西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年12月27日

(令和元年12月27日(金) 10:24~10:48  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

特になし

2.質疑応答

(問)閣議後の今年最後の会見かと思うんですけれども、大臣として今年一年の経済運営の総括と、来年は成長率1.4%を見込んでいるわけですけれども、これを実現する上でのポイントというか来年の経済の見通しをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)はい。9月に就任を致しまして、振り返ってみますと、もうあっと言う間だったなと、非常に短い、今思えばですね、あっと言う間の時間だったなと思います。
 この間も幅広い分野を担当させてもらってますので、いろんな課題がありますけれども、幾つかの報告をまとめたりをしまして、一定の成果を出すことができたのかなと思っております。
 就任しての直ぐの一番の課題が消費税率の引上げがございました。この消費税率の引上げをスムーズに実現して、そして経済への悪影響が大きく出ないようにと、経済が落ち込まないようにということに一番最初、就任後は腐心をしたわけであります。
 御案内のとおり、私、現場主義ということで、できるだけ現場に足を運んでという多くの方の意見に耳を傾けながら、現場のいろんな取組を見ながら対応してきたわけでありますけれども、様々な対応策を実行する中で、これまでも繰り返し申し上げてますとおり、今回の駆け込み需要、そしてその後の反動減、落ち込みは前回ほどではなかったという見方をしております。
 消費者のマインドには、増税でありますので、いろんなマイナスの影響もあると思います。落ち込んだものが少し上がってきてはいるものの、まだ低い状況ですので、しっかりと消費者の下支えということを経済対策の中で盛り込んでおりますけれども、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
 2番目が、正に総合経済対策の取りまとめということで、大きな災害がございましたし、災害からの復旧と併せて未来への投資ということで、デジタル・ニューディールという、是非この機会に新しい技術を導入をして新たな経済・社会の構造をつくっていこうと、これは地方も中小企業も含めてやっていこうという、そうした流れを是非つくり出したいという思いでまとめましたけれども、それをこれから実行していくということになります。
 3点目に、全世代型社会保障改革。これも関係者間の調整、なかなか難しい課題であります。世代間のいろんなそれぞれの皆さんの思いもありますし、ライフスタイルが多様化する中で、なかなか集約していくのが難しい課題でありますけれども、中間報告を取りまとめて持続可能な社会保障制度、そうしたものをつくっていくという第一歩を踏み出したんではないかなと思っております。もちろん既に幼児教育・保育の無償化が始まっているわけでありますが、それに続いての歩みを進めることができたのかなと思っております。これから来夏の最終報告に向けてしっかりと調整を進めたいと思っております。
 それから4点目に、就職氷河期世代の方々への支援ということで、先般、行動計画も取りまとめました。予算もしっかり確保してますので、お一人お一人に寄り添いながらしっかりと成果が上がっていくように取り組んでいきたいと思っております。
 5点目に、成長戦略。これも未来投資会議で方向性を取りまとめております。やはり新しい時代をつくるというSociety5.0をどう実装していくかという大きな課題、そしてデジタル市場のルール整備についても、デジタルプラットフォーマー取引透明化法案の方向性も取りまとめることができました。ここが、個人情報の保護といった消費者の保護の観点等も大事なわけですけれども、一方で、過剰な負担となってイノベーションが阻害されないようにという、これも大きな命題でありますので、このバランスに腐心をしてきております。法案化の中で、この点もしっかりと見ていきたいと思っております。
 それから6点目が、日米貿易協定が来年1月から一応スタート、1月から発効するわけですけれども、それに向けての総合的なTPP等関連政策大綱の改定ということで、これも農業者の皆さんには不安もございますので、それに応える形で取りまとめ。さらに、これは中小企業の皆さんも、あるいは農家の皆さんも、海外に攻めていくということも含めた攻めの政策も含めて取りまとめることができたと思っております。
 TPP交渉、最初から携わっておりますので、思い入れもございます。日米の交渉も官房副長官として見てまいりましたので、発効するということで感慨深いものがありますけれども、これに対してもしっかりと対応していきたいと思っております。
 来年に向けてでありますけれども、一番大きな課題は、我々、最大のリスクと言ってきたのは、世界経済の減速であります。これに対してしっかりと備えていかなきゃいけないということで経済対策を組んだわけですけれども、正に世界経済のこの持続的な発展、様々な課題を乗り越えて発展していく、その協調のために対話の機会も、関係国と対話の機会を是非つくっていきたいと思っております。
 正に自由で公正なルール、秩序、これを維持し発展をさせていくということでありますので、TPP担当大臣でもございますので、11のほかの国々でまだ国内手続が終わっていない国がございますので、国内手続の早期締結あるいは参加国の拡大に向けてしっかりと取組を進めていきたいと思いますし、マクロ経済の責任者と世界中の責任者としっかりと意思疎通を図りながら連携して、この世界経済減速への備えをしっかりとしていきたいと思っております。
 そうした中で、国内の経済政策については1.4%成長、実質1.4、名目2.1というものを実現するために、15か月予算で組みました補正予算と、来年度予算の早期成立を図り、これを着実に実行していきたいと考えております。
 その際、特に地方経済の活力維持、これも大事な視点だと思っておりますので、地域への目配り、中小企業、一次産業への目配りもしっかりしながら取り組みたいと思っております。
 私自身は、乗合バス、地域銀行、地銀の独禁法の適用除外に関する法案を担当する予定でございますので、まずは法案をしっかりとつくるところから、そして提出後、提出できれば、しっかりと成立に向けて努力をしたいと思っております。
 消費とか輸出とかの見方が、民間のエコノミストの方とは違うわけで、我々、雇用・所得の環境も引き続き継続、この賃上げの流れ、環境改善が継続をしていると見ておりますので、消費は緩やかな回復基調を続けると見ておりますし、輸出も、今年が少し落ちている分、世界経済の見通しも下方修正されていますけれども、それでも3%前後の成長が見込まれる中で、今年が落ちた分、発射台がちょっと低くなるという面もありますので、輸出も回復してくれば、この1.4%をしっかりと実現をしていきたいと思っております。
 先般も申し上げましたけれども、来年度の予算102兆6,580億円ですね、「令和2年に向かってゴー 晴れる日本経済」。前回、「令和に」と言ったんですけど、令和2年ですので、「令和2年に向かってゴー 晴れる日本経済」ということでしっかりとこの経済対策を実行して、1.4%成長できるように頑張っていきたいと思います。
(問)今、大臣おっしゃられた、消費は緩やかな回復を続けているというふうに見ていらっしゃるということでおっしゃられておりましたが、本日公表された11月の鉱工業生産指数なんですけれども、前月比0.9%の低下ということで、2か月連続でマイナスになりました。こちらの受け止めを教えてください。
(答)月例経済報告などでも報告していますとおり、今、申し上げましたとおり、世界経済が減速する中で、輸出が弱含んでおります。そして、生産が弱いという状況にあるということはこれまでも申し上げてきたとおりであります。本日公表された11月の鉱工業指数でありますけれども、生産は前月比0.9%減ということで、2か月連続の減少でありますが、10月時点での11月予測は1.5%減ということでありましたので、そういう意味では、上振れをしているということであります。減少した業種を見てみますと、大きいのが生産用機械ということで、8.9%減でありますけれども、これは工場が台風被害を受けた影響もございますので、それも差し引いて考えなければいけないのかなとも思っております。
 一方、増加した業種は、自動車で4.5%増と、自動車も消費税率引上げ後、少し落ち込みが指摘をされてきていますけれども、ここにきて、この新しい前向きな動きが出てきていると。あるいは、電子部品デバイスも0.1%増でありますけれども、底を打った感がありますので、このあたりの前向きな動きもしっかり評価をしていきたいと思っております。
 今後、もう少し詳細な分析を行っていきたいと思いますけれども、繰り返しになりますが、海外経済の減速、それから、貿易の縮小ということが生産活動に大きな影響で、下押しになっておりますので、今後ともしっかり注視をしていきたいと思いますし、台風被害も徐々に解消されてきていますが、どれだけ残るのかということもしっかり見ていきたいと思います。いずれにしても、補正予算、来年度予算も、国会が始まれば、早期成立を図り、着実に実行していきたいと思います。
(問)大臣、先程、独禁法の特例、乗合バス・地銀の除外担当の方の法案は担当するとおっしゃっていましたが、大臣がずっと議論を仕切っていたデジタルプラットフォーマー取引透明化法案の方は、これは別の大臣が担当になるんですか。
(答)全体、個人情報保護法案の改正とか、デジタルプラットフォーマーの取引透明化法案とか、幾つかありますので、全体は私が取りまとめを行いましたけれども、それぞれの法律は担当の大臣にお願いすることになるのかなと思っております。ですので、デジタルプラットフォーマーの取引透明化法案は経済産業省、経産大臣が担当することになるというふうに思います。個人情報保護法案は衛藤大臣が担当ですので、そういうことになるのかなと思っております。
(問)昨日、第二次安倍政権が発足して、満7年というところで、8年目に入ったわけですけれども、閣僚の一人として、改めて意気込み、抱負などをお聞かせいただきたいのですが。
(答)ありがとうございます。7年ということで、私も今の立場の経済再生担当の副大臣で、当時、アベノミクスの最初から携わってきたということで、私自身も7年で非常に感慨深いものがあります。この間、まずはデフレでないという状況をつくり出したということだと思いますし、GDPを着実に名目、実質共に拡大をし、過去、最大になってきております。もう言うまでもなくですけれども、名目GDPで言えば、559.2兆円ということで、来年は570兆円台を見込んでいますので、その意味で、着実に経済は回復してきていると見ております。
 幾つかの数字を申し上げますけれども、もう御存じのことばかりですけれども、この間、6年間で就業者数が380万人増えていますし、正規雇用も130万人増加をしています。それから、足元で言えば、本年の9月まででも、就業者数は440万人増加ということで、本日発表の労働力調査におきましても、就業者は6,769万人と、過去最高の数字、これは季節調整をした数字でありますけれども、過去最高でありますし、雇用者も6,035万人ということで、過去最高であります。
 賃上げの方も、6年連続で今世紀最高水準の賃上げが続いておりますので、さらに言えば、冬のボーナスも、経団連の調査で150社でありますけれども、プラス1.77%、去年が6.14%伸びていますので、2年続いて最高の水準となっておりますし、連合の方の調査、これは中小企業も入っておりますが、2,211組合ありますが、今年が2.02%の伸び、去年も5.91%の伸びでありますので、非常に高い伸びを継続してくれておりますので、この賃上げの流れが継続しているのかなという、定着してきたという印象を持っております。
 経団連の調査で言えば、10年前と比べると、20万円近くボーナスが増えておりますし、連合の調査でも10年前と比べると10万円近く増えておりますので、この流れを来年も是非継続をしていただきたいなという思いであります。
 それから、アベノミクス第三の矢もいろいろ言われ、御指摘も頂きますけれども、二つ、三つだけ数字を申し上げますけれども、訪日外国人観光客のビザ緩和、空港整備など含めて3,000万人を超えておりますし、農産物の輸出も過去最高の9,000億円、それから、税収も国の税収が、これは予算ベースで比較をしておりますけれども、安倍内閣発足前と比べて、21兆円の国の税収増でありますし、地方も9兆円の増であります。こうしたことを背景に、新規国債も44兆円台から32兆円台ということで、12兆円減らしてきておりますので、経済成長と財政再建を着実に両立して実行してきているものと思っております。
 株価も、昨日も総理が言われましたけれども、約3倍ということで、2万3,925円、26日の終値であります。ちなみに、私が就任したときの株価は2万1,598円でありますが、昨日現在、終値で2万3,925円ということで、10.8%、就任後、上昇しております。私の力で株価が上がったということを申し上げたいわけじゃないんですが、それから、株価も上がったり下がったりありますので、一喜一憂するわけではないんですけれども、やはり高い方がいいと思いますので、この10.8%を年率に換算して37%になるんですけれども、これを昨日の株価に当てはめると、来年の1年後は3万2,800円ということで、そんなに高くなることはなかなか難しいと思うんですけれども、しかし、株価は先行指標でありますので、半年ぐらい、成長率と株価というのは、半年ぐらいずれる先行指標でありますから、株価がこれなりの数字になるということは、半年後の成長に対する期待も持てますので、先程お話のあった1.4%の成長は着実に実行していきたいと思っております。
 そうした中で、第三の矢の成長戦略ですね。これを引き続きしっかり行っていくということで、何と言っても、このSociety5.0、この実装、新しい技術、これを実装していくと。世界のスピードは物すごく速いですから、正にこの一、二年が勝負だと思っています。来年は日本経済を左右する大事な1年になると思いますので、このイノベーションをどう促していくか、正に閉じこもる世界ではなく、開かれて、つながれる社会、つながる社会、経済、そういったものを実現していく年になっていくと思っております。
 オープンイノベーション、自社だけでやるんじゃなくて、ほかの企業と、あるいはベンチャーと組んで、いろんなことをやっていくという、そういう時代でもあります。オープンイノベーションの税制も今回、決定をしておりますので、こうしたものを活用していただきたいと思いますし、先日、渋谷で大企業がベンチャー企業を、若いベンチャーの起業家の場を提供した、いわゆるエコシステムを作っているのを、そうしたところの視察をさせていただきました。これまでと同じやり方ではなくて、新しい時代の流れを酌み取りながら、そして、新しい技術を活用していく、そういう息吹を感じたところでありますけれども、これは中小企業の皆さんにあっても、そうした変化を感じていただいて、新しい技術の実装、それを今回、補正予算でも3,600億円用意してやっていますので、是非中小企業の皆さんにも頑張っていただきたいと思いますし、新しい時代に合わなくなってきている規制についても、規制改革をしっかり進めていきたいと思っております。
 キャッシュレス化がこれだけ急速に進みました。来年はマイナンバーカードを使ったポイント還元も9月から予定をしておりますけれども、私はマイナンバーカードが来年は大化けをする、大きく認識される、そういう年になることを期待をしております。その意味で、新しい技術、新しい時代を、技術を実装しながら、新しい時代を作っていく、そういう1年にしていきたいなと思っております。
(問)先程ですね、マクロ経済の担当大臣と意思疎通を図りたいというお話、来年に向けてされていましたけれども、今朝、一部報道で、来春に掛けて、米、中、イギリス、インドですか、を大臣が訪問される旨、報道がありました。現在の検討状況を教えてください。
(答)繰り返しになりますけれども、世界経済が減速する中で、主要国のマクロ経済政策を担当しておられる責任者の方々と是非対話を進めたいと思っております。経済についての認識を共有しながら、それに対する対応も連携をし、このリスクに備えていきたいという思いであります。併せて、TPP担当大臣でもありますので、この自由で公正なルールを、この秩序を是非維持し、発展をさせていきたいと思っておりますので、関係国と是非、関係国の閣僚と意見交換しながら、意思疎通を図りながら、世界経済減速に向けて、あるいは保護主義的な動きが出てくる中で、是非この自由で公正なルールを広げていく努力をしていきたいと思っております。
 そんな中で、いろんな国と今、調整を進めておりますけれども、具体的な内容や出張等の日程はまだ固まったわけではありません。年明け以降、もちろん国会がございますので、諸般の情勢が許される範囲で、各国としっかりと意思疎通を図っていきたいと考えております。

(以上)