で優先順位を付けて、ここを重点的にというものがあれば御解説いただけますでしょうか。
(答)はい。まず、これも昨年来申し上げている、正に世界経済の減速・下方リスクがあるということで経済対策をまとめたところであります。その世界経済の下方リスクに対してどう対応していくか、どう備えていくかということが今年の大きな課題だと思っておりますので、正に中東情勢で中東はこういう情勢になっているわけでありますし、そういった視点で主要国のマクロ経済政策を担当している幹部と、閣僚を始め幹部といろいろ意見交換していく、対話をしていく、意思疎通を図っていくことが非常に大事だと思っておりますので、そうした中で、今回、中国出張におきましても、マクロ経済政策を担当している国家発展改革委員会の幹部と意見交換をする。これは、非常に大事な今年の課題の一つに対応するものだと思っております。
 併せて、中国経済全体を見ていく上で、正に中西部の開発の拠点となっている、あるいはアジアや欧州との交流の拠点ともなっている、また、IT・デジタル化の拠点にもなりつつあるということでありまして、重慶の幹部と意見交換をしていきたいと思っております。
 そういう意味で、正に世界経済下方リスクへの対応と、それから備えと、それから中国経済全体の見通し、こういった点について、私自身の目でしっかりと見ていきたいと、今後の経済政策、マクロ経済政策の参考にしていきたいと考えております。
 併せて、IT・デジタル化が急速に中国経済社会で進んでおりますので、深圳も定期的に訪問しているんですけれども、今回更に地方の拠点である重慶ということで、初めて訪問しますけれども、かつての重厚長大の都市からどう変化をしているのか、しっかりと視察をしてまいりたいと思っております。
(問)中国の訪問に関してなんですけれども、会談の中身の直接のアジェンダとはちょっと離れるかとは思うんですけれども、今年は習近平国家主席の国賓としての来日が予定されていますけれども、大臣として、このカウンターパートの幹部の方あるいは重慶市の幹部の方とお会いになるということで、その習近平主席の来日に向けて、今回の課題をどう位置付けられていらっしゃいますか。
(答)日中が新しい時代を迎えている中で、首脳間の交流も活発になり、意思疎通もしっかりと行われてきております。そうした中で、私の立場、私の役割として、マクロ経済政策をしっかりと意思疎通を図りながら、正に連携できる分は連携をしながら、また、お互いに足元の経済のこのリスクに備えるという面と、それから、新しい時代への構造改革を進めていく、日本でいえばSociety5.0を実装していくということでありますし、産業構造自体が新しくなっていく、それに共にそれぞれの国で進めてきているわけでありますので、そうしたところをしっかりと意見交換をしながら、私の立場でしっかりと世界経済のリスクに備えるようにしていきたいと考えております。
(問)中国訪問の件で、差し支えなければカウンターパートの幹部の方と重慶市の幹部の方は具体的にどなたなのかというのを、もし可能だったら教えてください。
(答)具体的な面談、意見交換の相手につきましては、先方の日程もあり、今調整をしているところであります。それぞれ幹部としっかり意見交換できればと思っております。
(問)まず、出張行かれるとは思うんですけれども、その後、各種いろんな会議とかも再開してくると思うんですけれども、大臣として今年優先的にまず取り組んでいきたい大きなテーマ等ありましたら、教えてください。
(答)課題は幾つかございますけれども、大きな課題がございます。一つはやはり全世代型の社会保障改革ですね。中間報告を取りまとめて、方向性を示したわけでありますけれども、その具体化を今年はしていくことになります。安倍政権にとって最重要課題だと認識をしておりますので、夏の最終報告取りまとめに向けて、しっかりと審議を、議論をしていきたいと思っております。
 併せて、足元でいえば正にこの世界経済減速のリスクにどう備えるかという、そのための経済対策を取りまとめ、補正予算も、そして来年度の当初予算を閣議決定しておりますので、国会が始まればできるだけ早期に成立をして、着実に、円滑に、まずはこの補正予算、そして経済対策を実行していきたいと思っております。
 併せて、夏には骨太の方針、成長戦略をまとめていきますので、Society 5.0の実装をこの経済対策の中でも進めていきますけれども、日本の経済、社会をいかに早く加速化をして、この新しいデジタルの社会に変革をしていくか、正にその構造改革が急がれると思いますので、そのための方策をしっかりと考えていきたいと思いますし、これは言い出すと切りがないんですけれども、そういったことを進めていく上で、86万人台という少子化に対してどう対応するか、あるいは正に世界が共通の課題である気候変動を始め、SDGsにどういうふうに対応していくのか、そうした視点も入れながら骨太の方針、成長戦略、まとめていきたいと思っております。
 この時代の変化が速い中で、スピード感を持ってこの新しい方向性を示していきたいと。そうした中で、働き方改革も中小企業で労働時間の規制が始まりますし、大企業では同一労働・同一賃金も始まりますので、こういったことへの対応、一人一人の働き方を変えることによって生産性も上げていき、また、家庭と仕事の両立、あるいは女性がもっともっと活躍できる、そうした環境も作っていかなきゃいけないと思いますし、課題はたくさんありますけれども、そうした全体を見ながら、将来の絵姿を見ながら、夏に向けてしっかりと議論を進めていきたいと考えております。
(問)年末に逮捕者が出たり、闇献金疑惑が取り沙汰されております。そういう中で今日、IR管理委員会が発足します。野党側はこの国の基本方針自体の策定をやめる、カジノストップだというようなことを言っております。
 御推進というか、成長戦略をつかさどる立場から、係る状況をどのように受け止めて、国民の信頼というんでしょうかね、それをどういうふうに回復していくと。また、それに考えられることで閣議でやはり議論があったと思うんですが、差し支えない範囲で伺えたらと思います。
(答)IRについての様々な疑惑が指摘をされ、そして、指摘をされた議員それぞれが説明責任を、もう会見を開いたりされていますので、これはまずしっかりと説明責任を果たすべきであると思いますし、併せて、もう捜査に入っている事案がございますので、これについてはしっかりと司法の手続を通じて、司法の場を通じて明らかにしていくべきだというふうに思います。捜査中の案件ですので、それ以上のコメントは、その件については致しません。
 一方で、IRにつきましては、カジノに対してIRの一つの核となすカジノに対して、世界最高水準とも言うべき厳しい基準の下でやろうということで議論が進められ、そして、それをつかさどるカジノ管理委員会が発足をするということで、国会の承認の手続も経て進めております。
 それぞれの地方にとってみれば、これを機にきっかけとして地方創生の大きな柱にしていこうと、あるいはインバウンド拡大の柱にしていこうという考えもあると思います。成長戦略でも、これまでも位置付けてきたものであります。法律を作り、進めてきておりますので、法律に従って、国民から信頼していただけるような、作ってよかったと言っていただけるような、そうしてものになるように、カジノ管理委員会でもしっかりとした規制、制度を更に議論してもらい、そして、そうしたものが進んでいくと、法律に従って進んでいくということを期待をしたいと思います。
(問)中国でマクロ経済の御専門の方にお会いされるということですが、このマクロ経済というのは金融政策についても議論するということなのかどうか、そこをお願いします。
 あと、昨日、麻生先生が賀詞交歓会で、中国のデジタル人民元も非常にドルに対抗するものであると警戒されていましたが、中国側からもデジタル人民元の意見を求められるときには、先生としてはどういうスタンスで御説明されるのでしょうか。
(答)まず、マクロ経済政策全体を見る中では、金融政策も財政政策も、あるいは様々な制度面の、我々は第3の矢と言っている成長戦略なども含めて、全体のいろんな議論ができればいいと思っております。
 そうした中で、金融政策をつかさどるお互い専門の部署があるわけですけれども、それではありませんので、どこまで深い議論になるか分かりませんけれども、全体としては大きなマクロ政策の観点から様々な議論ができればいいと、意見交換ができればいいと思っております。
 デジタル人民元については、もう既に様々にネットの取引の中で、中国においてはそれを裏付ける資産についての様々な枠組みの中で進めてきておりまして、いずれはそういう議論になっていくんだろうなということを専門家の中では言われてきた話であります。
 ただ、世界全体として見れば、ドルが基軸通貨であることには変わりがないと、現時点では変わりがないというふうに思っております。デジタル化されるとしても、人民元については様々な国際的な取引においてはまだ一定のルール、規制もございますので、今後どういうふうになっていくか、しっかりと見ていきたいと思っております。
 他方、リブラの議論とか、投機を招くとか、あるいはマネーロンダリングがあるとか、様々な議論も国際社会でも行われてきております。そういった面は当然ありますので、注意をしなきゃいけないんですけれども、ただ、一方で技術はこのブロックチェーンの技術であるとか、新しい技術がどんどん進展していきますので、この技術がこの経済の仕組みにどういう影響を与えていくのかと、あるいは仕組み自体をどう変えていくのかというところは、よく見ていかなきゃいけないと思っております。
 新しい技術の進化はものすごいスピードで進んでおりますので、そういったこともしっかり視野に入れて、いろんな制度を考えていかなきゃいけないと思っております。
 繰り返しになりますけれども、当然マネーロンダリングとかいろんなこともありますので、デジタル通貨については様々な議論もあると思います。今直ちにそれが日本でどうこうということではないと思いますけれども、しかし、技術の進化は非常に速いですから、そういったものをしっかり見ていきながら、将来の仕組みは考えていきたいと思っております。

(以上)